●特集俳句372・家具俳句1=春炬燵・松尾いはほ1・2018-3-30(金)
○「かゝる世もありと暮しぬ春炬燵」(「ホトトギス」193806)(松尾いはほ1)
○季語(春炬燵・三春)【→特集俳句-索引1・索引2・検索3 →俳人一覧(あ・い・うえ・お・かき・くけこ・さ・しすせそ・た・ちつてと・な・にぬねの・はひ・ふへほ・ま・みむめも・や~)】
【鑑賞】:「春炬燵」つながりでもう一句。今日から新特集「家具俳句」のスタートです。戦時中の1938(昭和13)年作の句ですから、「かかる世」とは推して知るべしです。とはいえ現代にも通じる普遍性を持った句であります。
●松尾いはほ(まつおいはほ)(1882~1963)
○好きな一句「摘草や裏より見たる東山」(「ホトトギス」193005)2
○季語(摘草・三春)
【Profile】:京都生まれ。京都大学医学部卒。京大内科教授。のち大阪女子医専(現関西医大)理事長を兼任。俳句は→高浜虚子に師事。「ホトトギス」同人。
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松尾いはほ掲載句
03貴船より奥に人住む葛の花(葛の花・初秋)〈次元662・奥2(空間)〉2024/8/19
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○透次俳句ー羅列「桜時系列」12句(20180330)
・その01〈まだまだ先〉「花にまだ間のある雨に濡れにけり」(→久保田万太郎)『久保田万太郎全句集』(1971)
・その02〈蕾〉「地に揺るる影にも蕾糸ざくら」(→奈良文夫)『遡上』(2005)(「俳句201706」より引用)
・その03〈三分咲き〉「花三分琴の覆ひをはづしけり」(船越淑子)
(→「ショウちゃんのブログ」
・その04〈五分咲き〉「じつによく泣く赤ん坊さくら五分」(→金子兜太)『東国抄』(2001)(「俳句201206」より引用)
・その05〈七分咲き〉「初桜七分咲てふ旅帰り」(→稲畑汀子)「ホトトギス」(2003.3)
(→「歳時記」より引用)
・その06〈九分咲き〉「息荒く急いで来たり桜九分」(透次)『九分九厘』(2018)※架空出版社
・その07〈満開〉「→桜満開おのが身に皮膚いちまい」(辻美奈子)『真咲』(2004)(「俳句αあるふぁ2015年4-5月号」より引用)
・その08〈落花〉「→一陣の落花が壁に当る音」(→岸本尚毅)『舜』(1992)
・その09〈花吹雪〉「ひとひらのあと全山の花吹雪」(→野中亮介)『風の木』(1997)
・その10〈桜蕊〉「さくらしべ降る歳月の上にかな」(→草間時彦)『朝粥』(1979)
・その11〈葉桜〉「→葉桜の中の無数の空さわぐ」(篠原梵)『皿』(1941)(「名句鑑賞辞典(角川書店2000)」より引用)
・その12〈花過ぎ〉「花過ぎの駅までと母送りけり」(→鶴岡加苗)『青鳥』(2014)(「俳句201705」より引用)
●特集俳句084・言葉=道03・藤後左右・2012-07-06
○「道おしへ錻力細工の如く居る」(藤後左右01)
季語(道おしえ・夏)
「ハンミョウ」ともいう「道おしえ」は、体長二センチほどの甲虫で、人が近づくと地面から飛び立ち、先の方の地面に止まることをくりかえすので「道おしえ」という名前がつけられました。碧緑色に輝く色をもつことから「ブリキ細工」に見立てたのでしょう。
○藤後左右(とうごさゆう)(1908~1991)
代表句「スキー長し改札口をとほるとき」02
季語(スキー・冬)
