A DAY IN THE LIFE

好きなゴルフと古いLPやCDの棚卸しをしながらのJAZZの話題を中心に。

昔の悪友に合うと、「久しぶりに一緒に遊ばないか?」とよく言うが・・・ 

2016-03-04 | CONCORD
Hanging Out / Joe Newman & Joe Wilder

カウントベイシーオーケストラのトランペットセクションは代々強力メンバーであった。中でも50年代後半の全盛期のアトミックベイシーバンドには、後に自らビッグバンドを編成したサドジョーンズを筆頭に、スヌーキーヤング、ジョーニューマンなどの実力者が並ぶ。

彼らはその後スタジオワークやテレビの仕事が多くなり、参加したアルバムは数多くある。クインシージョーンズを始めとして、ドックセベリンセンなど有名ビッグバンドにもキープレーヤーとして参加しているが、サドジョーンズ以外は自らがリーダーとなってアルバムを作る機会はほとんどなかった。

コンコルドレーベルはそんな彼らにもリーダーアルバムの機会を与えた。
スヌーキーヤングの”Horn of Plenty”は、彼の唯一のリーダーアルバムといってもいい。そして、ジョーニューマンのアルバムがコンコルドで作られたのは、それから5年後の1984年になってからだ。

そのアルバムが企画された時、同じような境遇のもう一人にプレーヤーに声を掛けた。同様にスタジオワークの常連で、ニューマンともよく顔を合わせていたジョーワイルダーだった。ワイルダーも若い頃のアルバムがSavoyにはあったが、その後はスタジオワークが中心でそのソロプレーがファンの耳に届くことは少なかった。

ビッグバンドではリードセクションのメンバーは色々な楽器を持ち替える。それゆえビッグバンドで活躍するミュージシャンはマルチリードプレーヤーが多い。一方のホーンセクションはというと、トランペットセクションはフリューゲルホーンには良く持ち替えるが、基本的に持ち替えはない。

ではホーンセクションにとって彩を加える技となるとミュートプレーになる。ミュートと言っても色々な種類があって、アレンジャーは曲によって使い分けている。昨日は久々に、ニューハードのライブを聴きに行ったが、エリントンの名曲ムーチでは、アレンジもソロもミュートプレーの品評会のようであった。ビッグバンドならではの遊び心もある演奏だった。
しかし、そのミュートプレーがコンボの演奏で存分に披露される機会は意外に少ないものだ。

前置きが長くなったが、このアルバムでは2人のトランペットの技の競い合い、それもミュートプレーがタップリ楽しめる。トランペット2人のコンビというと、古くはルイアームストロングとキングオリバーに遡る。ついついトランペット2人というとハイノートのバトルを想像してしまうが、2人の演奏はディキシースタイルということもあり2つの楽器のコラボの妙だ。このアルバムでも2人の絡みが素晴らしい。

この2人のプレーの素晴らしさを引き出すために2人のアレンジャーが協力している。
フランクフォスター、フランクウェスの2人。ベイシーオーケストラで長年同じ釜の飯を食った旧友だ。今回の主役はあくまでもトランペット。2人はプレーをせずにアレンジに徹しているが、ウェスの方はバラード曲を、フォスターの方がアップテンポの曲と役割分担も明確にしている。リパブリック賛歌のようなお馴染みの曲を実に絶妙に料理し、オリジナルもまさにこの場に相応しいという曲を提供している。

そして、2人の引き立て役となるバックはピアノがハンクジョーンズ。この頃ハンクジョーンズは自らのトリオを中心にライブ、レコーディング活動中心に完全復帰していた。ここでは昔のスタジオ時代の仲間のリーダーアルバムに脇役として駆けつけ、バックに廻っても味のあるプレーを聴かせてくれる。そして、ベースのルーファスリードとマーヴィンスミスは当時売り出し中の中堅、単なる同窓会とは趣が違うが、ベイシーでの基本がベースにはあるのは間違いない。

メンバー選定、演奏、選曲、アレンジがすべてバランスよく組み合わされ、スイングし、リリカルで、メロディアスな主役の2人の技の素晴らしさとプレーの良さが十分に引き出されている。それらが一枚に収められたアルバムというのも、そうそうお目に掛かれない。プロデューサーのBennett Rubinはコンコルド初登場だが、その後もフランクフォスターやジーンハリスのアルバムを何枚か手掛ける。ジェファーソンの意を汲んでベテランの復活を手掛けるが、単なる懐メロにしなかったところが良かった点だろう。

タイトルの”hanging out”。そもそも意味はジャケット写真のように身を乗り出すということだが、慣用的には「遊ぶ」という意味で良く使われる。まさに仲間内で、「久しぶりに一緒に遊ばないか?」といったノリで作られたアルバムだと思う。目立たないアルバムだが、お気に入りの愛聴盤の一枚だ。

ベイシー時代のお馴染みの曲も、





1. The Midgets                    Joe Newman 4:49
2. Here's That Rainy Day    Johnny Burke / James Van Heusen 4:01
3. Duet                       Neal Hefti 4:12
4. Battle Hymn of the Republic           Traditional 6:08
5. Secret Love        Sammy Fain / Paul Francis Webster 5:09
6. You've Changed           Bill Carey / Carl Fischer 5:37
7, 'Lypso Mania                  Frank Foster 4:39
8. He Was Too Good to M      Lorenz Hart / Richard Rodgers 4:05

Joe Newman (tp)
Joe Wilder (tp,flh)
Hank Jones (p)
Rufus Reid (b)
Marvin "Smitty" Smith (ds)

Arranged by Frank Foster & Frank Wess
Produced by Bennett Rubin
Recording Engineer : Malcom Addey
Recorded at JAC Studios, New York City, May 1984

Concord CJ-262


Hangin' Out
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Concord Records
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