中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

TITAN

2024-08-18 20:36:00 | 映画・ドラマ

 息子から薦められた映画「TITAN」を観てみました。正月に会った従兄弟にも「チタンは観た方がいい」と言われたことを思い出したせいでもあります。

 2022年公開のフランス映画です。ジャンルとしては…
 
 …何と言って良いやらわからない。ホラー?SF?ダークファンタジー?サスペンス?まあ、そんなところです。
 
 カンヌで最高賞を受賞したということですが。
 
 結論から言うと、私にはよくわかりませんでした。
 
 …映画を観て、こういう感想を言うのは初めてのことです。
 
 古くはベルイマンのような、超難解映画についても、自分なりの解釈は持ってきたつもりですが、「TITAN」にはギブアップ。
 
 これが今のフランス映画の行きついたところなのかもしれませんが、メタファーにはメタファーなりの「つじつま」がもうちょっと欲しいと思うのは、もう感覚が古いということなのか。
 
 あらすじを語る意味もないのですが、さらっとだけ。幼少期の事故の治療のために脳にチタンを埋め込まれた女の子が、ぶっ飛んだ凶暴な女性に育つ。車に異常な愛情を持つので、車の子(?)を妊娠します。と同時に、凶暴な性質が抑えきれずに、数々の殺人を犯します。警察から逃れるために、行方不明の息子を何十年も探している老消防士に、息子だと偽って匿ってもらう。そこで、得体の知れない子供を出産することになる…。
 
 …意味がわからないと思います。私も同感です。
 
 ショッキングだったりグロテスクな映画は、私のむしろ好物なのですが、意味がわからないので「え、なんで?」が先に立って、気持ちよく気持ち悪がることができない。
 
 昔「前衛的なもの」を初めて目にした人はこういう感じだったのかなと。「春の祭典」の初演で悲鳴をあげて席を立った貴婦人とか。
 
 もはや私の感性は、時代遅れになってしまったようです。この映画を、ごく普通に親に薦めてくる息子の感性を頼もしく思いました。…新しい時代が来てますね。
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進歩と堕落と夏休み

2024-08-16 21:34:00 | 映画・ドラマ

 夏休み。暑いし、どこに出かけても混んでいる山形。ここぞとばかりに、いろいろな価格も高騰している。

 それらを考え合わせると、家から出る気にならない。
 
 となると、かつてはレンタルビデオ屋に行くのがお決まりでしたが、私もプライム会員になり下がっている(これって堕落だと思えてならないのは古い人間だからでしょうか)ので、最近は家で映画が観られる。
 
 プライムの無料コーナーになくても「レンタル」という箇所をクリックするだけで、ツタヤに行ったのと同じことになる。返しに行く手間もない。
 
…人間ってどこまで堕落すれば気がすむのでしょう。
 
 初めて「レンタルビデオ店」ができた時、映画が好きな私は、狂喜して隣の駅(自由が丘)まで自転車をこいで(30分)行ったものです。レンタルは1泊で700円。それでも安いと思いました。家で映画が観られるのですから。
 
 初めて借りた映画は「グレムリン」。…まあ中学1年生ですから勘弁していただきたい。とにかく、なんでも良いから家で好きな時に映画を見るという体験をしてみたかったのです。
 
 それから約40年がたちました。
 
 今でも映画館はありますが、それ以外ではサブスクで携帯やそれとリンクしたテレビで見るのが当たり前。
 
 今や私も、すっかりその流れに飲み込まれております。
 
 そこで、時間ができたらぜひ観ようと思っていた映画が「TITAN」。前に息子に会った時に「あれは観るべきだ」と勧められたものです。
 
 …でもそれって無料じゃないよね。
 
 と情けないことを言う私に、「レンタルで良いじゃん。そのぐらいの価値あるよ」と言われてハッとしました。
 
 昔は隣町まで行って700円払って、しょうもない映画を借りて感動して観ていた。じたくで観られるのが嬉しいというだけの理由で。それなのに、今は自宅にいたまま400円ぐらいの課金をポチッとすることも選択肢に無いとは。
 
 これこそが真の堕落です。これ以上、堕落してはいけない。
 
 そう思って、この夏休みついに、ポチッと押して観てみたのですが。
 
 …「TITAN」、凄まじすぎた。もう私も若くないんだなと実感しました。ぐったりしてしまったので、感想は次回に。
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逆光の

