TSUNODAの経営・経済つれづれ草

身近な経営に関すること、経済に関することを思うままに

みどり市が「みどり市ブランド」として地元27商品を認証する

2007-10-16 23:50:34 | 地域産業
 地元群馬県のみどり市の「みどり市ブランド」に思うことを書きます。
 
 みどり市が地域資源を活用した独自ブランドを形成していくために、市内企業の27商品を「みどり市ブランド」と認定したと16日の上毛新聞に書かれていました。同市広域調整室は「新しい市なので市民でも知らない商品がある。良い物が地元にあると知ってもらい、市外にもアピールしていきたい」と発言しており、市ホームページや広報、イベントなどで積極的のPRしていきたいとしています。商品には新たに作成した認証マークを張ったり、のぼり旗を立ててPRしていくようです。新聞には認証マークと認証商品と販売会社が載っていました。そのなかで私が知っているのは、手振りうどん(星野物産)と赤城山(近藤酒造)の2品でした。名前から判断して他の25品目は食品であるようです。

 みどり市は、平成18年3月27日に笠懸町、大間々町、勢多東村が合併してできた群馬県で12番目の市です。人口は53,000人です。旧勢多東村は星野富弘美術館で有名な地区です。旧大間々町と旧勢多東村の間には桐生市黒保根地区(旧黒保根村)があり、実質飛地となっている市です。

 私は、平成6,7年と旧大間々町の商工会が実施していた街おこしに仕事でかかかかわったことがあるので、この記事に興味を持ちました。その時の街おこしは「うどんによる街おこし」というテーマを掲げたものでした。うどんがよく昔からく食べられていて、自宅で手打ちをしてうどんを作ることもあたりまえのことだったという地域性を生かして街おこしをしようとするものでした。活動としては、年2回のイベント「うどん打ちコンテスト」を行いました。その時に、手打ちの指導をしてくれたのが、地元企業の星野物産でした。イベントの企画、実施していたのは、地元の商業者でした。さくらモールという地元商業者が中心になる郊外型スーパーを作るくらいですから、大間々町の商業者にはパワーがありました。

 さて、今回の「みどり市ブランド」ですが、いくつか思ったことを書きます。まず、新聞の小見出しに「地域資源で新たな特産品育成」と書かれいましたので、私は今注目されている地域ブランドをイメージしてしまいましたが、ちょっとちがうようです。今年の中小企業白書にも、第2部で<テーマ分析>地域とともに成長する中小企業が取り上げられており、地域資源の有効活用に向けた取組が記述されています。地域に存在する特有の経営資源としての特産品や伝統的に継承された製法、自然や歴史史跡などを他地域にうまくアピールすることで、地域外の需要を取り込むことができ、そのための地域資源活用のプロセスが記述されています。
 私は、今回の新聞の小見出し、「地域資源で新たな特産品育成」をそのまま鵜呑みにしてしまったのですが、認証になった27品目を見ると、個々の商品の魅力はあるのでしょうが、中小企業白書に書かれているようなまとまった地域資源としての他地域と差別化できるものがないのです。認証を受けたにはまんじゅう、しょうゆ、酒、バックなどで実際の商品を見ていないのですが、ごく一般的な商品群という印象をもってしまいました。

 みどり市が「みどり市ブランド」を作ったのは、合併した市なので自分が住んでいる旧町村区域外の商品を知らないことがあるので、その商品を知ってもらう意味合いがあるようです。まず第一に、みどり市ブランド」のネーミングを掲げることで、市としても一体感を高めていきたい意図があるように思えます。そして、市が個々の商品をPRすることで、新たな特産品になるような商品が生まれればとの意図があるのではないでしょうか。

http://www.city.midori.gunma.jp/
↑みどり市のホームページです。


東和銀行はどうなってしまうのか

2007-10-15 18:22:57 | 地域産業
 新聞記事等で報道されている地元銀行の東和銀行について思うところを書きます。

 13日の新聞で、12日に金融庁が東和銀行に対して、取引先企業の業績悪化を知りながら追加融資続けて損失を大きくさせたとして業務改善命令を出したと報道されています。私の家では、朝日新聞と上毛新聞をとっているのですが、記事では、前頭取で旧大蔵省OBの増田頭取がかかわった融資に不適切な判断の融資があったと記載されています。問題視されているのは群馬県内の建材卸会社会社や大手福祉グループ、不動産会社などへの融資と記載されています。小見出しで大蔵OB君臨13年/知人女性に好条件融資と書かれており、前橋市内の小料理店の元経営者の自宅建築に保証会社をはさまずに優良顧客なみの融資をした記載されています。

 東和銀行は、群馬県前橋市に本店を置く第二地方銀行です。群馬銀行という堅実な銀行があり、地元優良企業は群馬銀行がメインバンクが多く、シェア拡大には苦労していたのではないでしょうか。今回東和銀行の状況を調べましたら、埼玉県の店舗が42店舗で、群馬県の38店舗より多い店舗構成になっていました。91店舗があり、他は栃木県3店舗、東京8店舗です。群馬銀行(店舗数141店舗)が堅実な経営で、18年3月期で当期純利益190億円の利益を上げているに対し、274億円の赤字を出しています。今年の5月に増田頭取(70歳)は経営が改善しないため引責辞任しています。

 東和銀行には診断士仲間が数名いますし、地元銀行ですので、なにが悪かったのか自分なりに考えてみました。もちろん、新聞記事の情報や仕事で制度融資を担当していて、東和銀行との関わりがあったときの印象からの考えです。

 まず、新聞記事で読む情報から判断するに、「トップの経営姿勢」が一番問題であったと思います。増田前頭取は平成6年5月から頭取になり、13年の間トップとして銀行を指揮していました。「うるさい直言型の部下を遠ざけ、周囲にはイエスマンばかりにして長らく頭取に居座っていた」とあるOBの言葉が新聞に記載されています。13年の間権力を持っていると、異議を申し立てをする部下がだれもいなくなっていまうのでしょう。問題のある融資だとわかってもなにも前頭取に言えない状況ができてしまっていたのでしょう。「権力は腐敗する」と言われますが、まさに今回の東和銀行のことではないでしょうか。私が診断士の勉強で東和銀行の人たちと知り合いになったのは、平成4年以降です。最近その人たちに元気がないなあと感じてしたのは、銀行の業績不振もありますが、銀行内部の閉塞感もあったのはないでしょうか。40歳半ばで退職した人も何人か知ってますが、なぜ地元では安定していると思われている銀行をやめるのかなあと思っていましたが、組織とし問題も数多く抱えていたのかもしれません。
 
