観測にまつわる問題

政治ブログ。政策中心。「保険」「相続」「医者の給与」「国民年金」を考察する予定。

コミックと書店の衰退と対策

2018-03-04 13:03:19 | 政策関連メモ
漫画の海賊版“昨年から特にひどい” 人気漫画家が考えた対抗策とは?(産経ニュース 2018.3.3 13:00)

漫画業界の衰退が激しいようですね。筆者も漫画は好きなので、ちょっと考えてみたいと思います。

海賊版の撲滅に関しては、勉強不足で良く分かりませんが、先の記事で触れた海賊版を激減させたというSpotifyの事例が参考になるかもしれません。要するに正規のサービスを構築して偽者を潰すしかないんじゃないかと思います。これの問題は、ネットに有力なサービスをつくってしまうので、既存の店舗は救えないということです。既存の店舗はネットとも連携しながら、自分の役割を見直し作り直していくしかありません。ただ、いずれにせよ(海賊版が放置されていても)、既存の店舗に悪影響は出てしまう訳です。出版業界自体が潰れたら書店の未来もない訳で、これはもう是非もなしという奴ではないでしょうか?

筆者は個人的に書店が好きですが、その理由はやはり本の中身が見られるからです。書評を見てポチっと買うことができないんですね。買う本が決まっているとしても、ついでにチェックもしたいですし、中身検索では一部だけで肝心なところが見れません。別に肝心なところを見たからといって買わない訳でもありません。パラパラッとめくって中を見れることが大きい訳です。関連書も今が旬の推し本も本屋に行けば直ぐに分かります。類似のサービスはネットにもあるでしょうが、最終的に自分の目で見て判断できるから書店に拘りがあるんでしょう。使ってないだけかもしれませんが、使う気にならないというのも確かな事実です。手元にあると何時でも参照できますしね。

漫画だったら書籍に比べて立ち読みで全部読まれやすいという問題はあると思います。それは続刊を売るとか、短編集でひとつだけ見せるとかいろいろ考えられますね。ひとつ言えることは封をしているなら、ネット書店と大差ないということです。それだと家でポチっの方が楽でいいですよね。もうひとつ重要なのは雑誌の存在です。これまでは雑誌が封をしているコミックの宣伝になってきたと思います。雑誌をどう維持していくかどう伸ばしていくかも課題ですが、雑誌も見れない店頭で中身を確認もできないということであれば、書店でコミックを買う道理もありません。表紙買いでガッカリした経験は漫画好きなら誰でもあると思います。

amazonに押されて書店が厳しいという話は筆者は好きではありません。amazonなんて本の中身も見れないじゃん、何がいいの?って話でしょう。大型書店の専門書需要なんかは買う本が決まっていてamazonの方が便利なのだということかもしれませんがね。特定の本ではなく、テーマに関心がある人は本屋にいって自分の目で見て買った方がいいですよ。amazonの方が在庫があるとか言ったところで、旬を過ぎた本は実際問題要らないところもあります。自分で探すことで関心を深まりますし、自分のものの見方も高まるでしょう。そしてそれが本を読むことの最終目的のはずです。

書店のフェアも必要かもしれませんが、出版社・書店員でワンクッション入りますし、ヘビーユーザーとライト層をどちらもターゲットにしたフェアをつくるのは難しいとは思います。来店回数が多いヘビーユーザーをターゲットにしたフェアは労力の関係で無理ですから(そもそも自分の趣味志向があって自分で判断する人しかヘビーユーザーになりません)、ライト層向けのフェアしかありませんが、如何なライト層でも同じ本をプッシュされ続けると前に見たよってことになります。基本の売り場でどれだけ本を実際に見てもらえるかが重要かと思います。

小売ではショールーミングの問題もありますね。

店舗で見てアマゾンで買う「ショールーミング」危険にさらされる小売店ビジネス(JB PRESS 2013.3.1(金))

店舗で見てamazonで買うって奴ですが、逆に面倒くさくないんですかね?家電なんかは大型商品は無料だったりするようですが、あまり嵩張ると持ち帰りがしんどいということはありそうです。纏め買いされるとレジで時間がかかったりするんですよね。レジでの簡単な手続きで商品を送るというようなサービスがあれば、たまには使われるかもしれません。

配送料もありますから、送料を払ってまではわざわざショールーミングしないとは思います。ただ、2000円以上の商品、Amazonプライム、Prime Student会員は送料無料のようです。だとしたら、逆に2000円以上の購入にポイントをつけるとか、商店街や百貨店にある書店だったら、統一のカードでポイントをつけるとか(amazonは本だけでなく何でも買えます)、そういう対策があるんじゃないでしょうか?

