TSUNODAの経営・経済つれづれ草

身近な経営に関すること、経済に関することを思うままに

「夜と霧」を読む

2014-03-30 18:17:58 | 今週の一冊

 久しぶりに、フランクルの「夜と霧」を読みました。

 読んだのは、池田香代子氏が翻訳した新版です。これで読んだのは9回目です。

 この本はいつ読んでも感動するのですが、以下のの箇所はいいですね。

ある夕べ、わたしたちが労働で死ぬほど疲れて、スープのわんを手に、居住のむき出しの土の床にへたりこんでいたとき、突然、仲間がとびこんで、疲れていようが寒かろうが、とにかく外にでてこいと、急にせきたてた。太陽が沈んでいくさまを見逃させないという、ただそれだけのために。

 そして、わたしたちは、暗く燃え上がる雲におおわれた西の空をながめ、地平線いっぱいに、くろがね色から地のように輝く赤まで、この世のものともおもえない色合いでたたずむさまざまに幻想的な形を変えていく雲をながめた。

 わたしたちは数分間、言葉もなく心を奪われていたが、だれかが言った。「世界はどうしてこんなに美しいだ!」

 


「日本の起源」を読むその2

2014-02-01 18:42:25 | 今週の一冊

 東島誠と与那覇潤の対談集である「日本の起源」を読んでいます。

 古代編、中世編、近世編を読み終わり、やっと近代編まで読み進みました。正直、古代編から中世編までは内容がよくわかりませんでした。近世編になり書いてある内容が理解できるようになりました。古代から中世までの歴史は通史は知っているんですが、それ以上のことは知らないし、あまり興味がないからということが理解を深めることができない理由かもしれません。

 この対談では、いろいろの学者の名前が登場して話が進むのですが、古代、中世の学者は知らない人ばかりです。知っているのは、山本七平だけです。学者に交じって登場する山本七平という人物は一流の思想家だったということでしょうか。山本七平は、かつて登場してきた時は、朝日新聞社の論説者と論争をしていたようですが、結局、今の思想家に影響を与えているのは、山本七平の方のようです。

 それから、中世編では、網野善彦という学者の名前だけ知っています。この学者の論も多くでてくるのですが、この学者がどのような論を展開したのか知らないので対談の内容がわかりませんでした。

 私は、古代史は「日本はどこから来たのか」、中世史は「日本人の精神はどのように形成されたか」、近世史は「日本の生活様式はどのように形成されかた」、近代史は「現代はどのような時代であるのか」を知ることができることだと勝手に思っています。だから、やはり近代史及び現代史が興味があります。

 さて、この本ですが、やっと近代編になるので、少しは理解できて読み進めるのではないかと思っています。

 

 

 


「日本の起源」を読む

2014-01-28 07:20:49 | 今週の一冊

  東島誠と与那覇潤の対談集「日本の起源」を読んでいます。

 古代から現代までの対談ですが、古代の天皇制の起源の視点が、私にとっては新鮮でした。推古天皇から天皇というものが始まったというものです。それまでは、大王が交代していたというものです。この論は新しいものではないようですが、私にとっては新鮮でした。

 このような論がこの本では展開されているようですので、おもしろく読めそうです。

 


「中国化する日本」を読むその2

2014-01-24 19:23:14 | 今週の一冊

 与那覇潤氏の著書 「中国化する日本」を読んでいます。なかなか読み進むことができませんが、なかなかおもしろい視点です。

 この本の核は「中国の宋朝」です。この宋朝が「中国化」であると著者は論を進めます。表紙裏に書かれているように、「西洋化」、「近代化」、「民主化」の枠組みを放棄し、「中国化」、「再江戸時代化」という概念をキーワードに新しいストーリーを描き直しています。

 私は、「科挙」という制度がなぜ、日本には導入されなかったのかいつも不思議に思っていたのでdすが、その理由がこの本を読んで理解できたような気がしています。それは、古代、中世には、科挙を実施できるほどの学問レベルの者の数が圧倒的に不足していた。つまり、選抜ができるほどのレベルになかった。そして、近世は、身分制が確立して、科挙は避けられたということです。