 次に、第二地方銀行という立場が、銀行の立ち位置として中途半端であることも問題があるように思われます。群馬県は群馬銀行という堅実な地方銀行が存在しています。私が制度融資に関わっていたときに感じたのは、中小優良企業のメインバンクは群馬銀行が圧倒的に多かったです。そして小規模企業は、地元信用金庫(アイオー信用金庫等)がメインバンクとなっていることが多かったです。つまり、第二地方銀行の東和銀行は地域バンクとして中途半端な立ち位置に置かれていて、地域での存在領域が定まらないように思われました。企業としての経営戦略が、立ち位置から定めにくいことも、今回の融資問題の要因のひとつではないでしょうか。

 東和銀行には、地元企業のためにぜひ立ち直ってもらいたいものです。知人の浮かない顔は見たくありません。活力ある銀行になって地域産業振興に貢献してもらいたいものです。 
 
http://www.towabank.co.jp/
 ↑ 東和銀行のホームページです。
 

中小企業診断士という資格

2007-10-14 17:54:58 | 経営全般
 今日は、苦労して取得した中小企業診断士という資格について思うところを書きます。

 私が、中小企業診断士という資格の存在を知ったのはもう15年も前の平成3年だったと思います。新聞の資格紹介欄で見て興味を持ったと記憶しています。地方公務員ですので、公僕として地域社会に貢献しなくてはならないのですが、恥ずかしい話がその頃は与えられた仕事を漫然とこなしているだけでした。これでいいのかといつも思っていました。充実感がなかったのです。自分の核となる専門性を持ちたいと思っていました。そこで、地域経済、企業経営に公務員でありながら興味を持っていたので、中小企業診断士という資格を勉強してみようと思ったのでした。

 平成3年はテキストを購入して、1回もそれぞれの科目テキストを読まず、1次試験を受けました。もちろんまったく駄目でした。10月からは日本マンパワー前橋校の通学コースに通いだしました。20万円ほどの受講費を払い込んだと記憶しています。受講者は40名近くいました。受講日は毎日日曜日の10時から4時まででした。当時の1次試験は8科目で商業部門、工業部門、情報部門に分かれていたのですが、通学コースは商業コースのみでした。1科目を1ヶ月(4日講義)で1科目終わると、確認試験が実施されました。最初の確認試験は、経営基本管理でした。私は本を2回ほど読んで試験にのぞんだので自身があったのですが、60点だったと記憶しています。平均点にもいきませんでした。90点、80点という人が何人もいました。講義を聴いて、テキストを読んでいればなんとかなると思ってたのが甘い考えとわかりました。周りの人と親しくなって話を聞いて、昨年もこの通学コースに通っていた人が何人もいることに驚きました。真剣に取り組まないと取得できない資格と思いました。
 講義が進むにつれて、40人近くいた人が20人になり、講義が終わる4月になると7,8人しか教室には残っていませんでした。5,6月のテスト演習に申し込んだのは8人だったと記憶しています。1次試験の合格率は20%弱でしたが、ほんとうに合格を争うのは通学コースの最後まで残った8人プラス数名というのが試験の実態ではなかったのではでしょうか。

 最後まで通学コースで残った人たちとは本当に仲良くなりました。平成4年の1次試験に受験し合格者したのは6人でした。2次試験は10月でした。1次試験が8月で2ヶ月ほどしかなく、6人全員不合格でした。その後2次試験に合格して中小企業診断士の資格を取得したのは6人のうち3人です。

 私は、2次試験に不合格だったので、11月から東京まで2次試験のための通学コースに申し込んで通い始めました。受講費が15万円ほどの費用がかかったと思います。企業通信学院の通学コースでした。2次試験は1次試験と違い、事例問題と中小企業施策の2部門から構成されていました。その時の講師が高橋英明先生で図解がたいへんうまい先生でした。今いろいろ図解の本を出している久恒啓一氏よりうまい図を描いていたと思います。毎週土曜日の講義でしたが、小売業、卸売業の枠組みの理解はこのときに勉強できました。

 平成5年4月から、念願の経営指導課という経営指導、支援が業務の部署に異動できました。この課では毎年中小企業大学校の中小企業診断士コースに1年間、職員を派遣していて、私が移動した時には課の6人が診断士の資格を持っていました。私は、1字試験に合格していて、2次試験の合格できる自信があったので、試験で資格を取得してやると思っていました。しかし、この年(平成5年)は不合格。ショックでした。通学してしっかり勉強していたのになぜかと思いました。2次試験は事例問題3題があり、記述して回答するので自分の記述したことが合格の基準かどうかが判断しかねる試験でした。経営指導課で実務をしながら勉強したのですが、平成6年から8年まで不合格でした。事例問題の設問への回答がいずれも的はずれだったのでしょう。この3年間は受験し終わっての合格の自信がまったくありませんでした。

 平成9年4月に診断士の資格取得できずに、他の部署に異動になりました。今年は絶対合格するぞと決意し、東京の2次試験通学コースに通うことにしました。日本マンパワーの片野浩一先生のコースでした。私は経営指導課の時に、片野先生に特別専門診断員として群馬県の商店街や個別企業の診断に来ていただいて力量のある先生だと知っていまして、理論的な構築力をすばらしいので先生の受験コースに申し込みました。5月からのスタートで隔週でしたが、ほんとうに内容のある講義、演習でした。このころは事例問題の対応方策がなく受験者がどんな勉強をしていいかわからないのに対し、事例問題を構造化して回答していくという方法論を提案してくれました。
この年合格できました(平成9年)。

