暇つぶし日記

思いつくままに記してみよう

オランダ料理屋

2007年12月12日 15時06分56秒 | 喰う
正午を周ってのこのこ寝床から這い出し、キッチンで昨日の残り物のZuurkool(実際の発音ではジュールコールとなるのだがウィキぺディアではオランダ語の分からない者が勝手にズールコールとカタカナ表記していて)それを暖めてビールを飲みながら新聞を読んでいたらこういう記事が出ていた。

「一体オランダの伝統料理を喰わせるレストランがオランダにどれだけあるのだろうか」 と記事は言い、これだけ世界中の料理があちこちで手軽に口に入るのにオランダ料理のレストランがオランダ国内に殆ど無いのがどうしてなのか、との導入部、 ロッテルダムの港近く、多様な人種が集まる低所得者層が多い場所で、歳取って今まで続けていた大衆食堂が立ち行かないという伯母さんの店を、内装も何もかもそのまま譲り受けてその甥姪夫婦が伝統的なオランダ料理を日替わりにしてこの12年ほど経営している店が紹介されている。 ヴォリューム満点の一皿料理が約750円らしい。 何も伝統料理だけを旨として出してるわけではないのだが伯母さん伝来の料理は自然とオランダ大衆が今まで営営と何世紀も喰い続けている昔からのもので、それは今も一般家庭では当然と消費されているので、普通には今更どうしてわざわざ外食するのに自分達の日頃喰っているものを喰わねばならないのか、というのだが単身者が多いところではこの普通の料理が喜ばれ、店の最大の敵は夫婦が上手くいく事だというのも理屈で、これがオランダ料理店がほとんど国内にない理由のようだ。今度機会があれば是非この店に行って見たい。 テーブルクロスもゆったりとした空間もないのだそうだ。 不必要なものは切り捨てもうほぼ40年になろうかという時には相席になる空間らしい。 こういう食堂は信頼できる。 常連客が殆どだ、というのがそれを証明していてこの記事のためにどっと客が押し寄せて店の今までのバランスが崩れないことを祈るものだ。

オランダに限らず北欧は元来は寒冷で野菜が誠に貧しい土地であり伝統料理というものは生き残るための食事として摂られ、エネルギーとミネラルのバランスが要点、見た目も単純なものであるけれど、伝統料理であれば何世紀も人々が咽喉に通し親しんだものだから他国の人間が急に来て味わうなら慣れない味覚ではあるのだろうが長くここに住んで風土に親しむと出来合いのものと手造りのものが分かってきて家庭料理としてのものは悪くない。

もう四半世紀も前に知人の貿易会社の社長がヨーロッパ集金旅行にアムステルダムに立ち寄った折にオランダ料理を喰いたいと言うので王宮裏の、今はショッピングモールになっている旧郵便局の立派な建物近くのオランダ料理専門店に連れて行ったのだがそこでは伝統料理が銀盆に美しく飾られ目の前に現れてまるで昔のフランス料理のように盛られてきたのには腰を抜かしそうだった。 それは日頃一鍋料理であったりそれを皿の上に無造作に盛り上げるものだから味は同じなのだが見た目の落差に驚くのだ。 それにオランダ人は来ない店なのかこちらは原材料もその値段も分かるから最後に出てきた勘定書きの数字にも腰を抜かしそうだったのだ。

その点、この初老夫婦の店の味は言うまでもないが、はオランダでも最近は子供達になじみの薄いオランダ料理をこの値段で喰わせる正直さに何か心が温まるのだ。





ザワークラウト
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B6%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%83%A9%E3%82%A6%E3%83%88

Nicholas, Daly, Winter + Simon Rigter

2007年12月12日 11時06分51秒 | ジャズ
Dan Nicholas (g)
Hohny Daly (b)
Rene Winter (ds)

Simon Rigter (ts)

On Tue. 11 December 2007
At Cafe Pavlov in Den Haag, The Netherlands

http://www.pavlov-denhaag.nl/


先々週かの日曜日にアムステルダムのJazz Orchestra of the Concertgebouw の定例演奏会に行った時にこの日から常任テナーのメンバーになったSimon Rigterからハーグのカフェーでセッションやるから来ないかと誘われていてたまたま用事が無かったこととセッションが夜の10時からだというので出かける気になったのだ。