鹿児島県生まれ。七高、京大医科卒。松尾いはほ教授に内科を学び、志布志町にて医院を開業。京大俳句会に入り「ホトトギス」に投句。1933年より「京大俳句」創刊。1940年の俳句弾圧事件の禍をまぬがれ以後休止。南方従軍。戦後、俳句を再開するが俳壇を離れ「天街」に関係するのみであった。志布志湾開発反対運動のトップに立って活躍。全句集、「熊襲ソング」刊行。
次元俳句索引1
[空間]
◎0次元〈点〉
〔3春光の点→橋本くに彦1〕
◎一次元〈線〉~長さ
◯直線〔1一直線に→能村研三1〕
◯遠
〔1遠泳→和田悟朗1〕
〔2遠くまで行く→矢島渚男1〕
〔4遠い父→松崎豊1〕
〔5遠い湖→井上弘美1〕
〔6稲妻の遠さ→鷲巣繁男1〕
〔7牛鍋に遠い→野中亮介1〕
〔8遠く馬隊→舞原余史1〕
〔9遠き新居→比良暮雪1〕
〔10遠会釈→今留治子1〕
→果て〔1木枯の果→池西言水1〕
→彼方〔1鶴帰るかなた→暉峻康隆1〕
◯近
〔1近い虫の音→原田浜人1〕
〔3空に近づけ→渡井恵子1〕
◯横〔1横抱き→中島斌雄1〕
◯隣
〔1隣る→工藤進1〕
〔2隣(隣家)→二葉亭四迷1〕
〔3隣室に→尾野恵美1〕
◯列
〔1前列→菅原鬨也1〕
〔2一列に→島将五1〕
〔3僧列出づ→大橋嶺夫1〕
◯短
〔1短い箸→岡本差知子1〕
〔1短い影→瀬間陽子1〕
◯とびとび〔1曼珠沙華→関圭草1〕
◯ぎざぎざ〔1切手のぎざぎざ→福永法弘1〕
◯すれすれ〔1生垣とすれすれ→柳川春葉1〕
◎二次元〈面〉~広さ
◯広い〔1道ひろびろと→堀切克洋01〕
◯中心〔1湖心→五十嵐哲也01〕
◯方位
〔1北へ行く船→折笠美秋1〕
〔2東西南北→夏石番矢1〕
〔3北→橋本多佳子1〕
〔5湖の北→関戸靖子1〕
〔6西方→斎藤梅子1〕
〔7北面→窪田猿雖1〕
〔8北の海→上原三川1〕
◯方向
〔1海の方向→柳原極堂1〕
〔2秋風の方向→栗田樗堂1〕
〔4刃の方向→丹間美智子1〕
◯四方
〔1四方に花を→宮澤賢治1〕
〔2四方の樹海→佐藤念腹1〕
◯八方〔1八方に聞耳→菊池麻風1〕
◯円〔1水盤の円→西村白雲郷1〕
◯輪
〔1花見の輪→田川信子1〕
〔2鳶の輪→小川昇一1〕
◯十字
〔1十字切る→平沢陽子1〕
〔1十字路→薬師寺彦介1〕
◯沖
〔1帰帆の沖→青木月斗1〕
〔2沖の石→松村巨湫1〕
〔3珊瑚の沖→小熊一人1〕
〔4沖のつめたき→白石喜久子1〕
◯対岸
〔1対岸に咲く→中川乙由1〕
〔2対岸に来る→山田讓太郎1〕
◯平ら
〔1平らな枝→八木澤高原1〕
〔2水を平ら→村松ひろし1〕
◎三次元〈空間〉~高さ
〈位置〉
◯上
〔1ピアノの上→島村元1〕
〔2市の上→深川正一郎1〕
→真上〔1真上なるもの→加藤燕雨1〕
◯下
〔1藤棚の下→須川洋子1〕
〔2鉢の下→加藤静夫1〕
◯高
〔1高い太陽→榎本冬一郎1〕
〔2高き芒→星野椿1〕
〔3朴の花の高さ→高澤晶子1〕
〔4山々同じ高さ→田川鳳朗1〕
◯天
〔2天→前田雀郎1〕
〔3天の川→長谷川草々1〕
〔4屋上の天→塚腰杜尚1〕
〔5天空に人→西谷剛周1〕
◯頂点
〔1背面跳びの頂点→石母田星人1〕
◯正面
〔1正面に海→畑中とほる1〕
〔2正面の顏→石戸菜々花1〕
◯真向い
〔1真向ひに海→福島勲1〕
〔2真向きたき海原→佐藤きみこ1〕
◯背後
〔2後ろの精錬所→河東碧梧桐1〕
〔3振り向く→蝶丸1〕
〔6宴席の後ろ→八木林之助1〕
〔8うしろ向→勝峰晋風1〕
〔9扇風機のうしろ→木割大雄1〕
〔10うしろより婆→依光正樹1〕
〔11振り向けば道→豊長みのる1〕
〔12後に榾火→大淀三千風1〕
〔13後ろより水→堤高嶺1〕
〔14人のうしろ→大崎紀夫1〕
〔15少年のうしろ→黒崎かずこ1〕
◯向こう
