TSUNODAの経営・経済つれづれ草

身近な経営に関すること、経済に関することを思うままに

「超入門失敗の本質」を読む

2012-04-30 19:33:31 | 今週の一冊

 「超入門失敗の本質」という本を読みました。

 この本は、名著「失敗の本質」の入門書というふれこみですが、内容は、日本企業論です。

 太平洋戦争に日本が負けた要因として7つを上げています(太平洋戦争を大東亜戦争と記述しているが気にかかります)。それは、①戦略性、②思考法、③イノベーション、④型の伝承、⑤組織運営、⑥リーダーシィップ、⑦メンタリティです。

 それぞれそうだなあと思うのですが、一番納得のいったのは③イノベーションです。以下その趣旨です。

 自分たりでルールを作り出すことができず、既存のルールに習熟することばかりを目指す日本人の気質。日本が米軍に「戦い方」において敗れた理由です。ひとつのアイデアを洗練させていくことが得意な日本人は、小さな改善、改良を連続的に行うことで既存の延長線上にある成果をあげることは得意である。

 しかし、米軍が仕掛けた変化には大きく劇的なものが多数あった。日本軍はその変化への対応に極めて弱かった。

 格言「ゲームのルールを変えた者だけが勝つ」。

 第一次世界大戦は従来の戦争と異なり、国の総力戦になりました。ルールを変わったのです。

 「イノベーション」は日本が一番苦手とすることではないでしょうか。

 


「日本の近代-政党から軍部へ-」を読む

2012-04-29 21:21:56 | 今週の一冊

 日本の近代シリーズ(中央公論新社)の「政党から軍部へ(北岡伸一著)」を読みました。

 この本は、400ページほどあります。内容が濃く、読み応えがありました。1924年から1941年までを記載しているのですが、政党政治が崩壊し、軍部独占時代への歴史が書かれています。

 この時代の政党は、政友会と憲政会という2大政党の時代ですが、両党が政局にあけくれていたことがこの本でわかりました。

 さて、この本の付録は、平岩外四東京電力会社相談役(2000年当時)と著者の北岡氏の対談が掲載されています。平岩氏は東大卒業後、東京電灯(東京電力の前身)に入社したのですが、すぐに戦争に行きます。満州、そしてラバウルに行きます。

 対談の中で、この戦争について2つのことを思ったと平岩氏は述べています。一つは、実に実に、下手なことをやったということ、第二に、どうして現地のことがこんなにわからなかったんだろうということです。どうして参謀本部が現地の声に耳をかたむけなったのか、企業でも現場の声を知らずに何かすると失敗しますと述べています。

 現在の東京電力のことを考えると、なんとも皮肉な巡り合わせの発言だと私は思います。

 

 


東京電力、7月にも国有化になる

2012-04-28 18:34:46 | 経営全般

 東京電力が7月にも実質国有化になるようです。

 東京電力と原子力損害賠償支援機構は、「総合特別事業計画」を枝野経済産業大臣に提出しました。内容は、家庭向け電力10%値上げや1兆円規模の公的資金による資本注入などが盛り込まれています。

 次期下河辺会長も内定してやっと今後の東京電力の経営方針が固まりつつあります。

 とはいっても、電力の安定供給や原子力発電所事故の賠償、電気料金の値上げ、原発再稼働の問題など問題は山積みです。

 日本の近現代史の本を読んでいましたら、戦前は日本の電力は数多くの会社で経営していたのが、1938年に国策により国営になりました。当然に戦時に備えた方針によるものです。

 東京電力他の電力会社は、その成立当時の歴史的形成から、株式といっても国営みたいなものだったのではないでしょうか。

 それにしても、東日本大震災からはや1年、改革の歩みが遅すぎるのではないでしょうか。 


地元群馬県の観光イメージアップポスター(第4弾)ができる

2012-04-27 19:00:44 | 経営全般

 夏の行楽シーズンを前に地元群馬の魅力をアピールする観光イメージアップポスターができました。

 ポスターは、ぐんま大使のタレント中山秀征さんと井森美幸さんです。妙義山や赤城大沼、旧富岡製糸場などが背景になっているポスターです。

 正直、すこしダサいイメージですが、それが群馬県のイメージなにかもしれません。観光客のすべてが洗練されているわけではなく、マーケティングの基本であるターゲット(標的顧客)をすこしダサい層に設定してるとすれば理にかなっているとも考えられます。