2024-06-06 21:41:00 | 映画・ドラマ

 これも歳のせいなのかも知れませんが、毎朝、3時〜5時の間に一度、目が覚めます。頻尿だとか、そういうのではない。たぶん、酔いが覚めるのでしょう。

 そういう時に、楽しみにしているのが、NHKのラジオドラマです。リアルタイムは「ラジオ深夜便」なので、それではなく、スマホの「聞き逃し」で「青春アドベンチャー」を聞くのです。
 
 …これが、なかなか面白い。
 
 子供の頃も、江戸川江乱歩など、夢中で聞いた覚えがありますが、最近は最近で、結構面白いのを次々とやっているのです。
 
 今やっているのは「逆光のシチリア」。1800年代のイタリア統一運動の頃を舞台とした話で、シチリアに生きた若者たちの物語。時代の流れの中でのすれ違いによる友情と悲恋を描いた作品です。10回シリーズなので、まだ途中ですが、大河ドラマを思わせる、なかなか壮大な物語。
 
 そして、これを明け方前の、半覚醒の状態で聞くと、物語なのか夢なのか判別もつかない入り混じった感じで、かなりエキサイティングです。時々、泣いてます。
 
 もともと、夢を見て涙を流していることがあるので(たぶん飲み過ぎによるものだと思います)、それがまた、ドラマによって増幅される。
 
 ちなみに今朝は、山賊のドン・ニニと一緒に改造爆弾で爆死しました(わかる人いないでしょうが)。
 
 …だから朝から疲れてるのかな。反省。
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光る君

2024-05-28 20:59:00 | 映画・ドラマ

 今年の大河ドラマも楽しく観ています。紫式部が主人公の平安時代。いつものような合戦シーンがないこともあって、我が家の女性たちにも評判が良い。

 思えば例年は、首をはねたりするところもあったりするので、大河ドラマは独りで隠れて観るものでした。家族がいない平日の夕方などに観ていて、ガシャっと玄関の音が聞こえて急いで消したりする。…まるで、いやらしいもののような感じです。NHKなのに。…女性には気を遣わされるものです。
 
 しかし、今回のはそういう心配が無く、しかも高校の日本史や古文で出てくる部分があり、娘の学校でも推奨されているとこともあって、初めての「食卓で観る大河」になっています。
 
 さて、ドラマの方はかなり面白い。男性の登場人物がほぼ全員「藤原さん」なので、わかりづらい部分はありますが、凄まじい権力争いは、歴史書にもあるとおりで、ある意味では戦国時代の「〜の戦い」のようにわかりやすい戦争より、奥が深く、心理劇の要素が強くて面白い。
 
 学校の日本史の授業の影響で、私より娘の方が詳しい部分もある。花山天皇とか。私はすっかり忘れていたので、教えてもらいました。
 
 この先も楽しみな、素晴らしい作品だと思います。
 
 ただ、観てる人はわかると思いますが、もはやこういう感じなら、BGMには潔く、本当のクラシック音楽を使ったほうが良いと思うのです。「ちょっとだけ改ざんしときました」みたいなのは、かえって集中力が削がれる。…皆さんはどうお感じでしょうか?
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オッペンハイマー

2024-04-24 21:41:00 | 映画・ドラマ
 私は音楽の世界しか知りませんが、「天才」というのは確かにいて、そういう人種に常識とか節度を求めるのは筋違いもはなはだしい。そういう平凡な感性と相容れない「病的」というか「幼児的」なものを持っているからこその「天才」ですから。

 指揮者でも演奏家でもそうです。私のような凡人にはハッキリとわかる。「そっち側のひと」かどうか。そっちの人たちは本能で生きているので、頭でチマチマ考えたりしない。純粋な興味に従って、どこまでも行くだけです。だからこそ、常識では辿り着けない作品が出来上がる。それが善か悪かなどは、二の次です。

 先日の休みに、映画「オッペンハイマー」を観に行きました。「原爆の父」と言われたアメリカの天才科学者の半生を描いた作品です。名前ぐらいは聞いたことがありましたが、よく知らなかったので、興味深く見ました。