記事によると、ショールーミングの指数、つまりリスクが最も高いのは、寝具、浴室・キッチン用品などを販売する雑貨小売店チェーンの「ベッド・バス&ビヨンド」だそうです。多分寝転がってみたいとか店舗に行かないと買えない商品ほどそういうことをするお客様が出てくるのだと思います。逆に言えば、ネットだけで買いたくない商品がショールーミングしたい商品な訳で、ネットに強い商品とも言えると思います。

ショールーミングをしたくなるような店舗をつくって、ショールーミングを如何に防いでいくかという視点も、矛盾するようですがこれからの小売には必要なのではないかと思います。

別にamazonをヘイトしている訳ではありませんよ?顧客にとって何がいいかそれぞれの立場で追及していくことが大切で、それが経済発展の原動力になるだろうということです。

コミックの話に戻りますが、部数は重要ですが、あまり拘り過ぎると気が滅入ります。衰退しているならもういいやで流れに乗って退出する人もいるかもしれませんしね。インフレが起これば価格が上昇しますから、売上高は上がります。トリックみたいですが、貯蓄して利子をつけるというモデルがある以上、価格上昇の流れは無理してでもつくっていかねばなりません。デフレだと貯蓄する動機も無くなりますし、貯めとけばいいやになりますよね。昔は放っておけばインフレになったんでしょうが、今という時代はそうではないようです。

最後にコミック・書籍の海外販売の問題を考えてみます。これも筆者は素人で知識がありませんが、翻訳権・翻案件が重要なんでしょうね。

翻訳権・翻案権って?-ネコでもわかる知的財産権(SEO)

ディズニーが世界中で商売できているのですから、出版も世界中で商売できると思います。個別の出版社で荷が重いなら、協力することが重要ですね。日本書籍出版協会という団体がありますが、そこがもっと力を入れるか、海外での競争力があると考えられるコミックで団体を立ち上げ売り込んでいくことも考えられます。ディズニー並にある種の方々に嫌われて何ぼなのかもしれませんよ。

絵がメイン商材で地域の実情にあわせて修正も可(コアな人が本家を買いに来てくれれば良い訳です)(例えば看板などを現地語に変えてもいいですしその土地の慣習もあります)、意欲のある企業が日本市場をリサーチして、これといった商材を翻訳権・翻案件を買って、翻訳・翻案しコミックを売っていく訳です。企業がただ海外に出るだけではダメで権利が守られないとどうしようもありません。そのための知恵と行動が必要です。

書籍にしても小説家で海外で売れる人もいるようですし、その辺も本気を出していくべきでしょう。こんなニュースもあるようです。

海賊版日本語書籍も落とし放題=「百度文庫」がおとがめなしの理由とは―中国(kinbricksnow.com)

海賊版を通して海外で読まれている日本の小説家や漫画家が正規の商売でちゃんとリターンを得ていけるようになれば、業界が息を吹き返してくるかもしれませんよね。

地域とともにある自衛隊(石垣)

2018-03-04 11:44:17 | 政策関連メモ
<解説>地域とともにある自衛隊

>地域における自衛隊の役割は災害派遣だけではありません。

>陸上自衛隊においては北部・東北・東部・中部・西部の全国の5つの方面隊がそれぞれ地域の特性に応じた協力活動を行っています。

>その中でも共通しているものが不発弾処理で、年平均約1,400件を数えます。沖縄戦の影響により、70年が過ぎた現在でも、九州・沖縄地方(西部方面隊)の処理件数はその5割を占めています。また、緊急患者輸送も年間200件(陸自のみ)を超え、その7~8割は長崎・鹿児島・沖縄の島嶼地域です。近年、積雪寒冷地においては独居老人宅の除雪の実施が困難になってきており、特に過疎の進む地域においては作業を担える若者も少ないことから、北海道(北部方面隊)では、付近に駐屯する自衛隊がボランティアで除雪支援することも多くなっています。

>また、地域で行われる様々な伝統行事を支援している他、東北地方(東北方面隊)では、東日本大震災に因む慰霊行事や町おこしなどにおける自衛隊の貢献がより一層期待されていす。

