中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

楯野川「初槽」

2013-11-30 23:02:02 | お酒の話し(山形県)
 先日、3軒目に流れ着いた居酒屋のカウンターで、一緒に飲んでいた知人相手に、またしても偉そうに日本酒の講釈をしておりました。
「内陸の酒の酸度が高めなのは、冬場の保存食との関係で・・・」とか
「あの酒は金賞とか言ってるけど実は大したことないな」
酔いつぶれて、もうこれ以上飲めないというのに、まだ酒の話・・・もう病気ですね。

 すると、カウンターで飲んでいた他の男性客がこちらを見て、
「ずいぶん酒に詳しいんだねえ」
見ると、人のことは言えないが、サラリーマンのような堅い職業ではなさそうな屈強な男性。ここは謙虚に、
「いや、山形の酒が好きなだけです」

「じゃあ、あんたが一番旨いと思う酒はどれよ」
「庄内の酒ですね」
「庄内のどれよ」
「やっぱり酒田かな」
「ほおう、酒田のどれよ」

 男性の目つきにやや挑戦的な光が宿ってきたので、「まずい、関係者だったかな・・・」と思いつつも、こちらも酔っぱらい。挑戦なら受けて立とうじゃないか。こっちだってダテに毎日飲んだくれてるわけじゃない。日本酒における感性には自信があるのです。まっすぐに相手の目を見て、斬りつけるように、迷わず一言。
「楯野川っ。」

 次の瞬間、男は鋭く目を見開き、ズバッと突き出した右手は拳・・・ではなく握手。
「ありがとう、俺、楯の川で蔵人やってんだよ!あんたが楯の川のことボロクソに言ったらブン殴ってやろうと思ったんだ」
「ボロクソなんて言うわけないじゃないか。楯の川は最高だぞっ!」
両雄、がっちりと熱い握手。・・・真夜中に何やってるんだか。


 というわけで、みんな大好き「楯野川」から、早くも新酒登場。その名も「初槽(はつぶね)」。その年はじめて搾った酒をこう呼ぶらしいです。

 さて味は・・・選りすぐった、文学的表現を用いた重厚な一言で表すとすれば・・・・・・「胸キュン!」

 とにかくフレッシュでさわやか。ポカリスエットのCMみたい。屈託のない青春。そして淡い余韻とともに消えていく。


 一足早い、いや、ずいぶん早すぎる「春」を堪能しました。蔵人君にも絶賛の拍手を贈りたい。
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障子に目あり

2013-11-28 21:12:19 | 雑記
 最近は、バルコニー席のある大ホールが多いですね。サントリーのように取り囲む形までいかなくても、オペラシティのように両翼の2・3階席があるホールが主流のように感じます。そして山響が定期演奏会で使う「山形テルサ」もそうです。


 私自身はバルコニー席でコンサートを鑑賞したことがありません。なんとなく腰や首が痛くなりそうなイメージがあったものですから。しかし、先日の「ヤング・アメリカン」のショーの時に、聴くというより「見る」ために、初めて座りました。

 シートは、向きなど工夫されていて、鑑賞上の不便はなし。むしろ快適です。音響的にはどうなのかわかりませんでしたが、予想通り「見る」には絶好のポジションであることがよくわかりました。真上から見下ろす感じなので、ステージの奥の方までよく見える。そして実際、見た目よりも近いので、臨場感があります。


 ・・・これでわかりました。テルサで演奏するようになってから、事務局に寄せられるお客さんからのクレーム、いや「助言」が多くなったわけが。

「靴がきたない人がいる」

・・・これを聞いたときは「ちょっとチェックが厳しすぎるのでは?演奏会では音楽に集中しましょうよ」と思ったものです。まあ、私も靴を持ち歩くのが嫌いなので、自宅から履いてきてしまうことが多いために自信がありません。しかし、一番客席側に座ることは少ないので関係ないだろうと思っていたのです。

