A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

今年のグラミー賞が発表されたが、ビッグバンド部門はゴードングッドウィンが・・・

2015-02-12 | MY FAVORITE ALBUM
Live In The Bubble / Gordon Goodwin Big Phat Band

いきなり、お題とは関係ない話題となるが・・・

先日、お茶の時間に打ち合わせのために知人とファミリーレストランに入った。コーヒーでもと思ったが、メニューの「クリームあんみつ」が目に入った。ビジュアル効果だ。
甘党だし、小腹がすいていたのでこれを注文したら、店員が注文を取る時に「美味しく作らせていただきます」と一言があった。所詮、ファミレスのメニューなので、袋から出して盛り付けるだけだとは思うが、その時その気持ちがだ大切だと思った・・・。

しばらく前に食品の産地偽装が話題になったと思ったら、最近は異物混入話が続いている。マクドナルドはトラブル連続なので、業績に与えている影響が一層大きいと聞く。これはもはや業態の構造的な問題だろう。食の安全問題以前に、「美味しい物」を提供していこうという姿勢を感じないし、こちらも美味しい物を食べたいと思って、マクドナルドに行くことは決してない。そのような業態なのだ。

と思ったら、先日はさらにひどい出来事がニュースになっていた。豚カツの恵方巻(美味しそうだとは思わないが)で、カツを揚げないで衣付の生のカツを巻いたものを販売したとか。
その原因が揚げたカツと揚げていないカツを間違えたというので唖然とした。揚げたカツの冷凍物が使われるとは知らなかったが、これを作った調理人とは冷凍のカツを解凍して巻くだけ。揚げたものと生の違いが分からなかったとは、果たして何を作っていたのか分かっていたのか疑問だ。いや、調理人以前に単なる作業者だったのだろう。

このような問題が起こる事業者は、作る方も売る方も果たして食べる物を提供しているという自覚があるのか疑問に思う。冷凍のカツを解凍して提供しているようでは、美味しい物を作っているという感覚など持てるはずがない。それを売っていたのも有名デパートということは、もはや美味しい物は目の前での手作り料理以外食べられない時代になっているということだろう。

昔は、食べ物の異物混入といってもせいぜい髪の毛が入っている程度が普通であった。最近ニュースになるような異物は、そもそも昔は食べ物を作る場には存在しなかった。それに、料理人であれ、配膳をする者であれ、お客様に食べて頂く場においては、提供する前に食べ物に不都合が無いか目を光らせていれば自然に気が付くはずだ。料理人は見た目だけでなく、味付け一つとっても間違いがないか常に細心の注意を払っていたものだ。

どこも慌てて管理体制を強化するというが、何もチェック体制を強化しなくでも、携わる人が皆食べる物を扱っていると自覚し、「美味しく作らせてもらいます」という気持ちがあれば異物混入など無くなるように思うのだが・・・。

「美味しく作らせていただきます」の一言が、マニュアル至上主義からの言葉ではなく、日本特有の思いやり&気配り精神が一人一人に戻り、細かい役割分担を決める事から共同作業の大事さを思い出すことに繋がることを願うばかりだ。

日々同じような生活を繰り返していると、良い事でも悪い事でもそれが当たり前になってしまい、問題意識が慣れの中に埋没してしまいがちだ。誰もがたまには日々のルーティンの棚卸が必要だと思う。

さて、本題。つい先日今年度のグラミー賞が発表された。
自分はジャズ部門しか興味が無いが、一番興味があるビッグバンド(ラージジャズアンサンブル)部門では、今年は自分が好きな、ゴードングッドウィン、ヴァンガードジャズオーケストラ、そしてハミルトン&クレイトンオーケストラの3つのバンドが揃ってノミネートされていた。どれが選ばれてもいいかなと思っていたが、結果はこのゴードングッドウィンのアルバムが選ばれた。

