Live In The Bubble / Gordon Goodwin Big Phat Band
いきなり、お題とは関係ない話題となるが・・・
先日、お茶の時間に打ち合わせのために知人とファミリーレストランに入った。コーヒーでもと思ったが、メニューの「クリームあんみつ」が目に入った。ビジュアル効果だ。
甘党だし、小腹がすいていたのでこれを注文したら、店員が注文を取る時に「美味しく作らせていただきます」と一言があった。所詮、ファミレスのメニューなので、袋から出して盛り付けるだけだとは思うが、その時その気持ちがだ大切だと思った・・・。
しばらく前に食品の産地偽装が話題になったと思ったら、最近は異物混入話が続いている。マクドナルドはトラブル連続なので、業績に与えている影響が一層大きいと聞く。これはもはや業態の構造的な問題だろう。食の安全問題以前に、「美味しい物」を提供していこうという姿勢を感じないし、こちらも美味しい物を食べたいと思って、マクドナルドに行くことは決してない。そのような業態なのだ。
と思ったら、先日はさらにひどい出来事がニュースになっていた。豚カツの恵方巻(美味しそうだとは思わないが)で、カツを揚げないで衣付の生のカツを巻いたものを販売したとか。
その原因が揚げたカツと揚げていないカツを間違えたというので唖然とした。揚げたカツの冷凍物が使われるとは知らなかったが、これを作った調理人とは冷凍のカツを解凍して巻くだけ。揚げたものと生の違いが分からなかったとは、果たして何を作っていたのか分かっていたのか疑問だ。いや、調理人以前に単なる作業者だったのだろう。
このような問題が起こる事業者は、作る方も売る方も果たして食べる物を提供しているという自覚があるのか疑問に思う。冷凍のカツを解凍して提供しているようでは、美味しい物を作っているという感覚など持てるはずがない。それを売っていたのも有名デパートということは、もはや美味しい物は目の前での手作り料理以外食べられない時代になっているということだろう。
昔は、食べ物の異物混入といってもせいぜい髪の毛が入っている程度が普通であった。最近ニュースになるような異物は、そもそも昔は食べ物を作る場には存在しなかった。それに、料理人であれ、配膳をする者であれ、お客様に食べて頂く場においては、提供する前に食べ物に不都合が無いか目を光らせていれば自然に気が付くはずだ。料理人は見た目だけでなく、味付け一つとっても間違いがないか常に細心の注意を払っていたものだ。
どこも慌てて管理体制を強化するというが、何もチェック体制を強化しなくでも、携わる人が皆食べる物を扱っていると自覚し、「美味しく作らせてもらいます」という気持ちがあれば異物混入など無くなるように思うのだが・・・。
「美味しく作らせていただきます」の一言が、マニュアル至上主義からの言葉ではなく、日本特有の思いやり&気配り精神が一人一人に戻り、細かい役割分担を決める事から共同作業の大事さを思い出すことに繋がることを願うばかりだ。
日々同じような生活を繰り返していると、良い事でも悪い事でもそれが当たり前になってしまい、問題意識が慣れの中に埋没してしまいがちだ。誰もがたまには日々のルーティンの棚卸が必要だと思う。
さて、本題。つい先日今年度のグラミー賞が発表された。