平成10年から中小企業診断士登録(商業)になりました。その後、診断士制度も変更があり、商業、工業、情報という部門の枠がなくなりました。平成16年の改正では、30日の実務実績がなければ診断士資格の更新登録できなくなりました。できない場合は資格休眠となります。私は実務経験をつむことができないので、来年3月までに休眠するつもりです。

 苦労して取得した資格ですが、来年4月以降は休眠となり資格取得者として名乗れなくなります。資格取得者というブランドがなくなるのはさびしい気もします。しかし、資格取得のために勉強した内容が、今の私の考え方の核になっています。現状、問題点、対応策という問題解決のプロセス、階層化と分類基準という考え方、問題の構造化等、診断士の勉強をして身につけた考え方です。企業経営を考える基礎理論として経営戦略、マーケケティング、企業財務、労務管理など無駄になっていることはありません。
 県内の中小企業診断士資格取得者との人的ネットワークも財産です。資格取得のための受験仲間が毎年、毎年数人ずつ合格してきているのですが、種々の職業を持っている人と付き合うことができてきたのもよかったことです。
 
 来年は、診断士休眠となりますが、この資格を取得したことは私の大きな財産となっています。

 http://www.lec-jp.com/shindanshi/kouza/misc/ktn_intv/01/ktn_msd/01.html
 ↑ 片野浩一先生の中小企業診断士受験講習です。


http://www.nipponmanpower.co.jp/ps/choose/smemc/
 ↑ 日本マンパワーの中小企業診断士講習の紹介です。

「戦略会計入門」を読む

2007-10-13 21:54:56 | 今週の一冊
 土曜日なので、今読んでいる「戦略会計入門」の感想を書きます。

 この本についてはまだ、最後まで終わっていないのですが、勉強になったことが多いので書きます。私にとっては難しい本ですが、読み終わったらもう一回読んで理解を深めたい本です。この本の著者、高田直芳の本を読むのは2冊目です。「決定版ほんとうにわかる経営分析」という本を読んでいます。経営分析の本では私にとっては一番ためになった本でした。今回の本も面白いです。会計本として山田真哉の本も面白いですが、高田直芳の本は、少し会計の知識を持つ者にとってなるほどなと関心することが多い内容となっています。以下になるほどなと関心したことを三つ書いてみます。

 まず、戦略会計の五大原理が最初に書かれているのですが、その第一原理「ビジネスは択一問題に直面している」の箇所です。ビジネスはあらゆるところで択一問題が成立します。たとえば、どの製品を製品化するか、会社を買収するかしないか、事業撤退すべきかしないべきかなど、すべていづれかを選択(意思決定)することが求めれます。私たちの日常生活もあらゆる場面でどっちを選ぶのか選択をしているのですが、なぜかこの箇所を読んでいてなるほどなーと思ってしまいました。診断士受験の勉強をしていた時、サイモンの意思決定プロセスを勉強しました。情報活動→設計活動→選択活動です。私はこのプロセスを思い出し、この理論の選択活動とは、この第一原理のことなのかと思ったのです。企業活動の最適な選択プロセスがサイモンの意思決定プロセスだったのです。この本ではどのような選択をすればよいかが第二原理以降に書かれています。

 次に、私が勉強になった箇所は「事業付加価値の意義」です。ここでは付加価値の意味が書いてあります。私は、付加価値ということがよくわかりませんでした。
控除法と、加算方式での付加価値の計算方法があり、融資を担当していた時は、付加価値率を経営指標としていましたが、その意味をほうんとうには理解できていませんでした。付加価値の計算方法としては、売上高ー(材料費+外注加工賃)で企業が生み出した価値であり、その数値が大きい企業が生産性が高く、売上高で割った付加価値率の高い企業が優良企業としていました。なぜかということが理解できていませんでした。付加価値の構成要素は人件費、減価償却費などの費用、営業利益で構成されているのですが、費用が多額な企業が優良企業とは理解できないでいたのです。
 この本ではCVP図表を利用して事業付加価値を説明しています。事業付加価値は変動利益(固定費用+当期純利益)と図で表現されています。変動費型ビジネスと固定費型ビジネスもCVP図表で表されています。事業付加価値の小さい企業はフットワークはよいが、生殺奪権を外部の者に(外注業者)に握られ「自活力が弱い」というリスクがあると記載されていることが理解できました。いわゆる優良企業ではないのです。また、事業付加価値の高い企業は固定費を抱えているのですから、その設備が効率よく稼動していることが当然に求められます。遊休設備や無能な人を多く抱えて事業付加価値の「見てくれ」が大きくても優良企業ではないということです。そこで総資本当期純利益率の指標と組み合わせて経営分析することが必要と書かれていることに納得です。

 それから、「顧客の機会利得を収奪せよ」の箇所も面白く読みました。経済学の部分均衡分析をベースに書かれているのですが、社会全体で享受できる機会利得をだれが獲得するかが図表を使い説明されています。企業は、消費者の機会利得を奪わなければ自らの機会利得を拡大することができません。その例としてハードカバーの本と文庫本の関係、バーゲンセールのこと、抱き合わせ販売が説明されています。そして、私は、談合がなぜよくないかが、この理論で説明されていることになるほどなーと納得しました。

 30年前に学んだミクロ経済学の図表がこんな意味を持っていたのかと思いました(図表の内容がもう理解できないことが多かったですが)。読み終わっていないのですが、じっくりもう一度読んでみたい本です。

http://www2s.biglobe.ne.jp/~njtakada/
高田直芳氏の書籍紹介されています。

企業掲載記事を読んで思う

2007-10-12 23:43:48 | 経営全般
 今日は、「あなたの年金ダイジョウブですか」という講演を聴講してきました。内容は年金の話で、聴講したことをブログに書こうと思ったのですが、わからないことが多く書くことができません。唯一、講師の方の話で印象に残っているのは年金の話は個々人によって要件が違うので、本来は1対1で相談対応するものである。年金は改正が多く制度が複雑になってしまっており、講演では最大公約数の内容になってしまうということでした。私は年金に関する基礎知識がなく正直、退屈でした。それで、企業掲載記事を読んで最近思っていることを思うままに書きます。