>一方、地域で行われる国家行事支援も重要な役割の一つであり、15(平成27)年の「わかやま国体」支援に引き続き、16(同28)年5月の「伊勢志摩サミット」においても国賓輸送などの支援を行いました(中部方面隊)。そして、20(同32)年の東京オリンピックにおいても、新編予定の陸上総隊や東部方面隊の下で、警備などの支援を行い、オリンピックの無事の開催に貢献していきたいと考えております。

石垣市長選の争点に陸上自衛隊の配備問題があると思いますが、陸上自衛隊は本分の防衛だけでなく、地域とともに具体的行動をもって地域に貢献していくことも間違いないんだろうと思います。石垣にも不発弾は埋まっているようですが、不発弾処理作業も進むでしょうし、自衛隊に任せておけば安心ではないかと思います。

急患輸送に関して言えば、陸自の急患輸送への貢献に対して「緊急患者9千回空輸謝恩会」が沖縄県離島振興協議会、鹿児島県市町村総合事務組合、大島郡町村会主催で2017年8月25日に那覇市の県市町村自治会館で行われたようですね。一足速く陸自を配備した「県離島振興協議会の外間守吉会長(与那国町長)は「多くの住民の人命確保に大きく貢献し、厚くお礼申し上げる」と感謝した」ようです(陸自の急患空輸に感謝 那覇で9千回謝恩会(琉球新報 2017年8月27日 14:00))。現状でそういう仕事を担っているのは第十一管区海上保安本部 石垣航空基地のようですが(11管区石垣航空基地 急患輸送2000件を突破 33年3カ月、無事故での快挙(八重山毎日新聞 2005年06月17日))。

八重山日報で筆者には馴染みがありますが(伝統行事の記事をよくみかけます)、石垣市・八重山地域の主な年中行事(石垣市)でも何か陸上自衛隊がお手伝いできるかもしれません。

イベントをするにしても、国賓を迎える時など警備が必要な時もありますよね。トリップアドバイザーで石垣が世界で人気急上昇中の観光地第1位になったそうですが、何時かどでかいイベントが行われる可能性も???

沖縄本島では軍が経済の邪魔だと言い張る方々がいらっしゃるようですが、そんなことはないんだろうと思います。単純に若い人口が増えるのは大きなインパクトであることは間違いありません。ハワイでも基幹産業のひとつのようです(ハワイの産業トップ5って何かしってる? ハワイ州の経済を知ろう!(ハワイ移住ブログ 2016.05.05)。

陸自が石垣で何をするの?って思うかもしれませんが、島を空にしておくこと自体が危険だと思います。例えば今、モルディブなんかでは某大国がやってきて掻き回し大混乱しているようですが、仮にモルディブがきちんとした軍隊を持っていたり、例えばインド軍やアメリカ軍が駐留していたらどうでしょう?某大国はモルディブの土地を収奪したとか言われてますが、いざとなれば何時でも追い出されることが分かっているなら、無茶苦茶もできませんよね。モルディブ国防軍(ウィキペディア)を参照しましたが、長い間軍隊を保有しない国として知られてきたようです。誰も注目しない島ならそれでいいかもしれませんが、石垣のような注目される島がそんなことでは逆に危険です。実際モルディブ国防軍発足前にはこんな事件(1988年11月3日、モルディブ人実業家であったアブドラ・ルスフィ (Abdullah Luthufi) は、スリランカのタミル人武装組織、タミル・イーラム人民解放機構(略称:PLOTE。タミル・イーラム解放のトラ(LTTE)とは別の組織)の傭兵400人を投入してクーデターを試みた。しかし国家保安隊の抵抗を受けてクーデター部隊はマウムーン・アブドル・ガユーム大統領の身柄の早期確保に失敗し、マレを脱出した大統領は、イギリス、アメリカ合衆国、インドに対して支援を要請した。これに応じて、同日中に緊急展開したインド軍空挺部隊によってPLOTEの戦闘部隊は制圧され、事態は収拾された)も起こったようです。

台湾側の外交文書や『蒋介石日記』の記述からは、台湾が当初尖閣諸島を琉球の一部と明確に認識していた(阿修羅)という話もあるようですし、実際に石垣(尖閣)に侵入してくる外国もあって、琉球独立論を研究している外国もあります。いざとなって慌てふためいても遅い訳で、備えあれば憂いなしだと思います。

