Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

台湾総統選もうすぐ

2012-01-05 02:23:36 | 時事
14日投開票の台湾総統選も、予定された3回ずつの正副総統候補によるテレビ公開討論会も終わり、3回目の総統討論会では、やはり中国との問題がクローズアップされたようだ。経済問題も大きな争点だが、やはり最大争点は、中国は一つ、との前提で中台交渉を進める国民党が主張する「92コンセンサス(九二共識)」をとるか、独立派の民進党候補の蔡英文・党主席が主張する、台湾の現状を踏まえて台湾全体の民意を尊重すべきだ、という「台湾コンセンサス(共識)」をとるのか、外国人も興味深い争点になっている。
台湾各メディアは世論調査の結果を公表している。

外省人の比率が高く、国民党に好意的な報道をする聯合報系列や、もともと香港の媒体だったリンゴ日報は国民党の現職総統、馬英九候補が優位とする、わりと離れた数字を出しているが、国民党寄りと見られている中国時報の数字が競っているのは興味深い。民進党に好意的な自由時報は思ったとおり、とても競った数字を出している。20%前後が世論調査に対して態度未確定としているうえ、外省人が多いマスコミの報道でもこれだけ競っていることから、実際はもっと拮抗しているというのが台湾での見方だという。

投開票直前になって、中国に進出している大手企業が相次いで馬英九支持を打ち出している。海運・航空大手、長栄集団(エバー・グリーン・グループ)の張栄発総裁は3日、民進党の蔡主席の表敬を昨年中に拒否した、と明らかにした、との報道が伝わってきた。昨年のうちに明らかにすればいいのに、投開票直前になって、このようなアナウンス効果抜群の情報を出すのは、長栄側の意図だけでなく、台湾マスコミの思惑もあるだろう。張総裁はこれまで選挙関係の発言を控えてきたが、3日のマスコミ各社との懇談で、馬英九総統らが掲げる92コンセンサスを支持、台湾が安定を保てるのは、中国との関係改善が大きい、として、蔡主席が主張する台湾コンセンサスを批判したという。

陳水扁が初当選した2000年の総統選挙のとき、投開票日前日に、台湾知識人の中でもっとも尊敬されているノーベル化学賞受賞者、李遠哲博士が陳支持を表明、有権者が雪崩を打って陳投票を決めた、との分析もある。張総裁の発言が選挙結果にどう影響するか見ものだ。今回も李博士は直前になって蔡支持を表明したりするのだろうか。

ただ、中国に進出する大手企業は、得てして低所得者層に冷たい、と見られており、反動で民進党の蔡英文支持が増える可能性もある。中国問題を経済の分野だけでとらえるとしても、最終的には中国経済に飲み込まれてしまうのではないか、中国がくしゃみをすると台湾は風邪を引く、中国が風邪を引くと、台湾は肺炎になってしまう、と警鐘を鳴らす人は少なくない。台湾は中国経済への依存度を高めるべきではなく、ベトナムやタイ、フィリピンなどにリスク回避すべきだ、とは李登輝氏が総統時代に指摘していたことだ。僕もそう思う。

中国側はそんな台湾の雰囲気をつかめきれず、中台が密接ならば馬英九に有利だろう、とおせっかいを焼き、台湾へのさまざまな優遇政策を打ち出している。中国のことを嫌いな有権者はそれをうざったく思い、国民党を避ける投票行動も十分考えられる。中国大陸に進出している企業の台湾人従業員に選挙運動するため、国民党の宣伝隊は中国入境を許可するのに、民進党関係者は入境出来ないらしい。こういう露骨な選挙妨害、内政干渉も台湾に伝われば、反国民党のトーンが強まるのではないか。
あと10日を切り、台湾情勢は目を離せなくなってきている。