Takepuのブログ

中国旅行記とか、日ごろ思ったことなどを書きたいと思います

前原は日中関係のトラブルメーカー

2010-10-31 21:04:47 | 時事
「落としどころは前原更迭か」と書いたら、以下のような報道を見つけた。自分の考えを補強するものなのでは、と思った。

10月30日付の中国系香港紙「文匯報」は、「前原誠司是中日関係麻煩製造者(前原誠司は中日関係のトラブルメーカー)」と題する社説を掲載した。日本政府は前原外相を更迭すべきだ、と訴えている。文匯報は単なる香港の新聞ではない。「言論の自由」が束縛されている中国大陸の新聞に比べて自由度は多いが、中国当局の意を受けた編集方針で、事実上、中国政府の考えを代弁していると考えていい。

社説の内容を一部抜粋すると:

他国(米国のこと)と結託して釣魚島問題を再度議論の俎上に挙げ、日中外相会談の内容について事実でないことを広め、日中両国の東シナ海問題の原則となる共通認識上の立場について歪曲し、よって中日指導者がハノイで会談する雰囲気を壊し、結果として中日首脳会談を行うことができなかった。中日関係が困難な状況下にあるなか、前原は右翼反中勢力が主導する日本外交事務を代表しており、対抗的な対中政策を進めている。日本政府は目を覚まさなければならない。外相を替えなければ中日関係の改善はなく、日本の長期安定と発展はない。

もともと文匯報やもうひとつの中国系香港紙「大公報」は尖閣諸島問題についてはかなり先鋭な言論を乗せていたが、この社説はある意味読むに耐えないほどの攻撃的な論調で前原を攻撃している。
まさか菅首相もこれに乗るとは思えないが、中国いい加減にしろ、とまたバッシングが始まるだろうが、中国側はここまで考えている、というのを頭に入れておいたほうがいいかもしれない。

落としどころは前原更迭か

2010-10-31 14:25:41 | 時事

ベトナムのハノイで実現しなかった日中首脳会談。また日本国内では中国バッシングが激しくなるかもしれないが、一方で日本メディアもやっと、中国国内の権力闘争の反映の可能性を報じ始めた。すなわち、次期最高指導者のポストをかけて、対日融和派の胡錦濤・党総書記、温家宝・首相のコンビを中心とする共産党青年団出身者らの勢力(団派)に対して、軍や上海閥らの保守派が揺さぶりをかけている、という構図だ。
前原誠司外相と楊潔{(チ)外交部長の会談は、予定を大幅に越えて1時間以上も話し合われた。「へえーっ。決裂したわけじゃないんだ」と思ったが、どのような雰囲気、内容で話し合われたか不明だ。それでも、ギスギスした感じではなかったんだろう。前原外相は「日中首脳会談はハノイで開かれると思う」と発言するなど、ノー天気に楽観的だったのではないか。ただ、その後首脳会談を一方的にキャンセルされたことで、楊外交部長の表情からその思惑まで察知できず、前原外相はメンツを失ったわけだ。
朝日新聞によると、日中外相会談の内容を心配した中国メディアが、前原外相の会談後ブリーフィングを聞いた日本人記者に「会談の内容はどうだったんだ」と聞いて回っていた、というから、中国メディア側はただならぬ雰囲気を察知していたのだろう。
いったんは「開かれる」とアナウンスされた菅首相と温総理との会談がキャンセルされ、菅首相に同行していた福山哲郎・官房副長官は「驚いた。中国の真意を測りかねている」と発言したというが、心底そう思っているのか。そうならこんなやつらに外交を任せて大丈夫だろうか。それでも菅首相は「冷静に対処」と語っていたというから、もしかすると中国側から秘かに何らかの言及があったのかもしれない。その反映が翌日の10分間の懇談だ。温家宝総理は対日融和的な観点から中国側の立場を説明し、理解を求めたのではないか。もちろん菅首相とバイの会談が実現すれば、中国国内のネット左翼の攻撃の対象になる。冒頭写真は日中首脳会談キャンセル直前に行われた日中韓の首脳会談の冒頭、李明博・韓国大統領が強引に菅、温両首相の手を取り、握手をさせた場面だが、愛想笑いをしている菅首相に対して、温総理のムッとした顔は見ていて気の毒なほどだ。

