わまのミュージカルな毎日

主にミュージカルの観劇記を綴っています。リスクマネージャーとしての提言も少しずつ書いています。

「パジャマゲーム」

2017年10月07日 | 観劇記
日本青年館 
2017年9月25日初日と10月1日ソワレ
そしてもう一回観ているのですがいろいろあって秘密(笑)

一階席の前後左右とも真ん中あたりが2回とやや後方だけど上手通路近く


コメディミュージカル・・・久しく接しないジャンル・・・
最近、日本で流行るミュージカルは割と悲劇が多いです。まあ、世界的にも、「楽しむ」というより「考えさせる」作品を提供することが潮流となっているのでしょう。久しぶりにハッピーで、わくわくする舞台を観ました。
2回目を観て、そういう楽しい舞台でも、初日は堅かったなぁと思いました。観ている私も堅かった???苦笑。

いろいろ細かいことにも触れています。観劇前に読む場合は、ご了承のうえお読み下さい。
観劇するかどうか迷っている皆さま、是非、読んでその勢いで劇場へどうぞ。

あらすじは、紆余曲折はあるものの、ヒーローとヒロインが結ばれ、その周りの人も元の鞘に納まり、どうかよくわからないカップルはいるものの、一番の問題の7セント半の賃上げは叶うという本当にハッピーなお話し。

ハスラー社長を演じる佐山陽規さんのおかげで(?)、トム・サザーランドさんの日本での演出3作品すべてを観劇することになりました。大好きな佐山さん中心で考えると、私の中では「グランドホテル」「タイタニック」「パジャマゲーム」の順ですが、作品全体の完成度からすると「パジャマゲーム」がダントツで抜きんでています。3作品とも、群像劇ですが、「パジャマゲーム」が、一番全員が本当に生き生きと、大活躍するので、そこも私好みであり、なおかつ、ミュージカルといえば「歌・ダンス・演技」を求められますが、キャストの皆さまがそれを満たして、観客を楽しませて下さっているのです。曲は、もともとあるものですけれど、アレンジがすごくおしゃれ。そして、振り付けも、本当に、憎いほど一つ一つがおしゃれ。溜息が出るばかり。そして、演出は、劇場にいる全員が、その一瞬一瞬を共有していると感じる、人々が紡ぎだす空間作りなのです。キャストの皆さまは、大道具を動かすので、大変だと思いますが、その動かしている前後にもお芝居があったりします。そういうことの積み重ねが、また、キャストの皆さまの息が合って、よりお芝居が、自然な流れの中で運ばれていくのだと感じています。

長くなるかもしれません。最後までたどり着かないと困るので、このあたりでお伝えしたいことがあります。
私も、行きたい作品すべてを観劇できるわけではありません。で、あとになって、観ておけばよかった、と後悔することがあるので、この俳優さんが気になるなら・・・ということを書いてみたいと思います。

プリンシパルの方は別にして・・・
一番に、青山航士さんのファンやちょっと気になるなぁという皆さまへ伝えたいです。かなりの困難があっても乗り越えて是非劇場へ行きましょう!ええ、ええ、もう、惚れ直すと思います。(「グランドホテル」でもすてきでしたが、あれが満足度80点とすると、今回は150点ぐらい。)
2番目に、神谷直樹さんのファン皆さま。少々の困難など、一蹴して劇場へお運び下さい。
次に、鈴木結加里さんのファンの皆さま。チケット代以上の満足感があると思います。

プリンシパルの皆さんのご活躍は、半端ありません。ちょっと気になっている、ぐらいのファンの皆さま、是非是非。他の舞台で、こんなに歌って、踊る、なんてこの後もないかもなぁと思うほどです。
あと、某ドラマで、新納慎也さんや栗原英雄さんのファンになった皆さま、ミュージカルはちょっと、と言わずに、劇場に来て観て下さい。生ってこんなにすごいんだ。生って楽しい!と感じて頂けると思います。お二人とも、「歌」素晴らしいのですよ。

やや、梅芸の回し者になった感じですが、私はたくさんミュージカルや舞台を観るのですが、ここに書かなかったキャストの皆さまも、他の舞台ではその魅力の十分の一も発揮されず、残念と思うことがしばしばです。「パジャマゲーム」はキャストの皆さまにとっても、実力の限界を見つけ出すお稽古場だったのではないでしょうか。本当に、キャストの皆さま全員が魅力をいかんなく発揮している、充実した舞台となっていると感じています。