昨年出たばかりのアルバムで、昨年は2度も来日してこのアルバムの曲も演奏していたのでまだ記憶も新鮮だが、ライナーノーツを見ながら改めて聴き直してみた。

ライナーノーツの冒頭にグッドウィンのコメントが語られている。本来はこのように演奏者自身のアルバムに対する想いが真っ先にあっても良いと思うのだが、演奏者のコメントが載っているライナーノーツというのはあるようであまりない。

まずは、タイトルのLife in The Bubbleの意味が語られている。
自分の生活の周りは、誰でも自分自身の小さな泡で囲まれているようにみえる。そして自分の好みに合う物だけを選ぶようになってしまう。そして、それは限界というより思った以上に巨大な壁になると。

そこで、グッドウィンは今回その壁を押しのけてチャレンジしたという。プレーヤーとしてよりも作編曲家として、バンド全体のサウンドを第一に考えるグッドウィンにとって大きなチャレンジだったと思う。グッドウィンサウンドというのは良くも悪くも特徴があり、これを超えるサウンドづくりというのは大きなチャレンジだ。

結果はというと、いつも以上に一曲毎に特徴づけをしているように思う。内容は、実は新しい世界(サウンド)にチャレンジしたものもあれば、オーソドックスなビッグバンドサウンドに回帰した部分もある。いつものサウンドが少ないと思うファンも多いかもしれない。

1曲目のタイトル曲は、まさに泡が沸き立つ雰囲気がある。グッドウィン自身今までとは全く違う音作りをしたという。シャッフルリズムにのったギターをフィーチャーした曲も黒っぽくでいい。バージェロンのピッコロ尾トランペットはクラシックのような曲想から始まる。マリサンエルのバラードも妙にオーソドックスだ。パーカッションと主役にしたラテン調の曲もある。そして、、7曲目のDoes This Chart Make Me Look Phat? はグッドウィンのバンドには珍しいベイシーサウンドある。自身で語っているようにそれもサミーニスティコのアレンジをかなり意識している。曲のネーミングにも気に入っているようだ。

こちらは、その曲のライブ録音。




グリーンドルフィンストリートでは、同じ曲のオスカーピータソンのプレーをカバーし、グッドウィン自らピータソンライクのピアノを弾くとともにオーケストラのコラボを図るというチャレンジをしている。此の曲は一昨年アレンジ部門でグラミー賞をとっている曲だ。

そして、メンバーの起用方法も。ソロだけでなくアンサンブルでもよく考慮されている。トランペットセクションの重鎮、ウェインバージェロンもソロだけでなく、リードトランペットとしてハイノートの使い方などは見事である。

冒頭のコメントの最後に、「この演奏はファンの皆さん無しでは存続しえません。ひとつひとつの泡に一緒に飛び込んでくれた皆さんに感謝します。そして、引き続きのサポートをよろしくお願いします。」と、括っている。

グッドウィンは聴き手を大事にし、ファンと一緒に自分達も育っていくことが大事であることが分かっている。だから決して独りよがりになることなく、いつも楽しい作品を提供し続けられるのだろう。
美味しい物を食べたいと思っている生活者のニーズを忘れてしまった飲食、食品業界とは大違いだ。

今回の作品で、Big Phat Bandは一段と演奏の幅が広がったように感じる。
スタジオワークが長い腕達者が揃ったバンドなので、舵取り次第でどんな荒波でも乗り越えられそうだ。泡程度では何の障害にもならない。
次回のアルバム&ライブが楽しみだ。


1. Life In The Bubble
 feat: Brian Scanlon
2. Why We Can't Have Nice Things
 feat: Kevin Garren / Andy Martin
3. Synolicks
 feat: Andrew Synowiec
4. Years Of Therapy
 feat: Wayne Bergeron
5. The Passage
 feat: Eric Marienthal
6. Garaje Gato
 feat: Bernie Dresel / Gordon Goodwin / Joey De Leon, Jr. / Francisco Torres
7. Does This Chart Make Me Look Phat?
 feat: Jeff Driskill / Willie Murillo
8. Get Smart
 feat: Eric Marienthal
9. On Green Dolphin Street
 feat: Gordon Goodwin / Bob Summers
10. Party Rockers
 feat: Judith Hill