 私は、経営・経済記事を読むのが好きです。新聞の経営・経済記事はかかさず読んでいます。日経ビジネスと週刊東洋経済もかかさず読んでいます。この2誌の特集記事はおもしろいです。今週の日経ビジネスの特集記事「モノ作り再興」は新しい視点からの製造業のあり方を示唆くれています。先々週の週刊東洋経済の特集記事「電機超再編」もタイムリーな記事で興味深く読みました。

 それから特に、「個別の企業掲載記事」が好きです。この掲載は①個別企業の動向記事、②個別企業の経営者インタビューで構成されます。どちらも読んでいて面白いです。最近この「個別の企業連載記事」を読んでいて思ったことがあります。
 
 まず、個別企業の記事には経営数値がでてくることです。売上高、粗利益、営業利益、当期利益、営業利益率はかならずでてくる経営数値です。経営者のインタビュー記事でも経営実績、経営目標が必ず話題になり、これらの経営数値がでてきます。この経営数値がでてくる記事を理解するには会計の知識が必要です。損益計算書の構成が理解できてこの経営数値の意味を理解できるのです。ということは「個別の企業掲載記事」を読むには会計の知識が必要だということです。

 次に、経営者インタビュー記事を読みこなすには、経営管理、経営戦略の基礎知識があるとたいへん興味深く読めるということです。経営者インタビューでは経営者に企業の生き残りや成長の経営方針を聞くものが多いです。基礎知識として、アンゾフの成長ベクトル、企業の生存領域(ドメイン)の構成要素、PPM企業理論などがあると、経営者の考え方の理解が深まるのはないでしょうか。

 いろいろな記事を読んだり、講演を聴いたりするにしても基礎知識を持っているのといないのでは、理解の深さに格段の差が出てくるわけです。今日、年金に関する基礎知識をほとんど持たない私が講演を聴講しても退屈してしまったは勉強不足が原因だったのです。

平成18年工業統計調査速報発表される

2007-10-11 23:50:16 | 地域産業
 景気回復が顕著になったことを示す18年工業統計調査速報に思うことを書きます。

 10日に発表された18年工業統計速報によると、全国数値では製造品出荷額が3百6兆2千6百億円で6.9%増になり、4年連続の増加となりました。新聞では自動車など輸送用機械や原油、原材料価格の上昇で非鉄金属や石油製品が伸び、全体を押し上げたと分析しています。従業員数も2.3%増の7,473,379人と平成3年以来プラスとなりました。経済産業省は「企業の生産活動拡大の反映」とみているようです。事業所も136,754ケ所と2.3%の5年ぶりの増加、従業員1人当たりの付加価値額も1.6%増の13,820千円となり過去最高だそうです。

 群馬県のデータも発表されています。製造品出荷額は7兆7千4百40億円で4年連続で増加しています。県の主力産業である輸送用機械器具製造業、電気機器製造業が順調に伸びたことが要因となっているようです。しかし、群馬県の場合は事業所数は6.6%減の6,403事業所となっています。従業員数は0.6%増の21万2,050人でした。

 私の住む伊勢崎市は、合併後の17年は製造品出荷額で県下2位になりました。18年も製造品出荷額で1兆962億円で太田市に次いで県下2位となっています。対前年比で3.0%増(323億円)となっています。事業所数は802事業所、従業員数は2万7,069人、付加価値額で4,028億円で、いずれも太田市に次ぐ2位に位置しています。                                 
 私は仕事で、16年4月から19年3月まで伊勢崎市、玉村町の製造業者を企業訪問していました。県企業支援施策のPRと地域企業の景況感把握のための企業訪問でした。従業員10人以上の企業を対象に訪問していたのですが、伊勢崎地区には元気のある企業が多いという印象を持ちました。業種的には輸送用機械器具製造業が好調でした。全般的に電気機器製造業はあまり景気がいいとの印象をもちませんでした。地域的には、旧東村の企業が元気がありました。㈱浅野、富士精螺㈱、群馬合金㈱、アイ・シー電子工業(株)、㈱セイコーレジン、㈱三泉、日本アクチュエーター㈱、㈱翔栄など売上高30億から100億近い企業が数多く存在します。自社製品がないが独自技術で他社と差別化して伸びている企業です。たとえば㈱翔栄はタッチパネルで他社と差別化した技術を持っています。富士精螺㈱はネジ製造で確固たる地位を確立しています。㈱浅野は輸送用機械器具の試作品で業界では知られた存在です。

 サンデン㈱という群馬県を代表する企業が存在しますが、伊勢崎市が統計数値で県下2位であるのは中堅企業で元気な企業が多いからではないか私は思います。それらの企業の必死な努力が製造品出荷額の総和となっているのではないでしょうか。私は企業訪問で個々の企業現場を見させていただいて個々の企業の努力の結果が統計数値として積み上げられるということをほんとうに実感しました。

労働者派遣事業の功罪

2007-10-10 23:52:14 | 経営全般
 労働者派遣事業所が急増しています。この功罪について思うところを書きます。

 平成16年3月からの労働者派遣法の改正で労働者派遣事業所が急増しています。私の住む群馬県では、平成12年では134事業所だったのが、平成19年9月1日現在で955事業所に増加しています。製造業への派遣が解禁になった平成16年に406事業所と前年(252事業所)と比較して倍近く増加して、平成17年(594事業所)、平成18年(826事業所)、平成19年(955事業所)と急増していいます。平成12,13年ころの景気が低迷していた時、企業は3つ過剰を抱えていると言われていました。「設備の過剰」、「債務の過剰」そして「人の過剰」です。固定費の変動費化策として「人の過剰」を解消するため、企業は正社員の採用を控え派遣社員で対応する方策を取ってきたことが派遣事業所の急増をもたらしたと思われます。

 企業にとって派遣社員の活用メリットとして、①必要な時に必要なだけの不足人員が迅速に調達ができる、②即戦力人材の確保、③人件費圧縮によるコスト削減効果があるといわれます。確かに納得のいくことです。とりわけ、人件費のコスト高が深刻だった製造業にとっては16年3月以降に解禁になったことは業績回復に効果があったようです。また、正社員、パートという働く形態の他に「派遣社員」という形が定着したことは働く者としても、選択枝が増えてよかったのかもしれません。派遣社員は社会に定着し、篠原涼子が主演した「派遣の品格」というテレビドラマは高視聴率だったようです。

