暇つぶし日記

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ローン・レンジャー  (2013);観た映画、Nov. '16

2016年11月24日 22時24分49秒 | 見る

邦題; ローン・レンジャー     (2013)

原題; THE LONE RANGER

 149分
監督: ゴア・ヴァービンスキー  
製作: ジェリー・ブラッカイマー  
  ゴア・ヴァービンスキー  
製作総指揮: マイク・ステンソン  
  チャド・オマン  
  テッド・エリオット  
  テリー・ロッシオ  
  ジョニー・デップ  
原案: テッド・エリオット  
  テリー・ロッシオ  
  ジャスティン・ヘイス  
脚本: ジャスティン・ヘイス  
  テッド・エリオット  
  テリー・ロッシオ  
撮影: ボジャン・バゼリ  
プロダクションデ
ザイン:
ジェス・ゴンコール  
  クラッシュ・マクリーリー  
衣装デザイン: ペニー・ローズ  
編集: クレイグ・ウッド  
  ジェームズ・ヘイグッド  
音楽: ハンス・ジマー  
出演: ジョニー・デップ トント
  アーミー・ハマー ローン・レンジャー(ジョン・リード)
  トム・ウィルキンソン レイサム・コール
  ウィリアム・フィクトナー ブッチ・キャヴェンディッシュ
  バリー・ペッパー キャプテン・フラー
  ヘレナ・ボナム=カーター レッド・ハリントン
  ジェームズ・バッジ・デール ダン・リード
  ルース・ウィルソン レベッカ・リード
  ブライアント・プリンス  
  メイソン・クック  
  JD・カラム  
  ハリー・トレッダウェイ  
  ジェームズ・フレイン  
  ホアキン・コシオ  
  デイモン・ヘリマン  
  マット・オリアリー  
  W・アール・ブラウン  
  ティモシー・V・マーフィ  
  ギル・バーミンガム  
  ケヴィン・ウィギンズ  
  ロバート・ベイカー  
  リュー・テンプル  
  レオン・リッピー  
  スティーヴン・ルート  
  ランディ・オグレスビー  
  ブラッド・グリーンクイスト  
  ランス・ハワード  
  レナード・アール・ハウズ  
  トラヴィス・ハマー  
  ジャック・アクセルロッド  
  フリーダ・フォー・シェン  
 
日本でも人気を博した往年のTVシリーズを、「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ、「ランゴ」のゴア・ヴァービンスキー監督&ジョニー・デップ主演コンビで映画化した西部劇アクション大作。復讐に燃える悪霊ハンター“トント”と彼によって瀕死の状態から甦った正義のヒーロー“ローン・レンジャー”の凸凹コンビが、巨悪への鉄槌を下すべく珍道中を繰り広げるさまをユーモアと迫力のアクションを織り交ぜ描き出す。共演は「J・エドガー」のアーミー・ハマーと「英国王のスピーチ」のヘレナ・ボナム=カーター。

西部開拓時代のアメリカ。正義感あふれる郡検事のジョン・リードは、勇敢なテキサス・レンジャーの兄ダンを無法者一味に殺され、自らも凶弾に倒れて生死をさまよう。そんな彼の前に現われたのは、ネイティブ・アメリカンの男、トント。少年時代の忌まわしい事件のために復讐に燃える悪霊ハンターだった。トントは、その聖なる力でジョンを甦らせると、それぞれが求める復讐と正義のため手を組むことに。そしてジョンは敵を欺くべく兄の形見をマスクにして、素顔を隠したヒーロー“ローン・レンジャー”となる。こうして共通の敵=極悪非道な無法者ブッチ・キャヴェンディッシュを追って旅に出た2人だったが…。
 
以上が映画データベースの記述である。 夕食後何も予定もなく、アメリカの新大統領の組閣模様を眺めるのにもため息をつきつつ何か息抜きになれるものとテレビガイドを見ていたら「ローン・レンジャー」と懐かしい名前が出ていたのでオランダの青年男女に人気のある民放テレビのゴールデンタイムに放映された本作を観た。
 
自分は1950年に生まれ、白黒テレビで相撲実況、ラジオやテレビの「赤胴鈴之助」を聴き、観たのを憶えている。 小学校に入るか入らないかの子供の頭にはチャンバラ、戦争、西部劇の活劇が雪崩を打って入り込みそれが還暦を疾うに超えた今の頭にもまだ沁み込んで抜けていないのは確かだ。 今思い出してみると鞍馬天狗や旗本退屈男、白馬童子よりも一層蓄積されたのは当時のアメリカで生産されつつあった活劇群だったように思う。 それは同時に戦後アメリカ政府の対日本文化政策の一環だったことが70年代になってから例証されたように記憶する。 つまり東洋の「軍国主義」を支えた危険な思想をアメリカ化するのにはまず柔らかい子供の頭にアメリカの「優れた」、民主主義」を教える政策として役立つとの目論見であったのは疑いがない。 今、下に示す50年代アメリカのテレビ番組一覧を見ても自分は活劇分野ではアメリカと同時進行の物をかなり見ているのに驚く。
 