平和は重要ですが、安全保障を考えなければ平和になる訳ではありません。寧ろ逆です。誰にも狙われない島ならそれでもいいかもしれませんが、石垣はそうではありません。選挙戦で平和を強調するのもいいと思いますが、自衛隊隠しみたいな空気はどうなの?と思い、一石を投じようと思った次第です。そんなことでは先が思いやられますしね。

以上ですが、テーマ「石垣」は一応この記事を持って完了としたいと思います。石垣振興は地元のプロ達が考えるでしょうし、これから選挙戦で論争も深まると思います。筆者もニュースは見ていますから、何かあればまた書きますが、筆者の主要な関心事でちょっと記事を書いてみようかと思った次第です。

※3月5日追記:八重山日報によると、宮良氏は「争点はミサイル基地を認めるか、認めないか、一つだけだ」と言っているようです。ミサイル基地って言いますけど、配備されるのは12式地対艦誘導弾(SSM)なんですよね。これはピンポイントで船を攻撃できる優れもののようですが、要するに尖閣や八重山・宮古に押し寄せる某国の軍艦や海警・偽装漁船を沈めるための装備なんでしょう?明らかに地域が平和になるんじゃないかと思うのですが・・・。左翼の皆さんは尖閣盗るためだけに、中国が対艦ミサイルに対して飽和攻撃を仕掛けるとでも思っているんですかね?油断してはなりませんが、今まで中国は一度も上陸していません。ハードル上がってそんな決断するか疑問なしではありません。

廃業かM&Aか

2018-03-04 11:16:26 | 政策関連メモ
生産性が低い企業には退出してもらおうという記事を書いたので、その手法として廃業かM&Aか少し触れておきたいと思います。

中小企業の後継者難、「廃業より売ったほうがマシ」でM&A増加中(ダイヤモンドonline 2017.12.28)

>問題は、廃業予定企業のうち3割の経営者が同業他社よりも良い業績を上げていると回答し、今後10年間の将来性についても4割の経営者が少なくとも現状維持は可能と回答している点だ。

>こうした、企業業績が必ずしも悪くない企業であっても後継者が決まっていない、または廃業予定である企業が数十万社に上ると予想されており、事業承継を選択しない場合には当該企業が維持している雇用や技術、ノウハウが失われてしまう可能性が高いからだ。

廃業の方がいい場合もあるかもしれませんが、生産性が高い企業が廃業するなんて状況が日本にはあるようですから、それだったらM&Aの方がいいように思います。そうしたことを専門に請け負う会社もあるようですし、経営者の方々はよく考えて、また政府もそうした流れを加速するようにして、生産性が高い企業を潰してしまわないように注意すべきなんだろうと思います。優れたノウハウ・人材は継承していかないと日本経済も良くなりませんね。

【M&Aの現場】事例が語る廃業の恐怖、M&Aのハッピーリタイア(M&A Online 2015-07-01)

リタイアの仕方としてもM&Aは中々優れているとの指摘もあります。


北海道・東北・北陸(雪国経済)と北欧諸国

2018-03-04 09:03:49 | 政策関連メモ
公明党の山口なつお代表が雪国に注目しているので、雪国経済に関して考えてみました。

といっても、雪をどう活かすといった逆転の発想ではありませんし、どう雪害に対応するとかそういう話でもありません。それはそれで重要だと思いますが、ここでは別の話をします。

失礼ながら大変申し訳ありませんが、北海道は社会主義的だとか東北はちょっと遅れているみたいなイメージがあると思いますが、世界的には寒いところに遅れたイメージはありません。北欧は先進的なイメージですし、ソ連経済はダメになりましたが、技術では光るものもありましたよね。ソユーズ(ウィキペディア)はスペースシャトルを退役させたところがあると思います(ご興味のある人は枯れた技術に見るソフトウェア開発 ソユーズとスペースシャトルの比較(urashita.com)など参照してみてはどうでしょうか?)。これの原因を考えると、研究に集中し易い環境があるのではないでしょうか?雪で外に出にくい寒さで外に出たくないとしても、研究所に篭って研究に集中すればいいだけの話です。北欧の企業というのは世界的に優秀な企業も結構あって経済で参考にすべきところがあると思います。高福祉が注目されますが、それもお金がないと出来ません。人口規模や歴史的経緯経済環境が違う日本にそのまま福祉制度を移植することは難しいと思いますが、北欧に注目して優れた企業を生み出し、その企業が中心になって、雪を活かしたりすればいいのではないかと思います。雪害対策も地元の研究努力次第なところがあると思います。

アメリカのエリート私立伝統校群として著名なアイビーリーグも寒いところにあるのは偶然でしょうか?