 どうやら甘かったようですね。最前列のお客さんだと思い込んでいたのですが・・・敵は上だったか。


 それ以来、上からの視線に・・・ではなくて、身だしなみに気をつけるようにしております。
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生活習慣と恩寵

2013-11-26 23:22:40 | クァルテット
 だいぶ前ですが「キレやすい子供」というのが話題になった時に、カルシウム不足がその原因の一つであるという話を聞いて、驚いたものです。カルシウムに骨を強くする働きがあることは知っていましたが、まさか精神にまで影響するとは。そもそも、心の動きが物質に左右されるということに違和感をおぼえます。「ココロ」と「モノ」は対極にあるはずなのに。

 そう考えると「穏やかな人」とか「思慮深い人」というのも、もしかしたら固有の性格ではなくて、何か食べ物に含まれる、精神を落ち着かせるような働きの成分の影響かも知れない。

 ・・・たとえば、老成している人は、そうでない人に比べて「柴漬け」を食べる回数が多いという統計が出たら、それはつまり柴漬けに含まれている「なんとか酸」の効能なのかも知れない。そういうことがいろいろわかってくると、「あの人は良い人だ」というのも、その人の固有の美徳ではなくて、単純に食生活の問題、ひいては生活習慣病の一種と大差なくなってしまう。まあ、ここまでくると飛躍でしょうけど。


 ところで、これももうかなり前の話ですが、ベートーヴェンの遺髪がオークションにかけられて、それを手に入れた人がその分析を依頼したというニュースがありましたね。毛髪と毛根の分析で、ベートーヴェンが「鉛中毒」だったこと、それが元で例の難聴が起きていたことがわかったという話を聞きました。

 鉛中毒にはその他にも、腹痛や頭痛、かんしゃく、奇妙で気まぐれなふるまいなどの症状があるとか。それで「なるほどベートーヴェンにあてはまる!」ということでその信憑性が増した、と聞いています。

 しかし、そうすると何だか釈然としないものが現れます。・・・気性の激しさは天才ゆえのものではなかったのか?するとあの起伏の激しい音楽性も、鉛中毒の一つの症状だったのか?逆にテンションの低い私は改善のために鉛でも飲んでみるか?・・・などなど。


 また別の話ですが、梅毒がすすんで菌が脳に到達すると、一時的に異常にクリエイティヴになる現象がある、という話を本で読んだことがあります。もちろんその後に重篤な症状が出て創作どころではなくなるわけですが、実際に芸術家のそのような時期に生み出された傑作は少なくないとか。ヴォルフの歌曲などがその例だとも書いてありました。

 ・・・本当だとすれば、これも何だかイヤな話です。神の恩寵がもたらした奇跡と思いきや、病気の、しかも性病の症状の一つだとは。


 やはり、こんな話は忘れましょう。どちらにしても、凡人が何しても傑作は生まれないわけですから、やはり神に愛された天才のみが成し遂げうる奇跡であることに変わりはない。

 今、山形Qで取り組んでいるベートーヴェンの「第13番」も、奇跡としか言いようのない名曲です。人類の素晴らしい財産に、素直に感謝しつつ、その恵みに触れることにしたいと思います。
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当たるも八卦

2013-11-25 22:27:34 | 危機管理
 またしても中学校は定期試験のシーズンです。今回も忙しさや旅行にかまけて息子の勉強を放置していたために、親子でヒイヒイ言っております。


 「なにっ、こんな事もわかってないのかっ?」

・・・もはやこれまで。この期に及んではジタバタしている暇もない。本気を出すか。

 おもむろに前回の試験問題を取り出させて分析。「ヤマかけ」ですな。昔とった杵柄。

 まず、各教科ごとに先生のメンタリティを自分の体内に憑衣させる。ムラムラとある種の問題が出したくなってくるまで、ひたすら集中。

 そして突如、雷に打たれた霊媒師のごとく。「今でしょ」とばかりに、超厳選した問題をやらせる。


 ・・・さて今回はどんな結果が出ることやら。「占い師」は結果に対して、決して責任を負わないものです。こんなことをして仮に良い点数が取れても実力にはならない。わかってはいるのですが。・・・当たるも八卦。

