中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

まぶたの

2014-11-29 06:33:41 | 山形交響楽団
 実は生き別れた親子だった…オイディプス王など、古来からストーリーを一気にドラマティックに変える裏ワザです。知らずに結婚していれば、幸せな夫婦が突如、人倫にもとる大罪人になる。宿命の物語…重いテーマの悲劇が完成します。

 逆のパターンだと、憎たらしい敵が突然、目の中に入れても痛くない我が子に早変わり。「うそ、何だよそれ!」…一歩間違えば観客からブーイングものの強引な荒技ですが、細かい事を考えなければコメディとしては面白い。

 
 今週の山響は大江町で、オペラ「フィガロの結婚」です。この物語が、まさに後者のパターンです。

 借金をたてに結婚を迫って来る恐ろしい年増女は、実はフィガロの「まぶたの母」。真相が明らかになるや豹変し、映画版ドラえもんのジャイアンもびっくりするほどの「頼りになるいいひと」ぶりを発揮する。…無茶にもほどがあるが、好感を抱いてしまうのです。あからさまな大団円に、あり得ないと思いながらも感動してしまう。作品の力なのでしょうか。


 今日はこれから、明日の本番に向けての通し稽古。良い公演になるよう頑張ります。
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澤乃井(純米大吟醸)

2014-11-28 11:11:10 | お酒の話(県外)
 めずらしく東京の地酒を頂きました。独り静かにグラスを傾け、郷愁の念に浸る…ということはありません。東京で東京の酒など飲んだことないし、東京とは言っても、この「澤乃井」は青梅の酒。

 青梅と言えば、23区とは別世界の、緑豊かな山々に囲まれた田園地帯です。都内に暮らしてても、旅行で行くようなところです。なので「東京の味」はしません。もちろん「新宿っぽい味」や「池袋の香り」がしても嬉しいとは思いませんが。


 して、肝心の味は…スッキリ。思いのほか(失礼)、澄んだ味わいです。

 旅先で思うことですが、やはり地酒はその土地ならではの料理と合わせてこそ、真価を発揮するというもの。

 しかし、東京の味とは?

…思いつかない。雷おこしか、東京ばな奈か。(食べたことがない)。

…もんじゃ焼き?(苦手です)。

 スッキリとした中口の白ワインのような味の酒なので、結局、パスタと共に賞味しました。薄塩味のパスタと実によく合います。…考えてみれば、東京風味と言えないこともない。


 穏やかな東京の郊外を堪能しました。
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DNA

2014-11-26 09:44:08 | 危機管理
 昨日と一昨日は山響がお休み。そこで、一日は山形Qのリハーサルでしたが、それ以外の時間は、ひたすら勉強。ジョギングする選手の横を自転車で並走するコーチのごとく、息子の定期試験の対策に付き合っておりました。

 時期的に、内申点に直結する「大詰め」のテスト。塾講師の頃も、塾の威信をかけて、ハチマキを締める勢いで臨んだものですが、親の立場はまた違う。ダメだった場合、来月の三者面談を、親子ともどもシュンと背中を丸めて受けるハメになる。これは避けたい。


 塾でも三者面談はあります。講師をしていた当時、私は若手なので直接は担当しませんでしたが、塾長の隣に控えて見ていたことはあります。研修の意味もあったのでしょう。

 感想といえばとにかく、「この親にしてこの子あり」。見ていて笑いそうになるほど、親子は反応が似るものです。とくに、ショックを受けた時は。

「残念ですがこのままだと、志望校を変えないといけなくなるかも知れません」

 と塾長が伝えると、同じ顔でため息をつく。同じ角度で肩を落とす。あるいは「それはオタクの責任だろ」と言わんばかりに、揃って威圧的な目つきになる。そのアゴの突き出し方がまた同じ。…DNAの驚異です。


 それを逆に今度、もはや私から見ると年端もいかない、若い担任の前で演じるのは、想像するだけて居心地が悪くなります。

 私か母親か、日程によってどちらが行く事になるかわかりませんが、
「あっ、お宅は問題無いですね」
「どうも」
みたいな感じで、心の余裕を維持したままサラッと帰りたい。

 …そんな結果を祈ってますが、どうなることやら。
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山形自慢

2014-11-24 18:42:13 | 山形交響楽団
 二日間にわたる山響定期が無事終了。そして昨日は、全国のプロオーケストラのファンクラブ総会が山形で開催され、終演後に懇親会があり、楽団員も招待して頂きました。

