中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

楯野川「飛切濃厚仕込」

2018-10-05 22:13:22 | お酒の話(県外)
 今日も山響は県内のスクールコンサート。気持ちの良い秋晴れで、陽射しは暑いぐらいです。

 しかし、気になるのは週末の台風です。ニュースでは、山形Q定期の10/7は「北日本は大荒れか」だと。今日のように穏やかなのを見ていると、信じられないことです。


 神のご加護で、台風がそれてくれることを祈りつつ、清めの酒。…要するに、自然現象に対抗して人ができることはないので、自然の恵みを享受して感謝するしかないということです。


 ということで、久しぶりに「楯の川」の新銘柄。「秋あがり」である「源流」が出ている季節に、あえてさらに新商品の「飛切濃厚仕込」。いったいどれほど「濃厚」なのか。そのうえ「飛切」とまで言われると、これは飲んで確かめざるを得ない。

 
 山形Q定期など、シビアな本番の前夜は飲み過ぎないように気をつけている小心者のわたくしでございます。なので、普通に飲むなら前々日の今日しかないと、勢い込んで開栓。

 …濃厚?確かに「楯野川」にしては、じっくり感がありますが、澄んでいることに変わりはない。しっかりと米の旨味が感じられる、という意味では「濃厚」ではありますが、楯野川らしい、涼風のような柔らかいスッキリ感はそのままです。

 強いて言えば、秋の味覚に合うような、懐の深さが感じられる、うまい酒でした。


 「楯野川」は昔から私の、「フェイバリット」であることに揺るぎがないので、敢えて言えば、数年前に全てを純米大吟醸にしたことで「ラベルごとの個性」みたいなものは、薄くなったかなと思います。どれも素晴らしく美味い。でも、違いがわかりにくい。

 すべてクオリティが上がったのは間違いない。

 だいぶ前、庄内定期で一度だけ、社長にお会いする機会を得ましたが、もしまた、そのような機会があったら申し上げたい。

 昔にあった「激流」のような、はっきりと「振り切れた」味も欲しいのです。純米じゃないのに、あの味が忘れられない。「激流」の名の通り、スピード感がすごいのです。あれを飲むと、飲み過ぎてしまって毎回、翌日が大変なのですが、そういう個性のある酒が少なくなってきている。すべて純米大吟醸なのは素晴らしいことですが、酒米もラベルに書いてくれない。「酒造好適米」としか。ちょっと冷たい感じがしますね。


 脱線しましたが、秋らしい、深みのある味わいを堪能しました。大好きな楯野川の新銘柄。美味いのは私も保証します。是非多くの方に飲んでもらいたい酒です。
コメント

AKABU「極上の斬」

2018-09-04 21:59:06 | お酒の話(県外)
 またしても頂き物。しかし、あちこちで「注目の酒」として見かけることはあって、気になっていた酒でした。

 岩手県は大槌町の蔵。

 「大槌町」と言えば、東北ではその名を知らない人はいないでしょう。あの大震災の津波で壊滅した町です。停電の寒さの中、恐る恐る聞いているラジオで「ほぼ全域が壊滅状態」として繰り返し報道されていて、初めて名前を知りました。


 それが盛岡に移転して、再び酒造りを始めたようです。そして新しく立ち上げたブランド「AKABU」が瞬く間に賞を獲って、一躍話題になっています。見事な復活劇、誰しもが応援したくなりますね。


 今回はその中でも最高級「極上ノ斬」。最高級酒と言えば、普通は兵庫県産の山田錦を使うところですが、この蔵はあえての岩手県産。「結の香」という酒米を35%精米。…郷土の誇りにクッと来ます。


 さて、味見。無条件に応援したくなるバックグラウンドはそれとして、容赦無く味を見させていただきます。
 
 …なんとも静かで落ち着いた味。ほのかに甘い香りはあるものの、ふわっとせずに、あくまで控えめ。味には一本、芯があってそれがひんやりとした輪郭を見せます。山田錦よりも真っ直ぐな感じが「斬」のイメージなのでしょうか。

 さすがは歴史のある「南部杜氏」。どんなことがあっても、媚びるようなことはしないという潔さが伝わって来ます。鎧兜のデザインも、そうした意気込みの表れなのですね。

 澄んでいるがフワッとしない。気高さを感じる逸品です。被災蔵だからという同情は一切無用のようですね。


 ぜひとも、さらにメジャーになって欲しい酒です。
コメント

豊盃「秋あがり」

2018-08-28 21:18:37 | お酒の話(県外)
 夏バテを吹き飛ばすべく、パアッと飲みましょう!