ちょっと、かっこいいこと言ってしまいました、苦笑。
具体的な舞台の話をしたいと思います。

ハッピーなお話しの中に、ダンス、ダンス、ダンス!本当に楽しい。オープニングから、うそ!と言うような男性キャスト陣のアクロバティックなダンス。ピクニックの楽しい、運動会みたいなダンス。ラブラブなシドとベイブの歌の間のダンス。もう、ここまでで、ダンスは終わりかなぁ?と言うほどの運動量なのですが、第2幕もダンス!
「スチーム・ヒート」は圧巻。北翔海莉さん、青山航士さん、神谷直樹さんが踊るのだけれど、いわゆるフォッシースタイルで、かっこいいのなんのって。照明も衣装も本当に魅力的。このダンスを観るだけでも、観劇した甲斐があったと思う場面です。
このすてきな「スチーム・ヒート」の場面ですが、組合活動の一部なのです。なんてよくできた脚本だろうと感心します。全体としては、ダンスのイメージですが、お話し自体も面白いです。初日は唐突と思ったのですが、2回目は、キャストの皆さまの「間」やその「間」での目線の感じがよくなったのか、セリフはないのだけれど、気持ちが伝わる場面が多くなって、お芝居としての面もとてもいいなぁと思いました。
それが顕著だったのは、新納慎也さん演じる工場長のシドが、北翔海莉さん演じるベイブをデートに誘う場面の二人のやり取り。シドはぐいぐい行きたいのをぐっと抑えて、クールに誘い、ベイブは一瞬嬉しいとなるのだけれど、シドに悟られないうちに押し隠して断ってしまうのです。ここでの、間やちょっとした表情が観客の共感を得られると、ちょっと唐突なピクニックでの出来事も納得なのです。
まあ、細かいことが気になる私の悪い観劇癖です。そんなこと考えなくても、本当に楽しい舞台です。

この感じで書いていくと終わらないので、コメディの感想らしく、変化球でいきます(笑)。

ハインジー(栗原英雄さん)がラストの方で、シドとベイブの熱々を揶揄して、「あの二人は長く続かないな」というのですが、私も同感、笑。
大体、ベイブは人を見る目がないですよね。あんなにそばにすてきなチャーリー(広瀬友祐さん)がいたのに、それに気が付かないなんてね。チャーリーがすてきな場面はいくつもあるのですが、一幕のラストで、シドと一緒に「Hey There」を歌うのですが、シドが感情を思い切りぶつけて歌うのですが、チャーリーはソフトに歌うのです。その対比がとてもすてきです。広瀬さんの歌を初めて意識して聞いていると思いますが、すごく緻密に歌声をコントロールできる方なんだろうなぁと思っています。演技もいいですよね。ハンカチを見つめる・・・相当チャーリーに感情移入しているので、ベイブ、どこに目を付けているのぉ!!!
と思わせるほど、可愛らしいベイブを演じるのは、宝塚で男役をなさっていた北翔さん。宝塚時代のご活躍を拝見していないのです。宝塚出身の女優の方々はもうたくさん拝見しています。宝塚出身といっても、本当に実力はまちまち。トムさんが北翔さんと出会ったから作った「パジャマゲーム」と聞いていましたので、めちゃくちゃ私の中のハードルは高かったです。そのハードルの遥か上をひらりと飛び超えて下さいました。これほど、歌に表情があるとは・・・ダンスも演技も素晴らしいのですが、ミュージカルで活躍するなら、豊かな表現が出来る歌声をもっていることが大切だと思っているので、本当に素晴らしい女優さんだと思いました。

ハインジーも他人のことは冷静だけど、グラディス(大塚千弘さん)と長続きするとは思えないですよ。グラディスみたいな女性とお友だちにはなりたくないけど、ああいう話題性のある女性が存在していたら、噂話に事欠かなくていいかも。
ハインジーとグラディスのカップルはいろいろ衝撃的なカップルです。栗原さんと大塚さんのイメージが180度覆った感じです。栗原さんはコメディも出来るのだろうなぁと思っていました。大塚さんの方が衝撃的でした。いつもニコニコ可愛らしいイメージだったのに。結構、途中までは、一番の悪人という感じです。本当においしい役で、悪のイメージもありながら、たくさんの笑いも取に行ける役です。こんなにモテる役もないでしょうしね。ハインジーに、プレッツ(上口耕平さん)、そしてシド。モテ過ぎ・・・
(ハスラー社長ファンとしては、グラディス、許せない、となるけれど、大笑。)
結局、グラディスはハインジーが一番らしいのですが、グラディス、苦労すると思いますよ、結婚したら、笑。「やきもちはやかない」って歌いますけど、簡単にその性格が直るとは思えませんし、時間にあんなに几帳面ながら、洋服を着たまま寝たり、起きてベッドで髭そったり、う~~~ん。水で濡れたベッドはどうするのかな?っていつも思います。グラディス、お掃除大変だろうな・・・
やっぱり、ハインジーとグラディスも長くは続かないんじゃないかなぁ・・・笑。

