TSUNODAの経営・経済つれづれ草

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産業カウンセラーという資格を取得して思うこと

2007-10-28 17:59:05 | 経営全般
 昨年の今頃は、産業カウンセラー養成の講習会に参加していました。講習会を終了して、今年の1月に産業カウンセラーの試験を受けて、産業カウンセラーの資格を取得しました。講習会のこと、この資格のことなどを書きます。

 私が、産業カウンセラーという資格に興味を持ったのは、コミュニケーション能力の「聴く力」を高めたいと思ったからです。コーチングということにも興味をもっていたのですが、高崎で4月から講習会を開催している産業カウンセラーのほうが、通えるので申し込みました。労働相談も業務で持っている職場でしたので、産業カウンセラーは勉強しておいてもいい資格だと思ったのも動機でした。
 労働相談は、企業をリストラにあった人、会社が倒産にあってどのように対応したらよいか悩んでいる人、職場のいじめにあって苦悩している人などが相談に来ました。法的な知識とともに、相談者の話をじっくり聴く力が求められました。また、職場のリーダーという立場でしたので、グループ員の話を聴く力が求められると感じていました。それらのことがあって産業カウンセラーに申し込んでみました。

 講習会の参加者は80人ほどでした。高崎が会場でした。新潟や長野から来ている人がいるのには驚きました。講習会は、9時半から4時半までで20回ほどありました。講義と実習で構成されていました。実習は2人が「聞き役」と「話し手」になって、模擬カウンセリングを行うものでした。グループ6人程度になって、2人ずつ模擬カウンセリングを行い、他の人はそのカウンセリングを聞いていて、カウンセラーとしてどこが問題かを話し合うものでした。

 カウンセリング理論にもいろいろあるようですが、高崎会場は、カール・ロジャーズの理論でした。カール・ロジャーズの理論は来談者中心療法と言われているものです。カウンセリングは「自己一致」「無条件の肯定的配慮」「共感的理解」が基本的態度となります。これが難しいのです。
 難しい理論のことはさておいて、要は「聞き役」は「話し手」の鏡となって相手をかけがえのない存在として尊重し(無条件の肯定的配慮)、相手の主観的な見方、感じ方、考え方をその人のように見たり、感じたり、考えたりする(共感的理解)。しかし、その時に自分の内面の感情をそのままに受け止め、それを意識のなかで否定したり、歪曲しないでいられる(自己一致)ことです。なにかより難しくなってしまいました。

 実習では1回30分の「聞き役」を6回ほどしたと思います。自分の意見が出ている、感情への応答ができていない、最後まで話を聴いていないで応答しているなどの指摘を受けました。聴く訓練としてはたいへんためになりました。
 しかし、一緒に実習している人達とは最後までなじめませんでした。産業という言葉に私は魅力を感じて申し込んだのですが、産業という視点はあまり感じられる内容でありませんでした。産業、ビジネスというより、「心理」という要素が強かったです。産業カウンセラーとう名前ですが、心理カウンセリング講習会とう内容でした。根本はカウンセリングですのでもっともなことなのかもしれません。

 カール・ロジャーズの理論で高崎会場は講習会が構成されているのですが、クライアントと寄り添うカウンセラー像に、私はキリスト教のイエス像を感じました。カール・ロジャーズの経歴を調べてみたら、敬遠なプロテスタントの家庭で育ち、神学校で学んだと書かれていました。まったくの私見ですが、この経歴がロジャーズの理論構成に影響を与えているのではないでしょうか。

 講習会が終わり、産業カウンセラーの試験を受け、産業カウンセラーが名のれるようになりましたが、その後、講習会の人たちとは交流を持っていません。産業カウンセラーを目指す人と私ははなじめない人間でした。