中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

ドラクエ

2015-04-28 18:45:11 | 山形交響楽団
 今週の山響は、「ドラゴンクエストⅤ」。明日が本番です。


 昨年度は仙台で「Ⅲ」をやりました。その時も感じたことですが、「世の中のこんなにたくさんの人が夢中になっていたのか」と、その人気に驚きます。ほどんど「ドラクエ」に触れることなく、ここまで来てしまった自分の生き方が「本当に良かったのだろうか?」「もしかすると大きな損失だったのでは?」と不安に思えてくるほど。

「甘いものは嫌いなので食べません」と言うと、
「…人生、半分損してるね」
みたいなことを、スイーツ好きからよく言われます。

 別に何とも感じませんが、それは1対1で話しているからであって、あの客席を埋め尽くす「ドラクエファン」に囲まれて、それをされたら、悔い改めてしまうかも知れない。「人生やり直します」と言い残して、もう一度ファミコンを買いに走るかも知れない。…「今はスマートホンでダウンロードできるよ!」と、群衆から親切に呼び止められるかも知れませんが。


 ひとつ皆さんを尊敬するのは、やり続けられるエネルギーです。堪え性が無いからなのか、私はRPGというものに適性が無いらしい。昔、弟が居間のテレビに写し出された「ドラクエ」の長大なパスワードを毎夜、広告の裏に一生懸命書き写している後ろ姿を、信じられない思いで見つめたものです。…「コイツにこんな根気が隠されていたとは。自分には真似できない」。


 ということで、他の人にのように音楽のあちこちに懐かしさを感じることはできませんが、明日は敬意を持って演奏したいと思います。
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山形弦楽四重奏団第55回定期演奏会終了

2015-04-26 11:52:52 | 山形弦楽四重奏団
 暖房も冷房も要らない爽やかな気候の中、第55回定期も爽やかに(?)終了しました。オネゲルなど、お客様のニーズを完璧に無視した、マニアックかつ前衛的なプログラムでしたが、聴きに来て下さった方々は、いかがお感じになったでしょう?

 それでも、思ったよりもたくさんのお客さんが来てくださって、本当に感謝しています。サッカーの大事な試合や、翌日の選挙に向けた様々な催しがある中、よくぞおいでくださいました。


 自分の好きな曲を並べたわけですから当然でしょうが、私個人としては、非常に楽しく、気持ち良く演奏しました。

 これに懲りずに、また是非、次回もお越しいただければと思っています。


 ということで、次回「第56回定期」は7月20日(海の日)。ベートーヴェンの「ラズモフスキー1番」をメインに、ハイドンシリーズと邦人は尾崎宗吉を聴いていただきます。ハイドン以外は再演なので、また一段、高いクオリティーを目指して頑張ります。

 ありがとうございました!
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春宵

2015-04-25 13:38:33 | 山形弦楽四重奏団
 よく晴れています。文翔館の庭も、まだまだ花盛りで、暖かい陽射しが眩しいほど。


 ということで、今夜はいよいよ山形Qの「第55回定期」。ただいま、会場設営が終わり、これからゲネプロです。

 春の爽やかな行楽帰りの宵に、是非お立ち寄りいただきたいと思います。

 18:30~プレコンサートで、19:00開演です。お待ちしています。
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楯野川(春にごり)

2015-04-23 21:23:25 | お酒の話し(山形県)
 山形の桜は、もう見頃を過ぎてしまいましたが、こちらは飲み頃。…春って素晴らしい。


 ということで、またまた楯野川から、たまらなく惹かれる新酒が出ました。春らしい桜ラベルで、ほどよく濁った、その名も「春にごり」。ピチピチの生酒です。

 取るものもとりあえず、即、味見。…常に落ち着いて思慮深いはずの私ですが、こういう衝動には勝てない。「気がついたら飲んでた」…危ないことこの上ない。


 にごり酒にありがちな「甘ったるさ」は一切無し。シャープな味になりやすい美山錦を使った無濾過生原酒です。そのままだと、むしろドッシリしてしまうところですが、「おりがらみ」の柔らかさと微発泡に近い爽やかな舌触りで、絶妙なバランスになっています。