 新自由主義は「中国化」という視点が、今後展開されるような論理展開ですが、それが的を得ているかどうか私の知的レベルではわかりませんが、次の頁を読み進めたい本です。

 そして、映画のことがときどき登場し、論を進めるのも、かつて映画好きだったわたしとしては、興味深く読める本です。


「帝国の残影-与那覇潤著-」を読む

2014-01-11 18:10:35 | 今週の一冊

 与那覇潤氏の著わした「帝国の残影」を読んでいます。

 与那覇潤氏は、NHKテレビ「大人のジレンマ」に出ていたので注目していた人です。話題になった本に「中国化する日本」があるそうです。日本歴史学者で、テレビでの発言が「おおー」と思ったので、早速、図書館で、「中国化する日本」とこの「帝国の残影」を借りてきました。

 まず、「帝国の残影」を読んでいます。副題に「兵士・小津安二郎の昭和史」ですので、小津安二郎の映画を通して昭和を考えるものです。表現はたいへん堅いのですが、刺激的な内容です。新しい視点を提供してくれる本です。

 

 

 


「天皇と東大-下-」を読むその2

2014-01-09 18:31:12 | 今週の一冊

  「東大と天皇-下-」を読み終わりました。

  この下巻は、滝川事件から太平洋アジア戦争の敗戦までを描いています。よくここまで調べ上げたという内容になっています。

  特に、南原繁教授が、日本敗戦後、東大総長時の文章が学生のみならず、国民を勇気づけたことなど知らないことが多かったです。そして、天皇退位を主張していました。木戸内大臣も主張していたそうです。吉田茂首相とマッカーサー元帥が、それでは自分たちの政治的立場が危なくなるので、そうはならなかったということですが、なぜ政治的立場が危なくなるのか、この時代の政治状況はわからず、疑問に持った箇所です。

 最後に、著者(立花隆)は書いています。 「あの敗戦は誰の責任だったのか。それをはっきりさせないまま、一億総ザンゲで誰も責任をとらないでようことになってしまった」。 著者の問題意識はここにあるのでしょうか。

 

 

 

 


「世界を変えた10冊の本」を読む

2013-12-18 19:54:48 | 今週の一冊

 池上彰氏の著、「世界を変えた10冊の本」を読んでいます。もちろん池上彰氏が選んだ10冊です。その本とは以下のとおりです。

 ・アンネの日記 ・聖書 ・コーラン ・プロテスタンティズムの倫理と資本主義 ・資本論 ・イスラーム原理主義の「道しるべ」 ・沈黙の春 ・種の起源 ・雇用、利子および貨幣の一般理論 ・資本主義と自由 です。

 それで、なぜこの本が選ばれているかと言えば、池上彰の興味というか得意分野なのではないでしょうか。よくテレビで宗教や政治、経済の解説をしるのですが、その基本になるものがこれらの本なのではないでしょうか。

 さて、「アンネの日記」がまず上げられているのが、ちょっと特徴的です。それは、池上彰氏の問題意識に、現代の「イスラエル問題」があるからのようです。その「イスラエル問題」について、アンネの日記から読み解くというのは、なかなかいいですね。

 まだ、コーランの章までしか読んでいないのですが、字も大きくて、スラスラと読めます。しかし、なかなか内容はあります。ちょっと、一般的ですが、教養として知っておきたい内容です。

 池上彰氏の本は、深い内容があるとは言えませんが、知っておくべき事項がしっかりと押さえています。だから、テレビの解説にはもってこいなのではないでしょうか。読み物としては、軽い感じがしますが、頭を休めるながら、教養を高めたい時にはうってつけなのではないでしょうか。

 


「天皇と東大」を読む

2013-12-16 20:45:03 | 今週の一冊

 知の巨人立花隆の著書「天皇と東大」を読んでいます。

 この本は、上下2冊合計で1400頁ほどの本です。立花隆がこの本を書いた趣旨は、日本という近代国家がどのように作られ、それがどのようにして現代国家(戦後日本)に繋がることになったかを、「東大という覗き窓」を通してみて見るというものです。

 この本のはしがきに書かれているのですが、「東大という覗き窓」は、この本を書いた趣旨にピッタリだったと著者は思ったそうです。私もこの本を読み出して「その通り」だと思いました。

 そして、「天皇の存在」、日本近代現代史の最大の役者は、なんといっても天皇なのです。副題に「大日本帝国の生と死」と書かれているのですが、近現代史の歴史書はかなり最近読んでいるのですが、その中でも面白い本のトップになるのではないでしょうか。

 とはいっても、日本近現代史の基礎(高校で学ぶ歴史レベル)を知っているかが、この本を面白く思うかどうかの分かれ道になると思います。

 


