暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

半日の舟遊び

2019年08月08日 21時30分15秒 | 日常

 

2019年 8月 7日 (水)

舟遊びというのは少々大袈裟なのだが久しぶりにボートで何時間か遊んだ。 きっかけはこの間の隣組のバーベキューだった。 1週間ほど前に日本から友人が来て一夕運河沿いに8kmほどサイクリングの後、運河沿いの洒落たレストランで食事をした。 そのとき友人の奥さんはそうでもないようだったが友人が疲れたといい、それなら娘に車でホテルまで送らせるといったら、じゃ、酒を飲もうかと彼はまた何杯かグラスを空けていい気分になってしまい、夫人とともに車でホテルに帰ったから彼らが乗って来た自転車はそこに預けて置いて我々は暮れなずむ運河沿いを自転車で戻って来た。 そういう話をパーティーでしていて、近々バスでそこまで行ってそれに乗って帰ってくるんだ、と言っていたら近所のハンスが、それなら舟遊びがてらそこまで送って行くよ、あそこは運河沿いで都合がいいからハーグまで行って帰って来よう、いつがいいんだとせわしなくその日を決めてしまった。 ハンスは定年してからゴルフとテニス、夏の間はボートが趣味で誰か暇人をみつけては誘いたがる。 

ハンスの車でボートを係留してある隣町の湖にあるヨットハーバーまで家人と3人で出かけた。 ヨットハーバーといってもここは主に運河伝いにあちこちでかけるところでもあるのでマストのついたボートやヨットはすくなくほとんどが内海・運河用のクルーザーか小型のボートだ。 オランダ人はこういうボートが好きだ。 春からぼちぼちポカポカしだすとあちこちの運河・水路でこのような小型のボートを準備する光景が見られ男たちはまめに動き回っている。 これはスループと呼ばれ、昔は船の脱出用ボートだった形式のもので、そこに船外モーターをつけたりこのように小さなデイーゼルエンジンをつけて簡単な操縦台を配したものが中心で、カンバスの覆いはあるものの基本的にはオープンである。 モーターなしで何人もオールで漕ぐものをカッターというのではないか。 一日舟遊びをするのならこのボートは10人は乗船でき、3、4人ぐらいなら覆いを拡げれば楽に寝泊りも出来るようだ。 キャプテンと呼ぶと、そばの帽子をかぶりながらお道化てスキッパ―・ハンスと呼んでくれと言った。

日頃運河沿いを走っていてそんな船を見るのと運河の中から周りを眺めるのでは少々変わった風景が楽しめる。 一つには水鳥がすぐ近くを泳いでいくことだ。 雁や白鳥はこういう船が行き交う運河には出てこず支流の水路にいるけれど鴨や鳰などは行き交う船を恐れず船が近づいて来ればすこし避ける程度だ。 時速10kmでは運河沿いを行く自転車でさえ我々を追い抜いてゆく。 だからそんなものと心得え落ち着いて周りを眺めているのが態度なのだろうが自分の性には馴染まない。 一度か二度経験する分には面白いけれど趣味として船を手繰るなり細々としたことには自分の辛抱がもたないようだ。 だから今までこのスキッパ―に泊りがけで国内クルーズをやろうともちかけられても首を縦には振らなかったのだ。 もしそういうことになれば自分は持ち込んだ酒で酔っぱらって時間をつぶすぐらいしか能がない。

ヨットハーバーの湖から運河に出て5kmほど行くと我々が食事したレストランがあり、そこを通り越して更に12kmほど行き、ハーグに入り折り返し戻って来た。 折り返し点の手前に17世紀の数学者・物理学者・天文学者であったクリスティア―ン・ホイヘンスの居住していた塔がありそこを通りかかって感慨深いものがあった。 そこで我々は1987年12月4日に結婚式を挙げたのだった。 当時そのフォーブルグ市に住んでいて市役所で挙げることもできたのだがその城と呼ぶには小さすぎる塔で20人ばかりの客を集めて式の後一日遊んだのだった。 運河からこの建物を見るのは初めてだったしこのまえここに来たのはもう20年以上前だったのではないか。 

ライデン方向に向かっていると急に大粒の雨が叩きつけてきて一面白くなった。 雨具をつけて凌いだ。 800mほど行くと大きな橋があるのでそこで雨宿りをするつもりだったが雨脚が激しく船はゆっくりであるから水浸しになる。 その橋に行きつくころには通り雨は過ぎて強い太陽が照っていた。 モップでボートの水を集めるとバケツ一杯になった。 ライデンからハーグまでの20km弱の間に一つだけある閘門のところにくると床は乾いていた。 小さな閘門は運河の水位を調節するためにあってここを通過するときは二つの橋の間に入り締め切って地位を30㎝ほど上げ下げして出ていく方向の門を開けて出入りするものだ。 場所に拠っては1mも2mも水位を調整するところもある。 大規模なものはスエズやパナマのものが知られている。 ここではレジャーボートだけの小さな閘門であるから周りには日がなここを行き交うボートを眺めて過ごす人々のカフェーやレストランが集まっていて我々はそういう人々の視線を浴びてそういう「舞台」を通過して人気のない運河に向かう。 この閘門では6,7隻のボートを一度に通過させる。

ライデンの隣町まで戻りレストランにボートを係留して我々はアップルケーキをコーヒーで腹に入れスキッパ―と別れた。 ここからハーグの折り返し点まで12km、ヨットハーバーからここまで5km、我々は今日29kmの小クルーズをしたことになる。 11時に家を出てからレストランで自転車を確保し、ライデンに戻り途中スーパーで買い物をして帰宅すると4時を周ったところだった。

 

ウィキ゚ペディア、クリスティア―ン・ホイヘンスの項; 尚英語版にはホイヘンスの住居の写真が見える

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AA%E3%82%B9%E3%83%86%E3%82%A3%E3%82%A2%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%BB%E3%83%9B%E3%82%A4%E3%83%98%E3%83%B3%E3%82%B9

  



最新の画像もっと見る

コメントを投稿