TSUNODAの経営・経済つれづれ草

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中小企業診断士という資格

2007-10-14 17:54:58 | 経営全般
 今日は、苦労して取得した中小企業診断士という資格について思うところを書きます。

 私が、中小企業診断士という資格の存在を知ったのはもう15年も前の平成3年だったと思います。新聞の資格紹介欄で見て興味を持ったと記憶しています。地方公務員ですので、公僕として地域社会に貢献しなくてはならないのですが、恥ずかしい話がその頃は与えられた仕事を漫然とこなしているだけでした。これでいいのかといつも思っていました。充実感がなかったのです。自分の核となる専門性を持ちたいと思っていました。そこで、地域経済、企業経営に公務員でありながら興味を持っていたので、中小企業診断士という資格を勉強してみようと思ったのでした。

 平成3年はテキストを購入して、1回もそれぞれの科目テキストを読まず、1次試験を受けました。もちろんまったく駄目でした。10月からは日本マンパワー前橋校の通学コースに通いだしました。20万円ほどの受講費を払い込んだと記憶しています。受講者は40名近くいました。受講日は毎日日曜日の10時から4時まででした。当時の1次試験は8科目で商業部門、工業部門、情報部門に分かれていたのですが、通学コースは商業コースのみでした。1科目を1ヶ月(4日講義)で1科目終わると、確認試験が実施されました。最初の確認試験は、経営基本管理でした。私は本を2回ほど読んで試験にのぞんだので自身があったのですが、60点だったと記憶しています。平均点にもいきませんでした。90点、80点という人が何人もいました。講義を聴いて、テキストを読んでいればなんとかなると思ってたのが甘い考えとわかりました。周りの人と親しくなって話を聞いて、昨年もこの通学コースに通っていた人が何人もいることに驚きました。真剣に取り組まないと取得できない資格と思いました。
 講義が進むにつれて、40人近くいた人が20人になり、講義が終わる4月になると7,8人しか教室には残っていませんでした。5,6月のテスト演習に申し込んだのは8人だったと記憶しています。1次試験の合格率は20%弱でしたが、ほんとうに合格を争うのは通学コースの最後まで残った8人プラス数名というのが試験の実態ではなかったのではでしょうか。

 最後まで通学コースで残った人たちとは本当に仲良くなりました。平成4年の1次試験に受験し合格者したのは6人でした。2次試験は10月でした。1次試験が8月で2ヶ月ほどしかなく、6人全員不合格でした。その後2次試験に合格して中小企業診断士の資格を取得したのは6人のうち3人です。

 私は、2次試験に不合格だったので、11月から東京まで2次試験のための通学コースに申し込んで通い始めました。受講費が15万円ほどの費用がかかったと思います。企業通信学院の通学コースでした。2次試験は1次試験と違い、事例問題と中小企業施策の2部門から構成されていました。その時の講師が高橋英明先生で図解がたいへんうまい先生でした。今いろいろ図解の本を出している久恒啓一氏よりうまい図を描いていたと思います。毎週土曜日の講義でしたが、小売業、卸売業の枠組みの理解はこのときに勉強できました。

 平成5年4月から、念願の経営指導課という経営指導、支援が業務の部署に異動できました。この課では毎年中小企業大学校の中小企業診断士コースに1年間、職員を派遣していて、私が移動した時には課の6人が診断士の資格を持っていました。私は、1字試験に合格していて、2次試験の合格できる自信があったので、試験で資格を取得してやると思っていました。しかし、この年(平成5年)は不合格。ショックでした。通学してしっかり勉強していたのになぜかと思いました。2次試験は事例問題3題があり、記述して回答するので自分の記述したことが合格の基準かどうかが判断しかねる試験でした。経営指導課で実務をしながら勉強したのですが、平成6年から8年まで不合格でした。事例問題の設問への回答がいずれも的はずれだったのでしょう。この3年間は受験し終わっての合格の自信がまったくありませんでした。

 平成9年4月に診断士の資格取得できずに、他の部署に異動になりました。今年は絶対合格するぞと決意し、東京の2次試験通学コースに通うことにしました。日本マンパワーの片野浩一先生のコースでした。私は経営指導課の時に、片野先生に特別専門診断員として群馬県の商店街や個別企業の診断に来ていただいて力量のある先生だと知っていまして、理論的な構築力をすばらしいので先生の受験コースに申し込みました。5月からのスタートで隔週でしたが、ほんとうに内容のある講義、演習でした。このころは事例問題の対応方策がなく受験者がどんな勉強をしていいかわからないのに対し、事例問題を構造化して回答していくという方法論を提案してくれました。
この年合格できました(平成9年)。

平成10年から中小企業診断士登録(商業)になりました。その後、診断士制度も変更があり、商業、工業、情報という部門の枠がなくなりました。平成16年の改正では、30日の実務実績がなければ診断士資格の更新登録できなくなりました。できない場合は資格休眠となります。私は実務経験をつむことができないので、来年3月までに休眠するつもりです。

 苦労して取得した資格ですが、来年4月以降は休眠となり資格取得者として名乗れなくなります。資格取得者というブランドがなくなるのはさびしい気もします。しかし、資格取得のために勉強した内容が、今の私の考え方の核になっています。現状、問題点、対応策という問題解決のプロセス、階層化と分類基準という考え方、問題の構造化等、診断士の勉強をして身につけた考え方です。企業経営を考える基礎理論として経営戦略、マーケケティング、企業財務、労務管理など無駄になっていることはありません。
 県内の中小企業診断士資格取得者との人的ネットワークも財産です。資格取得のための受験仲間が毎年、毎年数人ずつ合格してきているのですが、種々の職業を持っている人と付き合うことができてきたのもよかったことです。
 
 来年は、診断士休眠となりますが、この資格を取得したことは私の大きな財産となっています。

 http://www.lec-jp.com/shindanshi/kouza/misc/ktn_intv/01/ktn_msd/01.html
 ↑ 片野浩一先生の中小企業診断士受験講習です。


http://www.nipponmanpower.co.jp/ps/choose/smemc/
 ↑ 日本マンパワーの中小企業診断士講習の紹介です。