物書同心居眠り紋蔵シリーズの『密命』を読んだ(講談社文庫版)。
物書同心居眠り紋蔵シリーズは最近の時代小説の中では、私の好きなシリーズである。仕事中持病のためにしょっちゅう居眠りをする南町奉行所の藤木紋蔵が主人公なのだが、役所内では便利使いされる存在である。『密約』には『貰いっ子』『へのへのもへじ』『女軍師』「盗っ人宿の置手紙』『お民の復讐』『夜鷹の自訴』『漆黒の闇』『黒幕の黒幕』などの小編が入っている。
長男が養子に入り、長女が縁付いて独立し、何となく手持無沙汰で暮らす紋蔵の家に、近所のいたずら坊主の文吉が、遊びに来たままいついてしまう。この文吉をめぐって様々な事件が起こる。また、本書では紋蔵の父(同じく紋蔵)が殺された一件について、謎がとかれていくが時の時代背景を受け、南町奉行所と一ツ橋家の取引など、あの時代の理不尽な対応などもあって驚かされる。
それにしても窓際同心でもある藤木紋蔵のキャラクターは面白い。