「鰹の旬は初鰹なのか戻り鰹なのか?」と聞かれたら、私は梅雨入り前ごろから立秋くらいまでだと答えたい。
たしかに戻り鰹は大きく成長して脂がのっているが、皮が硬くなって銀皮造りにむかない。
身質ももちっとした柔らかい触感から、しこっとした硬い食感に変わってくる。
ほどよく脂がのって、皮も身も柔らかい夏場の鰹がいちばん美味いと私は思う。
鰹の刺身には日本酒以外は合わない。
鰹を食べた後に麦酒やワインを飲むと、口の中が生臭く感じてしまう。焼酎は味が強すぎる。
私は子供のころを漁師町ですごしました。
村下孝蔵の歌人のジャケットのように、家の裏の愛宕山に登ると港が見えた。漁師でない我家では、鰹はごちそうだった。
鰹のお茶漬けをこちらでは茶ずましと言います。
ふつうは酒の肴の残りを山葵醤油に浸けてご飯にのっけてお茶をかけるのですが、
私は胡麻をよくあたってから土佐醤油を加えたものに鰹を5分くらい浸けています。
かけるのもお茶でなくて、おすましです。鰹をのっけたら出汁をかけて、葱と山葵をのっけ、海苔と胡麻をぱらぱら。