 この映画のテーマを一言でいえば、天才の苦悩と孤独、といったところでしょうか。

 音楽の天才と違って、この分野の発明は、すぐに商業や政治、軍事利用につながるので、国家からの後押しもあるぶん、できたらすぐに取り上げられてしまう。

 完成したものは、他人の欲望のために勝手に使われてしまうだけ。

 …そう考えると、音楽はお金が集まらないぶん、自由でのどかです。殺傷能力がないから、国をあげて援助する必要がないということでしょうね。良い面もあり、悪い面もあり。

 しかし天才の本質は、どの分野でも全く同じです。「もっと知りたい」「もっとすごいものを作ってみたい」「できた時、たくさんの人がすごいと言ってくれて嬉しい」…。「原爆の父」も、モーツァルトと同じく、悪魔ではなくて、ただの天才少年なのです。

 良い映画でした。
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アマプラ生活

2024-04-05 22:03:00 | 映画・ドラマ
  最近、自宅のテレビでも映画が観られる。「アマプラ」とか「ネトフリ」のためです(意味分かりますか?私もずいぶん遅れて知りました)。

 わざわざ車に乗ってDVDを借りに行く必要もない。いろいろ便利になった世の中ですが、これでいいのかな…と不安に思うことも。

 昔、衛星の「スカイパーフェクトTV」を契約した時も「こんなに面白そうなものが家にいながら一日中観られたら、人間ダメになる」と、ちょっと怖くなったものです。でも、その後のスマホの普及を考えると、そんなものは序の口でしたね。

 もはや私のようなシニアが人類の未来を憂えても仕方がないので、最近は楽しく視聴しております。

 ということで、昨日は映画「TAR」を。ベルリンフィルの首席指揮者まで上りつめた女性指揮者の転落を描いた作品です。公開中に、観たくてたまらなかったのですが忙しくて行けず。「レンタルビデオに出たら借りよう」と思っていましたが、それももう死語ですね。

 2時間半にわたる大作でしたが、なかなか面白かった。「なかなか」という表現を汲み取っていただくほかはありませんが、テーマが絞りきれなかったかなと。主人公の指揮者は同性愛者ということを憚らず、ベルリンフィルのコンサートミストレスとパートナーの間柄。養子縁組した「ふたりの子供」と暮らし、子供には「パパ」と呼ばれている。自分は忙しいので子育ては「ママ」に任せきり。「ママ」もベルリンフィルのコンミスですけど…この辺りが、業界にいる者からすると「うーん」となるところ。

 最近の映画界は「LGBT祭り」なので、もはや文句は挟めませんが、せっかく音楽業界の話で音楽論みたいなシーンも多くて面白いのに…と、思ってしまう。

 かなりクラシック音楽通の監督なのでしょうか。興味がない人にはまったくわからないだろうなと思えるシーンも多くて、私には面白かった。

 天才指揮者だった主人公は結局、ジャニーズと同じようなことが原因で、失脚、転落してしまうわけですが、そこで精神的におかしくなるわけではない。私は最後のシーン、すっかり業界からホサレた彼女が、東南アジアの国でゲーム音楽のコンサートの指揮を本気でやっているラストシーンにちょっと感動しました。

 それだけに、余計、この映画のテーマがよくわからなかった。それでもオーデションのシーンなど、オーケストラ業界にかなり食い込んだところもあるので、興味のある方はかなり楽しめると思います。

 …最近、アマプラ無しでは生活できなくなってきているのが少し怖くもあります。
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パーフェクト・デイズ

2024-02-17 21:09:00 | 映画・ドラマ
 「コジ・ファン・トゥッテ」の公演をしている山響のみなさんには申し訳ありませんが、私は今日も休日です。

 本当に申し訳ないのですが、特別な出来事も無いので、少し前に観た映画の話でも。

 「パーフェクト・デイズ」。海外の映画コンペティションで賞を獲ったようですね。役所広司の主演。

 ひと言でいえば、人生についてしみじみと考えさせられる映画です。特筆すべき事件もなく、主人公の淡々とした日常が描かれる。公衆トイレの清掃をしている役所広司の日常。 

 さまざまな部分が観る人に委ねられている作品なので、自由に解釈してみます。

 主人公はおそらく、かつて大きな犯罪を犯してしまって長いこと刑務所で暮らしていた男性。目が覚めるとすぐに簡素な布団を畳んで身づくろいする描写から伺えます。かなりのインテリなのに、他者と関わらない清掃の仕事をしているのも、そのためだと思います。

 公園のトイレ清掃をして、夕方に銭湯へ行き、駅地下のスタンドで酎ハイを飲む。判で押したようなスケジュールを自動的にこなすあたりは、相当長い刑務所暮らしがあったとしか思えない。

 この映画のテーマは「人生における人との触れ合い」だと思います。極端に寡黙な主人公は人との関わりを避けているように見えます。そこには最低限のコミュニケーションしか無い。

 しかしそもそも、コミュニケーションとは何でしょうか?