Gordon Goodwin's Big Phat Band

Wayne Bergeron (tp)
Dan Fornero (tp)
Willie Murillo (tp)
Dan Savant (tp)
Bob Summers (tp) #9

Francisco Torres (tb)
Craig Gosnell (tb)
Charlie Morillas (tb)
Andy Martin (tb)

Jeff Driskill (ts) #1,2,5,7,8,9
Brian Scanlon (ts,as,cl)
Kevin Garren (ts) #3.4.6 (as) #2
Sal Lozano (as,fl)
Eric Marienthal (as,ss)
Jay Mason (bs,bcl)
Gordon Goodwin (p.ts.arr)
Joey De Leon, Jr. (per,vol)
Rick Shaw (b,eb)
Andrew Synowiec (g)
Bernie Dresel (ds)
Judith Hill (vol) #10

Executive Producer ; John Burk

Produced by Gregg Field
Co-Producer : Gordon Goodwin & Dan Savant
Recorded by Tommy Vicari at Bill Schnee Studios, North Hollywood,CA,




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Life in the Bubble
クリエーター情報なし
Telarc
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ビッグバンドの良し悪しはやはりアレンジに因るところが大きい・・・・

2014-02-23 | MY FAVORITE ALBUM
Dave Siebels and Gordon Goodwin ‘s Big Phat Band


昨日は、三宅裕司率いるビッグバンドLight Joke Jazz Orchestraのライブに出かけてみた。前から一度聴いてみたかったがなかなか機会がなく、これまでは映像で見ただけであった。
リーダー自身がテレビではお馴染みの人でありもあり、映像を通じてみると彼自身がドラムを叩くので余計にドラムが気になってしまい、どうしてもオーケストラが主役になりにくい。ライブでは、オーケストラの本当のパフォーマンスを聴けるのではないかという期待が半分あった。

今回は、「GSでSWING」とタイトルされたライブ。ジャズをもっと身近なものにしたいという三宅さんのコンセプトにはうってつけのテーマだ。特に我々世代にとっては、グループサウンズは誰にとっても青春の思い出でもあるし。



初のライブであったが、三宅さんのMCとバンドの演奏が上手く演出されていて、普通のライブというよりは、ステージショーといってもいいかもしれない。GSサウンドがテーマという事で、軽いノリのビッグバンドをイメージしたが、一曲一曲色々考えられた凝ったアレンジであった。

アレンジを担当したのはこのオーケストラの実質的なリーダー羽毛田耕二。というよりはこのバンド自体が羽毛田耕二のビッグバンドと言ってもいいようなものだ。
今回の彼のアレンジの特徴は、GSの曲が持つメロディーに過去のジャズの名演、名アレンジの断片を上手くシンクロさせるというアプローチ。ある時はコルトーンであり、ある時バディーリッチのビッグバンドであり、実によく考えられていた。
ソロも当然そのコンセプトを受け継いでのソロになるので、オリジナルのフレーズを意識したソロとなる。
かと思えば、「亜麻色の髪の乙女」に英語の詩をつけてジャズのスタンダードのような節回しにしてしまうという芸当も。

アンコールも2曲タップリと、1ステージ1時間半を軽く超えるステージは充実して大満足。想像以上に楽しめたライブであった。
ビッグバンドの良さはアレンジの良し悪しで決まると常々思っているが、今回は素材がGSの曲だっただけに余計にそれを実感した。ありきたりのアレンジだったらきっとつまらないステージであったと思う。