〔1雪吊の向う→薮内小鈴1〕
◯前後〔1前もうしろも→後藤昌治1〕
◯左右〔1霧の左岸→中井之夫1〕(左)
◯片方〔1片草履→加藤武1〕
◯表〔1表富士→高橋克郎1〕
◯裏
〔1墓の裏→尾崎放哉1〕
〔2走馬燈の裏→橋石1〕
〔4葉の裏→馬場龍吉1〕
〔5裏山→石田勝彦1〕
〔6太鼓の裏→浪化1〕
〔7裏山→岡本まち子1〕
〔8紙の裏→杉野一博1〕
〔9菊人形の裏→太田うさぎ1〕
〔10幹うら→茂惠一郎1〕
〔11銀行の裏→菊田一平1〕
〔12外套の裏→山本則男1〕
〔13裏山→水野紀子1〕
〔14菩提樹の葉裏→池田昭雄1〕
→裏返す〔1春の土→山崎ひさを1〕
→裏返る〔1冬天にうらがへる→浅沼璞1〕
◯周囲
〔1周囲に白襖→森澄雄1〕
〔3立臼の周囲→三浦樗良1〕
〔4猫のまはり→潮仲人1〕
〔5人に囲まれ→杉良介1〕
→包囲〔1水鳥にとりまかれ→坊城としあつ1〕
→四囲〔1角砂糖の四囲→豊口陽子1〕
◯真中
〔1空の真中→八木絵馬1〕
〔2まん中→内田南草1〕
〔3夏座敷の真中→柿本多映1〕
〔4人間のまん中→岸本水府1〕
〔5光のまん中→大山澄太1〕
〔6梅林の真中→茂里正治1〕
◯隅
〔1厠の隅→肥田埜勝美1〕
〔2花むしろの四隅→平井岳人1〕
〔4この世の隅→石飛如翠1〕
◯奥
〔1霞の奥→原敬1〕
◯底
〔2川の底→千代田葛彦1〕
〔3万緑の底→宇田零雨1〕
〔4水底を水→根岸善雄1〕
〔5水底の落葉→相原左義長1〕
〔6寒鯉は底→辻井喬1〕
〔7海底の山河→島村正1〕
〔8海底に水→上田禎子1〕
〔9壺焼の底→籾山梓月1〕
〔11馬穴の底→車谷長吉1〕
〔12地の底→澤田はぎ女1〕
◯谷〔1谷に落ちる道→臼田亜浪1〕
◯端・先端
〔2北端→岸田稚魚1〕
〔3突端→小池文子1〕
〔4打水の先→上野泰1〕
〔6山の端→向井魯町1〕
〔7端居・世の端→伊藤伊那男1〕
〔8エスカレーターの先→ドゥーグル・リンズィー1〕
〔9権現の足の先→菅原さだを1〕
〔11雲の端→飯田鵬生1〕
◯直立〔1直立の塔→塩川雄三1〕
◯直角〔1直角の冷たさ→斎藤昌哉1〕
◯穴
〔1風垣の穴→五十嵐牛てつ1〕※てつは牛2つで1文字
〔2一穴を→男波弘志1〕
〔3急須の蓋に穴→河野邦子1〕
〔5屑菜捨つ穴→犬飼孝昌1〕
〔7洞穴を水→筏井竹の門1〕
◯亀裂〔1ダリの亀裂→西岡正保1〕
◯隙間
〔1風のすきま→七種年男1〕
〔2胸のすき間→稲垣麦男1〕
◯皺
〔1鬼胡桃の皺→稲垣暁星子1〕
〔2水面の皺→松本進1〕
〔3象の目の皺→山崎満世1〕
〔4皺のある服→相川玖美子1〕
〔5シーツの皺→中塚健太1〕
◯罅
〔1出土甕の罅→河合照子1〕
〔2微笑仏の罅→堤信彦1〕
◯限られた空間-獄中
〔1隙間風→大道寺将司1〕
〔2西日の独房→野村秋介1〕
次元俳句索引1
特集俳句索引3
◎夢見俳句(2017/1/5~3/5)
*関連・次元超次元〔→夢〕
〔1「初夢の」 → 小倉英男1〕
〔2「初夢を」 → 家登みろく1〕
〔3「かはたれの夢」 → 平子公一1〕
〔4「柿落葉の夢」 → 藤岡筑邨1〕
〔5「水鳥の夢」 → 川井玉枝1〕
〔6「現も夢も」 → 宮部寸七翁1〕
〔8「うつし世も夢も」 → 石井保1〕
〔9「夢あまた」 → 水田清子1〕
〔10「吉祥天の夢」 → 武定巨口1〕
◎郵便俳句(2017/3/17~5/18)
〔1「投函」 → 大塚凱1〕
〔4「封筒」 → 北見さとる1〕
〔5「郵便夫」 → 石河義介1〕
〔9「封書」 → 比田誠子1〕
〔10「切手」 → 今瀬一博1〕
◎ばかり俳句(2017/5/26~7/28)