 大切な場面に、川が出てきます。思春期の姪っ子が言います。「この川をずっと行けば海に出られるのかな?一緒に行こうよ!」。しかし、役所広司は言います。「また今度な」。

 末期がんの三浦友和が川の前で、かつての妻だった石川さゆりへの気持ちを語ります。「夫婦ってなんでしょうね?思いを伝えようとしても『ごめん』しか出てこない」。

 昔から人生は川に喩えられることが多いものですが、そこに浮かぶ泡のような私たちは、同じ川を下っても、同じところに行き着くことはできない。たとえ血のつながりがあっても、夫婦だったとしても。

 結局は、トイレのすみに隠した紙に書いた「◯✖️ゲーム」のやり取りとか、公園のベンチでパンを食べている時にふと目が合うとか、いつも同じ場所でパントマイムをしているとか。人と人の「触れ合い」というのは、その程度のものなのです。人生を共有することなどできない。兄妹であってさえ。

 一瞬、影が重なるようなものです。重なったからといって、どうなるわけでもない。影が濃くなるわけでもない。

 でも、だからこそその一瞬が、かけがえがないとも言える。意味はなくてもカメラに収めておきたい一瞬の「木漏れ日」。首都高のビルの谷間から射してくるただの朝陽も、かけがえのない「今日」を照らすものです。そこに対して、人はふと、感謝とも悲しみともつかない感情を覚えて涙を流しそうになる。

 それが「人生のすべて」なのです。それでしかない。「パーフェクト」とは「最上」ということではない。「それ以上でもそれ以下でもあり得ない、真の」ということだと思います。

 …長くなってしまいました。観てない人には退屈で申し訳ない。

 好きな映画です。まだ観ていない人にはお勧めします。
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新番組とマエストロ

2024-01-16 22:17:00 | 映画・ドラマ
 今月になって、テレビでも新しいドラマがいろいろと始まりました。個人的に一番期待しているのは、大河ドラマです。紫式部が主人公の平安時代もの。視聴率でどうのこうの言われた「平清盛」もすごく良かったので、楽しみにしているのです。

 そのほか、今期もまたクラシック音楽系のやつがありますね。「さよならマエストロ」。面白そうだと期待するよりも、また「のだめ」のような、これをきっかけにクラシック音楽の名曲が人気を博すようなことになればと思うのです。

 ということで、とりあえず初回をチェック。主人公は引退した指揮者。ヨーロッパで活躍していたのですが、あることをきっかけに辞めて日本に帰る。そこで、潰れかけた地方のアマチュアオーケストラの再生に関わる感じなのでしょうか。

 初めは固辞していたものの、成り行きで指揮をすることになる。すると、それまでダメだったオーケストラの音が変わるのです。

 ドラマによくありがちな展開ですよね。

 指揮者が代わったぐらいで、そんなに簡単に音が変わるわけないだろう。医者が医療ドラマを見てバカにするように、音楽家が見たら吹き出すに違いない…

…と思うかも知れませんが、そんなことはない。指揮者が代わったぐらいで、違うオーケストラのようになることは現実にあります。そういう意味では、指揮者という存在は神の腕を持つ天才外科医よりもすごいのかも知れません。今後の展開を楽しみにすることにします。

 今日の山響は昨日に引き続き、県内の社会科見学に伴う小学生向けのコンサート。

 いつも県内外でやっている(やり飽きている)、お馴染みのプログラムですが、指揮は常任の阪哲朗氏。

 …これが、やはり違う。指揮者が違うと、ここまで変わるものなんだなと、自分たちのことながら驚きます。

 何が違うのか。弾きながら考えていましたが、ひとことで言えば、音楽性よりも、集中力の喚起の仕方なのだと思います。オーケストラは人数が多い。そのみんなの集中力が高まれば、それだけで格段に良い演奏になるのです。

 手前味噌かも知れませんが、山形県は、質の高い社会科見学をしていると思います。
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家康