チャーリーのように一途で優しい男性の反対側に存在しているのが、女性の敵、プレッツ委員長。労働者の味方だけど、女としては近くにいて欲しくない男。本当に奥さんがかわいそう(誤解のないように書きますが、プレッツの奥さんは登場しません。)でも、演じている上口さんがすてきだから、なんとなく、「まぁいっか」となっています。相変わらず安定した歌声です。ダンスも素晴らしいです。こんなリーダー的な役柄もしっかりこなせるとは・・・「タイタニック」の内気な青年役からは想像もつきませんでした。

以上、演じているとは思えない、個性豊かな、俳優の皆さまのおかげで観劇後の仲間との話が尽きませんでしたよ。
演じているは思えない、と観客が感じるか否か、は舞台作りにとても大切だと思っています。勿論、技術だけで見せることもできると思いますが、観客が共感するというところまで楽しむのは、やはり演出が大切なのだと思っています。
先ほどの相当下らない感想も、想像力が膨らむから出てくるのです。その想像は、俳優の皆さまが、その役柄として生きていることを感じられるときに出てきます。
群像劇は、多くの場面に、キャストの皆さまが登場します。現実の生活でもそうですよね。本当に、一人とか二人きりなんてことはありません。
「愛なら負けない」の場面がもしベイブとシドの二人だけなら、二人もあんなに楽しく歌わないと思うのです。ベイブが「ねえきみ」を歌うとき、小道具をキャストの皆さまが渡していくのですが、人と人の繋がりを感じられてとても好きです。(「太平洋序曲」の「ボーラ・ハット」を思い出していました。)
そうそう、ここで北翔さんの歌がすごくいいのですよね。コンパクトを取り出して、涙声で2フレーズぐらい歌い、その後はしっかり歌うのですが、その最初の涙声の寂しさが余韻として残っていくのです。そのあとは、決して崩したりしないのに。聞き手を納得させる歌を歌える女優さんなんだなぁといつもこの場面で思うのでした。

(話が行ったり来たりしていますが・・・終わるのかな?)

ハスラー社長はこのカンパニーで唯一嫌われる役、と聞いていたので、「グランドホテル」で青山航士さんが演じた運転手みたいな怖そうな役かと思っていましたら、まあ、職業倫理上の問題は大いにありますが、普通の人で、ほっ。
脱線しますけど、青山さんは「グランドホテル」での演技がすてきで、悪役なんですけど、惚れ惚れ。で、この舞台でも演技が光る場面があります。すてき!あの場面、ラジオを付けて流れる音楽で雰囲気を変えるというのもおしゃれな演出ですよね。コメディがあって、雰囲気がよくなって、一大事になり、さらに事件が続く・・・笑。是非、注目して下さいね。
ええ、佐山さんの話でした、苦笑。ご本人がいろいろな場面で、「ダンスは得意ではない」とおっしゃっていますから、「パジャマゲーム」がダンスミュージカルだと知った時、ファンとしては、一抹の不安・・・一抹ということにしたいと思います。
今回、演技が中心ですね。なんというか、舞台全体が、ピンクのハートに埋め尽くされているような感じなのに、社長が登場すると、ああ、ここ工場だったのね、と現実感溢れます。でも、ヤギさんみたいにお手紙食べてしまうのです。コメディです、ハイ!
最後の場面は、ほんわりとなるので、よかったぁ。
現実と舞台での出来事(役名であり続けるのか、一俳優なのか、不思議な時間)が交錯するフィナーレ。ここでもチャーリーの優しさ、気配りに目が釘付け!本当に、チャーリーいいです。社長への気配りが素晴らしいので、きっと出世するでしょう。
(ツイッターのつぶやきで、アフタートークの内容を紹介して下さっている方がいらして、知ったのですが、最後の「7セント半」に合わせてフィナーレをやることは、ゲネプロの後決まったそうです。社員の皆さんは本編で踊っているわけですが、社長は勿論その場にはいないわけですよ。それに、7セント半賃上げしたくないわけですから、チャーリーが社長の様子を伺いたくなるのもわかるわ!)

ちょっと変な観劇記ですが、なにしろコメディの舞台の感想ですから、堅いことは考えず、笑いながら読んでくださいね。
書いていても楽しくて書き続けたら、ちょっと公にできないだろう、となりました。そのあたりを直しているうちに、話が行ったり来たりしています。もっと、書きたいことはたくさんあるのですが(新納さんの話がほとんどない!)、また、何かの折に。
最後まで、お付き合い頂きありがとうございました。

キャストの全員の大活躍を応援して、明るい気分で劇場を後にできる、爽快、ミュージカル・コメディ「パジャマゲーム」は2017年10月15日まで、日本青年館(東京)で上演中です。その後大阪へ(2017年10月19日~29日梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)。
是非、お運び下さいね。



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