 中山さんと井森さんという選択もなかなか深い読みがあるのかなとも思ってしまっている、きょうこのごろです。

 

 


富士重工業の生産台数が過去最高

2012-04-26 19:11:01 | 経営全般

 富士重工業の2012年度の自動車生産台数は628,829台で、過去最高を記録しました。

 増加は国内が2年連続、海外が3年連続です。昨年7月に作成した中長期経営計画では、2015年度の販売台数を2010年度より24万台多い90万台としています。地元群馬製作所の生産台数を46万台から50万台に増やすとしましたが、中国での新工場開設が難航しており、群馬製作所や北米での生産能力増強が必要となる可能性もあります。

 自動車主要8社の2011年度の国内生産台数は、前年比2.4%増の8,799,796台となり、2年連続の増加です。東日本大震災の影響もあったのですが、よく持ち直したというのが実感ではないでしょうか。

 自動車業界はすそ野が広く、なんとかこの自動車業界の踏ん張りで、景気が横這い状態にあるいうことなのでしょうか。


世代間の雇用格差-崩れる社会の再生産-

2012-04-25 18:47:40 | 経営全般

  地元上毛新聞の記事に、興味深い論説を読みました。その記事は、4月22日(日曜日)のにっぽん診断に書かれていた文で、佐藤方宣(さとうまさのぶ)関西大准教授が記述者です。 以下引用です。

 政府は、2013年度の国家公務員の新規採用数を、政府交代前に採用が決まっていた2009年度に比べ56%削減する方針を決定した。当初目標としていた7割減には満たないものの、2012年度と比べても4割減と大幅な削減率である。

 また、2013年度から国家公務員の年金支給開始年齢が段階的に65歳までひきあげられるのに伴い、再雇用を希望する定年退職物は原則的に再雇用することを義務づける制度も決めた。さらに政府は今国会で、一般企業にも希望者全員の65歳までの雇用確保を義務付ける高齢者安定法改正案の成立を目指している。

 こうした一連の政策は、税や社会保障制度の破綻を回避し社会の持続可能性を維持するために、そして震災からの復興のために「痛みを分ち合う」ことだと説明されている。

 しかし、これは二つの意味で誤っていると言われざるを得ない。第一に、それは若年層という社会への新規参入者にのみ負担を押し付ける「不公正」なものであり、また実は社会の長期にわたる持続可能性を毀損するという意味で「不効率」なものでもある。

 もちろん定年後にも雇用が保証されること自体は、現に正規雇用を確保している人にとっては好ましいことだろう。しかし、それぞれの意欲と能力に応じて個別に判断されるべきことであり、まして国が民間企業に対して一様に義務化するべきことではない。

 もし逆に政府が民間企業に若年層の就職希望者の「完全雇用」を義務化しようとしたならば、果たして賛同する人はいるだろうか。このように世代によって明らかに非対称的な取り扱いは、果たして痛みを分かち合うものといえるだろうか。

 また、こうした声を上げない人々に負担を押し付けるやり方は、長期的に見れば自分たちの首を絞めることにもなる。新たに社会の中核を担う若年の雇用機会が失われれば、社会の再生産の根幹は崩れ、安定した成長の可能性も失われてしまう。若年層への負担押し付けという安直な解決策は、全世代にとってマイナスの結果を生んでしまうのである。

 社会の安定とは、今ある既得権をそのまま守ることではない。新しい参入者にも十分に気を配ることで、初めて長期にわたる持続可能性の基礎を担保することになる。社会の持続可能性のためにも、低成長下における震災復興という困難な課題にとっても、世代間の公正への十分な配慮を忘れてはならない。

 中高年の雇用を確保のために、若年層の雇用が狭まばれているということはあってはならないことだと思いますが、現実はその通りです。

 また、その中高年の雇用が確保されることにより、その子女が無職でも生活ができることになります。そして、子女はいつまでも親離れできず、結婚することもままならずなくなる現実。

 悪循環の社会となっているのが日本社会だと思います。

 


「北京国債自動車ショー」が開幕

2012-04-24 19:32:12 | 経営全般

 中国・北京で23日から「第12回北京国際自動車ショー」が開幕しました。

 中国は自動車市場として熾烈な競争が今後も展開していく地域です。トヨタ自動車やホンダなど日本勢はハイブリッド車(HV)の技術を国内にとどめる戦略を転換し、現地開発や地元企業に供与する方針を表明しました。