 ここのところ、気持ちの良い晴天が続いています。気温もちょうど良く、湿度も低く、爽やかな春です。何の根拠もないのに、「いい予感」がするような…まさにそんな味わい。筍と一緒に頂きましたが、完璧です。…世の中のドラッグも、これほどの「多幸感」はあるまい。

 心が軽くなるような、春の味覚を堪能しました。
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ピント

2015-04-21 21:25:46 | 危機管理
 先日、初めて「近くのものが見えにくくなってきている」ということに気づきました。

「いたっ、トゲがささった」
…どれ見せてごらん。う~ん、わからないけど。気のせいじゃない?
「ちがうよ、ここ。よく見てよ、ホラ、ホラ!」

と、指をグイグイ目の前に近づける娘。「近すぎて見えない」と、見えるところまで遠ざけると…これが思っていたよりも遠い。今までよりも、腕を伸ばし体をのけぞらせている自分にハッと気づく。

 …これが噂の?…まあ、仕方が無い。


 また先日、スマートフォンで写真を撮ろうとしていたら、どうにもピントが合わない。こればかりは、のけぞっても当然ダメ。困っていると、横で見ていた息子が馬鹿にしきった顔で、
「画面をタップするんだよ…(あ、タップって言って意味わかる?)」

 高校に合格してからというもの、生意気にLINEとやらに明け暮れている。この間も、「明日の時間割見てくるの忘れた」などと寝ぼけたことを言っていたので「友達に電話できけば?連絡網あるのか?」と言うと「は?連絡網?いまLINEで時間割の写メ送ってもらうわ」だと。…ひどく「調子に乗っている」ように見えて、イラッとしてしまうのは、ジェネレーションギャップというものでしょうか?

「タップだと?突っつくだけだろうが。やってるよ!」
…思わず声を荒げる私に、今度は、訪問介護の人のような態度で
「どれ、貸してみ。」
「……。」
再びイラッとするも、黙って渡す。…老いては子に従え。

 どうせまた、ヘラヘラいじって簡単に直してしまうのだろう。また馬鹿にされるのか。

 数分後、
「だめだ…Appleに連絡しなさい」 
やはりどうやら、本当の故障らしい。まだ新しいのに、困ったものです。

 しかし同時に、「これは自分の老化のせいではなかった」と、ホッとしてしまうのでした。…情けない。
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夜桜

2015-04-20 22:29:21 | 山形
 何の写真かわかりますでしょうか?夜桜です。山形市内で一番の桜の名所、霞城公園です。お堀にせり出した桜の大木が、あふれるように花をつけて、それがライトアップの光をうけて水面にも映っています。写真だとわかりづらいですが、迫ってくるような、怖いぐらいの
満開。


 昨日一昨日の週末は、絶好の花見日和だったのですが、日中は時間がなかったので夜桜を見に行ったのでした。

 霞城公園は、あまりにもメジャーな「花見スポット」なので、逆にずっと敬遠していました。ひよわな私は、上野公園などがトラウマになっていて、花見の混雑に耐えられないのです。

 ということで、ここの桜を見るのは山形に住むようになってからこれでまだ3度目。久しぶりでしたが、さすがは名所。一本一本の桜の木が大きくて立派。滝のように花が咲いています。


 今が一番の見頃なので、夜とはいっても、結構な人出でした。それでも上野とは大違いです。ビニールシートで飲んでいる団体もそれほど多くないし、みんな静かです。やっぱり山形では、「外飲み」は芋煮会と決まっているようです。おそらく、昨晩の園内で最も血中アルコール濃度が高かったのは私だったと思います。


 今夜は暴風雨だそうなので散ってしまうのでしょうか。名残惜しい気もしますが、今年はたっぷりと桜を堪能できました。
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新春

2015-04-18 10:20:21 | 山形交響楽団
 今日はこれから、今年度初めの山響定期。

 プログラムは廣瀬量平「朝のセレナーデ」、チャイコフスキー「ピアノ協奏曲」(ソリスト=イリーナ・メジューエワ)、そしてメインは春らしく、シューマンの1番「春」です。