 親子で、「次回はもっと計画的にがんばろう」と誓って終了。明日の試験に「ツキ」がありますように。
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秋のいわき

2013-11-23 10:53:33 | 山形交響楽団
 カラッとした晴天。やはり太平洋側の気候は違いますね。

 秋が深まっていく山形も良いのですが、「秋晴れ」は少なくなってゆきます。だからこういう抜けるような乾いた青空は、なんとなく「懐かしい」ような気持ちがします。


 ということで昨日から、福島のいわきに来ています。今日はこれから山響で「アリオス」ホールの演奏会。茂木大輔氏の指揮によるレクチャー・コンサートです。演目はシューマンのピアノ協奏曲とブラームスの1番。こういう穏やかな秋の休日にぴったりの、名曲コンサートです。


 そういえば今日は「勤労感謝」の日。・・・感謝しつつ勤労することにいたします。
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広告の裏

2013-11-21 22:19:23 | 雑記
 最近、山形市に大手の塾が進出してきたらしく、家のポストにもよく、チラシやらダイレクトメールを見かけます。「無料体験講習受付中」「今なら入会金無料!」などなど・・・。講師が熱を込めて授業をしている写真がバックになっています。どの先生も若い・・・懐かしくて思わず見入ってしまいます。

 
 私が塾の講師をしていた頃も、このような宣伝チラシの写真を撮られたものです。
「今回は若手中心で行くらしいからよろしく」と上司の講師から言われて、入社1~2年目の社員が、本校の大教室に集められ、撮影をします。


 実際の授業中の写真はほとんど使いません。チラシ的に良いポーズや表情が必要ですから、生徒が来る前の午前中なんかにプロのカメラマンを呼んできちんと撮るのです。

 「はい、まず○○先生から」
指名されると黒板の前に行って、自分が得意な単元の授業で使う板書をします。チョークの色分けは、いつもよりちょっとハデ目にして、図示を多めで。インパクトが大事ですから。

 その後、生徒の席に座って順番を待っている、他の講師連中相手に、しばらく世間話をするのです。
「この間、財布を落としまして・・・多分飲み屋の帰りだと思うんですけど、カードやら免許証やら全部入ってたもんで手続きがたいへんで・・・」
「先週の日曜日にパチンコ行ったら、なんとお座り一発!ほら今よくある一発台で玉がここから飛び込んだら、真ん中の皿でクルクル回ってそのあと手前のV穴に落ちるとフィーバー。一気にこんなに出ちゃって・・・」

 こういう適当な話をしばらくやる。チョークやテキストを片手に、身振り手振りを大げさに交えて表情ゆたかに。その間にカメラマンが動き回りながら撮影するわけです。OKが出たら終了。不真面目に聞こえるかも知れませんが、こうして少しふざけた方が、良い表情になるのです。見た人が「楽しそうな授業なんだろうな」という印象を持てばそれにこしたことはないので。・・・宣伝とはそういうものです。


 初めて新聞に織り込まれた、自分の写真が載ったチラシを、記念に保存してあります。この間久しぶりに出して眺めてみました。「講師陣が自慢です!無料講習会受付開始!」・・・宣伝文句は昔も今も変わらない。違うのは私が若いことか・・・恥ずかしくて、すぐにしまいました。
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栄光富士(無濾過生詰)

2013-11-20 18:23:42 | お酒の話し(山形県)
 祝・富士山世界遺産!

