中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

年度末

2012-03-31 08:33:51 | 旅の空
 3月31日・・・今年度も今日で終わりです。時の経つのはあっと言う間です。NHKの連ドラの主人公も少し見ない間にすっかり老いさらばえて、先ほどきっちりと波乱の生涯を終えました。年度末ですね。


 年度末最後の朝を、やはり旅行先で迎えております(自宅で連ドラは見ません)。今回は山響の「第九」演奏会のために、宮城県の美里町に来ています。小牛田の駅の近くに宿をとりました。

 「小牛田」。知らないと読めない地名ですが、「こごた」です。


 さて、春に「第九」・・・少し季節はずれな感じもしましたが、ある意味今日も「年末」です。被災地である宮城県で、希望に満ちた新年度を迎えるために、「第九」で締めくくるというのも良い企画だと思います。

 良い演奏会になるように頑張ります。そして、よい新年度になりますように。
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出羽桜「万礼」

2012-03-30 17:10:08 | お酒の話し(山形県)
 春になると寒さが和らぐので、空気がフワッと柔らかくなる感じがしますね。寒くてキリッと澄んだ冬の空気も良いものですが、これだけ長く続いた冷え込みの後では、春の柔らかさにホッとします。

 とはいえ、いまだに雪がちらつく山形では、花見の季節はまだまだ先。ゴールデンウィーク頃になるでしょう。では、せめて脳内だけでも「桜」を満喫したい…。


 ということで、やや強引な導入ですが、山形の銘酒「出羽桜」の逸品を。

 鑑評会に出品する大吟醸を低温熟成させた、最高級酒「万礼(ばんれい)」です。600本限定で、それぞれのビンには番号が入っています。これは大変に高価なものです。ふつうに毎晩飲んでると破産してしまうほど…なので、もちろん戴き物です。

 
 「こういうのは値段の割には大したことないのが多いからな…」と、偉そうに惜し気もなく開栓。しかし…これは旨い! 出羽桜特有の柔らかい吟醸香と、爽やかな透明感が両立しています。ここまで旨い出羽桜は初めて。有名蔵の「本気」を見ました。


 春らしい穏やかさを、じっくりと堪能しました。
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課外活動

2012-03-28 18:25:27 | ヴァイオリン
 ああ…山形に戻ってくると、目のかゆみがほとんどなくなって、気持ちがいい。「なんで体調が良いんだろう?」と不思議に思っていたら気がつきました。


 山響の演奏旅行は日曜で終わりで、終演後に山形に帰るスケジュールだったのですが、私は少し遅らせて余分に東京で過ごしていました。最近、東京に疎くなってしまったので、あらためてのんびりじっくり東京見物を楽しむため…ではもちろんなくて、4月7日に荻窪のサロンで予定している、ソロコンサートの練習(ピアノ合わせ)のためです。

 40~50人の小さな会場なので、おおっぴらには宣伝しませんが、プログラムは…
フランク 「ヴァイオリン・ソナタ」
中島はる 「青い蝶」「湖の幻想」
尾崎宗吉 「ヴァイオリン・ソナタ第2番」
を中心に演奏します。


 「中島はる」という作曲家を簡単に紹介すると、私の母親です。午年生まれ・血液型はA型・ひどい近眼で…いや、作曲家としては300曲近い作品がありますが、その大部分は歌曲・合唱曲で、ピアノ以外の純粋器楽曲は上記の小品2曲だけ、と言っても過言ではない作曲家です。「青い蝶」はピアノとヴァイオリンのための小品。「湖の幻想」はピアノとチェロのための小品ですが、今回はヴァイオリン用に編曲したものの初演になります(…私が適当に音の高さを変えただけですが)。


 尾崎宗吉は、以前山形Qの定期で「弦楽四重奏曲」を取り上げた、惜しくも若くして戦地で病死してしまった作曲家です。

 フランクのソナタは言わずと知れた名曲で、ヴァイオリンよりもピアノパートの方が派手で難しいという、ヴァイオリニストにとってはコストパフォーマンスの良い曲です。…ピアニストの宮園佑希さん(桐朋音大をこの春卒業)、すみません。


 ということで、忙しい春はまだ始まったばかり。花粉に負けずに頑張ります。
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異文化

2012-03-26 20:56:19 | 旅の空
 4公演にわたる、アニメとのコラボレーションのコンサートも、昨日のビッグサイトで無事終了。被災三県での公演は、復興支援の意味合いもあるものなので、会場に来てくれた方々が本当に元気になってくれたのなら嬉しく思います。