 そういう心構えのせいか、私は夏バテというものをしたことがありません。「食欲」が衰えたことはない。いわんや「飲欲」をや…。少しは夏バテした方が良いのかも。

 
 ということで、世の中は残暑でいっぱいですが、日本酒の世界はではきちんと秋の訪れが来ています。いわゆる「秋あがり」が出始めている。これだけ暑い中の「秋あがり」も珍しいことです。


 そこで、青森の銘酒「豊盃」の秋あがり。

 アフィニスだの何だのと、疲れやら暑さにやられ「このままでは怒涛の芸術の秋に耐えられない」という危機感に追い詰められた気分を変える「カンフル剤」です。


 山形市の行きつけの酒屋で「おひとりさま一本限り」の但し書きとともに売り出されたもの。

 
 さっそく味見すると……世の中の何もかもが許せるぐらいに旨い。この優しい「まろやかさ」はどこから来るのでしょう。

 「今日もお仕事お疲れ様でございました」…美女が言いながら、芭蕉の葉でゆったりゆったりと扇いでくれているような、この味わいを何と表現しましょう。

 とにかく柔らかいのです。心の隙間にしっとりと染み込んでゆく感じ。本当に素晴らしい。この「包容力」は全国でも、比肩するものがありません。


 ひと足早い「秋」を堪能…というよりも、夏の疲れを癒す心地よい「秋の風」を堪能しました。
コメント (2)

ファンティーニ

2018-08-11 23:59:37 | お酒の話(県外)
 整体の先生に言われますが、日本酒は体を温めるので、私の腰痛にはむしろいいと。

 しかし、ビールとかその他は良くないらしい。


 しかし…これだけ暑い日が続くと、夕食時のビールは必須です。ほてった体を冷やしたいという生理的なものでしょう。

 そして、キンと冷えた白ワインが飲みたくなる。…やはり日本酒は体を温めるというのは本当なのでしょう。これだけ日本酒中毒の私でも、暑すぎると、他のものが飲みたくなる。


 ということで、イタリアの白。「ファンティーニ」です。近くのスーパーのフェアで試し買いしたものですが、これほど、日本酒の「新酒」に近いワインも珍しい。

 はじける葡萄。このフレッシュさは素晴らしい。…生の葡萄を好まないくせに、偉そうなことは言えませんが、この雑味のなさには、キュンとなってしまいます。


 スッキリ爽やか。体は冷えてしまうのかも知れませんが、この時期なら許されるでしょう。

 気持ちよく納涼。
コメント

夢花火・恋花火

2018-07-28 22:46:24 | お酒の話(県外)
 新潟でゆっくりできないので、せめて自宅で新潟の酒を。もちろん頂き物ですが。…感謝!


 「夏子の酒」で有名な長岡の蔵。恥ずかしながら「夏子の〜」は知りません。しかし、これがもとで幻の酒米である「亀の尾」が復活したという知識はあります。

 「亀の尾」では、山形でも素晴らしい酒がたくさんあります。それらを呑んだ印象で語れば、やや硬質なキレのある味わいの米なのかなという印象でした。


 それをこの度、本家本元の蔵の「亀の尾」を使った、しかも随分と気合の入ったネーミングの酒で味わえるとは。


 心して味見を…

…淡い味の酒です。新潟らしさがあるとしても、ここまで柔らかくなるとは思いませんでした。一瞬で消える「花火」しかも「夢」…。なにか「はかなさ」みたいなものをイメージしているのでしょうか。

