一泊の飲み会から帰る
宴会場から一足早く脱出、部屋に戻って蒲団にもぐりました。以前ならとうていありえぬ行動であります。常に翌日は朝飯も摂れぬほどの深酒で、その後の状態は四苦八苦のありさまでしたのに、変れば変るものと己の変貌にびっくりです。これは要するに加齢の効果、体力の衰え以外のなにものでもありません。
そんなわけで今回は朝食もちゃんと摂れるといった、言うことのない朝を迎えることができました。
同部屋の団員が戻ったのはどうやら夜中の二時らしく、それからなかなか眠れず往生しましたが、これは適宜な酒量で十分に睡眠が取れた結果と思います。明け方うとうとしたようでして、障子に夜明けの光りが差し込んできています。もうがたがたしだしても平気だろうと、それでも静かに起きだし風呂場に向いました。
久しぶりの大きな湯舟で、昨晩今朝と温泉気分を満喫いたしました。世の中いろいろ騒動が起きているというのに、己の周囲は後生楽な世界に包まれ、勿体無いような、申し訳ないような気分がよぎりましたが、これが世間というものととザブリと湯をかぶりました。
朝食は洋間で椅子席です。どうやらみんな八時半の食事に間に合いました。チェックアウトは十時ですので、出立には十分の余裕でありましたがこれがどっこい、そうは参らぬのが劇団時間であります。別段どうといったトラブルもないのに、駅への途中、少し急がないとダメだということとなり、早足となります。
息切れ甚だしくふうふう言いながら駅に到着。みなはここから上りで牛久まで行き、牛久大仏を見学して松戸へ。小生は一分後の?下りで水戸へということで、ホームで皆と手を振っての別れとなります。
水戸ではバスの連絡がうまくいきまして、さほど待たずにバスにゆられてのご帰還でありました。かみさんへの土産はありません。遠出したわけでもありませんし、水戸市内の行き来ですから致し方ありませんです。
いや、土産ではありませんが、昨日連絡のついた電車に乗るまで時間がありましたので、ぶらぶらしていたついでに、駅のそばの催事所で、刑務所の服役者の手作りの、もろもろの製品の即売会がありました。そこで俎板を購入したのです。材質は檜ということで、非常に軽いのが魅力でして、十分の大きさもあり、今使用しているまな板、もう何十年も使っている代物で、かなりへこみもあり、黒ずんできていますのでこれ幸いといったところであります。
しかしよくよく考えましたら、帰りに買っても良かったのでした。なにも俎板かかえて旅館を往復することはなかったのです。