 指揮は久々登場の阪哲朗氏。軽やかで自在な音楽作りをします。


 さて、外は花見日和の晴天で、最高の週末です。その分また、花粉も…。

 良い演奏会になるように頑張ります。
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花盛り

2015-04-16 21:54:44 | 山形
 山形でも桜が満開になりました。まだ散っている花びらが無い、初々しい満開です。この頃の花が、いちばん綺麗ですね。こういう真新しい桜色は、ほんの一瞬しか目にすることができません。

 この時期に、花を愛でながら一杯やりたいところです。光り輝く旨酒を満たした猪口に、花びらがひらひらと舞い降りて…

 これが来週ぐらいになると、バラバラと降り注ぐようになってしまうのです。ちょっと風が吹くと「軸」まで落ちてきて、ツマミの皿に入ってしまう。

 
 今のこのベストな桜を保存しておきたい…

…これは叶わぬ願いです。保存できないからこそ良いのですから。これを無理やり保存しようとしたら、右の肩にでも彫ってもらうしかない。

「この金さんの桜吹雪、散らせるもんなら散らしてみやがれっ!」

 何をこしゃくな!と思うかどうかは別として、そういう刺青などとして固定された桜には、正直、用がないのです。…あまり美しくないし。


 ということで、残念ながら今年も花見酒はできそうにありませんが、純粋に「旬の桜」を楽しみたいと思います。
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新たな目標へ

2015-04-14 22:25:31 | 山形弦楽四重奏団
 山形Qのホームページを、あまりチェックしていないのですが、各メンバーの「やってみたい曲」に私は長年、オネゲルを挙げていました。このたび、ようやく念願が叶う形になったわけです。


 私が東京でアマチュアオケをやっていた時に、オネゲルの「交響曲第三番(典礼風)」を弾いたことがありました。パート譜を渡された時、「世の中にはこれほどわけのわからない曲があるものなんだ」と驚いたものです。一人で練習していると、気が狂っているとしか思われない。当人は冷静に「譜読み」をしているだけなのに、曲が要求するものが、難解で激しいのです。

 しかし、オーケストラとして全体で合わせてみると、また、各々がきちんと楽譜通りに音を並べられるようになると、そこから、まさにこの世のものとは思えないような、地獄と天国が湧き上がってくるのに衝撃を受けたのでした。

 このシンフォニーは第二次世界大戦が終わった直後に書かれています。一方、今回山形 Qが演奏する「弦楽四重奏曲第一番」は第一次世界大戦直後。同じテーマで、より深いものになっているということはありますが、構成が非常に似ています。交響曲を弾いた時の衝撃と感動が忘れられなくて、こうして、メンバーの顰蹙も顧みずに、山形 Q定期でとりあげることになったわけです。


 さて今回、4月25日に長年の「夢」が果たされてしまうので、ホームページに次なる希望を提示しなければなりません。

 ただいま熟慮の最中ですが、やはり「オネゲルの第二番」かな。

 …皆に怒られそうなので、もう少し、時間をかけて考えることにします。
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百貨店

2015-04-13 21:37:20 | 山形
 この間の休日、遅ればせながら「いもてん」デビューを果たしました。

 山形市周辺にお住まいの方以外は、何のことかわからないでしょうが、ここらでは充分通じます。

 共通語に訳すと「イオンモール天童に初めて行ってみた」ということです…失礼。


 ちょうど一年ほど前に天童市にできた、巨大なショッピングモールです。そのデカさはもはや、アミューズメントパークというべきものらしく、老いも若きも、すっかり虜になってしまい、山形県とは思えない混雑が続いている…

…という噂を聞いていたので、近寄らないようにしていたのでした。用もないですしね。

 せっかくの休日なので、たまには家族に付き合おうと思って、予定を訊いてみると、
「今日、いもてん行こうかと思ってたんだけど…」
…何しに?
「べつに…だって楽しいじゃん」
…何が?
「もしかして、まだ行ったことないの⁉︎」
…そうだけど。
「え゛~っ‼︎」

