中爺通信

酒と音楽をこよなく愛します。

緑川「雪洞貯蔵酒」

2022-10-31 21:50:00 | お酒の話(県外)
 昨日、南会津のコンサートでモーツァルト「第五番・トルコ風」を演奏しましたが、私たちヴァイオリン奏者にとっては、モーツァルトの協奏曲は「原点」のようなもので、聴くだけで思わず緊張するような曲です。

 というのも、プロのオーディションは必ずモーツァルトの協奏曲が一次審査です。

 私も山響のオーディションでは「第5番」を弾きました。入団してからも、毎回のオーディションで数知れず、それぞれの文字通り「人生を賭けた」モーツァルトを聴いている。そして申し訳ないと思いながらも採点表に「×」をつけたりしているので、もはや普通に鑑賞できなくなっているのです。

 今回の漆原さんの演奏は「まさに模範」という感じで、襟を正さずにはいられない気にさせられました。ヴァイオリン奏者を志す者の「原点」を思い出させるようなものです。

 さて、山形に戻って旅の疲れを癒すべく飲んだのは、新潟の銘酒「緑川」。

 山響に入団して毎年、新潟に演奏旅行に行くようになり「新潟の酒ってこんなに美味いのか!」と思った、魚沼を代表する酒です。

 季節ものの「雪洞貯蔵酒」。原点回帰のつもりで思わず買いましたが、やはり旨い。魚沼の水のせいなのか、舌に心地よく吸い付くようなこの透明感は独特のものです。昔の感動が蘇ります。

 「原点」を堪能して、活力をもらいました。
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南会津

2022-10-29 23:59:00 | 旅の空
 今週末の山響は南会津でのコンサート。ゲストのソロにヴァイオリンの漆原啓子さんを迎えてモーツァルト「トルコ風」、地元中高生の吹奏楽部との競演、その他オーケストラの小品の数々。指揮は大井剛史氏。

 会津若松に宿泊しましたが、昔よりも開いている店が少ない印象で残念。コロナのせいでしょうか。それでもハロウィンの効果で、営業している所はどこも賑わっていました。

 久しぶりでしたが、落ち着いた良い街です。会津の銘酒「飛露喜」を堪能しました。

 南会津でのコンサートは五年ぶり。きちんとしたホールもあり、お客さんも温かい。もう少し頻繁に来たいところです。
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昭和の技

2022-10-27 20:49:00 | 雑記
 山形Q定期の翌日は、山響の休日。これはとてもありがたい。疲れを癒すためと言うよりも、それまで後回しにしてきた雑事を片付けるのに必要な時間です。…自分達でやる自主公演というものは、演奏以外の負担が大きいのです。よくこんな事を85回もやってきたもんだなあと。この歳になると実感します。

 ということで、朝からまず歯医者へ。3ヶ月ごとのメンテナンスですが、こういう予定も、すべて「演奏会前は無理だから後まわし」。

 じつは、2ヶ月ほど前から歯茎が腫れているところがあったのです。でも「本番後にしよう」と今日まで放置。

 歯周病ではないようだということで、レントゲンを撮ってみると、昔に治療した歯の内部がどうも、おかしくなっているらしい。

「この歯はずいぶん前に治療なさって、そのときに神経を殺してあるようなんですが…」

 …それって、小学生の頃です。おそらく40年近く前。ということはバリバリの「昭和」。

 科学技術や医学の進歩が目覚ましい昨今、40年前といえば、もはや完全に時代が違うことでしょう。

 その頃の歯医者を思い出しました。足踏みミシンみたいなリールが回っている機械で歯を削られて、アルコールランプで熱したパテみたいやつでその後を塞がれる治療でした。…あの頃から考えると、今のこの治療室は、たしかに近未来です。
 
 その頃の治療に不備があるのは、当然だと思ってしまう。むしろ、令和の今までよく持ちこたえたと言ってやりたい。逆に、昭和日本の技術力の高さを感じます。当時すでにあれほどヨボヨボのお爺さんの先生が、令和まで通用する治療をしていたのかと。

 結局、詰め物を外しての治療を予約しました。50過ぎまで保ったのですから、あの頃の老歯科医に感謝したいと思います。

 …やはり職人は、歳をとっても良い仕事をしなければいけません。それは後の世の中まで遺ります。見倣いたいものです。
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山形弦楽四重奏団第85回定期演奏会終了

2022-10-25 23:11:00 | 山形弦楽四重奏団
 ついに「第85回」が終わりました。平日にもかかわらず、たくさんのお客様のご来場、誠にありがとうございました!