2023-11-17 21:37:00 | 映画・ドラマ
 大河ドラマの「どうする家康」を楽しみに観ています。視聴率がどうのこうのと評判は様々なようですが、私は面白いと思います。かつて評判が悪かった「平清盛」も良かったし、視聴率というものは、作品の価値と無関係ですね。

 ところで、昔はテレビ番組の「録画」というものが無かったので、不便でした。誰かが毎週楽しみにしている番組があったりすると、他の家族は譲らなければならない。そんな、どこの家庭にもあった「チャンネル争い」という紛争は、技術の進歩によって根絶されたわけですね。

 しかし…思うところもある。

 「大河ドラマ」などは、子供が自分の意志で観ることはあり得ない。親が観ているから、その時に茶の間にいると仕方なく観るものです。当然、面白くない。

 しかしそこで「茶々」とか「寧々」とか、歴史の授業では決して出てこない有名人が「常識」になるのです。

 今の我が家では、時代劇はもちろん、とくに合戦のシーンなどは、家の奥方と姫君がひどくいやがるので、大河ドラマは録画してあるものを、だれもいない時にこっそり観ています。

 帰ってきた音が聞こえたら急いで消したりして。…アダルトものを見ている中学生でもあるまいし。いい歳をして、嘆かわしいことです。

 便利な世の中は、余計なものがなくなりすぎて、人間の幅が狭くなる。…いや、それは違いますね。携帯のニュースなど、余計なものはいくらでも入ってくるのですが、ポチッと消せるようではではダメだということ。

 大切なのは、今は関心のないものにでも、時間を割く心の余裕でしょうか。

 …私の中では、徳川家康と言えば、滝田栄ですが、今の子供が「徳川家康といえば松潤だ」とは言うようにならないでしょうね。
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未完成交響楽

2023-07-29 22:30:00 | 映画・ドラマ
 暑いです。リハーサル会場はもちろん冷房がきいていますが、休憩時間に一歩でも外に出ると「災害級の暑さ」という報道に納得。まさに「わざわい」ですね。

 そんな暑い中ですが、今週は明日の演奏会のためにひたすら、シューベルト漬け。

 暑い夏にぴったりの音楽…ではありませんが、どんな状況で聴いても憎めないのがシューベルトです。

 シューベルトはすごく良い人…というイメージが私の中ではありますが、たぶん、それが形成されたのは「未完成交響楽」という映画のせいです。

 小学校高学年か中学の時に、テレビ放送を、居間で母親が観ていたのを何気なく。

 物語は創作ですが、その中のシューベルトはとにかく、貧乏で朗らかな青年なのです。

 質屋の娘さんだったでしょうか。ちょっと仲良くなった女性が、家事をしながら鼻歌を歌っている。それが「野ばら」。

 そこにいたシューベルトが
「それ、僕の曲だ」というと、
「え?これを、あんたが作ったっていうの?うそでしょ」
 …ぼろぼろで質屋に通うような人が、こんな流行歌を作ったとは信じられない。

 このシーンが一番記憶に残っています。

 「野ばら」は、日本でもだれでも知ってます。だから、それを作った人が貧乏のどん底で若死にしたというのは、日本の子供でも信じがたい。そんな気持ちと、そのシーンが重なって印象に残っているのだと思います。

 …著作権が守られることは確かに大切ですね。

 さて、ここからは映画を観ていない人にはわからない話。

 映画では、身分のある女性とシューベルトが恋に落ちるが、結局、身分が違いすぎて実らない。

 「この恋が実らなかったように、この交響曲も完成する事はない」と書きかけの曲を閉じるのです。

 うーん。そこには納得が行かなかった。観てる方はたぶんみんなが「質屋の娘推し」。ぜったいあの娘の方が明るくて気だても良くて、シューベルトのことを好きなんだし、結婚したら幸せになれるはずなのに…と思わずにはいられない。

 その娘にはお構いなしで「失恋したからこの曲は終わり」って、そんな浮ついたやつが片手間に作った曲じゃないでしょう「未完成」は、と当時の私でさえ思いました。

 でも、完成させてたらこんなに長くなるのか…とも思いつつ、明日の「グレイト」良い演奏になるように頑張ります。
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ヤマトよ永遠に

2023-02-21 22:28:00 | 映画・ドラマ
 初めて映画館で観た映画は「宇宙戦艦ヤマト」でした。渋谷のパンテオン。スクリーンが大きくて度肝を抜かれました。