 一方、派遣という形態はいろいろな問題をはらんでいると私は思います。まず、派遣で働く人は職業的に不安定な状態にあることです。テレビドラマの篠原涼子にように、高度なスキルを持つ人材であれば高給で派遣されるかもしれませんが、大半の派遣社員が安い賃金、薄い保障、低い福利厚生で雇用されているのはないでしょうか。私は県立専門校で再就職することを目的とした失業者を対象の「ビジネス実務科(6ヶ月コース)」で教えていた時に、はなかなか就職が決まらす最終的には人材派遣会社に登録することで就職した形にした女性がいました。生活のために稼がなくてはならず正社員として就職できず、泣く泣く条件の悪い派遣社員に登録していました。好き好んで派遣社員に登録して働く人は少ないのではないでしょか。企業が正社員を雇用せず、派遣で対応する背景があるので派遣で働く人が多いのではないでしょうか。所得格差が日本では急速に広がっているのも派遣事業所の急増と関連していると思います。

 それから、派遣先企業にとって派遣に頼った企業体質では将来性がないように思われます。私は、16年4月から19年3月まで、地域産業振興支援の仕事で地元(伊勢崎、玉村地区)の主として製造業を企業訪問していました。経営者に景況感や経営方針をヒアリングしていたのですが、工場現場を見学させてもらう機会もありました。派遣労働者や請負労働者が働いている職場も多かったです。感じとして独自技術を持った企業は正社員比率が高かったと思います。プレス加工の企業に派遣が多かったと記憶しています。比較的単純な労働が多い企業は派遣労働者でなければ、工賃が安いのでしょうから採算があわないのかもしません。しかし、企業としての将来性は心配でないでしょうか。

 BRICSなどといわれるようにどんどん工業化が進む国が増えてきて世界的な競争が激化する時代に、今後はますます自社の独自技術と人材が生き残るための大切な経営資源となると思われます。コスト削減できるからといって、派遣という形態に頼よりすぎている企業に将来はないように思れます。
 

郊外大型店間の競争激化は私たちになにをもたらすのか

2007-10-09 21:37:43 | 地域産業
 私の住む群馬県は、郊外型大型ショッピングセンターの進出がここ数年著しく、地域商業環境が様変わりしています。この環境変化のついて思うことを書きます。

 平成15年12月、太田市にイオン大田ショッピングセンター(延床面積95,969平方メートル、駐車場4,200台)が開店。平成18年10月、高崎市にイオン高崎ショッピングセンター(延床面積99,929平方メートル、駐車場3,300台)が開店。平成19年3月、前橋市にユニー社のショッピングモールであるけやきウォーク(延床面積98,056平方メートル、駐車場3,300台)が開店。来年秋には伊勢崎市に伊勢崎東部ショッピングモール(仮称・延床98,800平方メートル)が開店予定です。私は、イオンモール大田、イオンモール高崎(両店とも運営会社が合併により名称変更)、けやきウォークに出かけた経験があります。けやきウォークは9月30日に出かけたのですが、オープンして半年もすぎたのに大変な混雑でやっと駐車場が見つかったくらいでした。いずれのショッピングモールも一つの街が形成されているという印象を持ちました。買物好きの人ならば一日いても飽きないのではないでしょうか。

 今日の上毛新聞の記事に、「イオン高崎1年」という記事がありました。イオン高崎・ゼネラルマネージャーへのインタービュー記事でした。その中でこれぞショッピングセンターと思った部分があります。それは、開店1年たち、課題が見えてきたという箇所です。マネージャーはSC全体の中で欠落している業種が見えてきた、具体的にはスポーツ関連商品を扱う店、実用品を扱う小型のホームセンターのような店と話しています。専門店(約170店舗)の品揃えも顧客ニーズと微妙にずれている部分もわかった、専門店と話し合いながら改善していくと話してします。私はここがディベロッパーの計画のもとで開店するSCの強みであると思います。SCの魅力を高めるため、業種の追加も入れ替えもできるのです。消費者ニーズに合わせて「テナントミックス」を環境変化に対応して計画的に実施することができる強みを持っているのです。

 一方、商店街の店は、街路に沿って自然発生的に形成されたものです。個々の店が自分の思うように経営しているので、集積の強みは、魅力的な店が数多く存在しない限り生まれません。ある商店街の理事長さんが、商店街が活性化する方策として同業種の店が数多く集積して競いあう商店街が形成されるとことだと話したことを記憶しています。たとえば、神田の古本屋街や横浜の中華街が典型的な例なのでしょう。地方都市ではかなり夢物語かも知れません。いずれにしろ、中小の個店は今後も一層の苦戦を強いられそうです。いやもう、中心市街地の商店街と郊外型SCの勝負はとっくについてしまっているようです。

 今後も、次々と郊外型SCが開店するのでしょう。結果は競争にやぶれたSCの撤退がでてくるではないでしょうか。計画的にSCはつくるわけですから、交通網の変化に対応した立地移転もビジネスライクになされます。
              
 SCに買い物に行く私たちは、利便性を手に入れる代わりに浮き草のような買物をしつづけるようになるのでしょうか。

 

キャリア(職業)教育に思う

2007-10-08 18:25:23 | 経営全般
 フリーター、ニートが問題になっている今、キャリア教育について思うことを書きます。

 数年前、村上龍の「13歳のハローワーク」という本が売れました。私の家にもあります。この本が売れたのは、フリーターやニートといわれる若者が急増している時代背景があったと思われます。将来に夢が持てなく、働く意欲を持てない若者が増えています。ニートと呼ばれる若者は推計で全国に62万人いるといわれています。群馬県の人口が200万人ですから、県の人口の3分の2がニートということになります。

 その対策として、教育界では、生徒のトータルな人生を考えさせる「キャリア教育」が広がっているようです。私の市でも、中学2年生の5日間の職場体験というカリュキュラムがあります。主に大学生を対象にしたインターンシップ制も年々普及してきており、学生を受け入れている企業を私も数社知っいます。学生のうちから「仕事」というものを少しでも経験させ意識させることで、仕事とは、働くことはどうゆうことか認識させる教育が実施されているのです。豊洲に昨年10月にオープンした「キッザニア東京」は約1年間に80万人が訪れているようです。再来年3月には「キッザニア関西」が出店するようです。このこともキャリア教育の潮流に乗った事業展開と思われます。

