中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

オッペンハイマー

2024-04-24 21:41:00 | 映画・ドラマ
 私は音楽の世界しか知りませんが、「天才」というのは確かにいて、そういう人種に常識とか節度を求めるのは筋違いもはなはだしい。そういう平凡な感性と相容れない「病的」というか「幼児的」なものを持っているからこその「天才」ですから。

 指揮者でも演奏家でもそうです。私のような凡人にはハッキリとわかる。「そっち側のひと」かどうか。そっちの人たちは本能で生きているので、頭でチマチマ考えたりしない。純粋な興味に従って、どこまでも行くだけです。だからこそ、常識では辿り着けない作品が出来上がる。それが善か悪かなどは、二の次です。

 先日の休みに、映画「オッペンハイマー」を観に行きました。「原爆の父」と言われたアメリカの天才科学者の半生を描いた作品です。名前ぐらいは聞いたことがありましたが、よく知らなかったので、興味深く見ました。

 この映画のテーマを一言でいえば、天才の苦悩と孤独、といったところでしょうか。

 音楽の天才と違って、この分野の発明は、すぐに商業や政治、軍事利用につながるので、国家からの後押しもあるぶん、できたらすぐに取り上げられてしまう。

 完成したものは、他人の欲望のために勝手に使われてしまうだけ。

 …そう考えると、音楽はお金が集まらないぶん、自由でのどかです。殺傷能力がないから、国をあげて援助する必要がないということでしょうね。良い面もあり、悪い面もあり。

 しかし天才の本質は、どの分野でも全く同じです。「もっと知りたい」「もっとすごいものを作ってみたい」「できた時、たくさんの人がすごいと言ってくれて嬉しい」…。「原爆の父」も、モーツァルトと同じく、悪魔ではなくて、ただの天才少年なのです。

 良い映画でした。

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