Takepuのブログ

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台湾総統選挙テレビ討論会

2011-12-03 19:09:49 | 時事
来年1月14日に投開票される台湾総統選挙まであと40日ほど。何気なくネットで台湾のニュース専門衛星TVチャンネル「TVBS」を見たら、総統選の候補者によるテレビ公開討論が放送されていた。
公共テレビ、中央通信、中国時報、聨合報、リンゴ日報の共同主催による「2012総統大選テレビ弁論」で、まずマスコミ各社の質問を受けた後、3人が互いに質疑応答を重ね、最後に5分ずつ総括演説を行った。
総統選に立候補しているのは、

国民党の馬英九・現総統。


民進党の蔡英文主席


かつて国民党の秘書長や台湾省長を務めた後、李登輝政権時代に国民党を割った親民党の宋楚瑜主席。

結論的にいうと、馬英九はこれでもか、というほど民進党と陳水扁前総統、民進党総統候補の蔡英文に徹底的な攻撃を仕掛けた。むしろ現政権の失政を攻撃して討論を有利に進めたいはずの蔡英文のほうが、陳水扁前総統の恩赦について、国民党と大陸の共産党の間で中台交渉の前提条件となっている「九二共識」と、それが「存在しない」として新たな「台湾認識」を主張していることについての詳しい説明、蔡総統が誕生したとして民進党政権に中国側との交渉の余地があるのか、など、厳しい質問に対して十分な説明がなされているとは思えなかった。

宋楚瑜は、政策テーマについて得手不得手が多すぎて、すべての質問に的確に答えているとはいえなかった。ただ、全般的には有権者の心をある程度掴めるような発言をしていた。

蔡英文はかなり損をしているように見えた。準備不足だったのか、参謀の戦略がよくなかったのか。TVBSの放送では、画面下に解説をしている評論家たちによる意見が書き込みで下の写真のようにリアルタイムで文字で現れており、

その反応がなかなか面白かった。マスコミ関係の人々は高学歴の外省人が少なくなく、国民党寄りといわれることが多く、討論の仕方がまずかったことを考慮に入れても、概して蔡英文に対して厳しい意見が多く見られた。ちなみにこの写真は、番組の最後のほうでみられた「今回の討論会で一番よかったのは、まさにこの即時評論だ」と自画自賛している。

馬英九は5分間の総括演説で「馬英九は国民党を変えた。民進党は蔡英文を変えた」と発言した。たぶん、これが一番キャッチーなフレーズになったのだと思う。すなわち、馬英九は総統として国民党に対して指導力を発揮して改革を進めた、と自画自賛をした一方、中台関係を悪化させた李登輝元総統のブレーンとして「二国論」起草にかかわったといわれるほどの独立派だった蔡英文が、民進党の総統候補となって、とんがった発言を控えて中国との交流も視野に入れた穏健な発言をするようになったことを強烈に皮肉っている。

このテレビ討論を見て有権者は3候補をどう判断したのだろうか。明日あたりの台湾のメディアが世論調査の結果を公表するのではないか。馬英九に肉薄したとも、あるいは逆転したとも言われた蔡英文の評価がどうなっただろうか。あるいは第3の極をになっている宋楚瑜にそれなりの評価が得られて、逆に国民党票を食うことになるのか。投開票まで40日、まだまだ最終的な判断材料とはならないだろうが、台湾の選挙に注目が集まればよいが。


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