 何度口に運んでも、ため息のように消えてゆく。

 山形の蔵が「亀の尾」に対して持っているイメージとはずいぶんと違うようですね。山形のが明るくパリッとしているのに比べて、本家新潟はフワッと優雅。

 水や酵母の違いはあるでしょうが、杜氏のイメージの違いがここまでハッキリと伝わるのは面白い。


 堪能しました。
コメント

庭のうぐいす(純米吟醸・うすにごり)

2018-06-06 21:32:12 | お酒の話(県外)
 前から気になっていた「庭のうぐいす」。福岡は久留米の銘酒ですが、山形の酒屋にあったので。

 気候はすでに真夏の今日この頃ですが、もう少しだけ「春」の余韻を感じていたい。…現実逃避の一種かもしれません。

 ということで、生酒の「うすにごり」を。

 九州の酒は基本的に、甘みが強くてふんわりしています。醤油にも通じる。キリッと感よりも、まったり重視。風土でしょうね。

 しかしこの「うぐいすにごり」は、さすが生酒だけあって、とことん「爽やか」。甘みもフレッシュな感じ。わずかに「シュワシュワ」した感じが、みずみずしさをアップしてます。

 これだけ日本酒を呑んでいると、酒と季節の関係が身体に刻み込まれてきています。ビニールハウスの野菜のように、体感的に反応してしまう。

 一瞬、「春」に戻りました。

 さて、フレッシュな気持ちで、今年も頑張ります。
コメント

八海山(純米吟醸)

2018-05-10 23:00:28 | お酒の話(県外)
 言わずと知れた「八海山」。まさに原点回帰。初心に帰るような気持ちです。この間、親戚にもらった純米吟醸。


 学生の頃は、日本酒の味は大してわからなかったので、「何にします?」と言われるととりあえず「八海山」と言ったものです。

 「なんとかのひとつ覚え」だとしても、お気に入りの銘柄をコールするのはカッコいい。酒好きならそのぐらいはできないと恥ずかしいと思う年頃でもありました。

 しかし実際、八海山は東京の普通の居酒屋にある酒の中では、格段に美味しかった。もちろん普通の本醸造です。それでも「なんて飲みやすいんだろう…これが新潟の淡麗ってやつだな」と感心したものです。

 時が経って、今では店で「八海山」をオーダーすることはほとんどありません。理由は二つ。八海山が値上がりしたことと、八海山よりも旨い酒がたくさん出回るようになったことです。

 しかし、今回、久しぶりに純米吟醸の「ちゃんとしたやつ」を飲んでみて、あらためて感動しました。

 もちろん、これだけいろいろ飲んできたので、昔とは全く印象が違います。「飲みやすい」酒だとは思わない。むしろ、ちょっと硬くて融通がきかない感じ。でも一本、筋が通って潔い、媚びてないキリッとしたものがあります。

 魚沼で見た、あの八海山の山のような超然とした輪郭を思わせる、ひきしまった酒なのです。


 「なんだ八海山か…懐かしいな」というような、だらけた気持ちを一喝された感じ。襟を正して堪能させて頂きました。
コメント (2)

花垣「究極の花垣」

2018-04-22 21:21:09 | お酒の話(県外)
 「究極」!

 と自ら銘打つ酒。これはぜひ味わってみたい。福井の銘酒「花垣」です。山形には、こういうネーミングは少ないですね。控えめなのでしょう。


 さて、「究極の」というだけあって、かなりの高級酒。鑑評会に出すために山田錦を35%まで磨いた大吟醸です。最近、私が日本酒マニアなことが周知の事実となっているようで、みなさんかなりのものを下さる。…恐縮のかぎりです。気を遣いすぎないで頂きたいとは思いつつも、やはり嬉しいものです。

 ところで、鑑評会に出すような気合の入ったものは、それぞれの蔵にあるものですが、この「究極」が違うのは、超限定だということ。写真では分かりづらいでしょうが、瓶ごとにナンバーが入ってます。「限定2650本」中の、これは「No.0467」だと。…これはすごい。マイナンバーなどよりもずっとありがたいものです。