 
 ところで、初めて行きました「東京ビッグサイト」。確かにビッグです。用途は同じイベント会場でも「山形ビッグウイング」とは、ビッグさのケタが違うようです。

 ここで開催されていたのが「アニメフェア」で、その活動の一環としてのコンサートだったのです。

 会場でのゲネプロの後、本番まで時間があったので、招待券をもらって「フェア」の方を見に行きました。同じ催しとは言っても、さすがは巨大なビッグサイト。そちらの会場までも結構な距離で、迷いそうになりました。

 なんとかたどり着いて入場してみると…とにかくでかい。無数のブースが立ち並び、キャラクターのアドバルーンが上がっています。飲食コーナーも出店が集まって「屋台村」のようになっています。

 規模も大きいが、人も多い。私などは一つも知らない人気アニメのブースには長蛇の列ができていました。

 今の世の中における「アニメ」というものの位置づけをあまりよく理解していない私は、このフェアを、春休みの子供達とその親が集まってくるイベントだと思っていました。しかし、各ブースに列をなしているのは、ほとんどが20~30代の男性。しかも単独で来ている人もけっこう多い。そしてそれはなんと「プリキュア」のブースも例外ではない。何度見ても、娘さんにお土産を買うために並んでいるようには見えず…。

 
 その他、メイドさんの格好をしてるコンパニオンが大好評を博していたり、近寄り難いものを感じたので、ひやかすこともできずに退散しました。文化というものも進化してゆくんですね。


 コンサートのほうは、親子連れが多くて安心しましたが、少しだけ異文化に触れた一日でした。
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不案内

2012-03-25 09:29:02 | 旅の空
 「品川シーサイド」、「東京テレポート」…駅の名前とも思えないような、知らない駅ばかりを通り過ぎているので、不安になってきました。未来を描いたアニメの世界のような名前ばかりですね。


 さて、中尊寺から一転、只今「りんかい線」という電車に乗っています。今日のコンサート会場の「ビッグサイト」に向かうためです。まったく、最近の東京には不案内で困ります。知らない所ばっかり。

 電車の乗り換えなんかも、このケータイが命綱。表示されるがままに、知らない電車に乗ってます。

 …カーナビもしかり、すっかり「機械に使われる」ようになってしまいました。

 さあ、会場までたどり着けるかどうか…。
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参拝

2012-03-24 11:54:17 | 旅の空
 昨日は岩手の水沢から宮城の岩沼に向かう途中で、中尊寺に立ち寄ってみました。今まで、中尊寺の前の国道や高速道路は何度も往復していますが、ちゃんと訪れたことはありません。せっかくの世界遺産の前を素通りしてばかりでは申し訳ないので、行ってみることに。

 中尊寺といえば、藤原三代のミイラが入っている「金色堂」が有名ですね。テレビや写真で、その金ピカな様子ばかりを見ていたので、中尊寺自体も、金閣みたいな派手なお寺なのだろうと思っていました。が、山すそにあるちょっと大きめの、実に地味な、ふつうのお寺なんですね。「中尊寺駐車場」に車を入れましたが、停めてから「で、中尊寺はどこなんですか?」と、駐車場の人に訊いてしまったほど「素面」な感じで石段の上に、地味に建っていました。


 雰囲気としては、山寺の立石寺にかなり近い。観光地らしくない「渋さ」が、東北らしくて好感が持てます。でも。金色が似合うとは思えない。いったいどこに?

 ・・・知っている人には当然のことでしょうが、「金色堂」は「お堂」として建っているのではなくて、「宝物」としてガラスケースの中に保管されているものなんですね。ものすごく貴重なものですから、考えてみれば当然です。思っていたよりもずっと小さかった。精巧な美術品です。「お参りするところ」ではなくて、「鑑賞するもの」なんですね。

 そういう「宝物殿」のほかに、もちろん本堂があって、そのほかにも「薬師堂」や「地蔵堂」「観音堂」「不動堂」「弁天堂」など、小さな堂がたくさんあって、テーマパークのように(と言ったら罰当たりでしょうが)、いろいろ見て歩くようになっています。どのお堂も小さくて質素ですが、古い歴史が伝わってくるような落ち着きを放っています。写真は「弁慶堂」。