 ・・・だからというわけでもないのでしょうが、山形は鶴岡の銘酒「栄光富士」から、装い新たな新銘柄が出ました。名前はそのまま「栄光富士」ですが、清新なラベルに光輝く書体に気合いが感じられます。これは純米大吟醸の「無濾過生詰め」。これが、1升3150円とは素晴らしい。


 この「無濾過生」という文字に弱いのです。見ただけでクラッとくる。脳内麻薬が飛び出るのでしょうか。しかもそれが純米大吟醸だとは・・・(白昼夢)。

 どんなものでも、とれたての新鮮なものは旨い。しぼりたての牛乳、もぎたての果物、切り口から滴が落ちるような収穫したての野菜・・・「生きているもの」にしかない、独特の甘味がありますよね。活きづくりの刺身なんかも、こりこりした歯ごたえの中に感じる、あの甘味がたまらないわけです。

 旨い酒の「無濾過生原酒」は、まさにそれを持ってる。味がどうのというより、その「生命感」に心うたれるのです・・・ああ・・・(没我)。


 ・・・ということで、栄光富士。この蔵はたいへん歴史のある蔵で、データによると始まりは江戸時代中期。モーツァルトの時代からあるということですね。当時は、富士山と何の関係もなくても、素晴らしいものや格別なものには名前に「富士」をつけることがあったようです。「最高級」の代名詞ですね。

 この蔵の酒は2~3銘柄しか飲んだことがありませんでしたが、私の印象としては、骨格がしっかりした、折り目正しい風味の酒を目指している感じ。味にも「格式」が漂っているように思えるのは、先入観だけではないはず。しかしそれだけに、フレッシュな「無濾過生」が想像しにくい。・・・興味津々で開栓。


 これは旨い・・・というより「愛おしい」。大成した老大家の、若かりし頃の写真を見てしまったような興奮と、急激な親近感。こんな「青い」とも言えるような、若々しくてあどけない青春時代があったとは。でもその「目つき」や「たたずまい」は、今とちっとも変わってませんね・・・。

 わかりにくい喩えで申し訳ない。しかし、とても気に入りました。限定品なので、すぐになくなってしまいそうなのが残念です。こういうのをどんどん出してもらいたい。

 「無濾過生」のロマンを堪能しました。
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めぐる季節

2013-11-19 10:55:58 | 雑記
 ずいぶん寒くなりましたね。ついこの間まで猛暑に苦しんでいたのに、休憩のタバコで外に出るのに上着が必要な季節になりました。


 さて、今日は朝イチで歯医者へ。三ヶ月に一度のメンテナンスでした。手帳を見るまで、すっかり忘れておりました。何しろこの予約を入れたのは炎暑厳しい八月。ハンフリー・ボガードでなくても「そんな昔のことは忘れたぜ」と言いたい。

 しかし同時に、「えっ、また歯医者?本当にもう三ヶ月も経ったっけ?」と手帳のページを繰って、「ちっ・・・本当だ」。


 時は確実に積み重なる・・・歯石のように。

 
 私の担当の歯科衛生士のお姉さんは、「理知的な職人」タイプで、無駄な笑顔なく、淡々と執拗に歯石を除去していきます。手順その他も三ヶ月前と完全に一緒。そして終わった後に、
「右上の奥歯にブラシが当たりにくいようですね~。逆に口を閉じ気味にして磨くようにして下さい。」
と、おっしゃいます。このセリフも三ヶ月前とまったく同じで、しかも数年間続いていますが、いつも初めてのような口調で言ってくれる。実は、とってもあたたかい気遣いのできるお姉さんなのです。

 学習できず、本当に申し訳ない。「これからはお姉さんの言いつけに従って生きてゆこう」と固く決心して診察室を出る。


 ・・・帰り道にふと、こんなことが三ヶ月前にもあったような気がするのでした。
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参観

2013-11-16 23:45:04 | 危機管理
 今朝は土曜日にもかかわらず、早起きして身支度を整えて、家族で娘の小学校へ。「授業参観」です。自由に見学して良いことになっているので、「朝の会」から見ました。 

 小学一年生のなんと小さいこと・・・しかし小動物といえども、これがたくさんいるとなかなか騒がしい。先生も大変でしょう。担任の先生はベテランの男性教諭で(といっても私よりは若い・・・何だか残念)、上手に操っていました。これも特殊技能です・・・動物使いのようなものですね。

