Takepuのブログ

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賽徳克巴莱ベネチアで上映

2011-09-03 02:52:04 | 映画鑑賞
ベネチア国際映画祭に出品している台湾映画「賽徳克巴莱(Seediqbale=セデックバレ)」が1日、ベネチアで世界初上映された。
その内容は・・・?
評価は様々なようだ。

NOWnews 今日新聞網は、上映終了後、10分間、拍手が鳴り止まなかった、と報じている。プロデューサーの黄志明は、「上映後、米国のバイヤーの評判はよさそうで、配給の値が上がるかもしれない」と話したという。セデックバレは、完全版だと全4時間。ベネチアでは2時間半あまりの編集版を上映したようだが、台湾では9月9日から、前編の「太陽旗」版、9月30日から後編の「彩虹橋」版が封切られることになっている。

また、台湾紙「中国時報」によると、映画の評価は様々で、中国大陸のメディアは、歴史上の恨みを過剰に描いていて、そのテーマの独自性を認めてはいるが首を切って持ち上げるシーンなど、直視できない、とのヨーロッパのメディアの考え方を紹介しているという。ただ、プロデューサーのジョン・ウー(呉宇森)=レッドクリフ監督=は、99.5点だ、と高評価だという(当たり前か)。

大陸の評論家は、台湾の少数民族の習慣や美しい自然を描いているにもかかわらず、その生活感についての描写が淡白すぎて、「恨みを殺戮で晴らす」といった部分のみと見られかねないとしている。

イタリアの有名な映画サイト「My Movie」は魏徳聖監督の描く歴史精神を賛美し独特な描写だが、テーマが不明確だ、しているという。別のサイト「Cineblog」は、過度の戦闘シーンが見る人を疲れさせる、としている。

と、外国メディアの評価を総合すると、台湾原住民の歌謡や台湾の山奥の景色に対しては好評を得ているが、血なまぐさい殺戮シーンが多すぎる、ということのようだ。また、映画の中で日本語やタイヤル族の言葉が飛び交うと、観客は笑いながら「台湾文化は面白い」と語っているという。

ベネチアでの「セデックバレ」はいろいろ面倒なことがついて回っていて、プログラムなどでは当初、「中国台湾(China Taiwan)」と描かれていたという。つまり中国香港などと同じように、中華人民共和国内の台湾省という意味だ。これまた「ひとつの中国」問題にかかわるもので、台湾当局を交えて猛抗議した結果、オリンピックなど国際スポーツ大会と同様に「中華台北(Chinese Taipei)」に変更されたという。

中国大陸の評価がそんなに高くないのはやや不思議な感じがした。映画の題材となっている「霧社事件」は、ブログで何度も書いているように、1930年に、日本の植民地下の台湾・霧社地区で、日本人の警官とトラブルがあった台湾原住民のタイヤル族が、日本人への報復措置として、日本人の学校の運動会の会場を襲うなど、反日蜂起したものだ。植民地状態からの抵抗を訴える活動であり、本来の中国大陸の共産党の考え方とは一致すると思えるのだが。

中華台北問題でしこってしまったか。

とりあえず、首を切って手に持ち掲げるシーンは、YouTubeなどにある予告編映像などでも見ることができる。もし日本で配給されたらR指定になる可能性は大だ。ベネチアで賞を獲って評判が上がれば日本での上映もわりと早めになるのでは、と期待しているのだが。西洋人にとっては、この内容は「アバター」の現実版のように映って、二番煎じだと思われるかもしれない。賞は難しいか。