Takepuのブログ

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台湾総統選中国反応

2012-01-15 09:51:04 | 時事
14日投開票された台湾総統選で、国民党の現職、馬英九総統が再選を決めた。中国との関係改善とそれに伴う経済回復、両岸の緊張緩和と政治的安定を有権者が求めた結果だろう。民進党の蔡英文主席はそれなりに票を伸ばして健闘したが、現職の壁を覆すまでには行かなかった。


中国側は14日当日の20時45分付で人民日報のサイトに論評を掲載。「台湾人民の決定的選択」と題した「谷雨」名の論文で、中国当局が台湾独立派の蔡主席ではなく、中国との現在の関係を継続してくれる馬総統が再選されたことへの安堵感が示されている。(翌15日の人民日報4面右端に「台湾地区両項選挙述評」と題して掲載された)
「谷雨」はもちろんペンネームだが、この意味は二十四節気の一つで、春の最後の一段で、雪が消え、霜が消え、寒さが終わり、暖かな春が来る、との意味があるという。中国側の思いをうかがえるペンネームだ。

論文の内容は:

 馬英九の当選は、台湾人民の選択であり、平和、発展、安定を求める台湾の主流の民意だ。中台両岸関係の更なる発展を進め、両岸同胞の更なる利益を創造する台湾同胞の共通の願いとなる。
良好な政治経済環境と持続的な経済発展は、両岸関係の安定と切り離すことは出来ない。その安定とは「九二共識(92年コンセンサス)」という交渉の前提に基づいている。この3年間、中台両岸は、まさにこの「九二共識」の基礎のもと、平等な貿易交渉や三通の実現を果たし、両岸の人々の交流は拡大し、経済関係が正常になり協調体制が整った。
 これらの利益は台湾人の心の中に「九二共識」の重要性を深く刻み込むことになり、今回の選挙では、自らの未来をかんがみて投票にいたった結果が、馬総統の当選となった。国民党の連戦・名誉主席のいう「今回の選挙で両岸の平和、経済発展を犠牲にすることは出来ない」。現在、選挙結果は多くの人々の願いに合致したということだ。民進党の蔡英文主席が選挙前に言ったいわゆる「台湾共識」などというものは、もし本当に「台湾共識」などというものがあるとするならば、「九二共識」こそが「台湾共識」なのだ、ということだ。
 きょう、台湾民衆は選挙をへて、新たな歴史の1ページを描きあげた。

と、中国共産党政権と台湾の馬総統以降の国民党政権が交渉するに当たっての前提条件となる「中国は一つ」(中国側)、「中国は一つ、中国の解釈はそれぞれにまかせる=一中各表」(台湾側)という「九二共識」を、台湾の有権者が選択した、との考え方に基づき、従来の中台交渉を引き続き進める考えを示している。
また、中国共産党中央の台湾弁公室と国務院(政府)の台湾弁公室は14日22時29分、新華社を通じて、「台湾地区2項選挙結果へのスポークスマンの談話」を発表した。

 われわれは台湾地区の指導者と民意代表選挙の結果に注意を払ってきた。過去4年の事実をに対して、中台両岸の平和的発展は正確な道であり、多くの台湾同胞が支持していると、再度表明したものになった。われわれは台湾社会の安定と人民生活の幸福を願っており、引き続き台湾独立に反対し、九二共識堅持という共同の基礎のもと、両岸関係の一層の平和的発展の新局面と、中華民族の偉大なる復興へ力を尽くしていきたい。

中国側は台湾側の解釈に暗黙の了解をしつつも問題がある九二共識を唯一無二の台湾との交渉の前提条件として堅持し、台湾とさらに接近して関係改善、将来の統一をにらんだ経済的影響力を果たしていこうとしているようだ。香港返還の際の「一国二制度、港人治港、50年不変」と同じような意味合いをもつものになるだろう。