 北は北海道から、西は広島まで、総勢80名ほど。クラシックファンは全国にたくさんいることでしょう。しかし、オーケストラのファンクラブにまで入っている人はかなり限定されるはず。その中で、遠隔地での「総会」にまで参加する会員となると、さらに相当絞られるでしょう。そんな熱心なファンが全国にこれほどいるのかと、嬉しくなります。


 ホテルの宴会場での立食パーティーでしたが、そこは山形の美味しいモノを全国にアピールする貴重な機会でもあります。我々の普段の宴会よりもはるかに、気合いのこもった料理が並びます。

 しかし、ホテルのバイキングということで、酒に関してはハッキリ言ってまったく期待していませんでした。

…懇親会だから仕方がない。よその人に楽しんでもらう会なので、地元民がごちゃごちゃ言うのはやめよう。

と心に決めておりました。ところが会場に行ってみてビックリ。「楯野川」から「あら玉」、「東北泉」に「麓井」「上喜元」…。それも気の利いたグレードの逸品がズラリ。全国に山形の良さを思い知らせようという、山形のファンクラブの「本気」が伝わるラインナップに感銘を受けました。これほど凄い日本酒コーナーがあるパーティーは見たことがない。

 …本番後の「渇き」もあって、目の色を変えてたっぷりと堪能してしまいました。


 あらためて、山形の、そして山響ファンクラブの良さを実感。なんとも有難く、心強い存在です。末長く支えてもらえるように、我々も頑張らなければと思うのでした。関係各位に深く感謝。
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リア王

2014-11-22 12:22:52 | 山形交響楽団
 「人は何故、泣きながら生まれてくるのか?」

…詩的な命題です。赤ん坊は言葉など知らなくても、憂き世の辛さを肌で感じて、、、などと想像が広がってクサイ事を語ってしまいそうになります。実際は、単なる呼吸と「鳴き声」だとしても。

 シェイクスピア先生のお答えはこちら。

「われわれが生まれおちた時、この阿呆どもの舞台にきたことに、泣き叫ぶのだ」

…身もふたもない。「リア王」の台詞です。ずるい娘たちに裏切られて荒野をさまよい、もはやヤケになった上での言葉です。「あんな奴に騙された自分も大阿呆だ!」と、泣き叫んでいるわけです。誰しもこういう気分になる時がある。こんな台詞には、ガード下の焼鳥屋のカウンターと、皿の上に乗った安酒のコップがよく似合う。

「おやじ、もう一杯」
「お客さん、もうやめときなよ。飲み過ぎだ」
「なあ…人はどうして泣きながら生まれてくるか知ってるか?」
「また始まった。ほら、今日はもう看板だよ!」
…まさに「現代の荒野」。


 さて、今日と明日の二日間は山響の定期。メインはブラームスの4番ですが、一曲目はベルリオーズの珍しい序曲「リア王」。

 私も知らない気でしたが、正直な感想を言います。「この曲のどのへんがリア王なの?」。四大悲劇中で最も悲愴だと言われる物語にインスピレーションを受けたのなら、違和感のある躁状態です。ベルリオーズらしいとも言えますが。

 全てを呪いながら荒野をさまようリア王の狂気、ということなのか?ずっと王について回る「道化」とも関係があるのかも知れません。こんな台詞もありました。

「どん底を極めれば、笑いに還るほかは無い。」


 案外、深い意図のある曲なのかも知れません。とにかく、良い演奏会になるように頑張ります。
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解禁

2014-11-20 20:56:25 | お酒の話し(山形県)
 「解禁」…どことなく、良いイメージの言葉です。

「今までよく頑張ったね…もう我慢しなくてもいいんだよ」暖かい春の陽に雪が融かされるように、抑えていた涙があふれ…。

 と、それほどのものでもないのでしょうが、ボジョレー・ヌーボーがめでたく解禁らしい。ファンには鼻血ものの「解禁日」なのでしょうか?私は興味がないのでわかりません。インパクト的には、「アユ釣り解禁」と大差ない。…いや、むしろアユの方がわかる気がします。

「パンが無いならお菓子を食べればいいじゃないの」
と言い放ったマリー・アントワネットのように、
「アユがいけないなら、他の魚にすれば?どうせ大して釣れないんだから」
これは釣り好きには言えません。狙う魚によって楽しみや技術が随分違うらしいですから、無神経な事を言うと断頭台にかけられかねない。