〔1「はぐれ雲ばかり」(「限定」の「ばかり」) → 坊城俊樹3〕
〔2「触れむばかり」(「直喩」の「ばかり」) → 南うみを1〕
〔3「買ひしばかり」(「動作完了間もない」の「ばかり」) → 川口松太郎1〕
〔4「なき人ばかり」(「限定」の「ばかり」) → 山崎聰1〕
〔5「風ばかり」(「限定」の「ばかり」) → 藤原宇城1〕
〔6「一ト月ばかり」(「だいたいの数量」の「ばかり」) → 笹本英子1〕
〔7「待つばかり」(「動作実行段階」の「ばかり」) → 中烏健二1〕
〔8「大人ばかり」(「限定」の「ばかり」) → 江川一枝1〕
〔9「この日ばかり」(「限定」の「ばかり」) → 品川純胡1〕
〔10「飛ぶものばかり」(「限定」の「ばかり」) → 下田実花1〕
◎傾く俳句(2017/8/4~10/6)
*関連・次元空間〔→傾斜〕
〔1「斜に走る稜線」 → 藤野武1〕
〔2「草原の斜面」 → 由利雪二1〕
〔3「空に傾斜」 → 山下美典1〕
〔4「流灯の傾き」 → 川口咲子1〕
〔5「命傾く」 → 戸川克巳1〕
〔9「勾配ゆるやか」 → 藤川游子1〕
◎旅の俳句(2017/10/13~12/15)
〔1「烏瓜の旅」 → 庄司圭吾1〕
〔2「一商人の旅」 → 山中麦邨1〕
〔3「旅に見る月」 → 安藤橡面坊1〕
〔6「旅人の履く」 → 小野寿子1〕
〔8「この旅/恐ろし」 → 高原耕治1〕
〔9「旅の果て」 → 橋本幸明1〕
◎鍋・汁・椀物俳句(2017/12/17~3/23)
〔5「白魚汁」 → 近藤潤一1〕
〔6「青汁」 → 金子光利1〕
〔7「蜆汁」 → 吉田透思朗1〕
〔9「浅利汁」 → 黒岩徳将1〕
◎家具俳句(2018/3/30~5/28)
〔1「春炬燵」 → 松尾いはほ1〕
〔3「春炬燵2」 → 境野大波1〕
〔4「椅子」 → 朝倉晴美1〕
〔5「机」 → 山本鬼之介1〕
〔6「食卓」 → 大石雄介1〕
〔7「家具」 → 吉田成子1〕
〔8「卓」 → 神谷波1〕
〔9「卓2」 → 三村凌霄1〕
〔10「籐椅子」 → 岡本松濱1〕
◎影・陰・蔭・翳・かげの俳句(2018/6/8~8/5)
〔1「影濃し」 → 阿波岐八雲1〕
〔2「我影に」 → 前田貴美子1〕
〔4「陰る村」 → 茂木連葉子1〕
〔5「緑蔭ふかき」 → すゞき茂1〕
〔6「石積みの影」 → 宮田勝1〕
〔7「片陰」 → 染谷卓1〕
〔8「今日の影」 → 奥田杏牛1〕
〔9「おのれの影」 → 日下部宵三1〕
◎家屋俳句2(2018/8/17~10/19)
〔1「濡れ縁」 → 早川志津子1〕
〔2「屋根」 → 高石直幸1〕
〔3「風呂」 → 中里行雄1〕
〔4「土蔵」 → 北島大果1〕
〔5「縁側」 → 武藤尚樹1〕
〔6「庇」 → 森田愛子1〕
〔8「厨」 → 名取里美1〕
〔9「軒」 → 小林逸翁1〕
〔10「土間」 → 柴﨑左田男1〕
◎酒呑俳句2(2018/10/26~12/28)
〔1「新酒」 → 高木良多1〕
〔5「熱燗」 → 敷地あきら1〕
〔8「玉子酒」 → 柴田宵曲1〕
◎初物俳句1(2019/1/5~3/8)
〔2「初夢」 → 朝妻久美子1〕
〔9「初蝶」 → 今村妙子1〕
◎学校俳句1(2019/3/15~5/15)
〔1「卒業」 → 小菅暢子1〕
〔2「卒業証」 → 岡部義男1〕
〔4「入学」 → 石井とし夫1〕
〔5「校内放送」 → 中林明美1〕
〔6「遠足の磐梯」 → 高久田橙子1〕
〔7「遠足の殿」 → 栗林浩1〕
〔8「遠足の列」 → 瀬戸幹三1〕
◎美し俳句2(2019/5/24~7/27)
〔3「美しき傷」 → 仲村青彦1〕
特集俳句索引3