アレンジといえば、先日発表されたグラミー賞にもアレンジの部門がある。グラミー賞受賞と言っても、そのカテゴリーは全部で82もあり、実に細々と色々なジャンルにわたって賞が設けられているのでその全貌はまったく分からないが。
ジャズのビッグバンドのアレンジが関係するのは“Best Instrument Arrangement”部門。
今回の受賞は、Gordon GoodwinのOn Green Dolphin Streetであった。

このゴードン・グッドウィンのビッグバンドが今年も来日するようだ。ビッグバンドを身近なものにするという点では、このグッドウィンのバンドも大きな役割を果たしていると思う。西海岸のアレンジャーが率いるバンドの中では、エイトビートも得意として若者にも人気があるバンドだ。とはいうものの、単にブラスロックやファンクオーケストラにならないのがグッドウィンのビッグバンドの良さであろう。グッドウィンのバンドの素晴らしさは、このグッドウィンのアレンジの素晴らしさに因るところが大きいと思う。

此の所、グッドウィン率いるBig Phat Bandは毎年のように来日しているが、それだけ日本でのファンの裾野が広がっているのだろう。その点では、三宅裕司と同様ビッグバンドファンを増やすのには一役買っている。

というわけで、久しぶりにBig Phat Bandだが、このアルバムは少し嗜好が違ってオルガンのデイブ・シーベルをフィーチャーしてバックをBig Phat Bandが務めたアルバム。
オルガンとビッグバンドというのは相性がいいように思う。ジミースミスとサドジョーンズのバンドとの共演アルバムがあるが、あまりジャズのアルバムとしてはこの組み合わせは多くない印象だ。

昨年、辰巳哲也ビッグバンドがオルガンとビッグバンドのアレンジばかりを集めたライブをやったが、オルガン自体を普段あまり聴けないのに加えてビッグバンドをバックにしたオルガンが実に新鮮なライブであった印象が残っている。

このアルバムだが、まずは主役のデイブ・シーベルなるプレーヤーを知らない。オルガンというのは他の楽器と違って個性やタッチの違いが分かりにくい。際立った個性がある訳でもなく、どんな曲でもそつなくプレーできるオールマイティーのプレーヤーに聴こえてしまう。となるとバックのオーケストラのアレンジ次第でどうにでもカラーがでてくるという事になるのだが。

曲は、シーベルスの曲が7曲、後は有名な曲が3曲。特に、ザ・キャットはジミースミスとの対比が演奏もバックのアレンジも気になるところだ。ヘフティーのガールトークとオルガンというのも相性がいい。

グッドウィンのアレンジというのも、映画音楽をやっているせいもあると思うがどんな曲想もいけるし、本来ソリストに合わせたアレンジを得意にしている。自分のバンドである時は、それが際立ってバンドカラーとなって出てくる。いつもはテンポやリズムも自由自在も変化するが、このアルバムではグッドウィン色は出ているものの、いつもの自分のバンドで見せる尖がった部分が少ないような気がする。

同じアレンジャーでもアレンジの違いが出るものだ。



1. The Coupe                  Dave Siebels 5:24
2. Not That There's Anything Wrong with That  Dave Siebels 5:09
3. Da Blues                  Dave Siebels 5:19
4. Girl Talk Neal Hefti             Dave Siebels 5:37
5. I Wish                   Stevie Wonder 6:10
6. The Gospel According to Hammond      Dave Siebels 5:05
7. I Love You Even More Again         Dave Siebels 4:04
8. The Cat                  Lalo Schifrin 3:54
9. Sort of Like a Samba            Dave Siebels 4:41
10. The Eleventh Hour            Dave Siebels 6:18

Dave Siebels (org)
Gordon Goodwin (p,ts.arr)

Wayne Bergeron (tp)
Dan Fornero (tp)
Pete DeSiena (tp)
Roy Wiegand (tp)
Dan Savant (tp)
Charlie Morillas (tb)
Andy Martin (tb)
Alexander Iles (tb)
Craig Ware (btb)

Brian Scanlon (ts)
Sal Lozano (as,fl)
Eric Marienthal (as)
Jeff Driskill (ts)
Ed "Edgardo" Smaert (ts)
Jay Mason (bs)

