Winding Road

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全国高校サッカー選手権決勝 鹿児島実業×野洲

2006-01-09 | フットボール全般
素晴しい決勝戦だった。まずは野洲高校、初の栄冠おめでとうございます。

準決勝の日は若干強めだった風も今日は緩やかで、あまり寒くなく、観戦するには絶好の気候。試合前にはコブクロが登場して大会のテーマソングを披露。決勝戦の雰囲気を高め、舞台が整い2時少し前に選手達が入場。

準決勝の鹿実を見る限り、おそらく立ち上がりから仕掛けてくると予想していました。そこでペースを掴んでしまえば、鹿実の思わぬ大勝もあるかもしれないと考えていました。そしてキックオフ。すると最初はどちらもやや慎重な試合の入り。野洲は自陣でボールを持った際には、いつもの繋ぎはあまりせず、まずは安全に長いボールを蹴る場面が多かった。そうこうしているうちに、試合が落ち着いてくると、徐々に野洲も本来のパスサッカーを披露し始める。そして23分。青木が獲得したFKの流れから野洲に先制点が生まれる。鹿実は今大会初失点を喫しました。
そのままスコア動かず前半終了。

後半に入ると一転して鹿実ペース。怒涛の波状攻撃が始まりました。しかし野洲も粘り強い守備ではじき返す。鹿実は幾度と無く野洲陣内に攻め入るが、ゴールを割れない。野洲のディフェンスは一人がチェックに行くと、必ずもう一人がカバーに入る。またシュートを打たれる前にブロックに入るので、攻め込まれてもシュートまで持っていかれるシーンがあまり多くなかった。お互いが助け合いながら、組織的で統率の取れたディフェンス網を張っていました。また、DFラインの前に位置するボランチの19番中川が、壁として立ちふさがり、まさにチームの心臓と言うべき活躍を見せました。これは個人的な想像の範疇ですが、時間が経過する中で、おそらく野洲には、守りのリズムが生まれてきたのではないかと思います。
それでも、そのまますんなりと勝たせてくれないのは、百戦錬磨の鹿児島実業。残り15分を切ってからの同点弾。

1-1となり、もはや野洲もここまでかと思われました。並みのチームなら、鹿実に追いつかれた時点で、ガックリきて一気に逆転されてしまうか、もしくは自分達のサッカーを見失って闇雲に攻め、バランスを崩してしまうところですが、ここからの野洲は非常に落ち着いていた。普段通りのスタイルで攻撃して、客席を沸かせる。一方の鹿実も一気に畳み掛けようと攻撃を仕掛ける。そんな一進一退の攻防のまま90分は終了。決勝は2年連続で延長戦に突入しました。
個人的には延長戦に入ってくれて嬉しかった。なぜならこの素晴しい試合を、まだあと20分観る事が出来ると決まったからです。

延長戦に入ると、どちらかといえば、体力で勝る鹿実ペースで試合は進む。前半の10分間はあっという間に終了。後半も、ふと時計に目をやれば半分以上を経過。この間に鹿実は2本の惜しいシュートを放ちましたが、いずれも得点ならず。
そして延長後半7分。野洲の自陣からの、長いサイドチェンジが決まると、一気にボールと連動して人が動き回る。そしてその数秒後に、鹿実のゴールネットが揺れました。野洲逆転。
絶妙のサイドチェンジに始まり、ドリブルで中に切れ込みヒールパス、後ろからオーバーラップしてのプレゼントパス。ゴールまでの過程の全てが美しかった。完璧な得点シーンでした。

鹿実はロスタイムのFKで、GKまで上がってきて、最後の反撃を試みるも同点ならず。そしてタイムアップ。野洲が滋賀県勢として初の優勝を手にしました。その一方で、終了の笛と同時にピッチに崩れ落ちた鹿実イレブン。連覇はなりませんでしたが、彼らの持つ底力は十分に伝わってきました。「負けてなお強し」。そんな印象を残してくれました。


さて野洲の優勝で幕を閉じた今年の高校サッカー。今大会を終えて、確実に時代の波は変化していると感じました。全国各地のレベルが上がって、今回のように滋賀から初優勝チームが出てきたり、ネームバリューだけで勝てるほど、甘くないレベルになったと思いました。国見が3回戦負けし、静岡県代表が初戦敗退。こんな事は、数年前では考えられなかった。それだけ勢力分布が、全国均等になってきていると思います。
一方で年々増えていると感じるのが、悪質なファールや無駄な警告。国内だけでなく欧州のプロリーグの試合にも触れる機会が増えてきた昨今ですが、プロの悪い面は学んで欲しくないなと思います。

いずれにしても野洲のサッカーは素晴しかった。払ったチケット代の元が取れたどころか、おつりが来た感じでした。これから野洲のようなサッカーを展開するチームが増えたらいいなと思います。





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4 コメント

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Unknown (川の果て)
2006-01-09 23:08:51
こんばんは。

19番中川選手は目立たないながらもよく動いてましたよね。延長以降は拾ったボールをトラップミスして鹿実の二次攻撃のきっかけになったりもしていましたけれど。



勝ち越しゴールはその直前の覚束ないワンツーの後だっただけに衝撃的でしたね。
コメントありがとうございます (コリー@管理人)
2006-01-09 23:22:54
決勝ゴールは素晴しかったですね。あの時間帯に、あれだけピンポイントでサイドチェンジを通したのは驚き。しかもそこから鮮やかに繋いでゴールにつなげたんですから。
Unknown (ひげにぃ)
2006-01-10 16:55:28
TB&コメントありがとうございます。

今年の大会を見て思ったのは全国的な底上げです。

Jリーグのチームが各地域に散らばっているのもこうをそうしているのかも知れませんね。

今回の野洲の優勝でテクニック重視の高校が増えてくるんではないでしょうか?

最後のゴールは今の日本代表でも難しいですね。
コメントありがとうございます (コリー@管理人)
2006-01-10 17:12:28
野洲のサッカーを真似たがる高校は確実に増えるでしょうね。ただあのサッカーは一朝一夕では完成しないですし、野洲は相当な練習量を積んだと思いますね。

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