日本各紙は、「中国はこの10分間の懇談を報じていない」としているが、31日に新華社のサイトを見てみると、海外メディアをかいつまんで引用した、冒頭の写真の記事「中日首脳未能実現河内会談(中日首脳はハノイ会談を実現させていない)」で、まず共同通信電を引用して、福山官房副長官の発言として、日中首脳がハノイで10分ほどの懇談を行い、今回、首脳会談が開けなかったことに「極めて遺憾」の意を示したこと、将来機会を設けて会談を実現したいとしたこと、日中民間交流の重要性を強調したこと、今後も戦略的互恵関係の実現へ努力すると表明したこと、を報じている。
この記事は外電を引用する形で中国側の言いたいことを間接的に示しているように見える。その中で、日本経済新聞の引用が比較的長く、
「中国側が日中首脳会談を拒絶したのは、主に主権問題で日本に譲歩した、との姿勢を国内で抱かれないようにと考えたからだ。同時に、日米が尖閣諸島問題で協力を強める局面が出ているのを抑える狙いもあった。中国側の真意は日中関係の改善にあったが、国内の根深い反日感情と保守派の圧力があったために強硬姿勢を取らざるを得なかった」
と、中国国内の権力闘争についての記述まで引用しており、中国側がこの見方を否定していないとの姿勢が伺える。

温総理は菅首相を割と大事にしていて、一方で中国側は前原外相を突き放そうとしているように見える。というのは数日前の新華社のサイトで、民主党内のタカ派の代表として前原を紹介していたからだ。その当時からちょっと気になっていた。

28日、国際先駆導報の記事を引用して、「日本政壇少壮派崛起」として、民主党内若手に反中国的な右翼的思想を持つものが少なくない、として前原誠司、枝野幸男を名指ししている。
前原については、松下政経塾出身であることも触れ、また、京都大卒業時に、指導教官の高坂正尭教授に「君の脳みそは大学教授には向かない」と言われ、政治の道を志した、とまで書かれている。日米安保を基軸として憲法9条改正(悪)、集団自衛権、再軍備などが高坂の代表的な思想だが、対中強硬派とまではいえなかった。前原は京都大の中西輝正ら中国脅威論者らの薫陶を受けて、保守思想が形成されていった、としている。菅直人首相は思想的にバランスが取れているが、次の世代、前原が首相になったらどうなるのか、として、朝日新聞の世論調査を引用し、第4位の位置にいると紹介、近い将来、このような思想の持ち主の若手が出てくるのは間違いなく、幼稚から成熟、感情から理智へと、幻想を抱かせず現実的になるように希望する一方、中国側も現実的な対応が必要だと、学者の意見として記している。

前原は、尖閣諸島沖漁船衝突事故の際、海上保安庁を管轄する国土交通省を取り仕切る国交相だった。今度は外相として、中国の外交政策に立ちはだかっているように見えるのだろう。中国は前原つぶしを狙っているのではないか。今回の首脳会談キャンセルも、前原をスケープゴートにしているのではないか。先のような記事を受け、前原に尖閣諸島問題の責任をすべて被せ、もしかすると「懇談」で菅首相に更迭を求めていたかもしれない。それが実現したのなら、中国の求めで日本政権内の反中右翼的な人材を更迭させた、と手柄を披露し、よって反日デモを抑え、指導部内の反日強硬派、保守派を納得させようとしているかもしれない。

メール事件で懲りたはずの前原は依然として言いたい放題だ。枝野も中国批判をしている。中国から文句を言われるのは不愉快だろうが、対中関係改善を考えるなら、自重したほうがいいのではないか。