久しぶりに、フランクルの「夜と霧」を読みました。
読んだのは、池田香代子氏が翻訳した新版です。これで読んだのは9回目です。
この本はいつ読んでも感動するのですが、以下のの箇所はいいですね。
ある夕べ、わたしたちが労働で死ぬほど疲れて、スープのわんを手に、居住のむき出しの土の床にへたりこんでいたとき、突然、仲間がとびこんで、疲れていようが寒かろうが、とにかく外にでてこいと、急にせきたてた。太陽が沈んでいくさまを見逃させないという、ただそれだけのために。
そして、わたしたちは、暗く燃え上がる雲におおわれた西の空をながめ、地平線いっぱいに、くろがね色から地のように輝く赤まで、この世のものともおもえない色合いでたたずむさまざまに幻想的な形を変えていく雲をながめた。
わたしたちは数分間、言葉もなく心を奪われていたが、だれかが言った。「世界はどうしてこんなに美しいだ!」