中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

未完成交響楽

2023-07-29 22:30:00 | 映画・ドラマ
 暑いです。リハーサル会場はもちろん冷房がきいていますが、休憩時間に一歩でも外に出ると「災害級の暑さ」という報道に納得。まさに「わざわい」ですね。

 そんな暑い中ですが、今週は明日の演奏会のためにひたすら、シューベルト漬け。

 暑い夏にぴったりの音楽…ではありませんが、どんな状況で聴いても憎めないのがシューベルトです。

 シューベルトはすごく良い人…というイメージが私の中ではありますが、たぶん、それが形成されたのは「未完成交響楽」という映画のせいです。

 小学校高学年か中学の時に、テレビ放送を、居間で母親が観ていたのを何気なく。

 物語は創作ですが、その中のシューベルトはとにかく、貧乏で朗らかな青年なのです。

 質屋の娘さんだったでしょうか。ちょっと仲良くなった女性が、家事をしながら鼻歌を歌っている。それが「野ばら」。

 そこにいたシューベルトが
「それ、僕の曲だ」というと、
「え?これを、あんたが作ったっていうの?うそでしょ」
 …ぼろぼろで質屋に通うような人が、こんな流行歌を作ったとは信じられない。

 このシーンが一番記憶に残っています。

 「野ばら」は、日本でもだれでも知ってます。だから、それを作った人が貧乏のどん底で若死にしたというのは、日本の子供でも信じがたい。そんな気持ちと、そのシーンが重なって印象に残っているのだと思います。

 …著作権が守られることは確かに大切ですね。

 さて、ここからは映画を観ていない人にはわからない話。

 映画では、身分のある女性とシューベルトが恋に落ちるが、結局、身分が違いすぎて実らない。

 「この恋が実らなかったように、この交響曲も完成する事はない」と書きかけの曲を閉じるのです。

 うーん。そこには納得が行かなかった。観てる方はたぶんみんなが「質屋の娘推し」。ぜったいあの娘の方が明るくて気だても良くて、シューベルトのことを好きなんだし、結婚したら幸せになれるはずなのに…と思わずにはいられない。

 その娘にはお構いなしで「失恋したからこの曲は終わり」って、そんな浮ついたやつが片手間に作った曲じゃないでしょう「未完成」は、と当時の私でさえ思いました。

 でも、完成させてたらこんなに長くなるのか…とも思いつつ、明日の「グレイト」良い演奏になるように頑張ります。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ふるさと | トップ | 川崎にて »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

映画・ドラマ」カテゴリの最新記事