わまのミュージカルな毎日

主にミュージカルの観劇記を綴っています。リスクマネージャーとしての提言も少しずつ書いています。

Into The Woods

2004年06月09日 | 観劇記
新国立劇場  実質4列目センター(10列目が最前列です)
本日初日を観劇しました。
楽しく、でも考えさせられる、というソンドハイム氏ならではの作品ですね。いろいろな雑誌の出演者等の座談会を読んでいると、一度ではちょっとわかり難いかもしれないと書かれていました。が、私としてはとてもわかり易いし、小難しいことは何もありませんでした。一度でちゃんとわかりますから、もし、一度だけしか行かれないと迷われている方も、安心して劇場へ行ってみて下さい。思わぬ展開に、やられた!と思います。そして、多分どこかに今の自分が直面している困難と同じことがあると思います。解決策もなく残酷な結果もありますが、それも現実。それでも何となく希望が湧き、自分もがんばれるかもしれない、そんな思いで劇場をあとにすることが出来ると思います。

初日ならではの華やかさも手伝ったと思いますが、とても充実した舞台でした。出だしは、かなり緊張なさっていたキャストも、一通り歌うと落ち着いたのか、観客を森に連れ込んでいました。舞台装置もとてもいいです。そして、中劇場をとてもすてきな劇空間に変身させていました(正直、私はあまり好きな劇場ではないのです)。
キャストはほぼ全員にソロがあります。で、安心して下さい、皆様ほぼ一つの役で通します。「太平洋序曲」みたいに探しまわることはないのですね。
なかなか面白い配役だなぁと思います。ミスキャストという方はないと思いますが・・・「太平洋序曲」を愛し、ソンドハイム氏の曲をたくさん聞いてきたファンの一言を言わせて下さい、厳しすぎるかもしれませんが。ソンドハイム氏の曲はやっぱり難しいな、と思わせる場面が多々あったのはがっかりでした。難しい曲ほど、本当は歌詞以上に聴衆に訴えるものがあるわけですから、もっと聞き手の耳に、そして心にねじ込むように歌って欲しいと思います。その点では、キャスト間の実力に差がありすぎるように思いました。

橋本さんの訳詞はとてもいいですね。英語でこそ楽しいと思われる、ソンドハイム氏の歌詞を、日本語でも楽しませて下さいます。勿論、演出の亜門さんの力も大きくて、いろいろな作品を楽しんでいるのだと思いますが、橋本さんの素晴らしい訳詞がなければここまで楽しめないと思います。

最後に、この作品を観る最大の動機だった広田勇二さんのご活躍について一言。
最初のご登場は御者なのですが、主はラプンツェルの王子という役です。魔女の娘ラプンツェルは牢獄のような塔に閉じ込められているのですが、広田王子様は心引かれ・・・結末は、劇場で!シンデレラの王子役の藤本さんの弟という設定で、お二人で歌います。王子様ですから、とてもステキ!!!しかし、お二人とも、ちょっと違う?はっきり言えば変!でも、ご本人達は至って真面目。本当に大笑いばかりさせて下さいます。そんな楽しいというか、面白い歌なのですが、広田さんが歌われると音楽としての素晴らしさを感じられます。そのギャップが広田さんの素晴らしい歌声で、ますます可笑しくて・・・こういうひねった曲は歌い手の実力が本当にものを言うなぁと思ってお聞きしていました。

ちょっと生意気なことをいろいろお話してしまいましたが、今年になって亜門さんの舞台に全部お付き合いしたということで、お許し頂きたいと思います。
いろいろ言っても、結局のところは、とてもとても楽しい舞台でした。また、是非観劇したいと思っています。一度でも楽しめる作品ですが、また観るときっと思わぬ発見がありそうな作品でもありますね。

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1 コメント

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なるほどねぇ (大樹克行)
2004-06-26 00:26:01
はじめまして、昨日(24日)と今日(25日)の二回見てきたものです。検索したらHitしたので拝見しました。

なるほど、そういった感想もあるんですね。

実際のところ僕は今から15年前、大学のクラブでこの作品を上演したことがあるんです。そのときは英語のままでしたが、著作権がおりなかったので身内だけ集めての発表会になりましたが。それが実は初舞台で、とっても思い出深い作品だったんです。ぼくがラプンツェルの王子をやったんですよ。それが今度日本で上演されるとあってどんな作品になってるのかと楽しみにして観に行きました。だけど、昨日の席は二階の端っこであんまりよくわからずソンドハイムのあの難しい歌詞を日本語に無理やり当てはめたつらさにがっかり。でも今日は昨日よりセンターに近く、最後のあの演出も昨日気づかなかった効果もいろいろ楽しんできました。実はあんまり期待してなかったSAYAKAもちゃんと芝居してて思ったより楽しめました。ただ惜しいのは最後だけに登場した白雪姫と眠り姫の二人のソロが聞けなかったことですかね。

実際ブロードウェイでも初演の後パロディーが作られて、そのタイトルが"Into The Words"(「言葉の中に」)って言うくらいですから、英語を母国語としてる人もあれに近い感じを受けてるのかもしれませんね。中身も「おまえ(ソンドハイム)の歌はメロディーに対して言葉が多いんだよ!」っていうものらしいですよ。(笑)それをあのメロディに乗せて歌うんですって。
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