暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

恵みの雨

2018年08月09日 16時20分05秒 | 日常

 

2018年 8月 9日 (木)

ほぼ二か月ぶりに庭に雨が降っている。  恵みの雨だ。 夏休みから帰ってみれば庭は思ったほど枯れてはいなかったものの楓の枝が何本か完全に赤く枯れていた。 芝生は森の家の周りの芝生ほどではないものの黄色くなっていたからその夜1時間ほど庭のあちこちに散水した。 月曜に戻って水曜の夜には雨が降ると天気予報で言っていたもののほんのお湿り程度でしかなかった。 ニュースでは各地の干ばつによる被害が報告されていて穀物、野菜、果物が4割から7割の収穫になりそうだといい、国のシンボルでもあるジャガイモが半分ぐらいの大きさでしかない、とも農夫が実際に根に付いたピンポンボールほどのものを見せていた。 本来なら今は冬の乳牛の飼料である干し草の獲り入れに忙しいはずが枯れて収穫が出来ずそれまで貯めてあった干し草を放出しているから冬の飼料がまったく期待できないとすると乳牛を売って離農する家族がでてくるとも観察されている。 奇妙なことに自分が1969年夏に帯広の酪農農家で経験したことに類似している。 帯広では厳しい冷夏で雨が続き草の根が腐り越冬用の干し草が出来ず自分が1週間ほど泊って干し草の刈り取りの手伝いをするはずだった農家はその後離農している。 どちらも干ばつと長雨によって越冬用の干し草が出来なかったことが原因である。 

幸いなことに今灌漑用散水の規制はなく、日常生活水の規制もないから家庭の庭に1時間も散水でき、この辺りでは今のところ死活問題ではない。 スイスやドイツ、ベルギーからオランダに来て北海に流れ込む国際河川の水位が下がりその分北海から塩水がオランダ国内の河川に逆流しそれが問題となったため一定時間国内の堰を閉じるということをしているそうだ。 そうでなくともオランダの地下水の淡水部分が減り、その分その下方にある塩水が土地の上部に競り上がってきて農作物に悪影響を与えるという事も観測されているようだ。 そんな天気がこの国の土地に影響をあたえるという情報がニュースになって現れているというのはかなり深刻だということだろう。 そして昨日の夜と今日の午後本格的に雨が降って気温が10℃ほど下がり寒く感じる程だ。 これから一週間ほどは最高で25℃ほどの普通の夏にもどるそうだ。 果たしてこれからの雨がどれだけ続くか知らないけれど今までの干ばつからはすぐには恢復しない。

普通なら鬱陶しいオランダの代表的雨模様というのは忌むべきものなのだが、こんな「まともではない」天気が続いたあとではこれは明らかに恵みの雨と感じられ、これから当分の間、かっと照り付ける夏が恋しくなるまで今の涼しい夏を楽しもうと思う。


'18 夏休み (2) 森の家 Bornerbroek

2018年08月09日 02時00分00秒 | 日常

 

 

夏休み滞在中暑かった。 ニュースでは近年にない暑さだと言っていた。 オランダでは観測史上1位か2位を行くとも言われ連日30℃を越していた。 我々が滞在したのはその会員であるオランダ自然友の会(NIVON)その支部の宿泊施設敷地内にある森の家だった。 1年に何回か地元のウオーキング同好会と泊りがけで出かける際に利用する様々な土地の敷地内にあって、1,2泊のグループ・ウオーキングでは何十人も泊れ、業務用キッチンで10組以上が煮炊きできるようなホテル然とした保養所施設本館を利用するのだが、家族用には4人から6,7人用の個別の家がそれぞれ二つ三つ敷地内に本館から離れて配置してある。 友の会の宿泊施設は殆どが村を外れた森や林の中にあるから当然その個別の家も閑静な森の家となる。 

この歳になってカーナビを使い始めその便利さに驚いている。 今まで何十年も目的地に出かけるのに地図で調べ高速道路や幹線道路の変更地点をメモし、この何年かは細かい主要地点をグーグル・ストリートビューで見て目的地を確認するということをしていたから大体オランダ国内のどのあたりをどの方向に向かって走っているのかわかったもののカーナビでは住所を打ち込むだけで終わりだから簡単この上ない。 それに運転中は何も考えずに言われるままにそれに従えばそのうち目的地に着くのだから何だか今まで多少の緊張感を持って運転していたものが気が緩むような気がする。 ただ一つの短所は自分が今どこを走っているのかそれを検索しない限りはさっぱり方向がつかめないことだ。 流石に長年の慣れで陽の光の加減から東西南北ぐらいは想像がつくが人がカーナビを使う理由がこれではっきりと分かった。 何を今更分かり切ったバカなことを言うという声が聞こえそうだがこういうものを避けてきて遂にカーナビの軍門に下った今、つぎの現代の利器を手にするのはスマートフォーンということになるのだろうか。 

この森の家に向かうのに自宅でここの住所を打ち込むと画面には何も出てこなかった。 郵便番号を打ち込むとやっと出た。 森の中にあるので住所になっている小径は一般道路ではないようだ。 森林管理人及び利用者のための径のようでカーナビに導かれて到着するとそこは森の家から100mほど離れた施設の本館の建物だった。 管理人と一緒に平屋のこの家まで歩き、貰った鍵で戸を開け中に入り自分とほぼ同年齢の老人ヴォランティアから説明を受けた。 入口を入るとトイレにシャワー、ホテルではないので浴槽はない。 その奥にそれぞれ2つづつベッドがある寝室が3つ、広い居間にはテレビ、ラジオ、ソファー、テーブルにロッキングチェアーなどの椅子数脚、ダイニングキッチンには火口が4つあるガスレンジ、電子レンジ、コーヒーメーカー、皿数種、コップ、グラス類が6人分、先人が置いて行った塩コショウ、ハーブ類まで揃っていた。 ポーチには大きなパラソル、テーブルに椅子が置かれ夕食はそこで摂った。 周りの草地はこの何週間かの照りで焼けて茶色になっていて、この辺りの地層の特徴である砂地が露わになっているところが多かった。

森の中といっても兎に角暑く、家にいる間は全てを開け放して過ごした。 夜になって12時をまわるとすこし涼しくなった。 すべての戸、窓に網戸が施されているので何とか凌ぐことができた。 朝は12時ごろまで23℃あたりで涼しかったのだが午後からは気温がぐんぐん上がり30℃を越える。 森の中でもこれなのだからむき直射日光の下では40℃近くまであぶられることになる。 日陰でもぼおっとサウナの中にいるような感じがする。 午前中と午後の温度差、体感の差が激しい。 だから昼間は森や日陰のあるどこかに出かけ夕方戻ってきた。 戻ると汗と埃に塗れた体をすっきりさせるのにシャワーは毎日浴びなければ収まらなかった。 こういう日々では日頃の夜明け前にベッドに入り昼前に起きるという習慣は矯正され8時には朝食を済ませているというまるで働いていた時の日課となる。 そして適度な運動で一日すごすから夜も12時には夢の中である。 これがインターネットのない生活なのだ。