Grant Geissman (g)
Rick Shaw (b)
Brad Dutz (per)
Dave Spurr (ds)
Bernie Dresel (ds)

Pat Boone Executive Producer
Produced by Dave Siebels & Gordon Goodwin


Dave Siebels With Gordon Goodwin's Big Phat Band
Dave Siebels &Gordon Goddwin
Pat Boone's Gold
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今年の来日ビッグバンドはゴードングッドウィンから・・・・

2013-04-14 | MY FAVORITE ALBUM
Act your Age / Gordon Goodwin’s Big Phat Band

連休中は恒例になったSomedayのビッグバンドシリーズを筆頭にBig bandのライブが目白押しだ。神田には新たな施設のオープンに合わせて、無料のジャズコンサートが開催される。これにも再編された秋吉敏子のオーケストラを始めとしていくつかのBig bandが出演する。その後はバディーリッチのメモリアルBandも来日するようで、今年も来日するビッグバンドは多そうで楽しみだ。



今年の来日ビッグバンドの先頭打者はゴードングッドウィンのBig Phat Band。最初のアルバムが出た頃は一部ファンの知る人ぞ知るオーケストラであったが、ここ数年は毎年来日しているのですっかりお馴染みになった。
以前来日したときも記事にした記憶がある。今回ですでに5回目の来日、グッドウィンもすっかり日本贔屓になったようで、今回も益々パワフルな演奏を聴かせてくれた。

このアルバムは、日本盤も同時に発売されるようになった前々作。このあたりから日本でもすっかり人気バンドになった。このアルバムに納められている”Backrow Politics”も小道具を含めてショーアップされて、今回のステージでもハイライトになっていた。プロミュージシャンとして競争に勝ち残って(特に西海岸で)活躍しているこのバンドのトランペットセクションに捧げた曲だそうだが、ハイノートを含むソロの掛け合いはド迫力であった。誰がNo1というのではなく、トランペットセクション全員がサックスセクションより「勝ち」という落ちがついて。



このアルバム、実は通常のCDのほかにDVDも入っている。5.1chサラウンドでも聴けるし、ライブの映像や、曲やアーティストの紹介、自分でミキシングできるトラックや新人紹介まで入っている内容盛りだくさんのお徳盤。聴くだけでなく、グッドウィンやメンバーの人柄も分かりより身近な存在になる。なかなかCDが売れない時代と言われているが、このような配慮と努力がファンを増やすことになるのだろう。
たまたまこのグッドウィンのライブには、以前は息子を連れて行ったらすっかりジャズファンになったし、今回もジャズの興味に持ち始めた知人を連れて行ったら、お気に入りになった様子。ファンが増えて話相手が増えるのはいいものだ。

グッドウィンのBandの良さは、自身語っているように4ビートから、ファンク、ラテン、そしてクラッシクまで何でもありなのだが、グッドウィンの絶妙なアレンジで、それらが「ごった煮」にならないバンドカラーを持っていることだろう。
グッドウィンは西海岸を拠点として、普段は映画音楽なども多くこなしているようだ。映画音楽というのは、タイトルやシーンに合わせて表情豊かに映像のバックを飾るのが役割。ということは、アレンジにも多彩な技が求められると思う。例えば、メロディーがシンプルであっても、一つの曲がテンポやリズム、あるいは使用する楽器を変化させることで、実に色々な表情を持つようになるように。

このようなアレンジテクニックを、聴かせるためバン“Big Phat Band”のアレンジでも多用するのがグッドウィンの良さだ。ライブのステージでもそれに応えるメンバーの力量もたいしたもので、自在に変化するアレンジでも一糸乱れぬアンサンブルは実に聴いていて気持ちが良い。サウンド的にはある意味マリアシュナイダーとは対極にあるようなビッグバンドだが、スインギー&ファンキーな演奏が好きな好事家にはたまらないだろう。

