風野真知男の『水の城・今だ落城せず』を読んだ。小説の舞台は忍城である。昨年あたりヒットして映画にもなった『のぼうの城』と同じ舞台だ。忍城をめぐるたたかいは、何とも面白いものだ。天下統一を進める豊臣秀吉が北条を攻めた時、北条方の支城の一つである忍城を石田三成が率いる5万の軍勢が攻めるのだが、落城しない。忍城は蓮沼に浮かんだような城であって、確かに攻めるのに難しいのだが、城代となった成田長親(『のぼうの城』では「のぼう様」)が果たした役割が大きかった。徳川の時代になっても、この城での攻防は語り継がれたという。風野作品は2作目だったが面白く読めた。