 しかし、ボジョレーファンには言える。
「ボジョレーがまだなら、チリワインを飲めばいいじゃん」

…きっと「そうだねっ!」と言ってくれるはず。そもそも、そう言う前からハイボールでも飲んでそうな気がする。酒飲みは、そういうものです。

 「解禁」?…何だかよく分からないけど、飲んていいならそれを飲もう。とりあえずめでたいから乾杯‼︎

 これこそが、「解禁日」の正体なのではないでしょうか。その気持ちならよくわかる。乾杯する対象は、解禁日でも君の瞳でもイワシの頭でも構わないのです。


 ということで、今年のボジョレー解禁を祝って、今夜も日本酒で乾杯します。
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祝「二分の一」

2014-11-18 22:51:58 | 山形交響楽団
 昨日は福島の郡山で山響のコンサート。「二分の一成人式」を記念して、市内の小学四年生を集めてオーケストラを聴いてもらう、郡山市では毎年恒例の催しです。


 「二分の一成人式」…そういう行事があるんですね。この世でのデビュー10周年。確かにめでたい事です。

 
 10歳といえば、そろそろ「大人も実はあまり大したことないんだな…」と思い始める、第一次の「世の中をナメる年頃」です。その後、ハタチで本当の成人式を迎えて第二次。「俺に不可能はない。社会なんてチョロいもんだ」。成人式が荒れるのも無理はない。

 しかしここがピーク。30歳の「1.5倍成人式」の頃には、「世の中って結構キビシイ。大人の皆さんよく頑張ってる」。そして迎えた「ダブル成人式」の年頃になると、自分の限界がちらつき始め、不惑のはずが迷いは深く…。

…なんてね。とにかく、明るい未来に向かって歩んでもらいたい。結局、存命中には人生を俯瞰することはできないので、前を向いて行くしかないのです。それは、二分の一だろうがダブル・トリプルだろうが同じ事です。


 ところで、私が10歳の頃にあった出来事を調べてみると…

「ダイアナ妃、チャールズ皇太子と結婚」

…もはや歴史上の出来事ですが、しんみりと感慨深い。大人達が「いや~綺麗な人がいるもんだ。世界は広い!」と感心していたのを思い出します。

 私はと言えば、その頃好きでよく見ていたテレビ番組「大江戸捜査網」の、「稲妻お竜」とか「流れ星おりん」の方が美人度高いと思ってました。昔から和風が好きなのです。


 そんな事はさておき、こうして東北の子供たちが元気に育っていくのは、やはり嬉しい。まずは祝いましょう。
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かわいい偉人

2014-11-16 22:57:36 | 芸術
 だいぶ寒くなって、遠くの山にも雪がかかり始めた今日この頃ですが、なぜか娘が「アイスクリームの歌」を歌っている。…こ存じ山形の作曲家、服部公一氏の「名曲」です。とはいえ、学校で習うにしては、ちょっと季節が違うような…どうしたの?温暖化?

「こんど、はっとり先生が学校に来るんだって。だからみんなで歌うの」
…ふ~ん、何しに来るの?というのも失礼か。 
「そつぎょう生だからだって」

 …なるほど。いろんな分野で有名になった卒業生を呼んで、公演してもらう行事があるのでした。息子も何年か前に「出羽桜酒造」の人が来たって言ってたな。

 母校で、小さな後輩達を前に「ためになる話」を聞かせるというのはどういう気分でしょうかね?まあ、私には縁の無い話です。「おじさんみたいになっちゃダメだぞ」ぐらいしか言えませんな。

 
 服部氏には、山響でも山形Qのコンサートでも、ずいぶんお世話になってます。話し好きな人なので、コンサートでお客さん相手に喋るのは何度も聞いていますが、母校の小学生には、いったいどんな話をするのか?  


 その後、旅行に出ていてすっかり忘れていましたが、昨日、宿題で書いたその日の作文を読んてくれました。

「はっとり先生は、もう八十一歳なのに、ピアノが上手ですごいと思いました」
…やはり。音楽家は弾きますね。子供の注意をひくには、楽器が一番です。しかし、若く見えるけどもうそんな歳だったか。とは言ってもここ何年か、お見かけしていません。

 元気そうだった?

「めっちゃかわいかった!」

…どういうことなのか?