 今日は私がプレ・トークを担当しましたが、実はこの時間が嫌いではない。もちろん、本番前にトークなどするのは気が進まないのですが、それでも、いつも来てくださる顔が見えて、そのみなさんに今回の演奏会の聞きどころと言うか「意気込み」を、直接語ることができるのは嬉しいことでもある。

 もう本当に、常連の皆様に支えられているので、「顔なじみ」を超えて「お友達」と言ってもいいぐらいに思っています。演奏ではもちろんですが、言葉として感謝を伝えたいし、ただ単にお話ししたいのです。

 今回は「魔笛」をじっくりと聴いていただきました。フルート四重奏版、いかがだったでしょうか?

 もともとの曲が素晴らしいので、それなりに楽しんで頂けたのではないかと思っています。

 私たちもオーケストラで何度も演奏している曲だけに、あらためて新鮮に楽しむことができました。

 オーケストラとは違って、ひたすら吹きっぱなしのフルートでしたが、小松崎さんの集中力も素晴らしく、客席の反応も良かったように感じました。

 さて、次回は1月22日。今度は山響オーボエの柴田氏をゲストに迎えて、ヴァンハルなど知られざる名曲を。ぜひ、お楽しみに!
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いよいよ明日!

2022-10-24 21:00:00 | 山形交響楽団
 山形Qの第85回定期が、いよいよ明日です。

 最終のリハーサルの今日は、やまぎん県民ホールの練習室。やはり、本番に向かうための集中力を磨き上げるために、いつもと違う環境で緊張感をもって練習するためではなく、ただいつものコミュニティ・センターが使えなかったためです。

 とはいえ、場所を変えたことによる効果もあります。

 不思議なもので、会場の響きは「身につく」。「慣れている」ということだけで、いつものコミセンの「研修室3」は落ち着くのです。「いつも通りだ」と感じられることは、年々、歳をとったり疲れやすくなったりしている自分に安心感を与えてくれるものなのです。

 それが、本番の会場に来て音を出した途端に「なんかいつもと違う…調子が悪いのかな」などと不安になったりするのです。私たちにとっては文翔館も「おなじみ」なので、もはやそういうことはありませんが、初めての会場だと、ただのBGMの仕事でもナーバスになったりする人もいる。

 そういう意味では、違う会場で練習できる機会はありがたい。今日の練習室は響きも良くて、使用料も安くて、本当に素晴らしい、逆に「いつもこんなところで練習してると良くないな」とも思ってしまうのは貧乏性みたいなものですね。

 さて「魔笛」の仕上げ。前回の録音を客観的に聞いてみて、気になったところなどを確認します。弾いているときには感じなくても、録音では「ああ…間延びしてるな」とか「メリハリが足りないな」とか。

 今朝はイヤホンでその録音を聞きながらウォーキングしましたが、「あぁー」とか「ああっ!」とか声が出てしまっていました。

 そのあたりを手直ししつつ、最終確認。

 明日は良いコンサートになるように頑張ります。とにもかくにも、曲が素晴らしいので、会場の皆さんと一緒に楽しめればと思います。

 いつも通り、18時45分開演です。たくさんのお客様をお持ちしております。
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秋場所

2022-10-22 23:59:00 | 山形交響楽団
 山響の304回定期演奏会が終わりました。

 「新世界」のような、オケがやり慣れている曲をあらためて自分の解釈で創り直すのは、指揮者にとって本当に大変な事だと思います。よほどの「巨匠」でないかぎり、オケのメンバーの方がその曲の演奏経験がある。「この曲は…」などと注意しても、ヘタすると「おい兄ちゃん、こちとらお前が生まれる前からどれだけこの曲弾いてメシ食ってると思ってんだ!」ということになりかねない。…ちなみに山響にはそんな、やさぐれた人はいませんけどね(念のため)。

 今回指揮の原田氏はそれを、彼なりのスタイルで、見事にやってのけた感じがします。いいようにドライヴされた感じ。心地よさもあります。それだけ実力のある指揮者だということでしょう。

 ご来場のたくさんのお客様はどう感じたでしょうか?