 福井の酒といえば、「黒龍」や「梵」に代表されるように、まろやかでスッキリしていながらも、一本筋の通った深い味わいがあるのが特徴です。富山や石川よりも、高級酒と珍重される銘柄が多いのがうなずけます。すごく平たく言うと、新潟のものよりも濃くて深い。そして山形のものよりも、素材に任せきりにせず手をかけている印象です。


 そして、この「究極花垣」もまさにそうでした。手をかけた酒が持つ「シルキーな」舌触り、しかし米の味の輪郭ははっきりと感じられる。香りは抑えめで、喉を通った後に鼻に抜けるのではない、しっかりとした余韻が残る。強烈な印象が無い代わりに、いつまでも飲んでいたい酒です。


 東北の酒よりもゆっくり流れるような、「究極の」良い時間を堪能しました。
コメント

臥龍梅(純米大吟醸)

2018-04-13 21:15:26 | お酒の話(県外)
 静岡の銘酒「臥龍梅」です。

 ただいま、山形は桜の見頃を迎えています。山響の業務もひと段落したし、本当は昼間から花見酒と行きたいところ。

 ですが、明日の山形Q定期がありますので、本日ももちろん練習。花見は、早朝のウォーキングで河原の桜を見るぐらいです。…残念。

 その代わり、というわけでもありませんが、先日、友人にもらった銘酒でも。

 静岡は一説によると、山形・新潟に次ぐ銘醸地だそうで、飲食店が選ぶランキングではかなりの高評価だとか。その中でも、この「臥龍梅」は随一の呼び声が高い。

 私ももちろん名前は知っていましたが、きちんと飲むのは初めて。それも純米大吟醸。心して開栓。


 静岡の酒は、味が濃くてやや「つんとした」印象がありましたが、この臥龍梅はさすが。しっかりしていながらスッキリ。味わいが深くも透明感がある。

 桜の代わりに、梅を堪能しました。


 明日の夜は、桜の代わりに山形Qがおもてなしいたします。
コメント

至(活性にごり)

2018-03-09 23:15:40 | お酒の話(県外)
 祝い酒…とはいえ例によって頂き物ですが。

 
 新潟の佐渡の銘酒「至」(いたる)の純米吟醸。しかも、活きの良い「活性にごり」。

 この「活性」は、初心者には、開けるのが難しい。「さあ、開けましょう」とばかりに普通に開けると、恐ろしい事になる。フタをゆるめたとたん、沸騰したようになって噴きこぼれる。これは初心者には絶対に防げない、テーブルを水浸しにすること間違いなしです。私も数回やらかしました。

 ではどうしたらいいか。軽く栓をゆるめたら、ジュワッと湧き上がる泡が口のところまで上がってくるので、急いで締め直す。すると落ち着いてくるので、もう一度緩める。すると再び、ジュワッと。急いでキュッと閉める。ジュワッ、キュッ。…その繰り返し。

 今回の「至」は活きが良く、この作業に10分以上かかりました。


 しかし…この天然の炭酸が本当に旨い。スパークリングのような、後から無理やり入れた炭酸とは、まったく質が違います。

 結婚式などのパーティーでは、最初にスパークリングワインを飲むことが多いですが、正直「旨い」と思ったことはほとんどない。それをこの「至」のような酒にすれば、どんなに素晴らしいか。価格だって、全然安いはずです。

 とにかく爽やかで旨い。ほのかな甘酸っぱさと、なにより生き生きとはじける感じが心地よい。


 早春にふさわしい、明るくて爽やかな酒でした。
コメント (2)

田酒(純米大吟醸)

2018-02-26 21:51:48 | お酒の話(県外)
 とっておきのやつをオープン。ある程度以上の価値のある酒は、開けるのにもキッカケを必要とするものです。


