我が家に残っている古い写真のほとんどは、叔父のA雄が撮ったものであって、それ以外のものは写真館で撮影されたものだ。 このように、一家に一人(あるいは一族に一人)はカメラ上手の人間がいるのは、どこのご家庭にも共通するのではないか。たとえば、親戚達の集まりのときなど、写真はB助さんにまかせようという習慣になっているように・・・。しかし、それが、携帯電話の普及で、一家全員がお手軽カメラマンになっている例も多いだろう。 あれもつくづく便利なものだと思うが、被災地へお見舞いに行かれた天皇皇后両陛下を近距離から撮っている人達を見ると、がっかりする。しかも両陛下が、膝をついて被災者達にお声をかけられている場面を、だ。 社長のお供で強力会社との懇親旅行に行った。宴会の前に、社長から高級カメラ(ライカだったか)を渡され、これで撮ってくれと言われ、適当にパチパチやっていると、下請会社の若重役が、「私が代わりましょう」と言って、私のことを何枚か撮ってくれた。 数日経って、社長が写真店の小さな袋を私に渡して、「これ、君と芸者しか写っていないね」と笑った。 つまり、社長のカメラには下請会社の若社長がシャッターを切った数枚だけがきちんと写っていて、私が撮ったはずのものは真っ黒だったか、ボケボケだったのだろう。 それ以後の約50年間、私は(頼まれても)シャッターを押すことはない。
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