A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

リーダーアルバムとなると得意のハイノートだけでなく、仲間と共に全知全能を注いで・・・・・

2015-09-03 | MY FAVORITE ALBUM
Play Well With Others / Wayne Bergeron

西海岸を代表するビッグバンドであるゴードングッドウィンのBig Band、リーダーのグッドウィンだけでなく、各セクションにも一流のスタジオミュージシャンが集まっているオールスターバンドだ。

サックスセクションの要がサルロザーノとすれば、トランペットセクションの柱はリードを務めるウェインバージェロンであろう。メイナードファーガソンに憧れ、実際にファーガソンに認められ一緒にファーガソンのバンドでも活動した。
その後はスタジオワークが中心だが、それ故演奏スタイルはオールマイティーだ。ロスを活動の拠点にしているのでジャズだけでなく色々な歌手やミュージシャンのバックを務め、映画音楽やテレビでも彼のトランペットは色々な所で聴くことができる。大学でも教鞭をとり、彼の名を冠したモデルのトランペットもあるという実力者だ。

そのようなバージェロンがリーダーアルバムを作るとなると、やはりコンボの演奏よりビッグバンドが相応しい。自らがレギュラーバンドを持っている訳ではないので、レコーディングのための特別編成とはなるのだが・・・。
彼のプレーの素晴らしさをアルバム単位で表現するには、得意なハイノートだけでは物足りない。色々な曲、そして色々なアレンジ、それを彼と一緒にプレーするミュージシャンも必要となる。色々な側面からバージェロンの演奏を聴く事で、彼の良さが分かるということだ。

クインシージョンズなどのような大御所ともなると、ミュージシャンやスタッフを存分に使ったアルバム作りというのは珍しくない。当然、かけたコストに見合うセールスも見込める。
しかし、バージェロンのような実力はあっても、直接セールスに繋がるようなアルバムでない場合は、普通はレコーディングにそうそう人・もの・金を掛けられるものではない。
しかし、このアルバムは贅沢にもこれらの要件をすべて満たしたものになった。いつものプレー仲間の協力も多くあったのだろう。

レコーディングに馳せ参じたミュージシャンは30人以上、アレンジャーは7人、各曲にバージェロン以外のソリストも配している。単にバージェロンのソロをフィーチャーしただけのアルバムではない。バージェロンのソロもアップテンポ有、フリューゲルホーンでのバラードプレーなどバラエティーの富んでいる。ソロだけでなくセクションに加わって、いつものようにリードプレーヤーとしての存在をアピールしている曲もある。

一曲目、スタートのファンファーレとも思えるバージェロンのハイノートでラテンタッチの曲で始まる。そして、本人にとって何よりも嬉しかったのは、師とも崇めるメイナードファーガソンが駆けつけてくれて、一緒にプレーをしていることだろう。一緒に演奏する曲は、曲名もそのままにMaynard & Waynardとつけられた。作編曲したのはいつもの演奏仲間であるゴードングッドウィン。ファーガソンは翌年には亡くなるので、ラストレコーディングかもしれない。

この曲に限らず、いつものプレー仲間に囲まれたバージェロンの演奏は悪いはずがない。いや、バージェロンだけでなくソロで登場するプレーヤーも素晴らしいし、アンサンブルも流石ウェストコーストのオールスタービッグバンドの出来となっている。小難しいことは抜きにして、カラッとしたサウンドで小気味よくスイングする西海岸のビッグバンドは健在だ。

アルバムタイトル通りの、”Play Well With Others”。これがビッグバンドの醍醐味だろう。こんなビッグバンドサウンドは自分の好みだ。



1. Endless Torture (Tortura Sin Fin)           Wally Minko 8:15
2. Maynard & Waynard               Gordon Goodwin 7:03
3. Scheherazade              Nikolai Rimsky-Korsakov 4:55
4. You Go to My Head         J. Fred Coots / Haven Gillespie 6:36
5. Georgia            Hoagy Carmichael / Stuart Gorrell 5:46
6. Samba Brassiliero                Geoff Stradling 4:57
7. High Clouds and a Good Chance of Wayne       Tom Kubis 6:00
8. Requiems                     Joey Sellers 6:19
9. You Hid What in the Sousaphone?           Bill Liston 6:19
10. The Hipster                    Dan Higgins 7:05

Personnel:
Wayne Bergeron: trumpet, flugelhorn, leader
Gary Grant, Larry Hall,Larry Lunetta,Maynard Ferguson, Warren Luening, Dan Fornero, Deb Wagner, Rick Baptist, Dennis Farias (tp)
Greg Huckins (as,bs), Sal Lozano, Dan Higgins (as, fl, piccolo, cl, bcl)
Brandon Fields, Pete Christlieb, (ts) Bill Liston (ts, fl, cl)
Rusty Higgins (ts, fl, cl), Bob Sheppard (ts, fl, cl)
John Mitchell (bs), Joel Peskin (bs, bcl)
Andy Martin, Charlie Loper, Bruce Otto, Alex Iles, Steve Holtman, Charlie Morillas (tb)
Craig Gosnell, Bill Reichenbach (btb, tuba)
Mike Lang, Christian Jacob (p)
Wally Minko (p,Fender Rhodes)
Dustin Higgins (g)
Neil Stubenhaus, Chuck Berghofer, Trey Henry, Kevin Axt, Ken Wild (b)
Vinny Colaiuta, Ray Brinke (ds)
Michito Sanchez (per)

Arranged by
 Gordon Goodwin #2
 Dan Higgins #10
 Bill Liston #5,6,9
 Wally Minko #1
 Joey Sellers #8
 Geoff Stradring #3
 Tom Kubis #4,7

Produced by Gary Grant
Recording Engineer : Dan Blessinger
Recorded at Martinsound Studio, Alhambra, California and Others

Plays Wells With Others
Wayne Bergeron
Concord Records

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