 私は、数年前4年半の期間、県立専門校で学生に簿記、会計を教えていました。3年間は主に高校卒業生を対象(高校職業コース・1年制)に、1年半は再就職者を対象(再就職コース・6ヶ月制)に教えていました。教えるだけでなく、学生の就職指導もしていました。その時感じたことは、学生自身が己をわかっていないということでした。(そうゆう私自身が学生と同じ年齢のころ己をわかっていたか、今でさえ己をわかっているかと言われれば反論できない部分もありますが。)
 私が教えていたのは事務職への就職希望の学生が集まるコースだったのですが、事務職はどの企業も縮小しており、よほどの潜在能力と専門的能力(たとえば日商簿記1級合格)がなければ希望どうりの就職などできないものでした。平成13、4年の一番景気が悪く、求人募集のなかった時期かもしれませんでしたが、学生の就職にはたいへん苦労しました。

 そんな状況の中で、就職に関することで私がこれは絶対に確かなことだということがありました。新聞で読んだ就職指導の記事です。「正社員になるということはどんな小さな企業でもアルバイトをやっているより数十倍得られることがある。職場の人間関係、任された仕事のへ責任、期日を守るということの意味など正社員でなければ得られないことが会社には満ち溢れている。自分の適性はなにかといつまでも躊躇していては決して得られないことが小さい企業でも就職することで得られることを考えてもらいたい。」という内容でした。私は就職指導の時間には学生に対してこの記事をよく読んでいました。

 自分の適性はなかなかわかるものではありません。試行錯誤しながら、自分を確立していくものではないでしょうか。キャリア教育は自分の職業的適性を把握したり、職業意識を醸成するに必要なことだと思います。あと必要なのは、自分の適性にあっていないと思っても一歩踏み出してみる勇気ではないでしょうか。
 一歩踏み出すにしても企業側が職業的キャリアがないので受け入れてくれない、年齢で一律に採用しない等の問題は企業側の問題といえます。それについてはまた、企業の人材育成戦略ということで書きたいと思います。

 
 

 
  

「図解」の魅力

2007-10-07 17:49:38 | 経営全般
 日曜日は、私が興味を持っていることをつれづれなるままに書きます。具体的には、コーチング、図解の魅力、昭和陸軍の組織論、地域経済史(織物史)、藤沢修平の本などです。興味をもっていることを書くことで自分の歩んできた歴史(自分史)、考え方を表現できたらと考えています。本日は、図解の魅力について書いてみたいと思います。
 
 私は、図解が好きです。図解についてはいろいろな書籍が出版されていますが、参考になりそうなものは思わず買ってしまいます。私が図解の魅力に目覚めたのは、十数年前にある課に移動になったことがきっかけになっています。その課は今までの所属していた課と違い企画することが求められました。課に自由な雰囲気があふれていて、硬い文章を書くと上司にもっと自由に表現できないかと言われました。それまで、前例踏襲で硬い文章を書いていて、個性を出すと白い眼で見られたのと大違いでした。

 その課である上司によく言われていたのが、「図解で表現してみろ」ということでした。ちょうどその時に私は、中小企業診断士の勉強をしていて東京まで受験講習会に行っていました。その講師の方が非常に図解のうまい人でした。高橋英明先生という方だったと記憶しています。中小企業診断士の情報誌「企業診断」に落語による経営論を連載していた方です。、診断士の講習で解答を非常にうまく構造化して表現してくれるのでたいへん人気がありました。

 講習は図解を勉強する講習ではなかったのですが、図解の留意事項として以下の事項を聞いたことをおぼえています。①表現したい重要事項は中央に→注視ポイントをまんなかに、②矢印も→、←は方向を、⇔は循環を表現する、②文章の階層性をしっかり読み込んで表現するなどでした。図解表現が上手くなろうと図解の本を購入しだしました。雑誌、新聞などの図解も注意深くみるようになったものです。その課に所属していた最後の年度に、ある町の商業活性化ビジョンを担当として作成しました。図解をふんだんに使ったビジョンとしました。そのビジョン作成の支援コンサルタント(前田進中小企業診断士)に上手い図解だとほめられたことを記憶しています。その時に知恵をしぼって図解表現した経験が、ある程度の図解が書けるという自信となっています。
 しかし、課を異動して図解を利用して起案をしましたら、なんだこれはと言われました。最近は硬い文章が相変わらずですが、添付資料としてうまい図解がついています。時代がかわったなあと思います。

 専門校に勤務している時は、簿記、会計を主に教えていたのですが、ビジネス実務という週1時間の科目で「図解」表現を教えていました。教えるといっても、「図解表現基本のき」(飯田英明著)の書籍を使い、演習問題を学生に図解させ、模範図解と学生の中で上手な図解をコピーして解説するものでした。いつも上手な図解を書く学生がいたのである程度センスが必要なのか思ったものです。 

 図解の本をいくつか所有していますが、「すぐに使える図解の技術」(竹内元一著・PHP研究所)が私には参考になっています。図解の本をいろいろ書いている久恒啓一の図解は私はあまり好きでありません。この人の図解は診断士講習会で聞いた「表現したい重要事項を中央に」となっていないことが多いからです。

 以上、図解の魅力を書きましたが図解が万能ではありませんし、私が久恒啓一の図解が好きでないように好みもあります。しかし、パワーポイントというプレぜーテンションソフトを利用することが会議で一般的になっている今、図解表現は私たちが高めなくては能力となっていると思います。 

 
 

「食い逃げされてもバイトは雇うな(上)」を読む

2007-10-06 22:16:37 | 今週の一冊
 週末の土曜日は、今まで読んだ本の感想を思うままに書きたいと思います。今回は、山田真哉の人気会計本「食い逃げされてもバイトは雇うな(上)」の感想を書きます。