 トヨタ自動車は、上海市近郊の常熱市で研究開発拠点を建設中です。今回のモーターショーでは新拠点の開発部隊が設計したHVのコンセプトモデルを披露しています。

 ホンダも中国でHV戦略を加速します。現在、販売しているセダン「シビック」のHVタイプに加え、専用車「インサイト」、小型車「フィットハブリッド」、スポーツ車「CR-V」のHV3車種を年内に販売する予定です。2,3年後には現地生産にも乗り出す方針です。HVの基幹技術を中国企業に供与する方針も正式に表明しています。

 この動きは、国内製造業の空洞化が加速すると懸念する声もあるでしょうが、もやはこの潮流は変えられないのではないのではないでしょうか。グローバリゼーションという産業の潮流にマッチした国の産業戦略が求められていますが、妙案がないというのが現状です。

 名だたる著名な専門家でも妙案がないのですから、私などのような一般人に妙案など思いつかないのも当然です。

 

 


個人消費、団塊特需の兆し

2012-04-23 19:04:30 | 経営全般

 65~69歳の1世帯当たり消費支出が2月まで8か月連続で前年同月を上回っていて、65歳以上の高齢者の消費が好調です。

 一方、60~64歳の支出は2月まで9カ月連続で前年を下回っています。10%以上もマイナスとなる月もあります。

 この要因は、「年金」支給にあるようです。会社員が支給を受ける年金は、「報酬比例部分」と「定額部分」に分かれ、「「報酬比例部分」は現在は60歳からの支給となっていますが、「定額部分」は65歳まで引き上げる途上にあります。このため65歳が消費の分水嶺となっているようです。

 今後、団塊世代が65歳以上になれば消費が伸びることが予想されます。とはいっても、その年金原資は、現役世代の負担です。

 マーケティングでは、顧客を細分化する手法(市場細分化)の基準として、年齢、ライフスタイル、地域などがあることがあげられます。最近テレビで見て、知ったのですが、世代という分類基準もあるようです。これは、団塊世代、団層世代、新人類世代、バブル世代、失われた20年世代などです。この世代はそのまま市場分類の基準として世代を継続していきます。

 この団塊世代が消費の引っ張るということなのでしょうが、自分たちが働き得た収入でなく、年金ということで、経済は活性化するのでしょうか。

 「少子高齢化」は経済のキーワードであることが認識できます。そして、グローバリゼーションということがもう一つのキーワードということなのでしょうか。

 

 

 


「それでも、日本人は戦争を選んだ」(加藤陽子著)をふたたび読む

2012-04-22 18:01:26 | 今週の一冊

 現在、日本近現代史の本をよく読んでいるのですが、加藤陽子東大教授の著作「それでも、日本人は戦争を選んだ」を読みました。この本は以前読んだことがあるので、2度目です。

 この本は、日清戦争、日露戦争、第一次世界大戦、満州事変と日中戦争、太平洋戦争と日本がなぜ、どのように戦争を起こしたかが高校生との対話で進めています。

 2度目ですが、一気に読みました。加藤教授の著書はすばらしいです。加藤教授の著作はどの本もレベルが高く読み応えがあります。加藤教授の本を読んでしまうと、半藤一利などの著書が物足りなくなります。実証資料に基づく精密な著書はおもしろいです。

 


識者に聞く、難局に挑む経営者の条件-日経ビジネス2012.4.23-

2012-04-20 20:07:00 | 経営全般

  今週号の日経ビジネスに、「難局に挑む経営者の条件」という特集記事で4人の学者が書いています。

  4人の学者は、守島基博、花田光世、加護野忠男、久保克行氏です。その中でこれはと納得のいくのは、守島氏の「先の見えない時代、即決する力が重要に」です。

 以下、引用です。

 今の経営者が求められる能力は以前に比べてシビアになっている。経営環境の不確実性が増し、先を見通すことが困難になっているからだ。「こうすれば必ずうまくいく」という確かな法則など見当たらない。

 そこで必要なのは、「絶対に正しい」と確信は持たなくても、何らかの意思決定を次々と下して実行していくことだ。失敗するリスクを恐れず勇気を持って決断していく。

 そうして試行錯誤を重ねて失敗を繰り返しながらも、いち早く軌道を修正して、最終的には最良の結果を得ることができる。

 思い当たる経営者はソフトバンクの孫社長と、ユニクロの柳井社長です。即断即決できないトップはトップと言えないと私は思っています。

 


