A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

エルビンジョーンズのビッグバンドでのドランミングはなかなか聴く機会がないが・・・

2016-01-06 | MY FAVORITE ALBUM
Giant Steps / Elvin Jones & Frank Foster with Nobuo Hara & Sharps & Flats

ペッパーアダムスがサドメルを辞めた後に参加したアルバムの棚卸は1978年のアルバムが続いている。ちょうど辞めてから1年後、ライオネルハンプトンの50周年記念のオーケストラに加わってニューポートに出演、古巣のサドメルにもゲスト出演したりしていたので、何か記事でも無いかと思って当時のスイングジャーナルを繰ってみた。

ニューポートジャズフェスティバルの詳細な記事が載っていたが、7月2日のSratoga Swingと命名されたその日のステージはベイシー、エリントンを始めとしてビッグバンドばかり9グループの揃い踏みであった。秋吉敏子のバンドは参加していなかったようだが、当時のビッグバンドの盛況ぶりが分かる。

一方、日本に目を転じても、シャープやニューハード、そして東京ユニオンなども積極的に活動していた頃なので、さぞかし活況を呈していたのだと思ったが、「いまビッグバンドジャズ界は燃えているか?」という記事があった。



いきなり最初の項のタイトルが「絶望的な状況か」で始まっているので半信半疑で読み返してみると、確かにジャズフェスティバル参加の機会は減り、仕事自体も減っているという状況のようであった。
とはいうものの4大ビッグバンドはまだレギュラーで活動していたので今よりは良かったとは思う。アルバムでも意欲的な作品もリリースされていた。ちょうど、この記事が載っている9月号のディスクレビューに、ジャープスアンドフラッツの新作が紹介されていた。
それがこのアルバム、エルビンジョーンズとの共演アルバムだ、久々に聴き直してみた。

ビッグバンドとエルビンのドラムいうとどうもしっくりこない。昔のジャズミュージシャンは若い頃ほとんど皆がビッグバンドを経験してきたが、このエルビンジョーンズに限っていえばビッグバンドでの演奏は聴いた事も無ければ記憶に無い。エルビンのドラミングは今の時代のコンテンポラリーなオーケストラならまだしも、シャープとは果たしてどんな演奏であったか改めて興味が湧くが、この両者の仲人を務めたのがアレンジを担当したフランクフォスターだ。

シャープはこの頃、オリバーネルソンなどアメリカのアレンジャーへ作編曲を依頼する事も多く、このフォスターにそれまでもアレンジを頼んだことはあった。そのフォスターがエルビンジョーンズのグループで来日するのに合わせて、アレンジを頼むだけでなくフォスターの演奏に加えエルビンジョーンズとの共演も一緒に企画された。

フォスター自身のビッグバンドThe Loud Minorityのアルバムも前の年の1977年に制作された。さらに遡れば1975年のサドメルのメンバーとして来日した時に、同じタイトルのGiant Stepsというリーダーアルバムが作られた。このアルバムのメンバーは全員サドメルのメンバーなので、サドメルのフランクフォスター作品集といってもいいアルバムだが、契約の関係でフランクフォスターのオーケストラとなっている。
いずれにしても、この頃はフランクフォスターにとって、ビッグバンドの企画は皆日本のレコード会社が実現してくれた良き時代であった。

さてこのアルバムだが、エルビンをゲストに招いているので、フォスターのアレンジもその点を考慮している。全部で10曲が用意され、このアルバムに収められたのは4曲(ということは他に6曲あるのは陽の目を見たのか?)。どの曲にもエルビンのソロが登場する。バディーリッチやルイベルソンのようないわゆるビッグバンドのドラムのショーケースのようなソロではなく、あくまでも曲の流れの中での自然なソロだ。

A面の2曲はフォスターのオリジナル。1曲目はモーダルな3拍子。2曲目は8ビートのジャズロックだがいずれもエルビンのドラミングに掛かると普通のビッグバンドの切れ味とは違ったリズム感だ。このエルビンのドラミングに合わせるために、レコーディングではオーケストラの面々は仕切り板をとりエルビンを囲んで生音を聴きながら演奏したそうだ。

B面のジャイアントステップスと質問は、以前のアルバム「ジャイアントステップス」でも演奏していた曲。アレンジは同じでも前作のドラムはメルルイス、エルビンのトラムとはスタイルが違う。サドメルとシャープでもバンドカラーが違うので、演奏自体も違って聞こえる。これがジャズの楽しい所だ。
質問はアレンジも多少変えてソロも長めに、今回がエルビンに合わせたバージョン2といった感じだ。

ビッグバンド界は絶望的と記事で語られていたが、こんな面白い企画のアルバムが誕生したのだから今の時代と比較すれば遥かに恵まれていると言わざるを得ない。

1. Shinone                Frank Foster 8:25
2. Someone’s Rocking          Frank Foster 11:54
3. Giant Steps              John Coltrane 7:26
4. Shi-Tsu-Mon              Frank Foster 12:30

Elvin Jones (ds)
Frank Foster (ts,arr)
原 信夫 (ts)

前川 元 (as)
鈴木 和雄 (as)
唐木 洋介 (ts)
森川 信幸 (bs)
森川 周三 (tp)
佐波 博 (tp)
岡野 等 (tp)
羽毛 知也 (tp)
西山 健治 (tb)
佐藤 俊治 (tb)
花坂 義孝 (tb)
及川 芳雄 (btb)
蒲池 猛 (p)
小林 順一 (b)
川上 和彦 (g)
中村 俊幸 (ds)

Produced by Kohji Saitoh
Engineer : Kazuo Nagao
Recorded at King Record #1 Studio, Tokyo April 19, 1978

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