A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

クリスマスアルバムはオリジナルアルバムか、オムニバスアルバムか・・・・・?

2013-12-21 | CHRISTMAS
Christmas Songs / Diana Krall


実は、結果が良ければどちらでもよいのだが・・・・。

ジャズアルバムの多くは、アルバムが企画され何回かのセッションに分けて録音が行われるか、さもなければこれまでの既存アルバムから何曲かを集めてベスト物が作られるかのどちらかである。

最近ではCDになったので、LP時代の2枚のアルバムをカップリングした2 in 1や、アルバムに未収録であった曲を追加してオリジナル+α、さらには別テイクを含めたコンプリート物まで多種多様なアルバムが街に溢れている。ユーザーとしては同じ演奏を選ぶにしても目的に合わせて何のアルバムを選ぶかの選択眼が必要になっている。

今後は、メディアが無くなりダウンロード主体になってくると、自分なりに作ったプレイリストが当たり前になり、これまでのアルバムの意味は次第に無くなってくる。
これはメディア全体の大きな変化であるが、編集権が利用者側に移るということは、コンテンツ産業の大きなビジネス価値の変化となり、ビジネスの構造自体も変わりつつある。自分の息子と音楽の聴き方を比較しても、すでに自分の様な旧人種と息子世代の若者達との間では、大きなギャップがあると思う。


アルバムに編集して仕立て上げるにあたって元となる素材がたくさん溢れているからといって、それらをユーザーにいきなり提供しても必ずしも素材の良さを味わう聴き方ができるとは限らない。やはりプロの目で選び、足りないものを補い、意思を持って編集した作品には、一流としての人を説得できる筋書きが見えるものだ。
素材選択の自由度が高まっただけに、提供側のプロのプロデューサーがますます重要ということだろう。ネット社会のメディアの在り方の一つの答えのような気がする。

さて、クリスマスアルバムというと、普通のアルバムよりはオムニバス物が多くなるが、きちんと企画され制作されたアルバムにはかえってプロデューサーの主義主張を感じる。特に、素材としてクリスマスにまつわる曲という共通のお題があるので、色々なクリスマスアルバム間でまさに規定課題のコンペの様相を呈する。それだけにミュージシャンやプロデューサーの個性と能力の訴求力が問われる。
その結果として毎年発売されるアルバムの中から選ばれたアルバムだけがシーズンソングのスタンダードとして生き残っている。

最近のジャズボーカルものとしては、ダイアナクラールの”Christmas Songs“もその中の一枚だ。最近と書いたものの、このアルバムが出たのは2005年。すでに8年が経っているとは月日が経つのは早い。

人気のダイアナクラールのボーカルにクレイトン&ハミルトンオーケストラのスインギーなオーケストラのバックのブレンドが何とも言えない。ローズマリークルーニーのアルバムがストレートな歌に対してストリングス入りのオーケストラを起用してお化粧を完璧に施したのに対して、このアルバムでは通常のフルバンド編成のオーケストラ、曲によってコンボ演奏やソロを微妙に配している。アレンジもクレイトン以外に曲によってクラール自身、そしてマニーアルバムのアレンジを採り入れて全体のジャズアルバムとしての統一感を図る一方で変化を持たせている。クリスマスアルバムとしてシーズンに楽しむ以外でも、普段でもじっくり聴きごたえのあるアルバムになっている。
このアルバムが、色々なチャートでも上位にランクされ名アルバムに名を連ねているのは必然かもしれない。

ところがこのアルバムは、まったく新規に作られたのではなく今回のフルアルバムの企画にあたってすでにミニアルバムで1998年に発売された2曲に、新たに追加で10曲が収録されたものだ。
そういう意味では新規に全体が設計されたというのではなく、小さくスタートした建物に新たに増築して立派なビルになったようなものだ。オリジナルにこだわる方はこれに異を唱える方もいらっしゃるが、最初の良さを生かしながら立派な建物になったのであればこれは第一期工事と第二期を組み合わせた結果で「良し」としてもいいのではないかと思う。
これがよくある増築を繰り返して、迷路のような通路でつながった何の統一感もない建物のようになったのであれば別であるが。普通に聴けば、全体を聴いての統一感に何の違和感もないので。プロデューサーが立派ということだと思う。オムニバスというよりも立派なオリジナルアルバムだ。

あるファンの方が指摘しているように、唯一ケチをつけるとすると、曲のクレジットを正確に記していつの録音かを明記することだろう。同じ歌手が同じ曲を歌っても録音時の違いで内容が大きく変わるのがジャズの特徴。古いジャズファンは結構この辺りの拘りがあるものだ。ワイン好きが同じ銘柄でも何年物がいいというように。




1. Jingle Bells             James Pierpont / Traditional 3:25
2. Let It Snow             Sammy Cahn / Jule Styne 4:01
3. The Christmas Song          Mel Tormé / Robert Wells 4:23
4. Winter Wonderland           Felix Bernard 3:14
5. I'll Be Home for Christmas       Kim Gannon / Walter Kent 3:07
6. Christmas Time Is Here      Vince Guaraldi / Lee Mendelson 3:34
7. Santa Claus Is Coming to Town  J. Fred Coots / Haven Gillespie 2:53
8. Have Yourself a Merry Little Christmas Ralph Blane / Hugh Martin 4:19
9. White Christmas                 Irving Berlin 4:31
10. What Are You Doing New Year's Eve?       Frank Loesser 4:09
11. Sleigh Ride           Leroy Anderson / Mitchell Parish 3:26
12. Count Your Blessings        Instead of Sheep Irving Berlin 3:40

Produced by Tommy LiPuma and Diana Krall
Co-produced by Tommy LiPuma and Johnny Mandel (6.8)
Recorded by Al Schmitt

Arranged and conducted by John Clayton
Except
9. by Diana Krall
3. by Diana Krall & John Clayton
6.8.12. by Johnny Mandel

1.2.4.5.6.7.10.11.
Diana Krall (vol,p) & Clayton/Hamilton Jazz Orchestra
3.
Diana Krall (vol,p), Anthony Wilson (g), John Clayton (b), Jeff Hamilton (ds)
6.8.
Diana Krall (vol,p),Jeff Hamilton (ds), Beb Wolfe (b), Russel Malone (g), Assa Drori (Concert Master),Jules Chaiken (contractor)
9.
Diana Krall (vol,p),Anthony Wilson (g),John Clayton (b), Jeff Hamilton (ds), Stefon Harris (vib)
12.
Diana Krall (vol,p),Alan Broadbent (p), Randy Waldman (key), Anthony Wilson (g), Robert Hurst (b), Jeff Hamilton (ds), Emil Richards (perc), Assa Drori (Concert Master), Jules Chaiken (contractor)



Christmas Songs
Diana Krall
Verve

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