 やはり、見物するだけでは良くない感じがしたので、各所できちんとお参りしておきました。

 昨日はたまたま、15回目の結婚記念日。こんな感じで留守にしていますが、末永く夫婦円満でいられますように。
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ハートキャッチ

2012-03-23 09:16:38 | 旅の空
 岩手の北上での公演を終えて、水沢に泊まっています。温泉宿、というとゴージャスに聞こえますが、町の温泉施設に宿泊できる部屋がついているような、安価で気楽な保養所のような宿です。夜の演奏会後の「素泊まり」にはちょうどよくて、くつろげます。ただいま、朝風呂をすませたところですが、朝陽がふりそそぐ露天は空気もおいしくて、全身の細胞が生き返るような気がします。


 さて今回の旅行は、音楽とアニメーションのコラボレーションの企画です。「モルダウ」「フィンランディア」「火の鳥」などの名曲を、アニメーションとともに楽しんでもらうという、「子供から大人まで」向けのコンサートで4カ所をまわります。途中には「ハートキャッチ・プリキュア」や「海賊戦隊ゴーカイジャー」のテーマも演奏します。

 「ゴーカイジャー」は知りませんでしたが、「プリキュア」ならよく知っています。娘の大好物ですから。「ハートキャッチ」はすでにやや古くて、今の「スマイル」、前の「スイート」のさらに前のシリーズです。(小さな女の子を持つ親でないと、何言ってるのか全然わからないでしょう?)

 しかしこうやって、ほんの少しだけ変えて、次から次へと新しくしていくのは、本当にずるい。変身グッズやら、ちょっとした武器みたいな小物なんかも全部新しくして、そのおもちゃを「新商品」として売るためなんでしょう。またそれがいちいち、女の子の物欲を刺激するような、アクセサリー的な物ばかりで許せない。まったく似たようなものばかり、いったいどれだけ買わせれば気が済むんですかっ!

 ・・・おっと、娘に甘いお父さんのグチになってしまいました。でも「ハートキャッチミラージュ」は、もうとっくの昔に飽きられて、我が家の居間の隅に転がってます。

 なので今回は、もはや少し懐かしい気持ちで演奏しております。

 
 今夜は宮城の岩沼での公演です。春めいてきている景色を楽しみながら、のんびりと向かうことにします。
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丁寧に

2012-03-22 10:06:46 | 山形弦楽四重奏団
 貴重なオケの休日の昨日は・・・もちろん山形Qの練習。シューベルト・壺井・林の世界に浸ります。


 「ロザムンデ」は、思いの外やっかいだということが、よくわかってきました。書いてある音を並べるだけなら「ナイーヴで良い曲だ」で済みますが、それだとぼんやりして退屈な曲になってしまう。かといって、いれこんで弾くと、パッとしないベートーヴェンみたいになってしまう。名曲なのですが、実はつかみにくい作品です。

 そのためには、さらに楽譜をていねいに読んで、解釈(偉そうな割に曖昧で、あまり好きな言葉ではありませんが)していくしかないわけですが、広く知られているように、シューベルトの楽譜の書き方は不親切なんです。

 例えば、アクセントとディミヌエンドの書き分けがはっきりしない。これは有名ですね。そのほかにも、フォルテピアノのつじつまが合わないところがたくさんあります。もうちょっと丁寧に書いておいてくれれば、後世のみんながどれだけケンカせずに済んだことか。

 もちろん最近の山形Qは「おとなの団体」になってきつつあるので、昨日もケンカはしていません。いくつかの仮説をたてて、それに基づいて何パターンも音を出してみて、「やっぱりこれだとしっくりこないな・・・」などという作業を地道に繰り返しています。もちろんこれは、弦楽四重奏の楽しみでもあるわけですが、どう考えてもコストパフォーマンスが悪く、マニアックで趣味的ですよね。

 それでも少しずつ、我々なりの解釈、というか選択ができてきました。


 練習後、研修室の机を元通りに並べて、解散。
「じゃあまた明日。岩手で。」

 今日からはまた、山響の演奏旅行です。忙しいスケジュールの中、いかに「じっくり」した準備をできるかが勝負です。慌ただしい春になりますが、頑張ることにします。
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卒業式

2012-03-20 18:45:33 | 危機管理
 卒業式といえば桜です。そしてそれが散るのが、入学式の頃。私が小学生や中学生の頃は、ちょうどそんな感じだったように思います。しかしその後、東京がさらに暖かくなって、それが早まり、入学式には桜が残っていないようなことの方が多くなりましたね。でも山形は違います。