今回は2ステージ聴いたが、1st Setと2nd Setのマリエンサルの違いに関心、曲想によってがらりと違う雰囲気に改めてメンバー達のプレーの多彩ぶりを実感した。
秋には新しいアルバムも出るようで、今回のステージでも一部披露されていた。アルバムを作る度に、グッドウィンのアレンジは益々難しくなっているそうだが、それをこなすメンバーのプレー振りが楽しみ。
バンドができて歳を重ねると昔の曲を繰り返し演奏することが多くなるものだ。いわゆる懐メロバンドだ。このアルバムのタイトルは、「年相応に振舞え」という意味かもしれないが、どうやらこのバンドは、進化が止まることなくグッドウィンのアレンジとメンバーのホットな戦いがいつまでも続きそうな気がする。彼らを見習って歳をとってもヤンチャに生きたいものだ。

1. Hit the Ground Running   Gordon Goodwin 4:5
2. Watermelon Man      Herbie Hancock 5:28
3. September        Maurice White 4:29
4. Yesterdays        Jerome Kern 3:19
5. Se�or Mouse       Chick Corea 5:00
6. Punta del Soul      Dave Grusin 5:04
7. Act Your Age       Gordon Goodwin 5:47
8. Chance Encounters     Gordon Goodwin 7:35
9. Backrow Politics     Gordon Goodwin 8:05
10. East Coast Envy      Gordon Goodwin 5:13
11. El Macho Muchacho     Gordon Goodwin 6:10
12. Gumbo Street       Gordon Goodwin 6:33
13. Floating Home       Gordon Goodwin 6:22
14. I Wish           Stevie Wonder 6:10

Gordon Goodwin's Big Phat Band

Wayne Bergeron (tp)
Dan Fornero (tp)
Dan Savant (tp)
Bob Summers (tp)
Pete DeSuinna (tp)
Andy Martin (tb)
Alexander Iles (tb)
Francisco Torres (tb)
Charlie Morillas (tb)
Craig Ware (btb)
Jeff Driskill (ts,fl,cl)
Sal Lozano (as,fl,pic)
Eric Marienthal as,ss,fl)
Brian Scanlon (ts,fl,cl)
Jay Mason (bs,bcl)

Gordon Goodwin (p,ts,ss,arr)
Andrew Synowiec (g)
Grant Geissman (g)
Rick Shaw (b)
Bernie Dresel (ds)
Brad Dutz (per,vib)

Nathan East (eb)
Chick Corea (p)
Dave Grusin (p)
Lee Ritenour (g)
Art Tatum (p)
Patti Austin (vol)

David A. Helfant A&R, Executive Producer
John Trickett Executive Producer
Produced by Lee Ritenour with Gordon Goodwin & Dan Savant
Recorded at Capital Studio Hollywood & Schinee Studios Studio City

Act Your Age
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Immergent
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寒い時にはライブでHOTなジャズが一番・・・・

2008-02-01 | MY FAVORITE ALBUM
THE PHAT PACK / GORDON GOODWIN BIG PHAT BAND

寒い日が続いているが久々にホットな夜を過ごすことができた。
場所は、お馴染み青山の”BLUE NOTE”で。今来日中の、Gordon GoodwinのBig phat bandを聴いた。
ビッグバンドファンにはお馴染みだが、一般的なジャズファンの中ではあまり知られていないかもしれない。今、一番の元気のいいビッグバンドだと思う。

40年前に経験したサド・メルオーケストラのピットインでのライブが衝撃的で、自分はそれですっかりビッグバンドファンになってしまったが、やはり、ビッグバンドを体感するのはライブがいい。それも大きなコンサートホールより小さなライブハウスが一番だ。