 
 そして夜は逆に家族が、私の「参観」に。久しぶりに山響の定期を聴きに来ました。娘ももう「未就学児」ではなくなりましたので。もちろん途中では寝たようですが、帰り道で、息子と娘に訊かれました。やはり指揮者が気になったようです。

「何で今日は外人の指揮者だったの?」
「あのおじいさんは、なにじん?」

 あの人も名人なんだよ・・・動物使いのようなものだね。
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百まで

2013-11-15 18:21:39 | 山形交響楽団
 「雀百まで踊り忘れず」ということわざがありますね。「三つ子の魂百まで」と同じような意味で、どちらかといえば「悪い癖はいつまでも治らない」みたいな、あまり良くないニュアンスで使われることも多いようです。

 でも私はこの言葉を、「幼い頃から体にたたき込まれた芸事は、何歳になっても体が無意識に動いて、むしろ自然体の芸になっていく」というような、夢のあることわざだととらえたい。歳を経ることで、その芸からは作法や様式のようなものが削ぎ落とされていって、心技体の「心」がストレートに相手に伝わるような境地に入っていく、というような。

 もちろん実際の芸事を、若い頃と同じかそれ以上の水準をキープして歳を重ねるには、想像を絶する努力とたゆまぬ修練が必要で、それは「忘れず」などという生やさしいものでないわけです。・・・私も、年齢よりも精進を重ねなくては、と思う今日この頃でございます。


 さて、明日と明後日は山響の定期。ベートーヴェン「運命」をメインに演奏します。

 指揮者はドイツのM.ポンマー氏。チラシを見てびっくり・・・なんと1936年生まれ。大巨匠ですね。

 しかしリハーサルでの指揮ぶりや立ち居振る舞いを見るかぎり、とてもそれほどの年齢には感じられません。その音楽はむしろ「若々しい」。と同時に、無駄な脂が落ちて浄化されたような、澄んだ歌心にあふれています。

 ・・・時々いるんです。異国の老紳士だと思っていたわるように弾こうとすると、「なんだ大人しすぎる!もっと強く弾け、大きく鳴らせ!」とばかりに外国語のほえ声をあげる外人指揮者が。そういう時、やっぱり肉食人種は凶暴だと感心するわけです。

 が、今回のポンマー氏はそういうことはありません。豊かな歌が、汲めども尽きない感じ。棒も高圧的でなく、自然で楽しそうに流れます。音楽家として「尊敬できる歳のとり方」をしていらっしゃるようにお見受けしました。


 二夜の演奏会を、一緒に楽しみたいと思います。
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音楽室公演

2013-11-13 23:41:13 | 山形弦楽四重奏団
 「中二病」という言葉があるらしいですね。詳しい用法は知りませんが、「思春期真っ盛り」の中学二年生あたりの年頃に特有の、自意識過剰な振る舞いや考え方のことを指すようです。


 私が塾の講師をしていた頃も、中二には手を焼きました。意味もなく大人(特に親と先生)に反抗したがる。「自分探し」の一番の邪魔者だと思うのでしょう。まあ今ではすっかり「大人づら」している私たちにも、そういう時期がありましたけど。

 しかしそこで「大人ぶる、その根性がガキの証拠なんだよ・・・付き合いきれないな」と突き放してしまうと最悪の結果を招きます。突っかかってくる生徒についイラッとして、これをやってしまったことがありますが、その子とは最後まで関係が修復できませんでした。つまり、自分が先生として未熟だったということなのです。本当は、背伸びしていたのは私の方だったのだと気づくことはできませんでした。認めるのが怖かったのかも知れません。

 自分が中二の息子を持つこの年齢になったからこそ思いますが、彼らは真剣で純粋なのです。だからきっと、大人も(日頃の不真面目な自分を捨てて)真剣に接しなければいけないのです。過去の自分の恥ずかしい失敗談などを、一番素直に聴いてくれる年頃でもあるのです。


 さてさて、昨日は山形Qでスクールコンサートをしてきました。らびお氏の地元、大江町の中学校です。ここではなんと、町のとりはからいで、学年ごとに3回にわけて実施することになりました。身近で感じられるようにということです。素晴らしいと思います。ということで、初回の昨日は音楽室に集められた二年生70名の前で演奏しました。