ウィキペディア「アイビー・リーグ」より取得

それでは少し北欧4国(スウェーデン・フィンランド・ノルウェー・デンマーク)の経済を見ていきます。

北欧の小国「スウェーデン」はなぜグローバル企業を輩出し続けるのか?(現代ビジネス 2015.12.14)

>昨今ではカジュアル衣料のH&Mや音楽ストリーミングのSpotifyが有名だが、家具業界に世界的な激変をもたらしたIKEAもこの国で生まれた。自動車のボルボも、通信機器のエリクソンもスウェーデン生まれだ。

流行になったファストファッションの起源は良く分からないようですが、世界で影響が大きくなったと見られ始めたのはH&Mが98年にフランス、続いて00年に米国に進出した頃だそうです(ファストファッションについて、その語源的な由来ではなく、どこでどのように始まったのか、その起源について記されている本があれば教えてほしい(レファレンス協同データベース))。CDを聴かなくなってから音楽から遠ざかっている筆者は知らなかったのですが、Spotifyが海賊版サイトを激減させたとの指摘がありますね(【音楽学】音楽産業の歴史と発展~レコード・CD・MP3・ストリーミング~(XERA))。イケアはヨーロッパを席巻し世界最大の家具会社になりました(イケアが世界最大の家具会社になった理由(PRESIDENT 2017年9月4日号))。ボルボには安全神話がありますね(ボルボの「安全神話」が受け継がれる理由[クルマの名鑑vol.8](Forbes 2017/05/04 15:00)。エリクソンは世界でノキアやファーウェイと熾烈な争いをしてきた通信業界大手です。

フィンランドのノキアは有名ですが、ノキアが衰退した今、元ノキア社員はスタートアップに力を入れているようですね(起業ブームに沸くフィンランドで何が起きている? 学生、元ノキア社員、政府が盛り上げるスタートアップシーン(リクルート 15.06.11 THU)。フィンランドの技術力の高さは研究開発への投資が支えており、賃金の低いアジア諸国と同じ土俵で戦わない努力をしているようです。日本も参考にすべきで、賃金の低さで勝負している限り、給与も物価も上がりませんので、日本は必ず詰みに向かいます。

人口が少なく国土が広いノルウェーは生産性大国なのだとか(生産性大国ノルウェーは幸せなのか?(日経ビジネス))。

>ノルウェーよりランキング上位のアイルランド(1位、約16万4000ドル)とルクセンブルク(2位、14万6000ドル)はどちらも小国で金融機関の集積国。ノルウェーは3位の米国(11万9000ドル)ともさほど違いは無い水準。国内にこれと言った大企業や金融機関を持たないノルウェーが、これだけ高い生産性を保っていることはまさに驚異的だ。

物価も高いようですが、日本も学ぶべきでしょう。物価が安いとものが多く買えて幸せなのではないか?などと主張したところで、デフレ下では現金保有タンス預金有利になって投資が一向に進みませんから、デフレを前提に経済政策を考えることは無理だとそろそろ気付くべきだと思います。それがバブル経済崩壊以降の長期衰退の教訓ではないでしょうか?

デンマークが2連覇!ビジネスに理想的な国ランキング(Forbes 2016/04/30 10:00)

デンマークはビジネス環境で評価も高いようですね。代表的な企業はデンマークの経済や産業、企業は?国王や首相は?(brave-answer.jp)を参照しましたが、レゴは有名ですね(玩具のレゴ、首位マテルに肉薄 16年売上高(日経新聞 2017/3/10 7:20) 。ロイヤルコペンハーゲンは筆者は知りませんでしたが、日本でも人気のようです。王室がある国というのは、何となく親近感はある気はします。

デンマークの酪農やノルウェーの漁業など北欧諸国は一次産業も得意です。そういう意味でも雪国諸国は北欧を参考にするべきところはあるのではないでしょうか?

