Takepuのブログ

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周永康の党籍解除

2014-12-07 00:49:36 | 時事
1976年9月9日に最高権力者の毛沢東が死去し、江青四人組が捕らえられたとき以来の政変ともいえる、胡錦濤前政権下でトップ9といわれる党中央政治局常務委員で、公安、司法、検察を担当していた周永康・前中央政法委員会書記の党籍解除が発表され、司法当局が処理することとなった。最高検も逮捕を決めた。
これまでアンタッチャブルだった政治局常務委員に司直の手が入ることは文革の四人組裁判以来、というか、小平時代でもなかった。幹部や党員の汚職や腐敗で中国共産党への信頼は極度に低下、人心を得られないどころか、共産党一党独裁に疑念の声も出てきてしまう。習近平・総書記は決死の覚悟で、胡錦濤時代から始まった薄熙来・元重慶市党委書記の処分から始まる多くの汚職・腐敗の摘発に努めてきた。当局が発表した周永康の罪状を見ると、興味深い。



●党の政治規律、組織規律、機密規律に違反した。
●職務を利用して多くの人のために違法な利益をもたらせた。直接、あるいは家族を通じて、巨額の賄賂をもらった。
●職権を乱用し、家族、愛人、友人らが経営活動で巨額の利益を得るのを助け、国有資産に重大な損失をもたらした。
●党と国家の機密を漏らした。
●清廉で汚職をしないで公務を行うという自律規定に違反し、本人や家族が大量の他人の財産を(賄賂として)受け取り、多くの女性と不倫し、権力と女、金と色の交易を行った。

また、特に、これに続いて

調査を通じて、さらに周永康にはほかに犯罪の嫌疑が見つかっている、として、このほかにも罪状が加わり新たな犯罪を追及することを示唆している。香港紙や在米の華字サイトなどは、周の前妻殺害などがあげられている。

中国最高指導部の地位にありながら、女、色など見るも恥ずかしい言葉を羅列するなど、一般的な汚職高官の罪状とはかなりかけ離れてセンセーショナルだ。周永康を徹底的に打倒するとの意図が見える。石油利権や職務を通じての部下の昇進などで、金や女を使ってその目的を達し、莫大な財産を蓄えていたことは想像に絶する。また、一定の派を築いて奪権しようとしていたとの見方もある。

中国共産党の信頼を取り戻すために、たくさんの腐敗や汚職を摘発し、特に最高権力者グループからも人身御供を出すことで、人民たちが納得するような結果を得られるのか。これでもか、これでもか、という常軌を逸した腐敗ぶりに、共産党に絶望感を持つのではないか。
政治のクリーン度が100位だとして、中国は汚職摘発をしているのに、と批判する論調があるが、今まさにクリーン度を上げるための大手術をしている最中で、そのためにたくさんの汚点があえて目に見える形になっている、と考えるべきではないか。それが批判する論調があるように、中国人民が納得する形で、将来、クリーン度が上がる政権になるのかどうか。今、評価する段階ではない。

ただ、習近平は紙一重のところで、共産党の建て直しを図っているのか。というより、汚職摘発という名目で自らの政敵を追い落とす権力闘争を行っているのではないか、との見方もある。引退後の胡錦濤はあまり突出して表舞台に出てはいないが、逆に江沢民の動静が中国メディアでしばしば伝えられるのは、習近平の手が江沢民の既得権益に近づいているからではないか。