 とりあえず小学生達には好印象だったようなので、他人事ながら安心しました。卒業生の偉人として音楽家が招かれるのは良いことだと思います。
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府民の森

2014-11-14 08:27:22 | 旅の空
 朝の森にやってきました。ここは「府民の森」。大阪にもこんなに静かな場所があるんですね(…失礼)。

 ということで、今回の旅行の最後は大阪。いつも泊まる中心部を避けて、東の端の方、奈良との境目のあたりに宿泊しました。鳥の声が聞こえる、のんびりした所です。

 もう紅葉は終わりですね。
  


 さて、あと一公演してから、山形へ帰ります。山形は、もうすっかり冬だとか。秋の旅行シーズンも、これで終了。本州の最南端から一路、冬の山形へ戻ります。
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白浜

2014-11-12 09:56:52 | 旅の空
 今年の春のオーストラリア旅行で、ブルーマウンテンを見ました。絶壁の上の方に、言われてみれば人の形に見える三つの岩があって、「スリー・シスターズ」という名前がついています。

  悪魔にさらわれそうになった三人の姉妹を父親が岩に変えて護った。しかし父親は悪魔にやられてしまい、彼女たちは元の姿に戻れないまま、何千年もあそこに立ち続けているのだ、とガイドさんが教えてくれました。

 …想像力豊かですね。星座にまつわる神話もそうですが、日本人よりも物語を創るのが上手いようです。


 さて、引き続き白浜に泊まっています。今朝も早起きして、千畳とはまた別の景勝地へ。

  

 旅情サスペンスのラストシーンで、真相を暴かれた真犯人が、今にも主婦探偵を突き落とそうと迫って来そうな断崖絶壁。もうすぐパトカーが駆けつけてエンドロールです。

 さてこの景勝地の名前は…「三段壁」。シンプル・イズ・ベスト。日本の漁師は神話よりも分かり易さを大切にするのでしょう。


 それにしても見事な岸壁です。はるか下に渦巻く波を見下ろすと、吸い込まれそうになる。

 ふと見ると、あちこちに立看板がありました。「重大な決断をする前に、是非一度ご相談下さい。いのちの電話」

 …やはりあるんですね。素晴らしい絶景も、どんな気持ちで見るのかによって、全く違った姿に映ることでしょう。

 サスペンスドラマなどを連想していた、お気楽な自分を軽く恥じて帰りました。
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千畳

2014-11-11 09:42:17 | 旅の空
 これはどこだがお判りでしょうか?湯浅城を出て次に向かったのは、エアーズロックの見えるオーストラリア…ではもちろんなくて、紀伊半島の西端、白浜です。

 宿を出て海岸の方へ降りて行くと、景勝地として有名な「千畳敷」が広がっています。畳を千畳敷けるほど広い砂岩の
岩盤だということですね。

  
(おわかりでしょうが、携帯を替えて、今までよりちょっとだけ写真が綺麗に撮れるようになったので、やや調子に乗っています)


 いつもの事ですが、こういう所を軽やかに歩くのに適した靴というものを一切持っていない。本番用の黒靴で無理をして転落死すると恥ずかしいので、早々に引き上げました。

 しかし、足元に注意していると目に付くのが「落書き」。砂岩は柔らかくて削りやすいらしく、結構なヤラレ方です。
「ユミ&タケシ♡LOVE」…あ~はいはい。心中するわけでもないんだろうから、景色を見たらおとなしく帰りなさい。


 さて、今日はこれからさらに南下して「本州最南端」の町、串本での公演です。
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城の朝

2014-11-10 09:12:54 | 温泉
 朝日を浴びて、そびえ立つ「湯浅城」。どこだがお判りでしょうか?和歌山県の有田。城の周りはそこらじゅうミカンだらけ。周りが明るくなるほどに、たくさんの黄色い実をつけています。


 実は昨日から、この城に逗留しています。天守閣が五階ですが、私が寝た部屋は二階です。

…わかりにくい冗談を言っているわけではありません。実はこのお城は、国民宿舎。温泉施設なのです。昔はこの向かい側の山に、本物の「湯浅城」があったようです。これは言ってみれば「レプリカ」なわけですね。


 ということで、今週の演奏旅行は和歌山県から。冬めいてきた山形からはるばるやって来た和歌山は、まだ暖かい。「秋の訪れが感じられる」といったところ。とにかく、道端にミカンがどっさりなっているのには驚きました。山形に来たばかりの時に、さくらんぼの木を見て「こんな無防備で大丈夫なのか?」と心配になったことを思い出します。

 

 城の温泉で、長距離移動の疲れもとれました。さて、今年最後の旅行、張り切っていきます。
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漂泊の思い

2014-11-08 12:09:27 | 旅の空
 さてと、少し寒くなってきましたが、秋の行楽シーズンはまだまだこれから。片雲の風にさそわれて、そろそろ旅の支度にかからねば。