自分はジャズ部門しか興味が無いが、一番興味があるビッグバンド(ラージジャズアンサンブル)部門では、今年は自分が好きな、ゴードングッドウィン、ヴァンガードジャズオーケストラ、そしてハミルトン&クレイトンオーケストラの3つのバンドが揃ってノミネートされていた。どれが選ばれてもいいかなと思っていたが、結果はこのゴードングッドウィンのアルバムが選ばれた。
昨年出たばかりのアルバムで、昨年は2度も来日してこのアルバムの曲も演奏していたのでまだ記憶も新鮮だが、ライナーノーツを見ながら改めて聴き直してみた。
ライナーノーツの冒頭にグッドウィンのコメントが語られている。本来はこのように演奏者自身のアルバムに対する想いが真っ先にあっても良いと思うのだが、演奏者のコメントが載っているライナーノーツというのはあるようであまりない。
まずは、タイトルのLife in The Bubbleの意味が語られている。
自分の生活の周りは、誰でも自分自身の小さな泡で囲まれているようにみえる。そして自分の好みに合う物だけを選ぶようになってしまう。そして、それは限界というより思った以上に巨大な壁になると。
そこで、グッドウィンは今回その壁を押しのけてチャレンジしたという。プレーヤーとしてよりも作編曲家として、バンド全体のサウンドを第一に考えるグッドウィンにとって大きなチャレンジだったと思う。グッドウィンサウンドというのは良くも悪くも特徴があり、これを超えるサウンドづくりというのは大きなチャレンジだ。
結果はというと、いつも以上に一曲毎に特徴づけをしているように思う。内容は、実は新しい世界(サウンド)にチャレンジしたものもあれば、オーソドックスなビッグバンドサウンドに回帰した部分もある。いつものサウンドが少ないと思うファンも多いかもしれない。
1曲目のタイトル曲は、まさに泡が沸き立つ雰囲気がある。グッドウィン自身今までとは全く違う音作りをしたという。シャッフルリズムにのったギターをフィーチャーした曲も黒っぽくでいい。バージェロンのピッコロ尾トランペットはクラシックのような曲想から始まる。マリサンエルのバラードも妙にオーソドックスだ。パーカッションと主役にしたラテン調の曲もある。そして、、7曲目のDoes This Chart Make Me Look Phat? はグッドウィンのバンドには珍しいベイシーサウンドある。自身で語っているようにそれもサミーニスティコのアレンジをかなり意識している。曲のネーミングにも気に入っているようだ。
こちらは、その曲のライブ録音。
グリーンドルフィンストリートでは、同じ曲のオスカーピータソンのプレーをカバーし、グッドウィン自らピータソンライクのピアノを弾くとともにオーケストラのコラボを図るというチャレンジをしている。此の曲は一昨年アレンジ部門でグラミー賞をとっている曲だ。
そして、メンバーの起用方法も。ソロだけでなくアンサンブルでもよく考慮されている。トランペットセクションの重鎮、ウェインバージェロンもソロだけでなく、リードトランペットとしてハイノートの使い方などは見事である。
冒頭のコメントの最後に、「この演奏はファンの皆さん無しでは存続しえません。ひとつひとつの泡に一緒に飛び込んでくれた皆さんに感謝します。そして、引き続きのサポートをよろしくお願いします。」と、括っている。
グッドウィンは聴き手を大事にし、ファンと一緒に自分達も育っていくことが大事であることが分かっている。だから決して独りよがりになることなく、いつも楽しい作品を提供し続けられるのだろう。
