中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

コッペリウス

2021-09-17 23:59:00 | 音楽
 娘のバレエ教室の「コッペリア」公演は無事に終わりました。事務的な事はお母さん達が全て任され、今回はウチの奥さんがそのチーフだったので、てんやわんやの我が家でした。もちろん、私を含めたお父さん達は顎でつかわれます。…終わってホッとしているところでもあります。

 ところで「コッペリア」のストーリーは有名なのでご存知でしょうが、私にはどうしてもコッペリウスが可哀想に思えてならない。

 愛妻に早く先立たれたために寂しく独り暮らしをしている老人。その寂しさを埋めるために人間そっくりの人形を作ることに心血を注いでいます。そしてできたのが、美しい女の子の人形「コッペリア」です。

 「人形を作る」と聞くと、日本的な浄瑠璃に使う人形をつくる職人のようなイメージを持ってしまいますが、この話を何度も見ると、どうも少し違う。コッペリウスはピノキオの「ゼペット爺さん」よりも、「鉄腕アトム」の天馬博士に近いように思えます。

 天馬博士は事故で亡くした息子を諦めきれずに、アトムという男の子のロボットを作る。「作る」というより、科学技術によって蘇らせようとしたわけです。

 コッペリウスも、出来上がった人形のコッペリアに命を吹き込むために、薬で眠らせた若者「フランツ」の命を使おうとする。それを、コッペリアに化けた恋人のスワニルダが助けるのがストーリーの山場です。

 コッペリアが動き出した時、コッペリウスは、ついに実験が成功したのかと恍惚となる。本当はスワニルダが、からかっているだけなのも知らずに。最後「ドッキリ大成功」的に、フランツとスワニルダが嬉々として逃げ出す後に残されたのは、やっぱりただの人形に過ぎなかった本物のコッペリアを抱き抱えて崩れ落ちるコッペリウス。

 夢破れるマッド・サイエンティストは、必ず、ロマンチストの男ですね。

 この数ヶ月間、コッペリア漬けでしたが、名作は何度繰り返して見ても、さらに味わい深いものです。

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