 そういえばこの間、息子が「おくのほそ道」の序文を暗唱していました。学校の宿題らしい。

「月日は百代の過客にして、行きかう年もまた旅人なり…」

 意味が全然わかっていなかったのが心配ですが、覚える価値のある名文だと思います。

 あらためて読んでみると、芭蕉が旅に出たくて出たくて、ムズムズしてくるのがよく伝わってきます。気がつくと、頭に浮かぶ松島の風景しか見えていない。いてもたってもいられずに、笠を直したり、足のツボにお灸したりして、これから始まる旅にワクワクしている。

 …私も負けないよう、億劫がらずに支度にかかることにします。

 
 今度の目的地は、またしても近畿。…さすがの芭蕉でもきっと、「え~、また?」という気持ちがにじみ出た俳句を、庵の柱にかけおくと思うのたが。
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朝の気分

2014-11-06 21:33:42 | 音楽
 今週は県内でのスクールコンサート。


 たまたま、毎日のプログラムに、グリーグのペールギュント「朝」が入っています。校内放送なんかでも定番の曲ですね。

 
 絵に描いたような、清々しい朝の情景。空気も澄んで、鳥の声が聞こえてくる。さあ、今日も頑張るぞ!

…なかなか現実の「朝の気分」は、こうはいきません。

 どろ~ん。もう朝か…昨日そんな飲んだっけ?…えーっと今日は…あぁ…(気が重い予定を思い出してため息)。

…みたいな朝も多いものですね。どんなBGMが合うでしょう?

「オーゼの死」?…そこまで悲しいわけじゃない。
「山の魔王」?…不気味だがむしろ楽しい。

 ペールギュントを離れてみますか。

「小フーガ・ト短調」?…深刻な映画のワンシーンのようで、時代の流れに翻弄されて死んでしまいそう。
「グノシェンヌ」?…ずいぶん殺伐とした朝です。アンニュイな目つきで拳銃をポケットに入れ、出かけてゆく。

 変な映画の見過ぎか。単純に疲れて体が重いなら、展覧会の絵の「ブィドロ」あたりでしょうかね?


 ところで、グリーグの「朝」は、シンプルに爽やかな朝の景色を表しているものだと思いこんでいましたが、実は違う。ペールギュントが騙されて全財産を失い、サハラ砂漠でポツンと日の出を見てる場面らしいですね。

 そう考えると深い。「あた~らし~いあ~さがきった~」のような、脳天気な音楽ではなかったのです。

 全てを失ってみた時に初めて訪れた、真の解放感。心の静けさ。さあ…またゼロから始めようじゃないか。

 そういう「心の朝」だったんですね。
 
 煩悩を離れて、こんな朝を迎えてみたいものです。…難しい。
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トッピング

2014-11-05 23:20:38 | 山形
 旅行に出ると、どうしても太ります。「飲み過ぎだ」と言われれば「おっしゃる通り!」と答える他はありませんが、やはり外食はカロリーが高いのです。せめて、旅行以外の時に気をつけなければ…。


 と言いつつも、スクールコンサートの合間の昼食は、移動の途中でラーメンが多い。山形はさすが消費量日本一だけあって、畑ばかりの郊外でもラーメン屋だけはすぐに見つかるのです。

 先日も、ふと見つけた店に入り、できるだけカロリーの低そうな「中華そば(あっさり)」をオーダー。こってり系がウリの店らしいが、そんなのは知った事ではない。健康第一。健康のためなら命も惜しくはない。

 
 店員が水を運んで来る。しかし私の前に置いてくれようとした、その瞬間、手が滑ってコップをテーブルに叩きつけ、水をブチまけてしまったのです。

「ああっ、申し訳ありませんっ!」
…いや、別にほとんど濡れてないし、大丈夫ですよ。そんなに謝らなくても。

 やっぱり山形は、店員が真面目で清々しい。本当にすまなさそうにするので、こちらの方が恐縮してしまいます。


 しばらくして、注文した「あっさり中華そば」が来ました。しかし、店員がモジモジしてなかなか下がらない。どうしたのかと見上げると、申し訳なさそうに、
「先ほどは粗相をしてしまい、大変申し訳ございませんでした。お詫びといたしまして、そのままの料金でチャーシューメンにさせて頂きました」

 ええっ!そんな、気にしなくていいのに。これだから山形は素晴らしい。

 しかし、チャーシューはいらなかった。あっさりにした意味が…。

 …またカロリーオーバーか。
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