 昨日は、息子の卒業式。山響のリハーサルがたまたま夕方からだったので、参加することができました。平日の午前中ですから、父親の姿は少ないかと思いきや、半数かそれ以上の「お父さん」はしっかりと来ていました。開業医や自営業、または重役出勤してもいいような偉い人が多いんですね。そうでなくて来られるのは、私のような、夜勤の肉体労働者ぐらいか。

 それはともかく、息子の小学校の校舎や体育館の中に入ったことがなかったので、最後に良い体験をしたと思っています。山響で全国の無数の学校に行っているというのに、我が子の学校だけは知らないというのは悲しいですから。廊下などを歩いてみて、古いながらも、きちんとした秩序のある学校というイメージを受けました。


 しかし、卒業式なのに外は真冬のような寒さ。校庭は一面、深い雪に覆われていて、桜の下で写真を撮るどころか、一歩も足を踏み入れられない。今年は特に異常かも知れません。そしてもちろん式が行われる体育館は、極寒。夫婦で交互に、娘を膝に乗せて暖をとりながら、「卒業証書授与式」を見ておりました。


 ここは附属小学校ですから、お別れだ旅立ちだとは言っても、4月からも学年の仲間はみんな一緒に、敷地もすぐ隣の附属中学校に通います。今までと同じ経路で同じように通うわけです。それがわかっているからでしょう。この年頃の、感動したがる女の子でも、退場の時に泣いていたのは一人か二人。もしかしたらその子は違う中学に行くのかも知れません。ほとんどの卒業生たちは、晴れがましくシャンとしていながらも、ケロッとしている感じでした。

 しかし・・・私の方が感動してしまいました。在校生たちが卒業生に贈って歌う合唱の、「私たちが入学したときに優しく手を引いてくれたお兄さんお姉さんたちの、大きな手に、広い背中に・・・」みたいな歌詞にジーンと来てしまいました。
 
 確かに、小学校の一年生から見た六年生は、大人のように大きくてしっかりしているように感じるものです。息子が一年生の時、六年生たちは「世代が違う」ぐらいに大きく見えたでしょうし、私も「うちのチビもいつかはあんなふうになる時がくるのかな」と思ったものです。それを思い出しました。

 毎日一緒にいると、「相変わらずクラスの男子で一番前なのか・・・まだまだ小さいな。もっと牛乳飲ますか」などとしか思いませんが、今の一年生から見れば、「大きな手」「広い背中」をしたお兄さんなんです。知らないうちにそんなに大きくなっていたんですね。


 「本当にお世話になりました」と、私よりずっと若い、担任の女性教諭に深く頭を下げて、雪の積もっている学校を後にしました。
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十四代「秘蔵酒」

2012-03-19 15:33:52 | お酒の話し(山形県)
 最近、お酒のコーナーは「戴きものレビュー」と化しています。私にお酒を下さる素晴らしい皆様に、この場を借りて、深く御礼いたします。

 一般的に、人からプレゼントをもらった時に、その場で包みを開けて中を見て「うわぁ、これ欲しかったんです。嬉しいなぁ、どこで見つけたんですか?」などと派手に喜んでみせるのは、欧米の習慣ですよね。古くからの日本の習慣では逆に、その場で包装紙を破るのは失礼だったりします。しかし最近では、やっぱり品物を直接目にした時のリアクションを見たいというのも一般的になってきているようです。なので、私は相手の雰囲気をみて、その場で開けてみるかどうかを判断することにしています。

 しかし、日本酒となると話は別。「そんな・・・お気遣いいただかなくても・・・」などと言いながらも、気づいたときにはもう袋から出して銘柄を見てしまっています。さらに箱から瓶までとりだして、精米歩合やら使用米をチェック。「ほおぉ・・・これは素晴らしい!・・・すぐに冷やしておかないと」などと、魂からのリアクションでお応えしています。・・・失礼かも知れませんね。


 ということで、十四代。愛山という米を40%まで磨いた純米大吟醸を3年ほど寝かせた「古酒」です。もちろんこれも、速攻で冷やしました。

 どちらかというと、私は若い酒を好みます。「生酒」のフレッシュで爽やかな感じが好きなのです。なので「古酒」はあまり知りません。以前、シェリーのような香りのする古酒を飲んで、そのイメージが良くなかったからかも知れません。