 言わずと知れた青森の、と言うより東北を代表する銘酒「田酒」の、しかも純大吟。入手困難なプレミア酒のひとつです。

 全国には「定価で買えない酒」が数種類ありますが、そのうちの三つは東北。ひとつが山形の「十四代」、会津の「飛露喜」、そして「田酒」です。


 普通酒でさえ手に入りにくい「田酒」の、しかも最高級グレードのものですから、もちろんいただき物。深い感謝を忘れずに開栓。

…なんと。

 ブランドが肥大し過ぎた「田酒」の時代は終わり、実質的には「豊盃」にとって代わられたと思っていましたが、ハイグレードのものはやはり、まだまだ違います。これほどまでに深みがありながらも、夢のように美しく消えてゆくという、その振幅は一線を画すものです。ほとんどイリュージョン。…壮大な蜃気楼を見たような心地でした。


 「春の夜の夢のごとし」…とは、平家物語以来、マイナスなものの喩えですが、言い換えればそれほど美しいものは無いということでもあります。

 まだまだ寒い折ですが、祝宴にふさわしい華やぎを堪能しました。
コメント

喜久泉「大吟醸」

2018-02-03 23:59:48 | お酒の話(県外)
 節分といえば…恵方巻、なのでしょうか。数年前までは聞いたこともなかった「恵方巻」ですが、昨今ではもはや「豆まき」を上回る勢い。スーパーは「恵方巻」一色です。

 今年は受験生がいる関係で、「ゲンを担ぐ」関係に敏感になっている我が家。外すまいと恵方巻。まずは受験生の息子に。かぶりつかせました。

「南南東だってよ」
「こっちだろ」
「ちがうじゃないかっ、縁起でもない!」
…戦々恐々としております。


 さて、夕食が恵方巻となると、やはりそれなりの日本酒を飲まなければ…

…もはや、まったく縁起とは関係がありませんが、温存しておいた頂き物の銘酒を、この時とばかりに開けるのでした。


 ということで「喜久泉」。青森の「田酒」の蔵で醸された銘酒です。山田錦を40%まで磨いた大吟醸。これほどの酒は、なにかきっかけが無いとなかなか開けられません。

 南南東を向いてさっそく味見を…

…素晴らしい。さすがは田酒の蔵だけあって、濃厚ですが変な重さはまったくなし。爽やかに流れるような後口です。しっかりと温かいのに重くない…高級な羽毛布団のようですね。

 豊盃のように薫り高くはないものの、米の味わいの奥行きでは優っています。


 瞬く間に四合瓶が空になり、気持ちよく豆をまきました。

 福が来ますように!
コメント

嘉泉「田むら」純米吟醸

2018-01-23 20:57:05 | お酒の話(県外)
 ・・・・・・また日本酒?

 という声が聞こえて来そうですが、この度の山形Q定期に、わざわざ東京から来ていただいたお礼をかねた日本酒レビューです。

 呑んでばかりいる、ということではなく、礼儀正しいのだと理解していただきたい。

 それにしても、遠くから足を運んでくれた上に、このようなものを差し入れてくださるとは…!演奏会をした甲斐があるというものです。


 ということで、貴重な「東京の地酒」。福生にある蔵の酒「嘉泉」の新しいブランド「田むら」です。

 …東京出身の私ですが、全く知りませんでした。東京の酒は青梅の「澤乃井」だけかと。

 こちらは福生ですが、奥多摩の水で醸されているのは同じでしょう。


 ビンの裏のラベルを読むと、随分と歴史のある蔵のようです。「文政5年」。江戸時代ですね。

 さっそく味見を。

…居合で斬られた感じ。ズバッと袈裟がけにやられました。「剣客商売」なみの切れ味です。

 静かで澄んだ香りを感じた瞬間には、もう切れている。サムライの酒ですね。

 やや渋味を感じます。平たく言えば「辛口」。不思議なことですが、灘の酒にも近いような、硬質な味わいです。「都」の酒として、あちらを意識したのでしょうか。


 サムライの名刀を堪能しました。
コメント

豊盃「新酒」純米吟醸

2018-01-11 20:39:06 | お酒の話(県外)
 今年の正月休みは短かったので、いまひとつ物足りないような気持ちを残したまま仕事始め。多忙な日々が始まっています。