 さて、来週は県内のスクールコンサートと、山形Qの定期、そして南会津での演奏会…忙しい秋が始まっています。歳を経るごとに、疲れを溜めないような工夫が必要になりますね。
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新しい世界

2022-10-20 21:39:00 | 山形交響楽団
 今週の山響は、今週末の定期演奏会。

 指揮者には俊英の原田慶太楼氏、ピアノのゲストには阪田知樹氏、委嘱新作は若手作曲家の小田実結子さんという顔ぶれです。

 小田さんの新作から始まって、阪田氏でドヴォルザーク「ピアノ協奏曲」、そしてメインは「新世界」というプログラム。山響50周年にふさわしい華々しい企画です。

 昨日からリハーサルがはじまっていますが、原田氏はさすが引く手あまたなのがわかります。「新世界」のようなやり慣れている曲で、新たに集中力を喚起するには相当の実力が必要なのですが、充実したリハーサルになっています。

 小田さんの新曲は、出羽三山のイメージで書かれたもので、現代曲のとっつきにくさは無く、若いピュアな感性がそのまま音になったような、爽やかな作品です。…リハーサルに立ち会ってくれていますが、本当に若い娘さんです。指揮者はおろか、作曲家まで、こんなに私よりもずいぶん歳下になってしまったのかと思うと、ちょっと参ります。

 そしてピアノの阪田氏も、もちろん若い。世界の有名コンクールで賞をとったような若き天才が、ドヴォルザークの滅多に演奏されない渋い曲を今に蘇らせるのは、貴重な瞬間だと思います。

 チケットはほぼ完売のようです。良いコンサートになるよう頑張ります。
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行政書士会からの魔笛

2022-10-18 21:10:00 | 山形弦楽四重奏団
 芸術の秋。ありがたいことに、忙しくなってきました。しかし今日は山響は休日。ということで、昼間から…

 …飲酒?違います。

 山形Qで山響関連のアンサンブルに駆り出されておりました。

 行政書士会のイベントにて、来場者へのサービスとしての、弦楽四重奏のコンサート。

 山響新人のヴァイオリニスト河村佳奈さんをゲストの第1ヴァイオリンに加えて、ハイドン「日の出」などを中心に40分ほどのミニコンサートでした。

 行政書士会?イベントやコンサートの主旨などを全く理解していないまま、事務局に命じられるままに演奏するので、その場に適したものだったのかどうかはわかりませんが、お客さんたちの反応を見るに、おおむね喜んで頂けたのではと安心しています。

 個人的には、若い新入団員と一緒に、やり慣れているハイドンを第2ヴァイオリン で演奏できるのが新鮮で嬉しい機会でした。…それにしても、最近の山響の新入団員はレベルが高い。隣で弾いていて嬉しくなります。お客さん以上に、楽しいひとときを過ごさせてもらいました。

 さて、終演後は急いで、いつものコミュニティ・センターへ。山形Qのリハーサルです。本番間近なので、休んでいる時間はありません。

 フルートの小松崎さんを交えて「ラス前」の練習。だいぶ、仕上がってきた感覚ではいますが、客観的に聴く必要もあるので、録音をとりながら。

 次回、本番前日の最終練習に活かしたいと思います。

 ところで、今日のイベントでは、山形Qの宣伝もさせてもらいました。終演後に声をかけてくださった方から「今日は感動しました!25日も楽しみに行かせていただきます」と嬉しいお声がけもいただきました。

 やはり、いろいろなところに出かけて行って、実際にたくさんの人に触れて、喜んでもらい、さらに興味を持ってもらう。これ以上に大切なことは無いと実感します。コロナが「落ち着いてきた」とはまだ言えない状況ではありますが、今日のような機会が増えてくれることを願います。
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和の基本

2022-10-17 21:30:00 | 雑記
 どんな料理でも美味しく日本酒を飲める体質になりました。パスタ、シチュー何でも来いです。そういう時は、やや酸味が強めの日本酒を合わせれば、案外、安物の白ワインよりも上質なひとときになります。

 とは言え、自分で選ぶなら、やはり日本酒には和食です。


 ということで、山響がお休みの今日。料理当番の私が選ぶのはもちろん「和」。ベタではありますが「筑前煮」と「酢の物」としました。

 男の料理のコーナーですので、無知失言等、いろいろご容赦ください。


 酢の物は、きゅうりとワカメとタコの刺身。味が染みやすいように、ということと、見た目を重視して、私しか使わない愛用のスライサーできゅうりを刻みます。

「こんなに薄く、どうやって切ったの?」と言ってもらえるわりに、早くできる。便利な道具です。まあ、「心を込めて切るのがコツかな…」と言い終わる前に「スライサーか」と言い当てられるわけですが。