 私は、数年前に県立専門校で4年半会計、簿記と会計を教えていた経験があります。その時期に資格受験校TACに通っていました。税理士資格の簿記論を勉強していました。簿記もですがとりわけ会計理論に興味がありました。TACの受講者への月間情報誌に、たいへんおもしろい読み物が掲載されていました。それが、今思うと山田真哉の出世作の「女子大生会計士の事件簿」だったようです。

 さて、私が今回の本で目から鱗が落ちた箇所があります。「数字をありのままに見る」という箇所です。こんな問題が書いてあります。コストを削減したい。AとB
のどちらのほうがお得でしょうか。A.1000円のものを500円で買う。B.101万円のものを100万円で買う(Aの値引率は50%、Bの値引率は1%弱)。
正解はBと書いてあります。私はAが正解だと思っていました。私はこの問題を伸び率や数値比較など実数よりパーセンテージを重視する経営分析の視点から判断してしまったからです。しかし、金額でいえばAは500円で、Bは1万円なのです。どちらが得かはだれでもわかる問題だったのです。
 コスト削減を考える時は、この視点が必要なのかとはずかしながら今となって気づきました。節約(コスト削減)はパーセンテージでなく金額重視だったのです。
消耗品の値引きにエネルギーを費やすのでなく、金額の大きな取引の値引きにエネルギーを費やさなければならないということです。経営者が「従業員が100円のペンを無駄使いした」「紙の使いすぎで一ヶ月500円も損した」と目くじらを立てるより、本当は1050万円で受注できる仕事を、今回は1000万円でいいですとあっさり50万円値引きしてしまうほうが問題と書かれています。たしかにパーセンテージは自分の主張を有利に展開するときに利用しやすい数値です。これに惑わされない方法のひとつが、金額という絶対的な価値尺度のみで判断する「金額重視主義」だという考え方はまったく納得です。

 この本の題名になっている「食い逃げされてもバイトは雇うな」の理由も金額重視主義からの判断です。出前で店を留守にしてしまい食い逃げが多い店の話です。ラーメン屋の損得勘定は、ラーメン食い逃げのコスト4000円と店番も兼ねてのバイトコスト8000円を比較しています。バイトを雇用するほうが4000円の損失になる計算になります。感情より勘定を重視せよと書かれています。

 この本は、身近な事例で会計の考え方をわかりやすく説明しています。機会損失の考え方、経営分析数値のとらえ方、決算書の読み方などの深い内容が本質をはずさずに理解できるように書かれています。少し会計をかじった人間にとっては物足りない部分もありますが、金額重視主義のようにいろいろ気づかされることのある本です。

 「難しいものをやさしく、やさしいもの深く、深いものをおもしろく」とは作家井上やすしの言葉だったと記憶していますが、この本に当てはまることだと思います。

講演会「美しい地球を子供たちに」を聴講

2007-10-05 23:50:02 | 経営全般
 法人学校主催の講演会「美しい地球を子供たちに」を聴講してきました。

 NPO法人ネットワーク「地球村」代表の高木善之氏の講演「美しい地球を子供たちに」を聴講してきました。内容は環境問題に関するものでした。私は、正直いって今までは環境問題にあまり関心がなかったのですが、いろいろ考えさせられる講演でした。そのいくつかを思うままに書いてみたいと思います。

1 食糧自給率(28%)になってしまった日本に未来はない          アメリカの食糧自給率は119%、EU109%、中国100%であるが、日本は28%と極端に低い数値である。人が生きていくために必要なのは「食べ物」と「水」である。自動車やテレビではない。この事実をきちんと日本人は認識していないのは大問題である。第1次産業をおろそかにしてきた「つけ」が低自給率の現実を生んでしまった。地球温暖化しており、世界的な食糧不作になった場合に日本は真っ先に破滅の道を歩むことになる。

2 日本の政策は、命の基盤を捨てて経済的豊かさを求めたものだった
 高度経済成長時代の日本の政策は、命の基盤となる農業をおろそかにして、工業立国を目指したものであった。工業化は、低価格の原料を輸入して、高価格の製品にして輸出すのもので、経済的豊かさを国民にもたらした。一方、農業は年々衰退してしまい、農業従事者は数%となり後継者不足で高齢化してしまった。
 
3 ものごとはトータルで考えなくてはならない
 電気自動車はCO2を排出しないので環境にやさしいというのはまやかしである。なぜならば、電気を起こすのに大量の石油を燃やさなければならない。バッテーリーはリサイクルできない。トータルで考えれば決して環境にやさしくない。

4 寝たきりの人に生きる権利があるのか
 アマゾンやアフリカでは「ほんとうに生きることができる人」しか生きることができない現実がある。アフリカでは1ヶ月千円あれば1家族が生きていける。一方で、日本では寝たきりの老人に対して35万円の介護保険手当が支給される。世界を見渡すと飢餓で毎日多くの子供が死んでいく現実があり、福祉とは、看護とはいったいなんなのかと考えさせられる。
 
5 地球環境を守るためには発想の転換が必要
 発想の転換は、①お金→命、②経済→環境、③目先→未来、④便利・快適→子供たちである。豊かさを求めてきた経済から命を大事にする環境に軸を変えいかなくては未来はない。子供たちに美しい地球を残したいものである。

 
 日本の歩んできた工業化を肯定にとらえるか、否定的にとらえるか難しい点である。しかし、農業をおろそかにしてきたことは事実であり、日本の農業政策が今日の壊滅的な農業の現実を生んでしまったことは事実だと私も納得した。
 ビジネスとしての「環境の話」でなかったのが新鮮で魅力的であった。  



工業立地動向に思う

2007-10-04 23:51:49 | 地域産業
 景気回復のため、工業立地が活発化していることに思うことを書きます。

 今日の新聞に、東洋水産が即席めんの最大拠点を館林市に新設する記事が掲載されていました。わが県への工業立地が活発化しています。平成18年工業立地動向調査では、わが群馬県は立地件数では全国2位、立地面積では全国3位でした。
立地件数は平成15年の53件から平成18年度には111件と倍増しています。平成18年は立地面積が124.1haで100haを超えるのは平成12年以来6年ぶりということです。景気回復が本格化してきたことがうかがえる数値ではないでしょうか。