 しかし十四代の「秘蔵酒」とは・・・ずいぶん高級そうです。期待して開栓。ゆっくりと熟成させるために、コルクの栓がしてあります。


 ・・・なるほど、落ち着いた深みがあって芳醇です。でも、すえたような香りはなくて高貴な感じ。昔の貴族が住んでいた古い邸宅に入って、格調のある気配を感じるような、そういう空気があります。味はとにかくきめ細やか。ビロードのような舌触りは、さすがです。

 ・・・せっかく3年も寝かせて下さったのに、一晩で空いてしまいました。しかし、じっくり・・・とは言えませんが、充分に気品を堪能しました。
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2012-03-17 23:55:16 | 山形交響楽団
 昨日は山響のヴァイオリンパートとチェロパートの、欠員募集のためのオーディションがありました。なのでどちらも募集は1名。そこにたくさんの優秀な受験者たちが集まるのですから、まさに狭き門です。その緊張感は生半可なものではなく、審査するだけの我々も「高みの見物」とはいきません。誰もが通ってきた道ですから、受験者の緊張が手に取るようにわかりますし、直に伝わってきます。


 受験者は、ちょっとの「手が滑った」「指がもつれた」が、人生を左右するような気がして、ガチガチになるのです。さらに、聴くのは音楽に喜びや癒しを求めて集まってきた聴衆ではなくて、アラを探して落とそうとするコワい連中なのですから、なおさらです。


 しかし、審査する側に回ってすでに短くない年月が経って、それは違うのだということがわかってきました。

 その日の演奏の「出来不出来」は、聴けばもちろんわかりますが、本人が思うほど、結果を左右しないものです。後で評価するときに頼りにする「印象」に残らない。演奏が進むと、「上手い人は上手いし、そうでない人はそれなりである」という、当たり前の事実が、悲しいほどシビアに浮かび上がってくるだけです。良くも悪くも、自分が積み重ねてきたことは、しっかりと伝わってしまうのです。

 そして、審査している団員たちは、落とそうと思って聴いているわけではありません。それは、疲れたりするとすぐに態度に出てしまう「純粋な」人種ですから、感じ悪いのは事実でしょう。でも、「受けに来てくれた」人に対して、悪い感情を持つ団員はいません。私は特別「愛社精神」が強いとは思いませんが、山形に引っ越して、山響の団員として演奏することを「心から」望んで、こうして集まって来てくれた方々に感謝しますし、愛着を覚えます。「全員合格させてあげたい」というと、単なるキレイごとになってしまいますが、1名以外を不合格にしてしまうのは本当に辛い事だと思っています。


 昨日はまだ1次試験なので、最終的な結果はまだ出ていません。狭くてしかも「長い門」なんです。・・・良い仲間が加わることを願っています。
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追悼

2012-03-16 21:27:58 | 山形弦楽四重奏団
 昨日は再び山形Qの練習。山形も時々雪はちらつくものの、春の陽射しになってきています。

 さて、4月の定期演奏会では、お伝えしているとおり、ハイドンシリーズを一回お休みして、急逝された林光先生の追悼ということで、氏の弦楽四重奏曲「レゲンデ」を演奏します。レゲンデとはもちろん「伝説」という意味ですが、「おとぎ話」という感じのニュアンスとはほど遠い重い意味が込められている曲なのだ、ということが少しずつわかってきました。


 ところで林光先生とは、山形の合唱団「じゃがいも」の林作品の演奏会で二回ほどご一緒しました。ぱっと見は、気むずかしそうな方なのかと勝手に思いましたが、実はそんなことはなくて、ユーモアと童心にあふれた、おおらかな人でした。

 もうお年でしたがアノがすごく上手でした。打ち上げの席では、必ずピアノを弾きます。

 ・・・そういうのは憧れますね。本来、楽器は緊張して披露するものではなくて、酔ったりして気分が良くなった時に、場の雰囲気に華をそえるために持ち出すのがっこいいと思います。そういうときにピアノは最適です。もともと会場に「たまたま」あったのをフタを開けて奏でる。ヴァイオリンのように、最初から弾くつもり満々で持ってきて、さらに「その時」になってから気合いを入れつつケースを開けて松ヤニを塗ったりしていると、興ざめしますから。

 打ち上げの席で、先生の伴奏でヴァイオリンを弾いたことがありますが、そういう粋な面で、すべて先生にはかないませんでした。先生の曲のヴァイオリンのオブリガートのパートは難しかったので、私は酒が回らないうちに弾きたくて、先生に「やるなら、もうそろそろやっていただかないと・・・」などと無粋なことを申し上げました。