2012年、新書大賞に「ふしぎなキリスト教」

2012-04-19 19:16:38 | 今週の一冊

 2011年に刊行された新刊の新書1500点以上の中から、大賞は「ふしぎなキリスト教」が選ばれました。

 この本は、社会学者の橋爪大三郎氏と大澤真幸氏の対談集です。新書なのに340ページもある本です。きょうの日経新聞の書籍広告には、30万部突破と書かれており、高橋源一郎氏などの推薦文が記載されています。

 キリスト教の社会学的入門書という触れ込みです。私も興味深く読みました。読んでそれほどの日がたってないのですが、内容はほとんど覚えていません。あらためて「目次」を見たのですが、どのようなことが書かれていたのか思い出せません。でも、読んでいた時は知的好奇心をそそられた本でした。

 新書大賞の2位は、古川隆久氏の著作である「昭和天皇」です。この本は今、読んでします。この本も402ページの大作です。

 3位「TPP亡国論」、4位「武器としての決断思考」、5位「女子校育ち」などがランクされています。正直3位以下で読みたいと思う本はありません。

 1位、2位の本は、あえて新書にしなくてもよい本です。各出版社新書を出していますが、質の低下が著しいのではないかと思います。

 興味を持って、購入した本が、1,2位ということは、本を選ぶ目を少しは持っているのかなあと思いました。


日本は人口減少社会に突入

2012-04-18 18:20:24 | 経営全般

 総務省が発表した2011年10月1日現在の日本の推計人口は、1年間で25万9千人減少しました。

 この減少数は1950年以降の統計で最大となっています。今回の人口の急激な落ち込みは、出生率の低下と高齢化という従来の傾向に加え、震災と原発事故による日本からの人口流出が重なったことが主因です。

 都道府県別に見ても、震災や原発事故の影響がでています。福島県の人口減少率は都道府県別の統計で過去最大の落ち込み幅となっています。人口の減少率は岩手県が2位、宮城県が4位と「被災3県」が上位に並んでいます。

 人口の高齢化も顕著です。0~14歳の年少人口が65歳以上の老齢人口を上回るのは沖縄県だけとなっています。47都道府県の過半数の24道県で75歳以上の後期高齢者の人口が年少人口を上回っています。

 「少子高齢化」社会は、必然的に経済の活力をそぎます。国は社会保障と税の一体改革を進めています。

 それにしても、少子高齢化社会になることは1980年から言われていたことです。それから、30年過ぎています。その当時から対策が考えられたなら、現在の社会も違ったものになっていたのではないでしょうか。なぜ、人間は「見たくない現実」を直視しないのでしょうか。

 

 


東芝が米IBMの事業買収

2012-04-17 19:14:15 | 経営全般

 東芝は、今年夏に、米IBMからスーパーなど流通業向けの情報管理システム事業を買収します。

 買収額は500億円超。現在IBMは商品の販売情報を管理する店舗用端末で世界首位です。東芝が買収するにはレジなどのPOS端末事業です。東証1部上場の子会社である東芝テックが買収します。

 東芝はPOSシステムを軸にネットでつながる様々な端末を世界規模で抑え、クラウド事業を強化していく方針です。一方、IBMはソフト・サービス業へ経営資源を集中する「脱ハード戦略」を進めており、POS端末事業の売却もその一環です。

 この買収・売却がどちらの企業に恩恵をもたらすかは正直分かりません。それぞれの企業が自社の経営戦略に添っての行動です。今後、このような世界規模の買収・売却がますます増加してくるのではないでしょうか。

 グローバリゼーションとは、まさにこのような事象のことなのでしょう。

 


地域情報が充実している「ほっとぐんま640」

2012-04-16 19:04:05 | 地域文化・地域資源

 4月からスタートしたNHKの「県域テレビ」の「にっとぐんま640」は内容が充実しています。

 この番組は、月曜から金曜までのNHK総合の6時40分から7時までの20分間、放送されています。

 見ていてアナウンサーを始め、映像の洗練さなど安心した内容となっています。県域テレビは地元群馬県でなく他県でもスタートしています。

 サッカーのJリーグは、地域密着をうたっています。また、政治の世界でも、地域からの改革が人気を集めています。「地域から」ということがキーワードとなり、日本が変わるように思います。