安部公房の「他人の顔」という小説があります。
実験中の事故により顔を大火傷した男の話です。包帯でグルグル巻きの顔は、周囲から敬遠され、自分は「顔」というアイデンティティを失ったのだと思い悩む主人公。自尊心を回復するために、研究に研究を重ねて、普通の、健康な人と同じように見える「仮面」を作製するのですが…。
電車に乗っても、包帯で覆われた自分の顔を怖がる子供に気後れしてしまう自分を、なんとか取り戻そうとする主人公の切実さに胸が痛くなります。私の大好きな小説のひとつです。
さて、マスクをしていないと入店できない店も増えている昨今。肝心のマスクがどこでも手に入らないのに、顔をあらわにしていることが、公衆衛生に反するという生きづらさ。
ほとんどの時間、家にこもり、どうしても外に出る時には顔を隠さなければならない。
…極限の状況で見える人間の本質をえぐる安部公房先生でも、全く想像できない世の中です。
そんな中で、親しくさせてもらっている方から、手作りの布製マスクを頂きました。しかも、いろいろな柄で作ったものを何枚も詰め合わせで。…これはありがたい。今、もっとも価値のあるプレゼントかもしれませんね。
これなら「他人の顔」の主人公も、人の皮膚の型をとったり面倒なことをしなくても、自分の気に入ったデザインで、おしゃれに顔を隠しながらアイデンティティを保つことができたかも知れない。
愛用させていただきます。
実験中の事故により顔を大火傷した男の話です。包帯でグルグル巻きの顔は、周囲から敬遠され、自分は「顔」というアイデンティティを失ったのだと思い悩む主人公。自尊心を回復するために、研究に研究を重ねて、普通の、健康な人と同じように見える「仮面」を作製するのですが…。
電車に乗っても、包帯で覆われた自分の顔を怖がる子供に気後れしてしまう自分を、なんとか取り戻そうとする主人公の切実さに胸が痛くなります。私の大好きな小説のひとつです。
さて、マスクをしていないと入店できない店も増えている昨今。肝心のマスクがどこでも手に入らないのに、顔をあらわにしていることが、公衆衛生に反するという生きづらさ。
ほとんどの時間、家にこもり、どうしても外に出る時には顔を隠さなければならない。
…極限の状況で見える人間の本質をえぐる安部公房先生でも、全く想像できない世の中です。
そんな中で、親しくさせてもらっている方から、手作りの布製マスクを頂きました。しかも、いろいろな柄で作ったものを何枚も詰め合わせで。…これはありがたい。今、もっとも価値のあるプレゼントかもしれませんね。
これなら「他人の顔」の主人公も、人の皮膚の型をとったり面倒なことをしなくても、自分の気に入ったデザインで、おしゃれに顔を隠しながらアイデンティティを保つことができたかも知れない。
愛用させていただきます。