 白色彗星の中の都市帝国で、ズォーダー大帝が弾くパイプオルガンの重低音がすごかった。…わかる人少ないと思いますが、小学生の「原体験」です。

 すでに何が言いたいかおわかりと思いますが、松本零士氏が亡くなりました。漫画を読む習慣のない私にしては、大きなインパクトです。

 「ヤマト」のプラモデルはほとんど作りました。いかし、その後のガンダムなどにはほとんど興味がなかった。「ヤマト」は特別だったのです。

 一番好きなキャラクターは、やはり「デスラー総統」。彼が乗る「デスラー艦」は、もはや「ヤマト」より好きなので、大きいのを買いました。

 「ウルトラマン」「ゴレンジャー」「仮面ライダー」が、当時の「ドラマ」の全てでしたが、それらはどれも、敵役はただの「わるもの」だった。理由もなく地球を征服しようとする。

 しかしデスラーは違います。彼にも生まれ故郷の星「ガミラス星」があって、そこが環境破壊のため海は濃硫酸になり、住めなくなってしまった。外へ向かうのは新しい移住先を求めてのことなのです。

 「悪者」にも切実な理由があり、見方を変えれば、「良い者」がそれを阻む悪者になりうる。善と悪は、立場の違いでしかない。

 当時の日本の男の子たちに、生まれて初めてこの事実を教えたのが、松本零士さんだと言ってもいい。世界中の子供達が見るべきです。

 偉大な功績を讃えつつ、ご冥福を祈ります。
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別れる決心

2023-02-20 21:17:00 | 映画・ドラマ
 映画のタイトルです。なにか重大なご報告とかではありませんので念のため。

 久しぶりの休日の今日は、夫婦で映画館に出かけました。「何の日」だかは知りませんが、本日は通常1800円のところ1100円だということで、いつになく、平日午前の映画館にも人が多くいました。

 ちなみに、それがどれぐらいかと言うと、チケットのカウンターの前に10人ぐらい並ぶ。この程度で「えっ今日はなに?」と思うのが山形です。…これに慣れてしまうから都会に戻れない。

 奥さん選択の作品は…「別れる決心」。韓国映画です。まあ、こうして一緒に観に来てくれるからには熟年離婚の話ではないらしい。

 私は韓国映画に不案内で、今までに観たのは「パラサイト」のみ。あんな感じで、社会をえぐるのが話題の韓国映画なのかなと思って心がまえ。

 上映時間は2時間半超。…これはなかなか重そうだと、心の準備。

 しかし、観終わった感想をひとことで言えば、…「火サス?」

 いえ、けなしているのではありません。私は小学生からの「火曜サスペンス劇場」の大ファンでしたので。

 この映画の意図したところはおそらく「氷の微笑」に近いのではないかと思います。もうだいぶ前の映画ですが、シャロン・ストーンのあれ。私も観に行きました。

 殺人容疑者の女性。それが、あまりにも魅力的で、刑事もあらがえない。シャロン・ストーンは本当に綺麗でしたね。今作の韓国女優も魅力的でした。

 ただ、サスペンス部分に崖と海辺が多すぎるのと、トリックが身近で「ちまっとしている」あたりに、「火曜」の香りを感じてしまう。

 そして刑事が、女にのめり込んで破滅するのか、断ち切って引きずるのかのあたりもどっちつかず。結果としてお茶の間でも大丈夫な「家サス」感が出てしまっている。映画だったら、もう少し「振り切った」ところがないと、人を2時間半缶詰めにするには弱いと思います。

 山形の映画館は「会員証」があって、それがポイントカードになっています。だいたい、半年ご無沙汰だと破棄で新規発行。私は今回もそうでした。

 久しぶりの休日に気楽に観るには、まあまあな映画だったかと。そのあたりは「佳サス」でしたかね。
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破戒

2022-08-08 21:25:00 | 映画・ドラマ
 このあいだの休日に、映画「破戒」を観に行きました。言わずと知れた島崎藤村の名作ですが、リメイクされたというので。

 主役の丑松は、間宮祥太朗。最近のドラマやCMでよく見る若者に人気のある俳優ですね。

 …こういうキャスティングはすごく良いと思います。

 時は明治時代。主人公の名前は「丑松」。うしまつ…こう聞いただけで、若い人に興味を持ってもらうことは難しい。そこには、かなり「今どき」の人を充てなければいけません。