それに一昨年、昨年と水曜日にはよくハーグの他のカフェーでハーグ中心のジャズメンたちのセッションに出かけていたのだがそれらのカフェーで続かなくなり灯が立ち消えるように行かなくなっていたので一年ぶり以上にまたもや去年のように車で出かけたのだった。

オランダの誇る国立ダンスカンパニー、NDT(Nederland Dance Theater)と市役所のまん前、繁華街の中心にこのカフェーがあり、この市役所の地下駐車場に車を停めて上に出れば昼間はスケートボード遊びに興じる若者達が集まる広場の石畳は森閑としており50メートルほどのこの広場を越えて市電の通りを渡ればカフェー、パブロフだ。

10時から45分のセットはアイルランドトリオとも言うべきピアノ抜きギタートリオとテナーのシモンが調子よくハードバップのチューンを飛ばしているのだがシモンはバップ、ハードバップ、コルトレーン、元気のよかったアーチーシェップあたりのインプロヴィゼーションをフィールドとしてソロを飛ばす。 Polca Dots & Moon Beam をゆったりとしたバラードで中期コルトレーンのように演奏するのには感心した。 それにこの日のギターは滑らかで透明、良く鳴っている。 このアイルランド人ギタープレーヤーはこの3年ほどハーグのジャムセッションで時々聴いていたのだがそのときはいつも古くてサイズは普通より小さいもののかなり分厚いギブソンのジャズギターで肉厚のある音をさせていたのだが少々こもり気味だったものが今は同じくギブソン同型だが厚さが半分になっている。 指も滑らかに動き、もともと速く動いていたもののネックの具合がいいのか一層速く、音の立ち上がりがはっきりして素晴らしくなった。 休憩時にこのことを訊ねると古いのはいよいよいけなくなって丁度一年ほど前に新品を買ったとのことで本人も今のに満足しているそうだ。 このトリオにオランダに滞在中のハーパー兄弟のトランペット、フィリップ・ハーパーとアルトで同じくハーグ派ジャズメンのマルコ・ケーヘル(Marco Kegel)を加えてこのギターで夏にCDを作ったのだという。

Nicholas Daly Winter
Reflections
Maxanter Records MAX 75374

http://www.nicholasdalywinter.com/

なるほどこのCDは録音もよく、カフェーで鳴っていた響で様々なスタンダード曲が聴かれる中、ギターの音色の抜け方に耳が行く。

第二セットは11時から1時までのジャムセッションで、徐々に集まってきたハーグ内外の腕に自信のある連中が順番を待って隙があれば加わろうとする熱気のあるスペースとなった。 この日はアルトは現れなかったもののシモンを中心として4本のテナーバトルが繰り返される中、West Coast Bigband のピアノ、 Bob Wijnann も加わり Oleo 、Whisper Not、 I Rember April などを元気に演奏した。

ハーグのコンセルバトワール、ジャズ科の学生、卒業生たちも参加して英語が多くオランダ語の聴衆の間に混じっているのだがまだ若い東洋人で韓国人に見えそうな二人に声をかけてみれば案の定ソウルから勉強に来て一年たった現在二年生だそうだ。 二人ともドラムをオランダジャズドラムの権威、Erik Ineke に師事しているのだそうだが、そのうちの一人が掛け合って2曲ほどスティックとブラシを披露したのだがなるほど学生のドラムスで平均的、そういえば今でもまだ15,6才にしかなっていない彼らの同級生のオランダ人少年のほうがはるかに生彩のある撥捌きをみせるのだが、その少年には3年ほど前に別のハーグのジャズカフェで時々みたのだがそのときには深夜のセッションには子供は不都合なようで保護者である父兄同伴だった。 今年74歳かで亡くなったピアノのケース・スリンガーの孫のように見えるニホンザルのように機敏な少年だったのだが20歳までの若者が集まってカルテットかクインテットを組、その活動に対してジャズ奨励賞を送られたとジャズ雑誌で読んだのは半年ほど前だったような気がする。

来週は私の町で West Coast Bigband の演奏がありそのときに今晩のピアノと再会すること、テナーのシモン・リヒターとは来月アムステルダムのJOCの定期演奏会でまた顔をあわせる事を約束して外に出れば小雨も止み今は星空が見える道を渡って1時には閉まる地下駐車場に急いだのだった。

Simon Rigter のサイトでは彼のサックスが聴かれると共に共演の様々なジャズメンとの写真が見られる。

http://www.simonrigter.com/