美味しい物を食べたいと思っている生活者のニーズを忘れてしまった飲食、食品業界とは大違いだ。
今回の作品で、Big Phat Bandは一段と演奏の幅が広がったように感じる。
スタジオワークが長い腕達者が揃ったバンドなので、舵取り次第でどんな荒波でも乗り越えられそうだ。泡程度では何の障害にもならない。
次回のアルバム&ライブが楽しみだ。
1. Life In The Bubble
feat: Brian Scanlon
2. Why We Can't Have Nice Things
feat: Kevin Garren / Andy Martin
3. Synolicks
feat: Andrew Synowiec
4. Years Of Therapy
feat: Wayne Bergeron
5. The Passage
feat: Eric Marienthal
6. Garaje Gato
feat: Bernie Dresel / Gordon Goodwin / Joey De Leon, Jr. / Francisco Torres
7. Does This Chart Make Me Look Phat?
feat: Jeff Driskill / Willie Murillo
8. Get Smart
feat: Eric Marienthal
9. On Green Dolphin Street
feat: Gordon Goodwin / Bob Summers
10. Party Rockers
feat: Judith Hill
Gordon Goodwin's Big Phat Band
Wayne Bergeron (tp)
Dan Fornero (tp)
Willie Murillo (tp)
Dan Savant (tp)
Bob Summers (tp) #9
Francisco Torres (tb)
Craig Gosnell (tb)
Charlie Morillas (tb)
Andy Martin (tb)
Jeff Driskill (ts) #1,2,5,7,8,9
Brian Scanlon (ts,as,cl)
Kevin Garren (ts) #3.4.6 (as) #2
Sal Lozano (as,fl)
Eric Marienthal (as,ss)
Jay Mason (bs,bcl)
Gordon Goodwin (p.ts.arr)
Joey De Leon, Jr. (per,vol)
Rick Shaw (b,eb)
Andrew Synowiec (g)
Bernie Dresel (ds)
Judith Hill (vol) #10
Executive Producer ; John Burk
Produced by Gregg Field
Co-Producer : Gordon Goodwin & Dan Savant
Recorded by Tommy Vicari at Bill Schnee Studios, North Hollywood,CA,
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いきなり、お題とは関係ない話題となるが・・・
先日、お茶の時間に打ち合わせのために知人とファミリーレストランに入った。コーヒーでもと思ったが、メニューの「クリームあんみつ」が目に入った。ビジュアル効果だ。
甘党だし、小腹がすいていたのでこれを注文したら、店員が注文を取る時に「美味しく作らせていただきます」と一言があった。所詮、ファミレスのメニューなので、袋から出して盛り付けるだけだとは思うが、その時その気持ちがだ大切だと思った・・・。
しばらく前に食品の産地偽装が話題になったと思ったら、最近は異物混入話が続いている。マクドナルドはトラブル連続なので、業績に与えている影響が一層大きいと聞く。これはもはや業態の構造的な問題だろう。食の安全問題以前に、「美味しい物」を提供していこうという姿勢を感じないし、こちらも美味しい物を食べたいと思って、マクドナルドに行くことは決してない。そのような業態なのだ。
と思ったら、先日はさらにひどい出来事がニュースになっていた。豚カツの恵方巻(美味しそうだとは思わないが)で、カツを揚げないで衣付の生のカツを巻いたものを販売したとか。
その原因が揚げたカツと揚げていないカツを間違えたというので唖然とした。揚げたカツの冷凍物が使われるとは知らなかったが、これを作った調理人とは冷凍のカツを解凍して巻くだけ。揚げたものと生の違いが分からなかったとは、果たして何を作っていたのか分かっていたのか疑問だ。いや、調理人以前に単なる作業者だったのだろう。
このような問題が起こる事業者は、作る方も売る方も果たして食べる物を提供しているという自覚があるのか疑問に思う。冷凍のカツを解凍して提供しているようでは、美味しい物を作っているという感覚など持てるはずがない。それを売っていたのも有名デパートということは、もはや美味しい物は目の前での手作り料理以外食べられない時代になっているということだろう。
昔は、食べ物の異物混入といってもせいぜい髪の毛が入っている程度が普通であった。最近ニュースになるような異物は、そもそも昔は食べ物を作る場には存在しなかった。それに、料理人であれ、配膳をする者であれ、お客様に食べて頂く場においては、提供する前に食べ物に不都合が無いか目を光らせていれば自然に気が付くはずだ。料理人は見た目だけでなく、味付け一つとっても間違いがないか常に細心の注意を払っていたものだ。
どこも慌てて管理体制を強化するというが、何もチェック体制を強化しなくでも、携わる人が皆食べる物を扱っていると自覚し、「美味しく作らせてもらいます」という気持ちがあれば異物混入など無くなるように思うのだが・・・。
「美味しく作らせていただきます」の一言が、マニュアル至上主義からの言葉ではなく、日本特有の思いやり&気配り精神が一人一人に戻り、細かい役割分担を決める事から共同作業の大事さを思い出すことに繋がることを願うばかりだ。
日々同じような生活を繰り返していると、良い事でも悪い事でもそれが当たり前になってしまい、問題意識が慣れの中に埋没してしまいがちだ。誰もがたまには日々のルーティンの棚卸が必要だと思う。
さて、本題。つい先日今年度のグラミー賞が発表された。