 映画館は、中高年がパラパラとしかいない。私を含め。一日に一回、お昼時の上映のみですしね。

 しかし、映画は素晴らしかった。原作に忠実でありながら、名作だからと時代がかりすぎていなくて、今の人がドラマだと思って観ても違和感はそれほどない。その他の俳優陣も、最近よくテレビで見るひとばかり。どれも良かった。

 これほどの名作をリメイクする意味は、ほっといたら絶対に触れないような若い人たちに見せることでしょう。私と一緒に映画館にいたような人たちは、むしろ、観なくてもよろしい。…どうせ原作もよく知っているんだから。

 せっかく若い人に見てもらうために、良い俳優をキャスてキングして、しかも出来栄えも良いのだから、もう少し大々的に宣伝して、一日に何度も上映すべきです。

 ワイドショーやバラエティの「番宣」みたいな感じで、もっと告知したらいいのに。足りないと思います。

 …差別反対の話ね。

 それにとどまらない芸術性があります。普通にドラマとして面白いし。中学校や高校で授業として見せてもいぐらい。

 こういうクオリティの高い、名作のリメイクがどんどん出ることを期待します。
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惜しげもなく

2022-06-09 22:44:00 | 映画・ドラマ
 私が大学生の頃、「もう誰も愛さない」というドラマが流行りました。主演は吉田栄作。…名作とは言えないので、ご存知の方は少ないでしょう。

 とにかく、登場人物が面白いようにどんどん死んでゆく。最終的に主要なキャストはほぼ誰も残らない。最終話では主人公も死にます。

 豪華な出演者たちを惜しげもなく死なせるところが、まさにバブル時代らしくもあり、ストーリーは下らないのに、ついつい全部観てしまった。

 ところで最近、大河ドラマにハマっています。今年のは三谷幸喜の脚本のせいか、本当に面白い。

 大河だし話題作だし、出演者も豪華ですが、これが毎週どんどん死んでゆく。

 時代の転換点なので、史実としてもたくさんの人がしんでいったのでしょうが、思わず「もう誰も〜」を思い出しました。「なんとかロス」を起こすヒマもない。

 平家もあっさりと滅びます。義経もあっという間に首桶。主人公の北条義時の恋女房も、ちょっと川に入ったらもう消えてます。

 この「惜しげもなさ」が、なんとなく懐かしい。

 日曜日が楽しみです。
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死刑にいたる病

2022-05-14 22:03:00 | 映画・ドラマ
 休日の今日は、ふと時間が空いたので、ひとりで映画を観に行きました。

 ひとりで行く…となったら、もちろん誰にも気を遣わずにサイコホラーでしょう。せっかくだから、非日常を、とことん追求したい。

 ということで、最近話題の「死刑にいたる病」を。

 原作はずいぶん前に読んだ気がしますが、まったく覚えていない。あまり印象に残らなかった。しかし、わざわざ映画化するということは、良い改変がなされているはず。むしろ、忘れている方が楽しめるのではないかと期待して。

 小さなシアターは、山形にしては、わりと混んでいました。さすが話題作。両隣が空いているところを探すと、結構前の方しかなくて、首の痛みを堪えながら鑑賞。

 …結果から言うと、少々期待が大きすぎました。良かったのは、阿部サダヲの素晴らしさだけ。

 あまり言うとヒカレそうですが、私はこの手の話がとても好きなので、けっこう観ています。その中では、この作品は無駄にマイルドかつ、犯人の背景に焦点を当てたかったなら、そこの掘り下げも足りてない。ご都合主義的なところも目立って、ゾッとする前に「え、何で?」と思ってしまう。その偶然は必要なのか?…などと。

 これでは、主役がいくら頑張ってもレクター博士に追いつけない。脚本の質の違いです。原作の弱さがそのままなので、忠実とも言える。

 確かに痛い。爪を剥がされたりとか。…でも、求めているのはそこじゃないのです。痒いところに手が届いてない(痛いところと言うべきか)。痛いのはたしかですが、ゾッとできない。

 今の日本の商業映画ではこのぐらいが限界ということなのかもしれません。役者も事務所もスポンサーも、余計な冒険はしたくないでしょうから。

 周囲の反応は好評だった感じでした。ポテトの空箱と飲み物を持って「めっちゃこわかったね〜」。

 まあ、そんな感じです。(私の方が「病」なのかな?)
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