暇つぶし日記

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モロッコの旅(9)エッサウィラ, メディナのメインストリート

2014年07月04日 11時58分54秒 | 日常

 

今回のモロッコの旅行で覚えた言葉がある。 メディナ と スーク だ。 メディナは旧市街の中心部、スークは小さな商店が密集している商店街, バザールのことで我々の行動範囲のかなりの部分がメディナ、スークだったから自然と耳に入り覚えたということだ。 エッサウィラでは城壁に囲まれたメディナのすぐそばに借りたアパートがあったので城壁の北東、Bab Doukkala 門から入りそのままメインストリートの Oqba Ibn Nafiaa 通りを何かにつけて行ったり来たりしていた。 これがいわばこのメディナを横断するメインストリートでその中心には小さな方形に囲まれた青物、肉、魚を売る市場がある。 そこがこの町の核だと言ってもいいようだ。 だいたいどの青物市場に行っても肉の売り場はともかく魚、ことに鶏を売る場所にはその圧倒するような強烈な匂いのためになかなか深部に近づけなかった。 迷宮のようなカスバの小さいスペースにある日よけも何もなくただ地べたにシートをひいてそのまま店を広げ、臓物類を切り刻んだものはそのまま脇によけて蠅、犬、猫のするがままに任せている様なところは例外的だったかもしれないが大体のスークにはそういうところがある。 

このメインストリートは Bab Doukkala 門から1kmほどで漁港に抜けてしまうのだがここにはしゃれた店など一軒もない。 多分世界遺産認定の条件にそのように規定されているのだろう。 ここに来ればほぼ昔から続いてきた町がそのまま機能しているように見える。 大型トラックや乗用車は入れないから近郷からは野菜などを昔懐かしい自動三輪車に満載して直接運び入れ、ときにはロバに牽かせた荷車で、また城壁外の駐車場からは手押しのリヤカーに分散したさまざまな物が人の力に依って流入する。 イスタンブールでは大型トレーラーから箱を高く積み上げて背負い倉庫なり店なりに運ぶような人夫が見られたけれどここでは山の強力のようなそれは見られなく、のんびり押したり引いたりして運ぶリヤカーがその役割を果たしている。 それが出来るのはここには坂道がほとんどないからだろう。 自分達のスーツケースや荷物もこのようにして数百メートル離れたバス停まで押して行ってもらった。 朝の涼しいうちにそんな物が運び込まれ昼の暑い時間になると地元の人通りも少なくなるからその分観光客が目立ち、夕方から夜更けまでは老若男女が賑やかに行き交う。 11時も過ぎると通りは残り物の茶にするミント、明日のパン、スイカに装飾品、衣料品などを売りさばこう物売りで一杯になる。 けれどそれもここと二、三の通りを除くとあとは闇の迷宮があちこちに残り人はそれぞれ密やかにドアの向こう側で過ごすという処だ。

いつだったか港に近いレストランで昼食を摂っているときにアジア人らしい若者を見かけたので話しかけたら慶応の学生でアメリカ留学の帰りに南アフリカ、モロッコ、スペイン、ロンドンを一ヶ月で周って日本に帰るのだと言っていた。 マラケッシュを朝出てここに3時間ほどいてまたマラケッシュに戻ると言う。 ここに5日居る、と言うとここそんなに居て観る所ありますかと言い、あとはアイパッドに眼を落とし何やら情報を収集しているようだった。 言われてみて観る所があるかどうか考えた。 毎日ぶらぶらあてもなくここを歩いてみて悪くはないし何ならマラケッシュより居心地がいいようにも感じる。 それは青い空と涼しい風がそう感じさせるものかもしれない。 3kmほど行くとウインドサーフィンの世界大会が開かれるようないい浜があるんだよ、と言ってもその青年はそれには別に興味なさそうに寄ってきた何匹かの猫にタジンの肉を食わせていた。 


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