Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

「馬英九はやめろ」李登輝爺吼える!

2014-12-14 17:52:52 | 時事
11月末の台湾の地方選挙で与党・国民党が歴史的な大敗北を喫し馬英九総統が国民党主席を辞任することになったが、90歳でまだ頑張る李登輝元総統が「馬英九は総統をやめろ」と激しい口調で批判している。
台湾での報道によると、李登輝元総統は馬英九総統を「一に無能、二に恥知らずであり、他人からこのように批判されるのだから総統を辞めるべきだ」と激しく叱責した。



「台湾人の勝利というが、なぜ国民は失業に苦しみ、給料が低いのか なぜ食の安全が危機に瀕しているのか なぜ住宅費が高いのか なぜ、いかがわしい政治集団が引き続き中国と台湾の間で暴利をむさぼるのか なぜ無能な政党が引き続き司法機関を抑えて政権を維持しているのか なぜ人民の痛みを作り出す総統が政権を握っているのか なぜこのような総統が辞めないのか」

「台湾はすでに、改革しなければ立ち行かないところまで来てしまっている。台湾の命運は我々の手の中にある。進むべきか、堕落の道へ後退すべきか。人民の選択の時刻、改変の時刻はすでに訪れている。我々は各種の声を集めて徳のない無能な馬政権に対して怒りの声を上げ、馬総統が辞任するように求め、『台湾が引き続き前進する道』をとるべきだ」

今回の選挙で国民党が大敗し原因について李登輝氏は「第一に商品がよくなかった:と国民党の候補者がよくなかった。第二に馬英九執政が事を行うのにでたらめで、執政がおそまつだった。第三に庶民の考え方が大きく変わり、若者が自らの意見を出したことだ」と総括している。

李登輝は年明けに次の国民党主席になると見られる朱立倫・新北市長や、台北市長に当選した無党派で民進党寄りの柯文哲氏について、一定の評価をしており、政治改革への期待を示している。自らが民進党にシンパシーを抱く、というより、元国民党主席として元総統として、国民党の行く末が心配だと思っているようだ。



自身6度の憲法改正を行った李登輝元総統は憲法改正について持論を述べている。「憲法改正について、私は早くから提起している。現行憲法には2つの問題がある。一つは総統制、もう一つは中央が様々な方法を用いて地方をコントロールし、地方の発展を阻害していることだ」という。具体的には単一選挙区の方式をとっていることで、地方で選出される議員に大きな変化がなく、金と権力がある人間しか議員になれないという。比例代表などを導入するべきだ、ということだろうか。

もう一つは電力など公営事業を民間に開放すべきだ、という。これは原発の問題もにらんでいるのかもしれない。李登輝時代に国民党の党営企業の多くを民間に移し、国民党が独占していた事業を民活化したことも背景にあるだろう。

台湾からの報道では、民進党の蔡英文主席が国民党側に国是会議の開催を提案、馬総統も肯定的だ。与野党や各種団体、有識者などを巻き込み、国の行く末を話し合うもので、1990年の李登輝時代に開かれた。李登輝氏や民進党、朱立倫・新北市長らは議院内閣制を視野に入れているとしている。従来は行政院長(首相)は総統の氏名だったが、立法院(国会)の指名で選ばれたり、総統権限なども話し合われるのではないか。

1990年の国是会議では、中華民国が中国大陸で行った選挙で選ばれ大陸に戻れないため選挙を行うことができない、として改選されないまま半永久的に居座っていた万年議員(国民大会委員)を辞めさせる決議をしたあと開かれた。1991年5月に戒厳体制を解除し、憲法をはじめて改正、国民大会とい立法院を解散、92年に立法議員の全面改選を行った。

李登輝は自らが総統時代に中華民国の現実に即した台湾本土化、民主化を進めてきた中、90歳になった今でもその行方を心配している。馬英九は自らの時代に法務部長として抜擢したが、現在、総統として中国共産党や共産党よりの財界と組んで、一部の財界に有利な経済政策を進め、中国が台湾に進出して台湾本土人の雇用を奪い、不動産買占めで家賃を上げ、台湾本土の経済を空洞化させ、結果として貧富の差を拡大させていることをきわめて批判的に見ている。

レイムダックとなった馬英九や中国共産党とパイプを作って利権を得てきた連戦、息子で台北市長選で大敗した連勝文ら“親中派”を置き去りにして、李登輝氏の描いたシナリオを元に、国民党の改革派、李登輝氏が主張した両国論を構想した蔡英文氏を主席におく民進党と、台北市長の柯文哲氏らを巻き込み、台湾の政治改革が進んでいきそうな勢いだ。李登輝は朱立倫に対して、民進党と話し合いをもち協力しながら台湾の将来を考えるべきだ、と提案している。

ぶっちゃけ、馬総統は、どこかの国のトップと同じような経済的強者のための経済政策をして弱者を切り捨てる悪政をしてきたわけで、それをこれだけ強い口調で批判でき、与野党ともその発言をきちんと聞かなければならない長老がいる“国”とどこかの国の違いだ。李登輝爺にはまだ頑張ってもらいたい。