 先生は笑いながら「わかったわかった。たしかにヴァイオリニストは酒が入るとダメなんだよね。渡邊暁夫もそうだった・・・」などと言って許して下さいました。


 底に熱い思いを隠して飄々とした先生の姿を偲びつつ、演奏することにします。
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音の風景

2012-03-15 11:11:48 | 旅の空
 山形へ帰る新幹線の車窓から。福島と米沢の間の峠にも、春の陽がさしこんでいます。この写真には入っていませんが、雪の表面をよく見ると、小さな足跡がついているところがありました。動物たちも活動を始めたのでしょう。

 
 ところで、携帯カメラのシャッター音って耳障りだと思いませんか?もちろん盗撮なんかができないように、わざとそういう音をつけているのでしょう。私は一番「ふつう」と思える、昔のカメラの「カシャッ」という音をまねているシャッター音を選択していますが、「本物のカメラはこんなにイヤな音しないのになあ」といつも思います。
「カシャッ」ではなくて、「クチャァァッ!」と聞こえます。

 新幹線の中でこのイヤな音を響かせて、周りに申し訳なく思っていると、この音に刺激されてなのか車窓の雪景色に刺激されてなのか、別の席からもシャッター音が聞こえてきました。
「がしゃごちゃがきーん!」

 
 音が消せないなら、せめてもう少し耳に心地よいシャッター音を選べると有り難いのですが。風鈴の音みたいな・・・いや、いいです。どうせ機種変更などする気はまったく無いんです。
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春のはな

2012-03-14 15:40:07 | 旅の空
 昨日は、前回インフルエンザで延期になった公演の振替のため、埼玉県は狭山の小学校でスクールコンサート。一回の演奏のために山形から埼玉へ…楽ではありませんが、待っている子供達がいると思うと仕方がない。


 さすがに今回の関東は暖かい。「兆し」ではなくて、本当の春にようやく触れました。気持ちがいい。ホッとします。出てくる時、山形は大雪でしたが。

 しかしどんな事にも良い面と悪い面があるものです…ああ目がかゆい。喉も痛くなってきました。花粉がつらい季節でもあります。

 でも例年よりイラッとしないのは、それだけ春が待ち遠しかったからでしょう。花が咲いたり鼻が出たりするのもまた、春らしさだと思って耐えることにします。
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一年

2012-03-12 09:31:13 | 雑記
 やはり昨日は「一年前の今頃は~」という話題が多くなりました。今こうして家族そろって明るく温かい部屋で、好きな物を食べながら、テレビを観てあれこれ思い出したりすることができるのは、本当に幸せなことです。幸運なことです。それも、たまたま偶然。そのぶん、不運にみまわれた隣県の方々にたいして、後ろめたいような気持ちになることもあります。


 ちなみに一年前の今頃(12日朝)は、テレビも電気も暖房もつかない居間で、ラジオを聴いていました。押し入れの中からひっぱりだしてきた小さな古いラジオから流れてくるのは、「○○市、◎◎市、△△町・・・は全て壊滅状態です」というような、現実とは思えないニュースばかりでした。

 ガスが使えたので、しまってあった「うどん」をゆでて、家族で食べました。しかし水が出ないので、洗い物を出さないために、鍋から食べます。あったかくて、やたらと旨かったのを思い出します。

 すると元気が出たので、隣県の惨状や今後の事をあれこれ想像するのは後回しにして、息子と二人で、近所の神社に水をもらいに行きました。飲み水はまだあったので、灯油缶を持って、トイレに流す水を汲みに行ったのです。マンションのエレベーターはもちろん使えないので、凍りついた階段を恐る恐る上り下りしました。

 こういう時は、あれこれ心配しても仕方がない。寒い家にじっとしていると、暗い想像ばかりしてしまうので、あらゆる心配を後回しにして、とりあえず家族で文翔館の前の広場に遊びに行きました。天気が良かったのも救いでした。息子や娘と雪合戦をしているうちに、ようやく心構えができてきたような気がします。

 こうして無事でいることに感謝して、できることをしていくしかない。


 ・・・その後、やっとついたテレビで想像を遙かに超えた映像を見て、あらためてショックを受けることになるわけですが。


 とりあえず一年が過ぎましたが、被災したすべての方々のために祈り続けます。
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