 そこまで世間知らずのように言われてしまうと、ちょっと悔しい。ということで意を決して、家族を連れて出発。…というよりも、「田舎のおじいちゃんに、都会というものを案内してあげる」かのごとく、引率されたのでした。


 広大な畑の真ん中に、ドカンと街が置かれている。確かにラスベガスなみのインパクトです。

 内部もデカい。相当な数の専門店が入って、レストラン街も長大で、映画館まである。娘が「たてものの中に町があるんだよ!」と言っていた意味がわかりました。


 なによりも、歩いている人々が楽しそうです。「浮かれている」と言ってもいい。…昔のデパートを思い出しました。

 私が幼少の頃、連れて行ってもらった横浜の「高島屋」。渋谷のは混みすぎているので、横浜のが好きでした。玩具売り場も広くて綺麗で、置かれているものがみんな輝いて見えました。駅前の玩具屋と全然違います。そして、デパートでは、大人も若干「浮かれている」ので、何か買ってくれる確率が高いのも違います。

 屋上のペットショップも、まるで水族館のように見えました。そして、海岸にあるようなパラソルの下で、なぜかハンドバックに入っている「甘食」をもらって食べたのを覚えています。いつもより美味しく感じました。


 …ずいぶん時代が違うようですが、「いもてん」で子供が感じている楽しさは、これと同じでしょう。最新のモールで、懐かしさを感じました。
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櫻正宗(吟醸)

2015-04-11 22:24:04 | お酒の話(県外)
 山形でも桜が咲き始めています。

 日本人が桜を愛するのは、桜がすぐに散ってしまうからだ、とドナルド・キーンが言ったそうです。…確かにそうかも知れません。そして、花見には酒がつきものです。「さけなくて(酒無くて)、何の花実が咲くものか」という言い回しがあります。私の大好きなフレーズでございます。


 ところで日本の「酒」といえば、三島由紀夫の問題作「憂国」でもあるように、飲んで楽しむだけでなく「清めの酒」としての役割が大切です。

 今生の別れに、または兄弟の契りに。酌み交わす酒は、料理酒のような適当なものはでは良くないわけですが、では、どんな酒が適しているのか?淡麗辛口か濃厚旨口か…。

 正解は、どちらでもないと思います。

 未練を断ち切って、心を研ぎ澄ますような味…切れ味と同時に重みがあり、桜が散るごとく後にはサッパリ何も残らない。


 さて、灘の銘酒を頂きました。神戸の「櫻正宗」です。まさに由緒ある「日本の辛口」。

 私の好みから言うと、もう少し柔らかくて透明感のある甘みを備えた酒が好きですが、この「櫻正宗」は日本酒の「清めの機能」をくっきりと主張するような酒でした。日本的な美意識がこもっている。その名の通り、桜に通じるものがあります。

 …ざっくりえぐって、スパッと消える。芯が通っていながら、後腐れのない味。桜の散り方を思わせる、潔さを感じます。


 「日本酒は灘」と言われますが、東北の方が旨いのに…とずっと思っておりました。しかしそれは、味のことではなく、「日本の酒のあり方」のような伝統的精神論を含んだもののようです。

 「櫻」を冠した銘酒に、日本の美意識を教わったような気がします。日本の春を堪能しました。
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呪縛を越えて

2015-04-10 23:31:26 | クァルテット
 山形Q定期のプログラムノートを書いていますが、調べてみると、ベートーヴェン以後の作曲家たちが弦楽四重奏曲を書こうとする時に感じる「ベートーヴェンの呪縛」の凄さには、いつも驚かされます。

 いざ作曲しようとすると、やっぱりベートーヴェンがちらついてきて「あれ以上の作品が自分なんかに書けるはずがない」みたいな気持ちになってしまうのです。他のジャンルでは意気揚々と新作を発表して、世に認められてもいるのにです。