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%A1%E3%83%AA%E3%82%AB%E5%90%88%E8%A1%86%E5%9B%BD%E3%81%AE%E3%83%86%E3%83%AC%E3%83%93%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%9E%E4%B8%80%E8%A6%A7_(%E5%B9%B4%E4%BB%A3%E9%A0%86)
 
世間を斜めに見るのが常になった今では何かにつけて先ず眉に唾をつけて見聞きする性分の自分ではあるけれど60年ほど前は「月光仮面」にならんで「弱気を助け強気を挫く正義の味方」代表の一人が疑いなくローンレインジャーだった。 今ではその英雄よりも本作の冒頭、50年代と思われる博物館をローンレーンジャーの格好をして訪れた少年に陳列ケースの内側からこの物語を語り掛けるトントのほうに親和性をを感じるのはコメディー仕立てのレーンジャーが能天気に映るだけではないように思う。 それに半世紀以上に聞いたトントが時々言っていた「白人嘘つく、インディアン嘘つかない」がその後様々な資料を渉猟する中で西部「開拓」史がどのようにネイティブアメリカンを扱って来たかこの言葉の意味がはっきりしてくるのだ。 それはほぼ同時期に日本人がアイヌをどのように扱ったかの歴史とも符合する。 そtれと本作で「キモサベ」の意味が説明されるが子供の時は単に「友人」だったものがここではもう少しニュアンスを含んだものになっている。 
 
六つ児の魂百まで、という言葉があるけれど自分はこの27年間ローンレーンジャーとジャック・スパロウが持つ44口径の拳銃を地元の射場で撃っている。 青年の頃にイーストウッドのマカロニウエスタンでリー・ヴァンクリーフの悪役に惹かれた。 実際、日頃腹が出てひげもじゃが多い射撃クラブのメンバーと年に一回の西部劇仮装パーティーをすると誰もが悪役となって登場する。 長年付き合ってくると外見とは裏腹に皆シャイで善良な市民であることが分かるメンバーが日頃現実生活のなかでのヒーローにはどこかうさん臭さを感じているからそれが変じてこうなるのかもしれないけれど少なくとも自分には近年活劇のクリーンカットな主役より悪役に惹かれることを自覚している。 アメリカ大統領で嘗て俳優であったレーガンが悪役を演じユニオンを纏めて政治家になったというのは知られたことだ。 現実から離れた空想・娯楽の映画の世界であれば悪は悪ければ悪いほど見るものを魅了する。 それはマカロニウエスタンやプロレスの例にいくつでも見られるのだから娯楽映画のこのジャンルで今「ハイヨー、シルバー」と白馬で登場する主役よりそこに持って行く悪役たちの面を眺めてニタニタする。 
 
例えばこの20年ほどであちこちで嫌われ役、ピリッとした味を出すのを見ていて近年は若き日のイーストウッド張りの額の広さでFBI捜査官をも演じるブッチ・キャヴェンディッシュのウィリアム・フィクトナーや第七騎兵隊のカスター将軍ばりの実力派バリー・ペッパーの助けなくしては本作はなりたたないだろう。 それに一番の黒幕、ウイルキンソンは「イン・ザ・ベッドルーム(2001)、「フィクサー(2007)」で味のある演技が見られ厚みのある名脇役であることは銘記されてしかるべきだろう。 このように悪役、脇役がこれほど引き立つのは本作がコメディー仕立てであることとも関係がなくもない。 観始めて、あれ、これはジャック・スパロウのスピンオフではないかと感じた。 それにトーンがティム・バートンのものに似ていると感じたのはデップ、カーター絡みだからだろうか。 尚、デップがインディアンを演じたものではジム・ジャームッシュの「デッドマン(1995)」が秀逸で嘗て下のように記したことがある。
 
http://blogs.yahoo.co.jp/vogelpoepjp/47583568.html

それにしても半世紀以上経っての現代のローンレインジャーはCG・ディジタル技術を駆使して文字通り西部の荒野を駆け抜ける素早さでありそのテンポは我々年寄りにはついていくのが精々なのだが、それでも鉄道が出てくると当然セルジオ・レオーネの「ウエスタン(1968)」が思い起こされて先行作品に経緯を評してか同じようなカメラアングルになると聞いたことのあるようなメロディーが短く聞こえたのにも一瞬頬が緩んだ。 こういうところに新旧の西部劇を好むものはただ西部劇だというだけでついつい見入ってしまうのだ。