 そして筑前煮。簡易版なので、レンコンとか絹さやは無し。とにかくダシ多めの「割りした」をしっかり作って、「落とし蓋」で煮込めば完成したも同然です。

 とりあえず日本人は、鶏肉と椎茸を醤油で煮ると、テンションが上がるものですね。香りだけで酒が飲めます。

 それはともかく、今夜も無事に、好評を博しました。

 それにしても、いつも思うのは、レシピの「〜人前」を倍にした場合、調味料は倍にすると多過ぎる。ここらへんが素人には本当に厄介です。

 それと、厚揚げなどパックにされて売られているものは、それが何グラムなのかきちんと表示して欲しい。100グラムあたりのカロリーとか要らないので。

 太めの人参が一本だけで300グラム以上あるということを、今日、家で測って初めて知りました。

 売り場も、レシピも、素人にやさしい表示をしてくれれば、もっと男性が参入しやすくなると思うのですが。
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叡智

2022-10-15 22:31:17 | 山形弦楽四重奏団
 山形Q85回定期のリハーサルも、残すところ3回となりました。今回もフルートの小松崎さんが入って「魔笛」を中心に。それなりに仕上がってきました。弾くたびに、曲の良さを再確認します。

 さて「魔笛」の面白さは、なんと言っても登場人物のキャラクターと、それを引き立てる音楽です。夜の女王は暗く激しく、ザラストロは荘重で、パパゲーノは軽快。どれも性格分けがはっきりしていながらも、音楽単体でも充分に聞き応えがある。この完成度に、モーツァルトの「気合い」が感じられます。

 それもそのはずです。この物語は「寓話」なので、それぞれのキャラクターは象徴するものがはっきりとしています。

 ザラストロは「法と叡智」、夜の女王は「迷信」、パパゲーノは「原始的な状態の人間」、タミーノは「人民」、夜の女王の3人の侍女は「宗教」(キリスト教・ユダヤ教・イスラム教)、モノスタトスは「利己的個人」…なるほど!と感心させられますね。

 宗教を「迷信の手下ども」とぶった斬るあたりは、当時としては確かに危険思想かも知れません。

 ちなみに「叡智さん」ザラストロには、ボルンという実在のモデルがいたようです。彼はオーストリアのフリーメイソンの主導的な立場の鉱物学者でした。錬金術などに走ろうとする一部のメンバー排除して、人権擁護活動をしたりした人格者です。モーツァルトも彼に心酔していたようです。ザラストロの「全能」感は、ここから来ているのでしょう。

 こういうモーツァルトの「思い入れ」が、作品に力を与えています。…映画「アマデウス」の軽薄な才子のイメージとずいぶん違いますね。

 聴けば聴くほど、知れば知るほどに、「魔笛」がモーツァルトの「渾身の作」だということが、本当によくわかります。

 本番まであと10日ほど。ラストスパートです。
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新陳代謝

2022-10-12 22:13:00 | 山形交響楽団
 今週の山響は、県内のスクールコンサート。すっかり涼しくなって、学校の体育館は寒いぐらいです。

 私たちも生徒たちも、みんなマスクをしていますが、全体の雰囲気は「通常」の感じで、なんとなくホッとします。

 昨日は酒田、今日は尾花沢でしたが、午前の本番と午後の本番の間に、それぞれの地域での行きつけのお店で昼食。そういうのが「平穏」だし、ホッとする。酒田だとラーメン、尾花沢だと蕎麦になるわけですが「久しぶりにあそこの店かな」などというのが楽しいものです。

 ところが、やはりここ数年のコロナの影響や、そもそも店主が高齢で継ぐ人がいないなどの理由で、お店がなくなっていることもある。考えてみれば私ももう山響で25年。四半世紀ですから、無くなるお店があるのは仕方がない。

 …それでも、寂しいものです。

 ここの地域ではあの店、と楽しみにしているところもあって、そこが消えてしまうと途方に暮れる。

 ところで最近、山響にもたくさん新人が入って、代替わりが進んでいます。

 「馴染みの店が…」などと言っていますが、私も入団した頃は何もかもが目新しくて、どこの町に行っても冒険なのが本当に楽しかった。

 その頃はその頃で、古い人から見れば、前から続いている過渡期だったのでしょう。

 人も町も、新陳代謝が進んでいきますね。
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上喜元「限定大吟醸」