自分はジャズ部門しか興味が無いが、一番興味があるビッグバンド(ラージジャズアンサンブル)部門では、今年は自分が好きな、ゴードングッドウィン、ヴァンガードジャズオーケストラ、そしてハミルトン&クレイトンオーケストラの3つのバンドが揃ってノミネートされていた。どれが選ばれてもいいかなと思っていたが、結果はこのゴードングッドウィンのアルバムが選ばれた。
昨年出たばかりのアルバムで、昨年は2度も来日してこのアルバムの曲も演奏していたのでまだ記憶も新鮮だが、ライナーノーツを見ながら改めて聴き直してみた。
ライナーノーツの冒頭にグッドウィンのコメントが語られている。本来はこのように演奏者自身のアルバムに対する想いが真っ先にあっても良いと思うのだが、演奏者のコメントが載っているライナーノーツというのはあるようであまりない。
まずは、タイトルのLife in The Bubbleの意味が語られている。
自分の生活の周りは、誰でも自分自身の小さな泡で囲まれているようにみえる。そして自分の好みに合う物だけを選ぶようになってしまう。そして、それは限界というより思った以上に巨大な壁になると。
そこで、グッドウィンは今回その壁を押しのけてチャレンジしたという。プレーヤーとしてよりも作編曲家として、バンド全体のサウンドを第一に考えるグッドウィンにとって大きなチャレンジだったと思う。グッドウィンサウンドというのは良くも悪くも特徴があり、これを超えるサウンドづくりというのは大きなチャレンジだ。
結果はというと、いつも以上に一曲毎に特徴づけをしているように思う。内容は、実は新しい世界(サウンド)にチャレンジしたものもあれば、オーソドックスなビッグバンドサウンドに回帰した部分もある。いつものサウンドが少ないと思うファンも多いかもしれない。
1曲目のタイトル曲は、まさに泡が沸き立つ雰囲気がある。グッドウィン自身今までとは全く違う音作りをしたという。シャッフルリズムにのったギターをフィーチャーした曲も黒っぽくでいい。バージェロンのピッコロ尾トランペットはクラシックのような曲想から始まる。マリサンエルのバラードも妙にオーソドックスだ。パーカッションと主役にしたラテン調の曲もある。そして、、7曲目のDoes This Chart Make Me Look Phat? はグッドウィンのバンドには珍しいベイシーサウンドある。自身で語っているようにそれもサミーニスティコのアレンジをかなり意識している。曲のネーミングにも気に入っているようだ。
こちらは、その曲のライブ録音。
グリーンドルフィンストリートでは、同じ曲のオスカーピータソンのプレーをカバーし、グッドウィン自らピータソンライクのピアノを弾くとともにオーケストラのコラボを図るというチャレンジをしている。此の曲は一昨年アレンジ部門でグラミー賞をとっている曲だ。
そして、メンバーの起用方法も。ソロだけでなくアンサンブルでもよく考慮されている。トランペットセクションの重鎮、ウェインバージェロンもソロだけでなく、リードトランペットとしてハイノートの使い方などは見事である。
冒頭のコメントの最後に、「この演奏はファンの皆さん無しでは存続しえません。ひとつひとつの泡に一緒に飛び込んでくれた皆さんに感謝します。そして、引き続きのサポートをよろしくお願いします。」と、括っている。
グッドウィンは聴き手を大事にし、ファンと一緒に自分達も育っていくことが大事であることが分かっている。だから決して独りよがりになることなく、いつも楽しい作品を提供し続けられるのだろう。
美味しい物を食べたいと思っている生活者のニーズを忘れてしまった飲食、食品業界とは大違いだ。
今回の作品で、Big Phat Bandは一段と演奏の幅が広がったように感じる。
スタジオワークが長い腕達者が揃ったバンドなので、舵取り次第でどんな荒波でも乗り越えられそうだ。泡程度では何の障害にもならない。
次回のアルバム&ライブが楽しみだ。
1. Life In The Bubble
feat: Brian Scanlon
2. Why We Can't Have Nice Things
feat: Kevin Garren / Andy Martin
3. Synolicks
feat: Andrew Synowiec
4. Years Of Therapy
feat: Wayne Bergeron
5. The Passage
feat: Eric Marienthal
6. Garaje Gato
feat: Bernie Dresel / Gordon Goodwin / Joey De Leon, Jr. / Francisco Torres
7. Does This Chart Make Me Look Phat?
feat: Jeff Driskill / Willie Murillo
8. Get Smart
feat: Eric Marienthal
9. On Green Dolphin Street
feat: Gordon Goodwin / Bob Summers
10. Party Rockers
feat: Judith Hill
Gordon Goodwin's Big Phat Band
Wayne Bergeron (tp)
Dan Fornero (tp)
Willie Murillo (tp)
Dan Savant (tp)
Bob Summers (tp) #9
Francisco Torres (tb)
Craig Gosnell (tb)
Charlie Morillas (tb)
Andy Martin (tb)
Jeff Driskill (ts) #1,2,5,7,8,9
Brian Scanlon (ts,as,cl)
Kevin Garren (ts) #3.4.6 (as) #2
Sal Lozano (as,fl)
Eric Marienthal (as,ss)
Jay Mason (bs,bcl)
Gordon Goodwin (p.ts.arr)
Joey De Leon, Jr. (per,vol)
Rick Shaw (b,eb)
Andrew Synowiec (g)
Bernie Dresel (ds)
Judith Hill (vol) #10
Executive Producer ; John Burk
Produced by Gregg Field
Co-Producer : Gordon Goodwin & Dan Savant
Recorded by Tommy Vicari at Bill Schnee Studios, North Hollywood,CA,
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