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ヒーロー伝説

2017-06-02 06:48:37 | 日記
私達の幼年時代は、講談社の絵本と共にあった。「うさぎと亀」に始まって、三太郎(浦島太郎、金太郎、桃太郎)に続き、偉人伝となる。野口英世、二宮金次郎、リンカーンといった偉人だが、これらは面白みに欠ける。立派な人であってもヒーローではない。男児のヒーローは武士か軍人である。そういう時代だった。

我が家はなぜか楠木正成の本が何冊もあった。講談社の絵本だけでなく、おとなの読む本もあった。もしかすると祖父か叔父がファンだったのかもしれない。神戸の湊川神社のお札やお守りもあった。その頃の絵本では楠木正成とその子の正行(まさつら)はスターだった。足利尊氏は天皇に背く国賊だった。絵本では、千早城の戦いや桜井の駅の別れが、印象に残っている。桜井は京都の少し大阪寄りにある場所で、唱歌『青葉繁れる』で有名である。
正行の如意輪堂の決心(遺書を扉に描く)が絵本のラストだったような気がする。

家人が関西旅行ツアーに参加して、その中に如意輪堂が組み込まれていた。もう10年も前の話である。私はもちろん正行の辞世の歌のことを話した。「かへらじと かねておもへば あづさ弓 なきかずに入る 名をぞとどむる」である。それが扉に鎌の先を使って彫り込まれていると教えた。

旅から帰った家人に正行の歌のことを訊くと、「あったわよ」と答えたが、さほど興味はない様子だった。私が思ったのは、幼い頃に読んだ本の差異である。私が楠木正成・正行を読んでいた頃、家人は『マッチ売りの少女』を読んでいたのだと思った。読書入門には男女の差があった。そのことは現在でも同じだろうか。ついでに言えば、最近のヒーロー伝のベストセラーは、イチロー選手のものである。

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