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好い言葉

2017-09-13 09:20:20 | 日記
昨年の夏の病院での定期健診の日だった。待合室の椅子に、2,3歳の女の子がいた。かわいい顔である。脚をブラブラさせながら退屈そうだった。お母さんと老女の3人連れである。老女が祖母であって、お母さんがその付き添いで、女の子はお供という形に見えた。整形外科の待ち合い場所だから老女は私と同じように腰でも悪いのだろう。私は車椅子に乗っている。家人が椅子に腰かける方がラクだと言うのだが、移動のときの乗り降りが面倒だ。それに、車椅子でも脚を投げだせばラクである。見た目よりは窮屈ではない。少し経って女の子とお母さんが消えた。女の子が診察室に行ったのだろうか。どこか悪いのだろうか。でも、それなら小児科へ行くのではないか。

待合室にはテレビがある。病院特有の雑音があるので、声は聞こえないから、画面だけを観ることになる。時々家人と話す。「遅いなぁ」と言う。3つの科を受診するから2時間半ぐらいは待つつもりだが、どうしても、口をついて出てしまう。ここにゲーム機を置けば人気が出ると思う。金銭を賭けるものであればさらにおもしろく、病院にもナンボかの収入になるのではないかなどと考える。つまり私も退屈なのだ。女の子とお母さんが戻って来た。女の子は元気である。診察ではなくトイレに行って来たのだろうと思った。私の前を通るときに車椅子に興味を持って立ち止まった。お母さんと私と家人が自然に挨拶をかわした。私が「おいくつですか?」と訊くと、お母さんが「1月生まれなんです。お正月で3つになります」と答えた。瞬間、私は、いい言葉に出会ったと思った。最近の母親たちは、歳とか半とかを言いたがるが、あれは耳ざわりが悪い、。豆腐を1丁半と言うのににて、どこかかわいらしさに欠ける。目の前の女の子は、2歳半と1カ月となる。それを、お正月で3つになると言うのはきれいである。女性らしい言い方である。お母さんは30歳前後だろうか。品のいい顔をしている。この女性に、2歳半という豆腐言葉は似合わない。私は何か、いい気持ちになった。待合室の退屈が飛んだ。

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