 気持ちよくこの一年を頑張るためにも、何か自分に「埋め合わせ」しておかなければ。


 ということで、にぎにぎしく、新春の銘酒シリーズ第2弾。酒好きには有名な、青森の星「豊盃」の「新酒・純米吟醸」がたまたま手に入ったので。

 
 この間、つまらないニュースを見ました。なんでも青森県は全国の中で毎年、平均寿命の短さでワーストになっているとか。記事では、塩分の摂りすぎ、喫煙率の高さ(それが言いたいんでしょ)や飲酒量、そして「別に長生きしたいと思わない」という意識などが原因として挙げられていました。

 統計の取り方にもいろいろあるでしょうから大した意味はないと思います。しかし、ひとつだけ確信を持って言えることは、「青森の酒は旨い」ということです。これを飲んで「長生きがなんぼのもんか」というのも納得がいくほど。


 それはさておき、豊盃。豊盃といえば、特長はとにかくその柔らかさ。柔らかくて上品な香りがフッと立ちのぼったかと思うと、ほのかな甘みを残してスッキリと消えていく。この雪に埋もれた極寒の地で、これほどまでに優雅で繊細な香りが、透明でまろやかな喉ごしが生まれるのは、驚異的です。いや、雪国ならではの美しさというべきでしょう。


 こんなに美味かったら寿命を犠牲にしても…というセイレーンの歌声のような魅力があるということなのか?

 その気持ち、わかるような気も…

…いやいや、きっと雪深さによる運動不足や、寒いが故の塩分摂取量とかのせいでしょう。


 水も食べ物も酒も旨いのは山形も同じです。「百薬の長」の力を活かして、日ごろの運動を心がけるなど、汚名を返上できるよう頑張りましょう。
コメント (2)

福寿「超特撰大吟醸」

2018-01-04 22:58:55 | お酒の話(県外)
 新春1本目は、縁起をかついで「超特撰大吟醸」。今年こそはゴージャスな一年になりますように。

…というのは後付けで、去年のお歳暮に頂いたものです。


 珍しく、灘の酒…。灘はもちろん、日本の由緒正しき名醸地ではありますが、水が硬い。正直なところ、ちょっと苦手です。鬼平が広めの盃でキュッとあおるのに適したようなサムライ系の酒が多くて、私のような現代の軟弱者では、口の中で渋く感じてしまうものが多いのです。

 しかし、金賞受賞の超特撰!新年にふさわしいことこの上ない。ありがたく頂くとしましょう。


 ということで意を決し、街を探索する鬼平になった気分でキュッと。

 …美味い!何でしょうかこのスッキリ感は。…思わず動揺する鬼平。


 ここで、積年の謎が解けました。

 鑑評会に出品する気合の入った「大吟醸」は、どこの蔵も、なぜこんなにまで旨味の少ないぼんやりした酒が多いのか不思議に思っていたのです。純米で充分旨いのに、どうしてわざわざアルコールを添加して、変にフワッとさせるのかと。

 これは恐らく、伝統的な灘の酒造りに倣ったものなのではないでしょうか?(今日、私個人が思いついたことなので根拠はありませんので念のため)。

 しかし、このやり方は、灘の硬水には最高に合うのです。ツンとした味が、絶妙にまろやかになる。これを、東北の酒のような軟水でやってしまうと、柔らかいばかりの上品なだけで実体のない酒になってしまうのです。「普通にしてれば旨いのに、なぜシナをつくって賞を獲りにいくのか?」と残念な気持ちで「出品酒」を飲むこと多数でしたが、これは水の違いによるものでしょう。

 灘の酒でこれをやると、角がとれて味の透明度が増し、ゾッとするほど綺麗な姿が浮かび上がるということがわかりました。歌舞伎の「女形」を見るようです。素材の良さで勝負する東北などとは違い、計算された業によって自然の美を超えてゆくという、日本の伝統芸の粋を見たような気がします。


 新年らしい、「みやび」を堪能しました。
コメント