このゴードングッドウィンのBIGBANDがCDを出し始めたのは17~8年前。
しかし、リーダーのグッドウィンの活動暦はもっと古い。
ビルパーキンスとペッパーアダムスが共演したアルバムにも参加したのは30年前。そして、盟友グラントガイスマンの若い頃のアルバムにも。このガイスマンもこのビッグバンのメンバーだが、残念ながら今回は来日していなかった。
グッドウィンはもともとビッグバンドは好きだったらしく、ルイベルソンのオーケストラにも加わっていたことがある。
その後の活動はもっぱら作編曲家としての活動が中心。映画音楽を中心にスタジオワークが多い。グラミー賞に何度もノミネートされている隠れた名アレンジャーだ。

その彼が、仲間を集めて自分のアレンジで思い切り自分の好きなように演奏をするのが、このBig Phat Band。自ら指揮をし、ピアノを弾き、元々プレーをしていたテーナーも吹く。ちょうどサドジョーンズがアレンジャーとしての頂点を極めたころの状況と同じだ。いい演奏が聴けて当然といえば当然だろう。

ビッグバンドの歴史は、ダンスバンドから、スイングバンド、そしてモダン、ジャズロック、時にクラッシクの要素を取り入れたり・・・・と様々な変遷をたどってきたが、その集大成というべき姿がこのバンドだ。
それをして、常に世の中の先端を引っ張ってきたクインシージョーンズに、「今までのジャズビッグバンドに対する概念がすっかり変わってしまった」と言わしめた。

そして、その夜のライブのもう一人のヒロインはパティーオースチン。
自分にとっては、少し縁遠かったが、最新作のガーシュインソングブックからの彼女の歌は迫力満点。目の前で聴いて改めて彼女の素晴らしさを再認識した。アンコールは、このアルバムにも入っているレディービーグッド。最近「柔な女性ボーカル」が目立つ中でスキャットを交えた本格的なボーカルに感動した。
もちろんバックを努めるグッドウィンのオーケストラの良さもいうまでもないが。

今日は朝から早速このBIG PHAT BANDのCDを聴くことから一日が始まった。
このCDには、このオーケストラのプロファイルが収められているDVDが付いている。ライブを聴いた直後ということもあり、このDVDを見ると普段あまり情報に接することもない彼らがより身近になった。

ブルーノートでの彼らのステージは5日まである。時間がとれればもう是非一度聴きに行ってみようと思っている。ビッグバンドを聴かず嫌いの方に、このCDもライブも是非お勧めしたい。

1. Cut 'n Run                        Goodwin 6:07
2. Too Close for Comfort                Bock, Holofcener, Weiss 3:39
3. Count Bubba's Revenge               Goodwin 6:36
4. Play That Funky Music                Parissi 6:13
5. The Phat Pack                    Goodwin 6:39
6. Hunting Wabbits 2 (A Bad Hare Day)       Goodwin 4:47
7. La Almeja Pequena (The Little Clam)       Goodwin 7:36
8. Get in Line                      Goodwin 6:53
9. Attack of the Killer Tomatoes           DeBello 5:09
10. Under the Wire                  Goodwin 5:30
11. Whodunnit?                    Goodwin 6:28
12. It Was a Very Good Year             Drake 5:20
13. Even Braver, Even Stronger (An American Elegy)  Goodwin 4:08

John Trickett Executive Producer
Gordon Goodwin (Piano, Arranger, ts, Producer)

Bob Summers , Wayne Bergeron , Dan Forero , Dan Savant , Pete Desicnna (tp)
Andy Martin , Alexander Iles , Charlie Morillas , Craig Ware , Craig Gosnell (tb)
Eric Marienthal , Sal Lozano Flute, Piccolo (sa,ss,fl)
Brian Scanlon , Jeff Driskill (ts, cl)
jay Mason (bs.bcl)
Brad Dutz , Luis Conte (per)
Rick Shaw (b)
Grant Geissman , Carl Verheyen(g)
Bernie Dresel , Ray Brinker (ds)

The Phat Pack
Gordon Goodwin's Big Phat Band
Immergent

このcdの詳細を見る


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