きのうは朝から布団を干し、シーツを洗い、タオルケットを洗い、部屋に敷くための茣蓙を干し、2階の大掃除をしました。
夕方から葉ね文庫さんへ行く予定で、せっせと家事をしたのでした。
葉ね文庫さんは今回で二度目でしたが、少しだけ迷って、着いたのが18時くらいだったでしょうか。 お客さんのなかに知っている人がいて、声をかけてもらって。 そのお友達を紹介してもらっているうちに知り合いが何人か来られたので、ちょっとほっとしました。 とととと展という岡野大嗣さんと安福望さんのイベント展をやっていたのですが、トークショーははやいうちに予約でいっぱいになり、原画の展示もたぶん大勢の人だろうなぁともごもごしているうちに、もう見られない時間になってしまったのでした。
でも、葉ね文庫さんにも何枚か原画が展示してあって、やっぱり安福さんの絵はすてきだなぁと見入っていました。
19時から打ち上げパーティがあって、その会場にも展示してありました。 そして、ずっとお会いしたかった安福さんと岡野さんにお会いできました。 おふたりとも想像していたとおりの、温かくて素敵な人でした。
とととと展で販売していたというTシャツがまだあったので、グレーのを1枚買い、かわいいバッジをおまけにもらったり、『サイレンと犀』には岡野さんのサインをいただき、その日に買った『食器と食パンとペン』には安福さんのサインをいただきました。 はじめての方ともたくさんお話できて、とても楽しい夜のひとときでした。
『食器と食パンとペン』は安福さんが好きな短歌に絵をつけられたものをまとめた本ですが、短歌を読んだことのない人にもきちんとその魅力が届く本になっています。
そのなかでも特に好きな頁をご紹介。
私の選んだベスト5
5位(P.118) 戻れないことは承知で人生の至るところにパン屑を撒く 龍翔
ヘンゼルとグレーテルが深い森に入っていくときに、帰り道がわかるようにパンくずをまくのですが、小鳥に食べられてしまいます。 この歌の「パン屑」とはなんでしょうか。 とてもささやかだけれどひたむきに撒いていくもの。 心のどこかに眠っていたものを言葉や短歌にすることで、はっきりと輪郭を持つものになって、後戻りができない。 もしかするとパン屑は短歌なのかもしれません。
4位(P.140) 鈴の音のような陽がふる木々の間にねむった犬をふっくらと抱く 坂井ユリ
この歌は読むと暖かいものが自分の腕にもあるような気持ちになります。 生まれたばかりのやさしい鈴の音のような陽が降って来る木の間にねむったふわふわの犬を抱く、ずっとそこにいっしょにいられるような。私が猫よりも犬が好きなのはそういう安心感からくるのかなぁと思いました。 安福さんのイラストも森の中で眠っている大きな犬と女の子。 ぴったりです。
3位(P.70) ハムレタスサンドは床に落ちパンとレタスとハムとパンに分かれた 岡野大嗣
この歌の57577で切って読むと、「ハムレタス/サンドは床に/落ちパンと/レタスとハムと/パンに分かれた」になります。リズムそのものがぶちぶちに切れていて、バラバラ感がよく伝わってきます。どうしようもなく、あーあ・・・という雰囲気が漂ってきます。 「分かれた」という結句が取り返しのつかない「現実」になっています。 安福さんのイラストがまたかわいい。 食パン、レタス、ハム、食パン、レタス、ハム、食パン・・・とパッチワークのもようみたいに並んでいる上にからっぽのお皿を持った白熊がいて、しょんぼりしています。 取り返しのつかないさびしい感じが伝わります。
2位(P.156) わたくしの犬の部分がざわめいて春のそこかしこを噛みまくる 荻原裕幸
やはり犬の歌に惹かれてしまいます。 歌だけで読んでももちろんいいのですが、添えられたイラストはミモザの黄色の花のリースに埋もれた幸せそうな犬たち。 そしてその中心には女の子と白犬。 ああ、この歌のエネルギーのようなものをこんなふうに絵で見ることができるんだなぁと、驚いた頁でした。
1位(P.100)しあわせにしてますように でも少しわたしが足りていませんように 月夜野みかん
『食器と食パンとペン』で初めて知った作者、初めて読んだ歌でした。 もう会えなくなった人のしあわせを願うというのは本当の気持ちだけれど、100%自分の知らないところで100%自分をわすれて暮らしていたらやはり寂しい。 そういう微妙で素直な気持ちがすうっと掬い上げられていて、とてもいい歌だなと思いました。 この歌を読んだときちょっとだけ泣きました。
絵を眺めているだけでも楽しいし、短歌だけでもじんわりくる。 安福さんの短歌の選びがいいのだと思います。
短歌と新しい気持ちで出会えるおすすめの1冊です。
「白へ」を読んでくださってありがとうございます。
月夜野さんの心にとまる歌や物語があれば嬉しいです。
ひとつの歌からいろんな場所へ流れいって歌が出会いをつれてきてくれますね。
藤田さんのお陰で、私の短歌もたくさんの方の気にとめていただけたこと、感謝でいっぱいです。
藤田さんの「白へ」を購入させていただきました。
まだゆっくり読めていませんが、物語も素敵です。
しばらく読む楽しみがあって嬉しいです。
大切に拝見いたしますね。
きのう初めてTwitterで荻原裕之さんがこの日の日記についてツイートしてくださっていたことに気が付きました。
いろんな人にすてきな歌が広がっていくといいですね。
ほんとにそうですね。
ほんとに。
藤田さんのことばは素敵ですね。
読んでいて心地よいです。
とてもすてきな歌を読ませていただいて、そして届けていただいて、ありがとうございました。
またここにも来てくださって。
嬉しいご縁ですね。
自分の作った短歌や物語が自分でも忘れているうちにどこか遠くの誰かの心にとまってそよいでいたらいいなぁってずっと前に言ったら、そんなことあるわけないって知人に言われてから、そうなのかなぁって思っていました。
でも、最近、そういうことあるんだって、思うことがたくさんあって。
月夜野さんもすてきな作品をこれからも届けてくださいね。 こちらこそどうぞよろしくお願いします。
ツィッターで、響乃さんとisさんにこちらのblogのことを教えて頂いて、日記を読ませていただきました。
私の短歌にあんな嬉しい感想をいただけたこと、一番に心に留めていただけたこと、本当にありがとうございました。
滅多に涙などしませんが、藤田さんの文章に気持ちが振動して泣けてきちゃいました。
こんなことがあるのですね。
あの短歌を詠んでよかったです。
この短歌は文フリに出した同人誌「五線譜もしくはストライプ」に参加した連作の一首です。
こんな風に私の短歌をたくさんの皆様に届けてくださった安福さんにも感謝でいっぱいです。素敵な本ですよね。
私のひとりごと短歌に話しかけてくださって、改めてありがとうございました。
それとは別に、藤田さんの文章には心地よい温度を感じて、こちらのblogが大好きになりました。
長くなりましたが、これからも拝見させていただきますね。
いい出会いをいただきました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。