 私の住む市には13の工業団地があります。唯一、分譲地があるのが三和工業団地です。3年前までは、この工業団地は未分譲地がかなりありましたが、次々に進出企業が決まり、未分譲は、3区画となっているとのことです。その内、2区画は敷地面積が広くまだ進出企業が決まっていないと市関係者から聞きました。
 三和工業団地にも当てはまることですが、群馬県の工業団地は、都心から近く、高速道路などの幹線道路が整備されており、地震などの災害も少ないため、企業にとっては魅力があるようです。工業理立地動向調査で群馬県が上位になるのは、群馬県の好立地環境が影響していると思われます。

 私は、仕事で伊勢崎の企業に訪問して現状等を聞いた経験があります。三和工業団地に進出したいくつかの企業も訪問しました。ある企業は、住宅地に立地しており、工場が分断されているような状況でいかにも手狭という印象を受けました。独自技術を保有しており、大手取引先が確保でき業績がぐんぐん伸びており、工業団地(三和工業団地)に進出すると経営者は話していました。           それから、ここ数年の三和工業団地に進出している企業は、開発型企業が多いのはないでしょうか。三和工業団地は分譲地を分筆して中小企業が進出しやすくなったために、ここ数年で分譲が進んだようです。残っている広い未分譲地に大企業が進出してくれれば伊勢崎の産業もより活性化するのではないでしょうか。

 中小企業の工業団地進出といえば、かつて数十社の中小企業が協同組合を作り、高度化融資を受けて実施したものだったようです。中小企業が大企業と対抗するためには、共同化がキーワードだった時代でした。今は、中小企業でも独自技術や独自製品を保有していれば、自社が主導権を握って成長できます。三和工業団地に進出している企業は、それぞれが単独で力を持っている企業であると私が企業訪問した時の印象でした。
 数字が多い調査データも、その現場の実情を少しでも知っていると、興味深く考えさせられるものです。

中心市街地の活性化とは何か

2007-10-03 22:27:33 | 地域産業
中心市街地の活性化とは何かを考えてみたいと思います。
          
私の住んでいる市に来年の秋に大型ショッピングモールができます。敷地面積10万平方メートル、商業面積は5万5千平方メートル、来場者は年間1千万人を見込んでいるようです。市の東部に位置しもう造成が始まっていました。市の西部には、地場の有力スーパーを核とした、全国的にも有名な商業集積「西部モール」があります。
 一方、かつての中心市街地は都市計画基盤整備中で空き地も多く、いわゆる中心市街地の空洞化は顕著です。空き店舗も増加傾向にあり、街を昼間歩いてみると来街者もなく衰退していることを肌で感じます。サラ金業者、夜の飲食店が多く、夕方以降に街を歩く時には自然と足を速めて歩きたくなります。
 
私は、中心市街地活性化支援の仕事に携わることが長くありました。県内の主要都市の商業者と一緒に、街が元気になる活性化イベントを企画したり、活性化ビジョンを作成もしました。著名な講師を呼んで講演会も開催したこともありました。 そのような活動をしていて、私がいつも自問自答していたのは、「なぜ、中心市街地は活性化しなければならないのか」ということでした。いろいろな書物や、国が発行する白書等には、中心市街地は活性化する必要ということが自明のこととして活性化策が書かれています。理由が書かれていても、中心市街地は街の顔だからというような理由です。講演会で講師の方に、なぜ中心街地の活性化が必要なのかと質問しても、いつもなにかはぐらかされて納得のいく回答はありませんでした。

 私は、根本に立ち戻って、白紙の頭で、中心市街地の活性化がなぜ必要かを考えることからこの問題の進展があると今までの経験から感じています。そして、根本は、日本における都市とはなにかを考えることに行き着くような気がします。
 それから、私の市の中心市街地がここまで衰退してしまったのは、官公庁が次々に郊外に場所を移してしまったことにも大きな要因があったと思います。市役所、警察署、消防署、ハローワーク、法務局、労働基準監督署などの国の機関、県税事務所、土木事務所、保健福祉事務所などの県の地域機関、商工会議所などの団体が中心市街地に位置していれば今のような衰退はなかったのでないでしょうか。
 このことは「都市」とは何かを真剣に私たちが考えてこなかった帰結ではないでしょうか。

セミナーで勉強になったこと

2007-10-02 23:26:16 | 経営全般
日曜日に群馬県商工会連合会が開催した「創業・経営革新応援セミナー」に参加しました。そのセミナーで勉強になったのは次のことでした。

1 自社の強みは取引先に確認せよ
 自社の強みを客観的に判断するには取引先に聞いてみることがよい。言われてみ れば、「そうだなあ」と思いました。よくSWOT分析で、自社の強みや弱みを把握 してと言われますが、考えてみれば取引先に聞くのが一番確かな情報です。
2 時流は4つの視点から見極めろ
 ①今後10年間で増えるものはなにか、②今後10年間で減るものはなにか、
 ③今後10年間で好まれるものはなにか、④今後10年間で嫌われるものはなに かという4つです。高齢者、子供、エコカー、自然食品、健康志向、体重増など が思い当たります。大局的な視点が生まれる指摘でした。
3 会社の沿革に注目
 企業パンフレットを見ると、企業が成長した時期は沿革の項目が多いそうです。
 企業として新事業進出、組織改革、新工場建設、新規出店など企業活動が活発化 した時期はどうしても項目が多くなるものです。沿革に記述することがない時期 は企業が伸び悩んでいる、沈滞しているという指摘は面白いです。
4 事業拡大は今の事業の前後を洗いなおしてみよ
 卸売業が、商品を取引先に卸すのみならず、在庫管理まで引き受けてしまう例を 上げていました。富山の薬売りを思い出しました。なるほど富山の薬売りは販売 の主導権を在庫管理することで、ただ単に商品を販売することでなく行っていた のかと考えさせられました。
5 中小企業の最重要テーマは「ブランディング」
 中小企業が下請けから脱皮するのは、自社の独自技術、独自製品、独自商品を持 つことが重要とのことでした。いつも言われることだなあと思って聞いていたの ですが、「革命とは主導権を握ること」という言葉になにかはっとしました。