2022-10-11 22:51:00 | お酒の話し(山形県)
 ずいぶんと酒が弱くなりました。年齢はもちろん、やはり肝機能のせいでしょうか。

 アルコール関係の自己採点で「酔って記憶をなくすことがある」というのがありますが、細かいことを含めると、最近はほぼ毎日「あてはまる」。

 このページも夜、寝る前に書くことが多いのですが、正直なことを言いますと、翌日になって昨日何を書いたのか、まったく思い出せない日がわりとあるのです。

 …様子がおかしかったら、失言が炎上する前に、すぐに教えて下さるよう、よろしくお願いいたします。

  さて昨日、靴などのつまらない話をしましたが、本当は「上喜元」のレビューの前おきだったのです。

 今年も、山形Qのサポーターにもなってくれている「ワラヤ酒店」の限定頒布会が始まりました。第一弾がこれ。酒田の銘酒「上喜元」の限定の純米大吟醸。

 最高グレードなのはもちろん、蔵のこだわりの逸品です。さて、どんなこだわりか。飲んでみると…

 …ん?特段のこだわりを感じない。スッと口に馴染んで、まろやかに消えてゆくだけ。もう一度感じたくて、もう一口。すると、心地よさだけを残して、またスッと消える。まったく「こだわり」を残していかない。

 これなのでしょう。これこそが、この酒の「こだわらない事へのこだわり」なのだと思います。蔵の美学を感じます。

 それが伝えたくて、つまらない靴の話をしました。本当に良い靴は、履いていることを感じさせない。「どうだ良い靴だろう」という主張をしてこない。

 この酒も同じです。「すごい酒だぞ」の圧が無くて、ただただ良い気分にさせてくれて、爪痕を残そうとしない。

 本当は、音楽もそうであるべきだとも思うのです。スーパープレイで圧倒させたり、学術的に「この時代はこうであったはずだ」と啓蒙するなど色々あるでしょうが、それとはまた別の、音楽がもたらす心地よい時間というものだけが残る演奏会もあって良いと思うのです。そんな演奏会がしてみたい。…それでは人気が出ないからチケットが売れないでしょうけど。

 実に気持ちの良い酒でした。
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安物買いと厄ばらい

2022-10-10 21:38:00 | 危機管理
 先日、買ったばかりの靴で足を痛めてしまい、仕方なく買い替えました。

 朝のウォーキング用に履いている靴が、最近、穴が空いてきたのか水が染みるようになったので、もう寿命かなと。「防水」だということで重宝していたのですが、早朝は草に朝露がたっぷりと着く季節になって、じっとりと染み込んでしまうようになりました。

 いつもの安売りの靴屋へ。靴は消耗品なので、高いものを買いたくない。「処分セール」のコーナーから「防水」と書かれたものの中で見た目が良いものを選んでお買い上げ。

 ところが翌日…サイズは合っているものの、しばらく歩くと嫌な痛さが。もともと、私の足は「甲」が分厚くて、形の良い靴が合わない。演奏会用の黒靴は気をつけているのですが、こんな適当なスニーカーならと油断しました。

 履き替えても、もうその日は、まともに歩きづらくなるほどの痛さだったので、諦めて買い替えることに。

 これ以上失敗したくないので、処分品はやめて、いつもよりワンランク上ののコーナーへ。どうせ損したなら、良いものを買う。快適さが後悔を忘れさせてくれるような。…関係ないかもしれませんが、自損事故で車が大破したときにも、絶対に前のよりワンランク上のものを買おうと決めていました。…これが私なりの「厄ばらい」なのです。

 さて。たかがスニーカーですが、あまりの軽さに驚きました。今まで安いからと言って、そんなに重い靴を履いていたのかと愕然とします。これは、まるで何も履いていないかのようです。計れば数十グラムのことでしょうが、これがどれだけ違うか。

 靴が軽い→足が軽い→足取りが軽い→快活→心が軽い→今日も頑張ろうと前向きになる

 なんと!良い靴さえあれば、歩く必要すらないのか!