 モーツァルトの「狩」全楽章など、媚びないプログラムで臨みましたが、整列せずに我々を取り囲むように床に自由に座った彼らは、熱心に聴いてくれました。個人的には「子供たちの情操教育のために、良い音楽を聴かせてあげる」という態度を一切排除して、好きな音楽に真剣に取り組む「おじさん」の姿勢を見てくれたら、という気持ちで話しかけ、演奏したつもりです。

 それにしても、大江町の中学生は、特に純粋な感じがして好感が持てます。本当の良い意味で「素朴」です。町の雰囲気、大人たちの接し方を含めた「風土」のなせるわざかも知れません。

 ちなみに、清潔なカーペット敷きの音楽室は、上履きも禁止。自分の靴下に穴が開いてなくて良かった・・・(これが一番ホッとしたことかも)。


 別の日程であと2回。こちらも真剣に楽しみたいと思います。
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初雪

2013-11-11 22:05:48 | 山形
「あっ・・・雪!」
 若い二人が、クリスマスのイルミネーションにふち取られた夜空を見上げると、満天の星がひらひらと舞い降りて火照った頬を心地よく濡らし・・・

 「冬のソナタ」じゃあるまいし、雪国の初雪は、なかなかこうはいきませんね。

「うわっ・・・もう来たか。」
 コンサートを終えてホールの外に出ると雨に白いものが混ざり、漏れるため息も白々と・・・


 ということで、今年は早くも本日、初雪に見舞われました。ロマンや風流もありません。今年もついに来たか・・・という諦めと覚悟。たとえるなら、税金の納付書みたいな。これも豊かな自然を満喫していることについて回る定めのひとつですね。


 それにしても随分と急に冬になったものです。激しい気温の変化で、家族も風邪気味。早く休むことにします。
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歓評会

2013-11-09 15:34:46 | お酒の話し(山形県)
 昨晩はホテル・メトロポリタンでパーティー。300人の大きな宴です。

 テーブルに並ぶ豪華な料理や酒を横目で見ながら、会場の隅っこでBGMに専念する・・・のが通常ですが、昨日は違いました。れっきとした参加者。もちろん楽器など持ちません。何しろ、そのパーティーの名は「山形酒歓評会」!これが楽器など弾いていられようか・・・(反語)。


 ということで、さる名士のご厚意で、山形県酒造組合主催の「~COOL JAPAN! 粋な日本酒!~ 蔵元の情熱! 山形酒歓評会」に参加させて頂きました。

 まずはそれぞれ指定されたテーブルの席へ着席。そこにはすでに、数種類の銘酒が並んでいて、乾杯前から「ご自由にどうぞ」状態。「澤正宗(純米吟醸)」「くどき上手(大吟醸)」「大山(大吟醸)」「山形讃香」・・・いきなり飲み放題。

 会場の側面には「置賜」「庄内」「村山・最上」「澗酒」「発泡」など、地域やジャンルごとのコーナーに分かれていて、いろいろな蔵のレアな逸品がずらり。グラスを持って行くと、酒造組合のハッピを着た蔵人がどれでも注いでくれる。

 ・・・おお、これは夢か幻か。それとも私の脳内の妄想なのか。「それならそれで構わない、醒めないうちに」とばかりに、片っ端から「試飲」させて頂きました。


 席に帰るヒマもなく、文字通り「夢中」で各コーナーを飲み歩いていると、
「ナカジマさん!ですよね?」
と、男性から声をかけられました。

 ・・・ハッ、そうだった。そう言えば、私はナカジマだった。
と言うぐらいに、酒の世界に没入していた私は、秘密の悪事を見とがめられたようにびっくりしてしまいました。

 その男性は酒田の方で、なんと山形Qの庄内定期を、ほぼ毎回聴きに来て下さっているとか。
「ブログで日本酒がお好きなのは知ってましたが、さすが、やっぱり来てましたね。」
・・・いやいや、お恥ずかしい。「次回の庄内定期も楽しみにしています」とまで言っていただいて、妙に恐縮してしまいました。

