○次元俳句715・遠12空間・井上井月05・2025-08-24(日)
○「酒を売る家に灯はなし遠砧」(井上井月05)
○季語(遠砧・三秋)
【鑑賞】:酒を切らして買いに出た。酒屋はもう閉店していて灯が消えている。砧(きぬた)を打つ音が遠くから聞こえる。幕末から明治を生きた酒呑み俳人。自販機のない時代である。
○五感俳句714・質感90軽12・浦川聡子05・2025-08-23(土)
○「羽織りたるものの軽さよ処暑の夜」(浦川聡子05)
○季語(処暑・初秋)(「→あしたの生活」より引用)
【鑑賞】:五感質感「軽」第12弾。昼の猛暑も夕方は気持ちだけゆるやかになる。夕風の中に羽織る衣類が少し揺れる。
○特集俳句714・金属俳句8鉄屑・岩田昌寿04・2025-08-22(金)
○「あぶれ秋風屑鉄を売りけふやすし」(『地の塩』1959)(岩田昌寿04)
○季語(秋風・三秋)
【鑑賞】:本blogでとりあげた作者の一句「生恥の秋夜の厠往復す」(『地の塩』1959)。この句では「生恥」という。掲句では「今日安し」という。若くして亡くなった放浪俳人「岩田昌寿」。
■gooblogサービス終了にともない「俳句の箱庭」ブログ版を→JIMDO「俳句の箱庭2025Hakoniwa for Haiku」
(https://haikunohakoniwa.jimdofree.com/)への移行を試みています。「俳人名」などはリンクのない記録のみになりそうです。なにしろデータが膨大すぎて完全移行は無理のようです。Amebaなどへのダウンロード移行も試みましたが「カテゴリー」が移行されません。このブログはカテゴリーが重要であると考えています。この10月までポチポチと打ち込んでいくつもりですm(__)m。「俳句の箱庭・鎌田透次」
○色彩俳句714・土色1・谷川昭彌01・2025-08-21(木)
○「土色となりてきちきち土にゐる」(『ローマは雨』2012)(谷川昭彌01)
○季語(きちきち・初秋)(「→ふらんす堂」より引用)
【鑑賞】:「ばった」の保護色か。緑の草が多ければ緑色、茶色い場所は少し茶色がかった色が入る。土の上では土色になっていると感じた作者。
○谷川昭彌(たにがわあきや)
○好きな一句「冬の夜のラジオ呟く『ローマは雨』」(『ローマは雨』2012)02
○季語(冬の夜・三冬)(引用同上)
【Profile】:1939年兵庫県出身。1971年職場句会にて作句を始める。1990年「麻」入会。1996年「幡」入会、→辻田克巳に師事。「幡」星辰集作家。
○挿絵俳句714b・年号の・728b・2025-08-20(水)
○「年号の三つを生きて稲の花(01)」(『転生』2025)(鎌田透次728b)
○季語(稲の花・初秋)
ear of rice flowers-
her life spanned three
Japanese era name / Touji
【作句メモ】:昭和・平成・令和の三つの年号に渡る。稲の花は花が終わると田の面に浮遊するという。
○五体俳句714・蹠4あうら・森賀まり04・2025-08-19(火)
○「きぬかつぎ正座の蹠ふたつづつ」(『ねむる手』1998)(森賀まり04)
○季語(きぬかつぎ・三秋)(「現代俳句の鑑賞事典(東京堂出版)」より引用)
【鑑賞】:和室に正座する足の裏がふたつづつ。これは2名の客か。里芋の料理が運ばれてくる。
○挿絵俳句714a・摺足の・728a・2025-08-18(月)
○「摺足の焦げ臭きまで踊りゆく」(『転生』2025)(鎌田透次728a)
○季語(踊り・初秋)
Bon dancing until
the soles of your
feet smell burnt / Touji
【作句メモ】:令和7年西馬音内盆踊り三日目(最終日)。秋田県羽後町西馬音内(にしもない)本町通り。北都銀行西馬音内支店長と酒を酌み交わす。
○次元俳句714・遠11空間・斉藤凡太01・2025-08-17(日)
○「思ひ出す妻の旧姓遠花火」(斉藤凡太01)
○季語(遠花火・初秋)(「俳句、はじめてみませんか (黒田杏子1997)」より引用)
【鑑賞】:「思い出す」とは忘れてしまうほどに長い時間が経過しているのか。旧姓に触れる機会もなかったのかも知れない。
○斉藤凡太(さいとうぼんた)
○好きな一句「間引菜や妻も間引かれ石の下」02
○季語(間引菜・仲秋)(引用同上)
【Profile】:1925年新潟県出雲崎尼瀬出身。磯見漁師。黒田杏子に師事。「藍生」所属。
○挿絵俳句713c・存分に・727c・2025-08-16(土)
○「存分に洗濯をして瓜の牛」(『転生』2025)(鎌田透次727c)
○季語(瓜の牛・初秋)
a cucumber cow-
to your heart's content
doing a lot of laundry / Touji
【作句メモ】:その期間の始まるとき、階段の一階まで迎えさせてくれ。その期間の洗濯はまかせたよ。その期間が終わるとき、階段を途中までescortさせてくれ。踊場でのサヨナラだ。