自然とデザイン

自然と人との関係なくして生命なく、人と人との関係なくして幸福もない。この自然と人為の関係をデザインとして考えたい。

憲法を守る~政治の原点

2017-08-14 17:54:34 | 自然と人為

 日本の政治の原点は「日本国憲法」にあり、憲法を守ることが政治の原点だと思うが、「憲法改正」を政治家としての使命だと公言する首相が、こともあろうに政治を私物化しても内閣総辞職をしないで居座っている。議会の多数を握れば内閣を組閣でき、衆議院の解散もできる。日本は国民主権の国のはずなのに、個人と組織や国の権力の関係に無頓着で曖昧な国のようだ。

 戦後の天皇は政治には関与しないことで象徴天皇となっているが、内閣の助言と承認により国事行為として衆議院を解散する(7条3項)とある。また、69条には「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない」とある。衆議院の解散はどこで決めるのかは明記していないが、「総辞職しないのであれば解散を」とも読める。しかし、第四章41条で「国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である」のに、行政府の長である内閣総理大臣に国会の解散権があるというのは矛盾であり、「首相の解散権」を当然のように報道するメディアも真実を報道していない。また、「抜き打ち解散」「バカヤロー解散」で実行された「内閣総理大臣の解散権」は第7条に示された国事行為である天皇の政治利用が戦後早々に、吉田内閣によって始められていたことになる。
参考: 「日本国憲法」 1947年5月3日施行  衆議院の解散に法的根拠はある?  
 第一章 天皇
 第七条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
   一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
   二 国会を召集すること。
   三 衆議院を解散すること。
 第四章 国会
 第四十一条 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。
 第五章 内閣
 第六十九条  内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、10日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。


 憲法は国の根本秩序に関する法規範であり、日本国憲法前文で、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重の三原則を宣言し、第1章天皇で「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。」とされ、第2章で戦争の放棄、3章で国民の基本的人権、4章で国民主権である国会が国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関であると謳っている。

 憲法の中で最も大切にしたいのは第2章「戦争の放棄」だ。第9条で「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。」とある。自衛隊の前身である警察予備隊は、1950年の朝鮮戦争勃発時、GHQの指令ポツダム宣言(2)の受諾に伴い発せられるポツダム命令)により国会の議を経ずして総理府の機関として組織された。吉田首相は「警察予備隊は軍隊ではない」と再軍備を否定したが、これが「解釈改憲」の始まりとされる。GHQ指令なので首相の権限ではなかったが、アメリカ軍基地とともに憲法に汚点を残すことになる。

 国会で多数を握れば内閣を組閣できるが、多数を握っているからといって国会を軽視して閣議決定で「集団的自衛権」のように憲法の解釈を変えるのも独裁国家への危険な道で、政治の私物化とともに決して許されることではない。憲法はアメリカにより押し付けられたと安倍首相を含めて主張する人々がいるが、押し付けられたのは自衛隊であり米軍基地である。憲法には日本人の考えが大きく反映しており、内容こそを問題にすべきだと思う。どこにも組織があり組織の権限を強くしたいのが人間の性、軍事力の強化を憲法は認めていないし、自衛隊の名誉のためにも災害援助に特化すべきだと思う。
 参考: アメリカ誘導下で憲法改正へ向けて着々と進む
 閣議決定から戦争法へ ②25年にわたるアメリカの要求・圧力と日本歴代政権の対応
 【アメリカからの安倍政権への指令書】「第3次アーミテージレポート」とは
 <資料> 『集団的自衛権と憲法との関係について』 ――内閣法制局1972年10月14日


 時代とともに人の考えは移り彷徨うとも、どのような時代であれ政治の原点は平和憲法を守ることだと信じている。ここでは戦後の憲法について資料を集めたが、さらに皆さんにお知らせしたい動画を紹介させていただく。

報道特集 戦争と憲法 ~平和憲法の原点に迫る (2017/8/5 放送)
前川さんの話をきく会(2017年8月2日(水)福島県文化センター)
2017年7月30日(日)君島東彦「憲法をめぐる最近の政治情勢」
サンデーモーニング・風をよむ「~”保守”~」2012年10月28日放送
岡野八代教授(同志社大学大学院グローバルスタディーズ研究科)の講演動画を3本ご紹介します

8月15日終戦記念日に平和を願い追記
 北朝鮮の馬鹿な三代目が国民を鼓舞するために、グアム島近海に大陸間弾道弾を発射すると宣言している。これにアメリカの自制心の働かない大統領が「これは戦争だ」とわめき、日本の馬鹿な3代目が日本の存立危機事態になった場合は迎撃すると呼応している。喧嘩はエスカレートし馬鹿を見るのはどこの国も国民だ。日本の3代目は閣議決定で憲法を無視した「集団的自衛権」を解釈憲法として不法に採用し、「戦争放棄」から米国に追従して「戦争ができる国」への道を歩もうとしている。日本の平和憲法は世界に誇るべきでみっともないものでは決してない。戦後72年にしてなおアメリカ軍基地がおかれ、いつまでも属国とされていることを恥としない安倍首相こそ、政治の私物化までして恥ずべきでありみっともない。

「国民にとって実に不幸」 河野洋平氏が安倍外交を批判

なぜ岸信介は「A級戦犯」として起訴されなかったのか
安倍晋三の爺さんの岸元総理大臣は、A級戦犯ですが、死刑を逃れるために、アメリカのスパイになり、国を売った「売国奴」だそうです。アメリカ公文書館の記録に残る事実です。
岸信介はA級戦犯だったのに何で総理大臣になれたのですか?
安倍首相の祖父・岸信介衝撃発言!あれは「侵略戦争だった!!」
小田実 後藤田正晴 遺言

初稿 2017年8月14日 追加更新 2017.8.20