 
 それにしても、とにかく素晴らしい会でした。飲んだ銘柄は数え切れませんが、私が特に気に入ったのは「あら玉(月山丸)」「弁天(酒中楽康)」。「月山丸」は、斬られたことも気がつかないような美しいキレ味が、「酒中」はフッと周りの重力が軽くなるような繊細な甘味が、甲乙つけがたく素晴らしい。


 現実離れしたような、素敵なひとときを堪能しました。「鯉川酒造」の社長さんがピアノを弾きながら「出羽燦々のテーマ」を歌うなど、妖しい魅力たっぷりの、山形県酒造組合を、これからも応援していきたいと思います。
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晩秋

2013-11-08 15:07:22 | 山形
 だいぶ寒くなってきました。スクールコンサートで学校の体育館に入っても、思わずジェットヒーターに吸い寄せられる季節です。冬が近づいてますね。

 紅葉もほとんど終わりましたから、動物たちも冬に備えていることでしょう。


 動物も冬眠の穴を掘ったりしているのかも知れませんが、人間も掘ってます。家の前の道路で。もう何ヶ月も前から、朝から晩まで毎日毎日ガリガリバリバリ・・・。


 道路工事というものはどうして、まとめて計画的にできないものなんでしょうか。道幅拡張の工事がやっと終わってホッとしたのもつかの間、今度は「電線の地中化」だとかで、やっと固めたコンクリートを再びはがして掘って・・・ちょっといじって(失礼)また埋めて固めて・・・この間一緒にやれば良かったのに。

 ただでさえ山形では、「雪がふる前に」ということなのでしょうが、秋はそこらじゅうで工事が始まります。「工事の秋」・・・芸術なんかよりもずっと盛んです。


 おっと、勢いにまかせてグチが出ました。・・・とにかく雪国の秋は、みんな大忙しなのです。
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中古?

2013-11-06 09:22:18 | ヴァイオリン
 今までに、何度か言われたことがあります。
「失礼ですが、そのバイオリンは中古で買ったのですか?」

 ・・・答えに悩みますね。「そういうものなんですよ」というのを、どう伝えたらよいのか。もちろんこの楽器も作られた時は「新品」だったわけだし、初心者で始める人が買うのも大抵がそうです。新品でなけれは、たしかに「中古」です。

 しかし、質問している人がイメージしてる「中古品」とは違いますよね。その証拠に「失礼ですが」と前置きしてる。本来であれば「その楽器は新作ですか?」といきなり訊く方が失礼なわけです。・・・やっぱりややこしい。


 「古い方が価値が上がっていく」ものは、他にどんな物があるか・・・掛け軸、壷、仏像・・・骨董品か文化財です。ということは、やっぱりヴァイオリンは骨董品なんです。骨董品に対して「それ中古ですか?」と訊くのがありえないのと同じだということですね。

 ところが、我々にもそういう感覚が無いことも確かです。毎日毎日、一年365日、実用に供しているわけですから。毎晩、家宝の皿に夕飯を盛りつけたり、由緒ある壷から漬け物をつまんだりする人はたぶんいない。それなのに、我々は毎日そんな貴重な物を、どこにでも持っていって商売道具として使用している。これも考えてみると不思議ですね。


 「名も知らぬ 遠き島より 流れ寄る 椰子の実ひとつ」

 ちなみに、私の楽器は1916年製ですから、たいして古くはない方です。それでも、私が訪れたこともないイタリアのボローニャで作られ、大戦をどこでどう乗り越えたのか知りませんが、今はこうして日本の山形で春夏秋冬、学校の体育館で弾かれたりしている。・・・アンティーク的な「ロマン」を感じないでもありません。


 もう少しいたわってやりたい気もしますが、そうはいきません。さあ、今日もしっかり働いてもらいましょう。
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