今回は取り上げませんでしたが、北欧と言えばアイスランドも危機は脱したようです(「銀行救わず危機脱した」 アイスランド中銀総裁 資本規制を解除(日経新聞 2017/5/15)。ピンチに陥っても必ずしもそこで終わる訳ではありませんが、終わらせないためには現状をなるべく把握して適切な対処法を考え実行していくことだと思います。何もしないで現状を長期間維持するという選択肢は事実上存在せず、やるべきことをやってはじめて維持・向上できるということですね。それが現実だと思います。別に休むな遊ぶな奴隷労働しろと言っている訳じゃありませんよ。何もしない贅沢を否定している訳でもありません。

最後に雪国経済に触れたので、北海道と観光で一点だけ。ニセコにオーストラリア人が増えたとかそういう話は有名ですね。今ではあまりに人気になって外国人ばかりで日本らしくないとか言って、オーストラリア人は富良野や島牧村に逃げ出したとか。何でも雪質が良いらしく世界中からスキーヤーが集まるのだそうです。冬のニセコはまるで外国 !! 世界一の雪質を求め、各国のスキーヤーが集まる。日本人はどこ ?(tenki.jp 2016年03月16日)日本の限られたパイを奪い合う発想では気分も暗くなってしまいます。世界でも優れたものがあるなら、売り出していくのも一つの方法でしょう。

生産性が低い企業・財政が悪い企業を削減していくことが経済改革の本丸

2018-03-04 06:07:22 | 政策関連メモ
「日本企業は今の半分に減るべきだ」デービッド・アトキンソン大胆提言(Newsweek 2018年3月3日(土)10時35分)

>皆さんもご存じのとおり、日本ではすでに人口が減り始めています。人口が減る以上、GDPを維持するためには生産性を高めるしかありません。「GDP=人口×1人あたりの生産性」だからです。

全くその通りだと思います。そしてアトキンソンさんの言うとおりに出来れば、一人あたりのGDPは激増します。少子化問題なし!って主張していた論者っていますが、結局こういうことができればなんですよね。自分が見落としていただけかもしれませんが、プロセス無き問題解決に意味はない訳で、ようやく答えが出たなという感じです。さすがに不良債権問題を指摘したアナリストは慧眼ですね。

>日本の人口の減少、特に生産年齢人口の大幅減少は、「経済の常識」を根本から変えるだけではなく、社会のあり方そのものを一変させてしまう、国にとっての一大事です。日本という国は、有史以来の未曾有の事態を迎える、スタートラインに立たされているのです。

最近ようやく人口減少が大分言われるようにったと思いますが、まだまだそれにたいする危機感は共有されていない感じなんですよね。筆者も分かってはいましたが、解決の処方箋無きまま問題を指摘することは逆にマイナスになりかねませんので、指摘を控えてきたところがあります。高齢化率の上昇は女性労働力の活用など労働者を増やすことによってある程度対応できてきたんだと思いますが、今後はそれも難しくなってくると思います。経済学は良く分かりませんが、実質生産性は極端に下がっていますが、これは昔の人がスーパーマンだったということではなく、実質労働生産性は固定価格で計算しているので、物価水準が低かったがゆえに生産性が高く出るのだと思います。最近名目労働生産性が持ち直したのも物価と関係あるのではないでしょうか?いずれにせよ、日本が持ち直すとしたら、それは必ずデフレは解消された時だと思います。黒田総裁が2019年が目処と区切ったのは大きいと思います(日銀総裁、出口戦略「2019年度ごろ検討するのは間違いない」 日経新聞 2018/3/2 15:16) 。


総務省


日本生産性本部


労働政策研究・研修機構

>国立社会保障・人口問題研究所の2012年の推計では、2060年までに、2015年と比較して生産年齢人口が「3264万人」減ると言われています。この規模は、世界第5位の経済規模を誇るイギリスの就業人口とほぼ同じで、同じく経済規模世界第10位のカナダの総人口を上回ります。

>人口減少が進んでいるのは日本だけではなく、一部の先進国でも同様です。しかし、同期間の人口減少は、ドイツで約1000万人、イタリアが約500万人、スペインは約300万人と、日本がその規模で他国を圧倒しています。

>つまり、これから数十年間にわたり、日本だけが他の先進諸国とはまったく違う経済環境に置かれ、どこよりも厳しい経済対策を強いられることになるのです。

筆者を含む多くの人が生きている間に確実に起こる未来です。皆問題は薄々分かってはいたんでしょうが、事勿れ主義で問題を先送りしてきた結果、こうなっているのだと思います。ただ、もう詰んでいると悲観してはなりません。やれるのにやってないことがあるからです。

>しかし、これからの日本経済は、実は生産性が上がりやすい環境となります。なぜなら、人口の極端な減少によって経済が激変するからです。ただしこの状況を生かすも殺すも、経営戦略と国の政策次第です。