 ほとんど全ての作曲家が、苦しげな言葉を残しています。今回の作曲家、フランス人のオネゲルやフォーレも例外ではありません。

 オネゲルは自分の「弦楽四重奏曲」について手紙の中で書いています。

「私はいくつかの『力作』を書きました……とりわけ危険な試みを、こういうふうに言うものですが…。自分ではそれらの曲をベートーヴェンの下手な模作みたいなものだと考えています。貧しき者のベートーヴェン、とおっしゃるでしょう!そうです、だが、私の本当の性格が表れているのはそこなのです。この分野で私は、いつも好評を得たとはいえないあるいくつかの作品がに対して、ひそかな好みを抱いているのです。弦楽四重奏がそれです。中でも第1番が。」


 フォーレが意を決してようやく弦楽四重奏曲に取り掛かったのは、78歳。死の前年です。それでも奥さん宛ての手紙の中で、まだこんなことを言っています。

「ベートーヴェンによって代表されるジャンルであり、ベートーヴェンのもの以外は全て不完全に見えるのです。あなたは私が自分の番になってとまどっていると思うかも知れませんが、誰にもそのことは話していないのです…書いているのですか、と尋ねられたら、いいえ!とずうずうしく答えています。だから人には話さないで下さい…。」

…パリ音楽院の院長まで務めた78歳の大家がこれです。そして結局、フォーレは四重奏曲の完成に全ての力を使い果たし、完成のふた月後に、初演を聴くこともなく世を去るのでした。それでもなお、こんなことを言い残しています。

「私はこの『弦楽四重奏曲』が、いつも最初の演奏を聞いてくれるデュカ、プジョー、ラロ、ベレーグ、ラルマン等のいく人かの友人達の前で試演された後に、出版、演奏されることを望みます。私は彼らの判断を信頼していると共に、この『四重奏曲』が刊行されるべきか破棄されるべきかの決断も彼らに委ねます…」

確かにフォーレは謙虚で慎ましい性格なのですが、それ以上にやはりこれが「ベートーヴェンの呪縛」なのだと思います。とりかかる前にさんざん躊躇したあげく、書き上げたら書き上げたで、「こんなものは破棄した方がいいのでは?」と悩まされる。恐ろしい呪縛です。

 
 …オネゲルもフォーレも、ベートーヴェンにひけを取らない、素晴らしい傑作ですよ、と声を大にして言ってあげたい。そのためには、まず我々が良い演奏をしてあげなければなりませんね。頑張ります。
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後進

2015-04-08 23:46:53 | 音楽
 大先輩の一言というものは、大きな力を持っています。「近頃の若いもんは、ちっとも年長者の言うことをきかない」と古今東西、嘆かれ続けてきましたが、聞く態度は別として、実際には絶大な影響力があるものです。気にしていないようで、実は心に刺さっている。

 役所の窓口の人が機械的になっていくのも、車掌のアナウンスが民謡のような独特なイントネーションになるのも、そういう力学だと思います。個性はそれぞれなのに「染まっていく」のは、意識している以上に、先輩を「見習って」いるからなのです。表面上は反発しても。


 さて山形Qでは、次回の定期のフォーレに余念がありません。フランスのエスプリ漂う、素晴らしい曲です。

 フランス人は誇り高くツンツンしているので、生まれた時から個性的で、他人の目など気にしないはず…という先入観があります。


 フォーレはどうだったのでしょうか?

 フォーレは1882年、37歳の時に、サンサーンスと一緒に旅をした先のチューリヒで、当時の音楽の世界の主であるリストと会っています。

 その時フォーレは自信作であったピアノ曲の「バラード」をリストに見せて、意見を求めました。

「私はこの曲が長すぎたように思うのですが、いかがでしょうか ?」
「長すぎるかどうかなんてことは、君、問題じゃない。思うように書くしかないんだ 」

…どう考えても、若干適当くさいコメントですが、フォーレは大いに勇気づけられたようです。


 リストはその時すでに72歳でしたが、実際に楽譜を見せるとすぐにピアノに向かい、弾き始めました。このあたりはさすがです。フォーレの回想です。

「リストはピアノに向かい、曲の冒頭を弾き始めたが、5~6ページ進むと 『指が足りない』と言いだし、それから先は私に弾かせた。この時の彼の言葉によって私はとても気おくれしたのを憶えている」