「福沢諭吉-国を支えて国を頼らず-」を読む(その2)

2013-12-13 21:56:55 | 今週の一冊

 北康利の著、「福沢諭吉-国を支えて国を頼らず-」を読みました。

 読み応えのある本でした。何がと言って、福沢諭吉という人の魅力があますところなく記載されています。そして、その人生は、反骨精神、独立自尊、門閥打破という言葉で表現できるのではないでしょうか。

 明治維新にあまたの偉人がきら星のごとくいますが、福沢諭吉の魅力は、政治家が多いなかで、格別の魅力が私にはあります

 

 


「福沢諭吉、国を支えて国を頼らず」を読む

2013-12-07 18:40:38 | 今週の一冊

 北康利の作品「福沢諭吉、国を支えて国を頼らず」を読んでいます。

 この作品は、明治時代の教育者で慶応大学の創設者である福沢諭吉の偉人伝です。「福翁自伝」を読んだことがありますので、福沢の来歴はおおよそ知っているのですが、この本は、「福翁自伝」をベースにより詳しく記載しています。諭吉の周辺の人の本を基に書いているからではないでしょうか。

 私にとって、福沢諭吉の魅力は、明治政府に請われながら、役人にならなかったことです。その独立自尊の精神、反骨心はいいですね。なぜ、きら星のごとく、明治維新時に、英傑が出現したのかは、江戸時代の身分制度が影響しているのではないでしょうか。福沢も中津藩で殿様にお目見えできない「下士」の身分です。

 福沢の師、適塾の緒方洪庵も下級武士の家に生まれた人で、医師を志すために、あんまなどで資金を稼いで苦学して医師になった人でした。「門閥制度は親の敵でござる」という言葉は福沢諭吉の言葉としてあまりに有名ですが、この門閥制度のもとで、耐えてきた能力のある者のエネルギーが、明治維新を起こし、明治という近代国家を創ったのではないでしょうか。

 振り返って、現在、塾通いで優秀な成績を収めて、東大に行き官僚になった人間は、バイタリティーという点では、明治の英傑とは比較にならないのかもしれません。世襲の政治家は、門閥制度のまさに「上士」で、その人たちに新しい時代にリードしてくれることなど望むことなどできないのではないでしょうか。

 私たちは、成熟した時代に生きています。成熟と熟しているのですから活力は失われているということです。われわれに、福沢諭吉が生きた時代のようなバイタリティに溢れた時代を取り返すのは望むべきもないことなのでしょうか


「兵士は起つ」を読む

2013-12-04 19:33:15 | 今週の一冊

  杉山隆夫の著作「兵士は起つ」を読んでいます。

  この本は、東日本大震災の時の自衛隊の活動を著わしたノンフィクションです。大震災の時、私は被災者支援で、福島市の被災者避難所に10日間行きました。その時、自衛隊は屋外風呂場を設営していました。

 この本では、いかに自衛隊が被災者支援に貢献したかが書かれています。自衛隊を国防軍とする憲法改正が現政権で議論になっていますが、自衛隊という存在を私たちは、正面立って考えていかなくてはならない時期に来ているのではないでしょうか。

 


「資本主義という謎」を読む

2013-11-27 19:30:20 | 今週の一冊

 水野和夫と大澤真幸の対談で構成されている「資本主義の謎」という本を読んでいます。

 水野和夫は、経済評論家としてテレビによく出演していた人ですが、経済の世界史に博学なので読んでいて驚いています。大澤真幸はベストセラーとなった「ふじぎなキリスト教」の著者です。この本も対談集でした。

 この本のキーとなっているのは、なぜ西洋で資本主義が誕生したかです。その来歴が2人が論じています。ほんとうかなと思うのですが、その論理展開が知的好奇心をそそるのです。

 いわゆるこのような学問の範疇は「社会学」ということなのでしょうが、私は昔から、この社会学がたいへん興味がありました。だらかでしょうが、このようなたぐいの本は、たいへん好きです。 

 


「社会の抜け道」を読む

2013-11-23 17:32:07 | 今週の一冊

 古市憲寿と国分功一郎の対談集、「社会の抜け道」を読みました。初めは期待していなかったが、なかなかおもしろかったです。

 古市は、IKEAやコストコなどがあるショッピングモールが消費者に受け入れられていることを肯定的に述べています。そこがいいのです。国分は、高崎経済大学の准教授の哲学者です。地元群馬県の大学に、このような哲学者が勤務しているとは知りませんでした。