>先ほど説明したとおり、日本ではこれから数十年にわたって、生産年齢人口が他の先進国を大きく上回るスピードで減っていきます。それに伴い需要も大幅に減ります。人口の増加に伴って増加した企業の数は、人口が減るのであれば、それに伴い減少すべきなのは当然のことです。

>要するに、消費者が減っているのですから、十分に企業数と供給量を減らさないと供給過剰となり、過当競争になって、デフレに拍車をかける結果になるのです。

>企業の数を減らすべきもう1つの理由は、日本で長年にわたり低下し続けてきた、日本企業の経済合理性にあります。

>1964年以降に増えた企業は、主に従業員数10人未満の企業でした。日本企業をみると、企業の規模が大きくなればなるほど社員の平均給与が増えますので、給与の低い企業を中心に企業数が増えたことになります。規模の経済が働かない企業が増えて、企業の経済合理性が継続的に低下していたことがわかります。

>幸いなことに、企業数は減っており、特に生産性の低いところから静かに減っているのです。企業数全体は、1995年の389万社から、2015年には352万社まで減りました。1社あたりの社員数も増えており、全体で見ればいい方向に進んでいると評価できます。特に、給与が最も少ない、従業員10人未満の企業の数が最も減っているのは安心材料です。

>給料が少ない企業の存続が今後ますます難しくなるのは、生まれてくる子どもの数と企業の関係を見ればわかります。

>しかし、日本では人口減少に伴い需要自体が減るので、せっかく作っても買う人がいなくなります。供給過剰分をすべて輸出できると考えるのはあまりに楽観的すぎるので、結局、日本の企業の数は減ってしかるべきなのです。

>くだらない例で言えば、散髪をする人間が減っても、ロボットにやってもらえば美容室の数を守ることはできるかもしれません。しかし人口が減る中で、誰の髪の毛を切るのでしょうか。日本人が消費しなくなる分を輸出することができなければ、過当競争になるだけです。

>日本では企業の規模が小さければ小さいほど生産性が低いのが現実で、これら企業の存在が全体の生産性を引き下げる結果を招いているのは間違いのない事実です。

経営戦略と国の政策がちゃんとすることが日本復活の条件ですね。具体的にはアトキンソン氏が指摘するように生産性の向上だと思いますが、これは巷で言われているようにAIやロボットを導入するだけでは達成できず(供給を絞らないとデフレで価格が下がるので)、生産性の低い企業が経済常識通りに退場することによって達成されるということだと思います。それがこれまで出来ませんでした。

中小企業やフリーランスでも生産性が高い業種なら構わないと思いますし、生産性が高いに関わらず後継者不足に陥っている中小企業があるとすればそれは問題ですが、日本が普通に存続するためには生産性が低い企業を生かしておく余地はないと見切らなければなりません。それはこれまで無かった(目立たなかった)問題を生むと思いますが、仕方の無いことです。

具体的には給与を出せないところ、財政が悪いところ、無駄に補助金を食べているところはドンドン潰れると思います。潰れた企業の代わりに生き残った企業が仕事をする訳です。M&Aも進むと思います。需要が減った分供給が減ればバランスがとれますし、物価が上がれば名目GDPも上がります。そういった状況下でIotやAIにシッカリ対応して実質的な生産性も上げていけば、何とか日本終了を避けられるのではないかと思います。金融緩和で持ち直した安倍政権も出口を言われるようになりましたし、今のやり方のままでは誰がやってもジリ貧で日本が終わることは確実でしょう。新技術に対応するだけじゃダメで、やはり生産性が低い企業を無理やり生かす温情が日本をダメにしている元凶なのだと思えます。こういうとあらぬ妄想がドンドン広がりそうですが、生産性が低い人は死ねと言っている訳ではありませんし、地方潰れろと言っている訳ではありません。生産性が低い企業ややり方は止めにして、生産性が高い企業が仕事をするべきだし生産性が高いやり方に変えていこうと言っているだけです。日本が破綻しなければセーフティネットは維持されますが、破綻すればそれも無くなります。困るのは年金で暮らしている高齢者・将来の自分だったりするんじゃないでしょうか?新自由主義ガーって言いたがる人が邪魔をするかもしれませんが、足を引っ張ってほしくないですね。

