夢発電所

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ボランティアスクール「視覚優位」

2008-03-17 07:34:21 | 福祉について
【解説】自閉症は、現在では先天性の脳の機能障害と考えられています。全般的な知能の遅れがある精神発達遅滞と異なり、特殊な認知、知覚、言語の障害が基本にあると考えられ、それゆえに人との接触、物の認知などに問題が起こり、自閉と呼ばれる独特の行動様式がみられます。言葉の遅れと歪み、社会性や対人関係の障害、常同的行動、変化に対する嫌悪などの特徴があります。

 自閉症者の特徴の一つで重要なものに、「視覚優位」がある。昨日の寸劇でも、一郎君が喫茶店で、ウエートレスから定食の説明を受けても反応しなかった。オウム返ししかできない自閉症+知的障害のある一郎君は、言葉だけの説明では理解できなかった。解説者がウエートレスに写真を使って定食の説明をするように指導したところ、早速一郎君は反応し選択している。
 自閉症の方の視覚優位と視覚的傾向について知ったエピソードで、自閉症の方の社会の見え方はかなり狭いことがわかる。たとえていえば、ペットボトルを上部半分を切り取って、切り取った側からボトルの口方向を見れば狭い一点しか見えないし、その周辺のボトルの肩のぶぶんではぼやけてしまって認識できない。そういう視覚傾向だというのだ。
 私たちは何かを認識するときは総合的な情報(音・言葉の認識・温度・堅さ・臭い・味など)で判断しているが、彼らの情報はきわめて狭いことが推測できる。その代わり、部分的なところにこだわりを見せるのである。外出先でトイレを認識する際に便器のTOTOという表示のないトイレは使えないという自閉児の姿もビデオの中に紹介されていた。
 わが施設でもこの傾向の強い対象者には、説明を絵カードや写真で紹介するようにしている。言葉での説明よりも遙かにわかってもらえるのだ。すこしでもコミュニケーションがスムーズにできれば、信頼関係も深まりパニック行動も少なくなるのではないだろうか。
 みんなが安心して暮らせる社会とは、そういう行動特性を持つ方々へも配慮された社会をいうのではないだろうか。