 …というのは冗談ですが、道具を軽視してはいけない。楽器もそうです。

 こだわりすぎる人に嫌悪感があるので、判断を誤りました。何事もバランスが大切。良い道具にはそれなりの価値があるということは覚えておきます。
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いつの世も

2022-10-08 22:11:00 | 山形交響楽団
 急に寒くなりました。毎年思うことですが、山形は唐突に季節が変わります。基本、夏と冬しかない。それこそが、活き活きとした自然なのでしょうが、もう少しお手柔らかに願いたいものです。

 さて、今週末の山響は、長井市での「ユアタウン・コンサート」。地元中学校の吹奏楽部との共演や、「ウィリアムテル」「新世界」などの名曲、そして昭和歌謡の世界など、色とりどりで楽しんでいただきます。

 ところで最近、高校生の娘に「お父さんが高校生の時は…」などと言うと、

 …それ昭和だからっ。

 と冷たく言われることがある。平成を過ぎて令和の今、「昭和」は、私たちの感覚で言う「戦前」とか「大正」みたいな感覚なのかもしれません。

 思えば自分が高校生の頃も、親に「自分が高校の頃はそんなことは許されなかった」みたいな事を言われた時は「昔とは時代が違う。焼け跡の頃と一緒にしないでほしい」と言いたくなったものです。

 …今から見れば、どっちも昭和なんですけどね。

 逆に、昭和歌謡もティックトックの音楽も、モーツァルトなどと比べれば「今の音楽」として大差ないとも言える。

 よく言われることでもありますが、古代ローマにも「今の若い者は…と書かれた書物があったらしい。現代の若者が、親の世代を古代人と感じるのも、それと同じ、どんな時代にも不変な「世代間ギャップ」に過ぎない。

 …まあ、これも悔しまぎれです。

 ということで明日のコンサートは、大人から子供まで、昭和世代から令和世代まで楽しんで頂けるコンサートになるはずです。良いコンサートになるよう頑張ります。
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魔笛初合わせ

2022-10-07 21:59:00 | 山形弦楽四重奏団
 「自由・平等・博愛」…言わずと知れたフランス革命のスローガンですが、これはまさに、18世紀ヨーロッパの知識人に流行した思想です。アメリカ独立の原動力にもなりました。ヨーロッパが王政から市民社会に至る、大きな変革期をもたらした啓蒙思想が行き着いたところです。

 と、教科書的にまとめれば、こういうことになりますね。

 要するにその頃は、自由じゃないし、平等じゃないし、だから他人を無差別に愛することなんか難しい世の中だった…ということは確かでしょう。

 …現代もそうじゃん。

 とも思いますが、当時は、現代の比ではなかった。だからこそ「自由・平等・博愛」を熱く、大真面目に言いたかった。でもそれは、ある意味「危険思想」です。実際、革命につながりましたし、ギロチンにもつながった。

 危険な思想は、その辺の居酒屋で語り合うわけにはいかない。だから密かに集まる。それで「秘密結社」と言われるようになる。…「フリーメイソン」とは、そのようなものじゃないかと思います。

 モーツァルトのような「天才バカ」が夢中になるのもわかります。自由、平等…貴族のご機嫌をとって曲芸のような演奏をするのにウンザリしていたせいもあるでしょう。

 モーツァルトがフリーメイソンの会員だった事は知っていましたが、そこにのめり込んで、父のレオポルドや大先輩のハイドンまで、無理に勧誘して入会させたという説は、この間読んだ本で初めて知りました。本当だとすれば、モーツァルトの一途に熱くなりやすく無邪気な性格が伝わってくる。そして、ハイドンも父のようにモーツァルトを可愛がっていたこともうかがえます。…ハイドンはやっぱり「良い人」だった。それ以降の集会には参加しなかったようです。ハイドンは自由や平等より、ただモーツァルトが好きだったということでしょう。

 さて、今日の山形Qのリハーサルは、フルートの小松崎さんが参加しての「魔笛」初合わせ。

 やはり、そもそもが「The Magic Flute」なのでフルートが入ってこそです。編曲もよくできているのがわかります。

 今日は最低限の打ち合わせのみ。バランスや音楽はこびなどは、次回以降にさらに詰めます。

 全体として、荒唐無稽なファンタジーのオペラですが、そこには、フリーメイソンの思想に純粋に夢中になってそれをひたすら熱く語っているモーツァルトの姿が映し出されています。

 その「純粋な熱量」みたいなものが、演奏する上でも必要な気がします。自分が良いと思っているものを「どうしても人にも伝えたい」というような。そこにハイドンも「ほろっと」きたのでしょう。そんなものが出せたら良いなと。

 リハーサルはあと3回。楽しみたいと思います。
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