常識で考えれば分かるじゃないですか。デフレで給与上がらず税収上がらず社会保障が増え人口が減ったら日本が終わることは。これは新技術を導入する対処療法だけでは焼け石に水です。今ある出来ているものを活かしそこに集約していくことでこの危機は乗り越えられるんだろうと思います。適度なインフレで給与を上げて(上げられない企業は潰れて)税収を上げていくことが重要です。医療でもわずかな期間延命するためだけのために莫大な治療費を使うのは問題だと思いますよね。よほどお金持ちなら自分の金で好きにしたらいいですが、皆がそれをやろうなんてことは不可能な訳です。経済も同じで儲からない商売を何時までも続けることは出来ません。成功するか誰にも分からない先端分野で技能がある人は失敗してもドンドン再チャレンジするべきだと思いますし、潰れた企業にいた人も新天地で勿論働くべきとは思いますが、兎に角無理せず維持不可能なものは整理していかねばなりません。

さすがにオックスフォード出でゴールドマンサックス出身で不良債権問題を指摘した日本を良く知る人の分析は違いますね。日本全体の問題を俯瞰してよく見抜いている感じがします。文化財修復の現場にいて(会社を運営し)観光に関する提言も広く受け入れられていますが、現場を実際に知っている経営者ならではなんでしょうね。明治期のお雇い外国人(ウィキペディア)もこんな感じだったのでしょうか?

>今後の日本で減るのは、0~14歳の若年人口と15~64歳の生産年齢人口だけです。高齢者は減りませんので、当然、医療費や年金の負担は減りません。また、人口が減っても、国の借金は減ったりしません。

>社会保障の維持と国の借金を考えれば、GDPを減らすことが日本にとって自殺行為なのは明らかでしょう。

はい、反論できる人いますか?できなければ黙っててほしいですが、日本にとって良くても自分個人が損する人は抵抗するかもしれません。そういう人とは戦うしかないですね。高齢者も何れは減りますがそういうことではありません。出生率が向上しない限り、高齢化率が高いトレンドは改善しません。消費税上げで社会保障を維持しようなどというビジョンではデフレを誘発しジリ貧からの破綻は間違いなしと思います。借金を減らすには適度なインフレで税収を上げるしかないと思いますが、供給が絞られない限りデフレ脱却はなりません。供給を絞るためには過当競争を無くすことで、生産性が低い方が退出するなりM&Aするしかないと思います。みんなで供給を絞ったら少量生産になって効率が悪化するだけでしょう。誰がそんな企業に投資するんでしょうか?言い訳は必要ありません。これはやるかやらないかだと思います。

>人口が増えていたころの名残なのか、日本政府は、いや日本人全体が、国内の企業の数が多いことを好ましいと考えています。特に中小企業が好きなようで、中小企業の数がちょっとでも減ったり、倒産や廃業が増えたりすると大騒ぎになります。

>しかし、やっと生産性の低い企業の整理を進めるチャンスが訪れたのですから、政府はその動きを邪魔するべきではありません。喜んで生産性の低い企業から削減するよう、励んでほしいと思います。

>企業統合を促進する政策を打って、規模の経済を追求する体制を作るメリットは非常に大きいです。特に、これから一部余る供給を海外に輸出する必要が生まれていますが、10人未満の企業にはかなり厳しいと思います。

>また、ITなどは特効薬にならないにしても、これからは人があふれていた時代から人が貴重な時代になりますので、ITを本格的に活用する必要があります。IT投資を生かすにも一定の規模が必要ですので、やはり企業統合を促進することが求められるのです。

絶対に中小企業がダメという訳ではないと思いますけどね。基本的にはアトキンソン氏の言う通りだと思いますが、輸出が関係ない業界は多いですし、日本は内需の国になってますので、それほどインパクトの大きい話ではありません。パソコンを使わない仕事もありますし、パソコンが使えれば十分な仕事もあります。でも、投資しなければならないことが分かっているのに、金がないから投資できないとか、中小だから対応できないとか、そういう企業は退出する(合併する)しかないということだと思います。政府も腹を括って生産性が低い企業・団体を削減していく方向性に切り替えていかねばなりませんし、そうすると確実に反対が増えますので、政治家は厳しいところもあるかもしれませんが、日本をダメにした政治家として退出を強要されるのとどっちがいい?ってことになるんじゃないかと思います。日本人も何も滅びたい訳じゃないと思いますので、説明すれば理解する人は増えてくると思います。

以上でテーマ「経済」はとりあえず終わりにします。勿論経済問題はこれからも取り扱いますけどね。