暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

耳に入ってきたこと二つ

2005年11月26日 02時04分13秒 | 日常

私の世界ははなはだ小さい。 これからますます狭くなっていく。 

このブログは自分の狭い世界を、ピンセットで道端の砂を拾って紙の上に貼り付けるようにして、なんの変哲もないものをぼつぼつと一つづつ記し続けていくと、そのうち何年か後に自分で読み直して、へえ、こんなこともあったのか、とそのときの退屈をしのげるようにと思いついたものだ。

連綿と続く日常のルーティーンはその流れに乗っていると何の変化も見えにくいものだが時と場合を違えて眺めてみると新たな光が見えることもあるだろう。 

もう20年以上、定型の手帳の、1ぺージに1週間、見開きで2週間分の升目が切ってあるものに、防備録ふうの単語、場所名、固有名詞を記入してここ何年かはメールアドレスも多くなっているのだが、そういうものはそのときそのときだけで参照の対象になるけれどあとで殆ど顧みられる事はない。 今、そろそろ年も終わりはじめ、新しい手帳に来年の予定を書き入れる時期に来ているので、いままで20冊以上溜まったものを手にとってある年のある日時に何があったか、感慨にふける短い時間を持つ程度でしかないのだが、ここではもう少し細かく出来事も思い出せたら、という意図もあるのだ。

前置きが長くなった。

金曜日嵐の中を例の如くプールに行った。 がんばって500m1本目、時間を先週より40秒縮めた。 やっと体が夏休み後の運動シフトにもどったのだろう、4月ごろのベストに近くなっている。 それで、また例の如く10分間のサウナタイムだ。 私を入れて3人、つまり、小型の河馬然とした老婦人2人と私。 この二人、一人が話して一人が聞く。 

今日はあんたと一緒に泳ごうと(私注; 水に浸かってプールの縁にぶらさがり時々体を動かせ、できるだけゆっくり向こう岸にたどりつく)あんた、まってたんだけどね、あんた、おそかったでしょ、私のとこ、保険の査定人がきてね、家の雨漏り、保険で下ろせるか、そのこと調べに会社からきたんでね、時間かかったんだわ。

うち保険かけっぱなしでこの43年間一度も申請したことないし、もちろん、いちどクレームで保険で修理したら今度、つぎからは掛け金高くなるから、それも頭に入れておかないとね、ちょっと、壁のあたり、外して塗ったりなんだかんだしてると15万ぐらいすぐ飛ぶでしょ、それで、18万ぐらいまでなら保険からおろさないで自分でなんとか処理した方が安つくって言うし、けど私たち43年間かけっぱなしだし、この辺で一度ぐらいはおろしてクレームつけてもいいんじゃないかしら、それに年とって来て年金だけじゃ何かと予算も小さくなってくるし、それに、1月から健康保険制度が変わって政府は調子のいい事言ってるけど自己負担が増えそうだしね。 うちのと相談してるんだけど、雨漏りの具合がどうもはっきりしないのよ、、、、、、

大変だなあ、私もあと10年ぐらいでこういうことの仲間入りなのだなあ、とつめたいシャワーを浴びて500mの2本目を始めたが、もうひとつ力がはいらず、考え事をしながら泳いでいた。 なぜ自分はピアノトリオを聴かなくなったのか、というどうでもいいようなことを別のコラムで書き始めたのだが、そういうことも昨日の夜ウエブラジオで面白く聞いたジャズ番組の内容と絡み合わせていろいろ連想が行く。 それにゴーグルの向こうに広がるうすい水色のプールの水底が2年ほど前に買ってまともに聴いていない評判の良かったピアノトリオCDのジャケットの色でもあり、それも参考になるかな、また聴かねばな、などとぼんやり考えながら、けれどターンの回数は忘れず20回終えたのだ。 前回のきっちり40秒遅れであり、でも、まあいいか、そんなものだろうと、つぎの3回目で20秒戻し、着替えて外に出ようとしたけれど、嵐の土砂降りがおさまらない。 駐車してあるところまで20mほどなのだけれど面倒だ。

喫茶店でしばらく小降りになるまでと、プールの喫茶店でオレンジジュースを手に新聞、雑誌が積んである読書テーブルに向かい町のプレイガイドに載っている今晩から3晩連続でコンサートをやる中堅アルトサックス奏者の記事を読んだのだが、書いているのはオランダジャズ専門誌にもコラムを書いている知人のもので、見開き前面にぎっしり細かく書いてあるこの奏者の経歴、傾向と見所の説明はあまりにも専門的でこういうプレイガイドの紙面には全く似合わない。 どれだけの人が読んでわかるのか、頭を傾げたが、同様にこのジャズにいれこんだ人柄が場違いな印象で笑ってしまった。 いずれにしても今晩冷やかす材料ができたとまだ止まぬ雨に感謝した。

話の二つ目。 もう一つ目でも二つ目でもどうでもよくなっているが、、、。
車で聴いたラジオの番組でのこと。 なにか、最近、麻薬を小さい玉にしてそれを飲み込んで税関をくぐりぬける運び屋の女を主人公にした映画があったとか。

それに関係して、捕まった運び屋の弁護士のインタビューの話。 例えば、スキポール空港で捕まって、飲み込んだものを取り出し、これはオランダでは一番権威も権力もある当局である国家保安局が直接行うので、ということであるが、送検された書類に記された押収された麻薬の量と本人が運んで体から取り出した量が違う、というのだ。

どういうことかというと、弁護士の弁では、本人は例えば68個飲み込んで2kgだと、けれど、送検書類には20個少ない1,4kgとなっていて、2kgの場合よりは刑期が短いので本人は抗弁しないし、依頼主もちゃんと目の前で飲み込ませているのを確認しているからこの数字などには注意もいかないし、運び屋が捕まった段階で2kgが無駄に終わった、と承知しているが、検察書類の1.4kgというのは押収物が1.4kgであり、焼却処分される量を示している。 0.6kgが消えて誰もそれには依存がない、と。 それが、弁護士仲間の話ではかなりの回数に及んでいて近頃だけでも実際の数字と送検書類のとではその差が4-5kgに及ぶだろうと噂されているのだけれど、この臭い汚職を取り締まる対策は立っておらず、立件するのは楽ではないから、内部告発かなにかで内務省が動くまで待たねばならず、近頃はさすがに放っておけないのか、こういうことのけん制のためなのか何週間か前にスキポール空港の内部に法務省が検査に入ったのだ、と。 私もこれはテレビのニュースで見て奇妙な話だなと感じていた。

けれど、ニュースでは大山鳴動して鼠一匹も捕れず、という結果、みじめな印象を与えている。 また、この3週間ほどでアムステルダムで白昼、弁護士、ギャングの首領、タイの保養地で暗黒世界の関係者がつぎつぎ銃弾に倒れていて、警察当局は何の対策も立てられていないという印象を世間に与えている。

車を家の前に止めて慌てて土砂降りの雨の中、家に飛び込んだ。




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