 指が足りないとは…リストのくせに、やる気がなかったとしか思えない。もちろん、フォーレの音遣いが斬新だったからというのもあるかとは思いますが、そんな適当なひと言でも、気おくれしてしまうのが、若手なのです。

 
 我々も、プロフィールに仰々しく書いたりしますが「後進の指導にあたる」ことがあります。それなのに、疲れている時など、生徒に対して無神経に接してしまうこともあります。…何気ない一言に気をつけたいものですね。
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岩手名物

2015-04-06 23:41:23 | 旅の空
 昨日は盛岡で、山響のコンサート。一昨日は盛岡に泊まって、街の居酒屋を堪能しました。

 
 岩手の名物なのかわかりませんが、「何か刺身でも」と思った時に、メニューでよく遭遇するのが「シカ」。奈良公園にいるあの生き物の「刺身」です。

 味が淡白なので、あまり印象に残らない。ので、見かけた度に「せっかくだから食べとくか」と注文してしまう。…今回も、あっさりしていました。

 
 さらに、珍しかったものとしては「マンボウの串焼き」。岩手名物なのか?それでも、旅行者としては、つい注文してしまう。

 あれだけの巨体、きっとマグロよりもボリューミーで、ジューシーなはず。

 出てきたのは、白身で焼き鳥の「ササミ」のような串。予想よりも「肉々しさ」が無い。さて、お味は?

 …水っぽい。海の味と言えば聞こえは良いが、グニャグニャして、噛むと塩水が出てくるだけ。あまり食べるには適してない生き物のようです。


 岩手の銘酒「鷲の尾」の原酒とともに、楽しく堪能しました。
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悼む人

2015-04-03 17:38:17 | 映画・ドラマ
 春休みで、家族が東京に行っています。春休みでない私は、留守番。独りでいても飲み過ぎるだけなので、久しぶりにレイトショーへ。

 労使交渉などで心が荒んでいる最近…たまには、静かに癒されてみたい…。

 ということで、選んだ映画は「悼む人」。さあ、思う存分、悼まれてみましょう。


 しかしこの物語、実はだいぶ前に、原作を読んだことがあるのです。感想は…正直いまひとつ。主人公である「悼む人」を突き動かしている情熱の、意味がわからない。だから感情移入できない。「生きたという証し」がテーマなのでしょうが、ストーリーとしても、まとまりがないように思いました。これをどう映画にするのか、興味があったのです。

 それでも、すじを簡単に説明すると、主人公の青年はリュック一つで「悼む」旅をしている。問題の「悼む」とは、おもに不幸な死を遂げた他人の死亡現場を訪れてひざまずき、新聞記事や近所の人から聞いて調べた「あなたは生前、誰に愛されて、誰を愛し、誰から感謝されていた」ということを呟きながら、その場に漂っているであろう「死者の心」をかき集めて自分の胸に刻み「覚えておきます」と唱えることです。…意味わかりましたか?私にもわかりません。

 そんな主人公を見て、初めは「頭がおかしい人なんだ」と感じる周囲の人が次第に共感し、「人はみな、自分が生きたことを、誰かの胸にとどめたいのだ」という根源的な欲求に気づき、間接的に「愛」というものの正体を実感する。

 …と、こんな話でしょうか。映画では、このあたりのメッセージがわかりやすいように、人物像がアレンジされていました。それが、そのまま映画の感想です。原作よりも、わかりやすい。登場人物に魅力が加えられていました。


 特に大竹しのぶ。主人公の母親で、唯一の理解者。そして、末期ガンで余命いくばくもない。…もう、この時点でヤラれてしまいそうですよね。こっちが主役になってしまったと言っても過言ではない。

 あと面白かったのは、旅の舞台が、山形中心だったこと。「地元の人」役の俳優が、頑張って山形弁を喋っていましたが、ものすごく違和感があって楽しかった。自分ももう山形弁が、喋れなくてもすっかり耳に馴染んでいることを実感。


 微妙に「痒い所にもうちょっとで手が届かない」感のある映画ですが、楽しめました。
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